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「CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる」という本はとてもオススメ!

2015年03月27日 01時00分00秒 | 
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 「CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる」という本は女性元CIA諜報員が著者で、諜報員として10年近く勤務した経験から、そのCIA諜報員としてのテクニックや組織能力が実はビジネスにかなり活かせるようで、その内容について説明したものです。

 具体的には、諜報員テクニックとして話の聞き出し方や人物の見抜き方、信頼関係の築き方、説得術、社内や他社との競争に勝つ方法、CIA組織能力としてスパイ行為から情報を守る技術、CIAの採用・人事戦略・危機管理術についてその基本的考え方について分かりやすく説明があります。

 特に諜報員とはいえども、正直で誠実で道徳的な人間でなければ成功はできないというのは印象的で、それはビジネスや一般的な生活にも通じる内容とは思いましたね。

 また直接影響しない相手とも良好な関係を築くことは大切で、そのことによって思いがけない利益に結びつくようです。
味方が多ければ多いほど良いようです。

 諜報員というと負のイメージがありますが、本書では主に正の面を捉えて書かれているのは良いと思います。

それから実は表紙を見ずに読み進めていたのですが、途中で著者が女性と気づいて驚きましたね。
文体が男性のようだったので、てっきり男性が著者だとばかり思っていました^_^;)


「CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる」という本は、個人的なスキルだけでなく、組織の採用・人事戦略や危機管理術にも参考となりとてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・優れた諜報員は目を引く外見でなくても、人をひきつけることができる。詮索好きではないが、他人への興味は強い。やたらに陽気ではないが親しみやすい。決してひけらかしはしないが、知識が豊富なことは明らかだ。傲慢ではないが自信にあふれている。そして何より大切なことは、彼らが非常に「聞き上手」だということだ。優秀な諜報員は、誰とでも気軽に会話ができる。まったくの無駄話をいつのまにか核心に迫る話に変えるのもうまい。彼らと話をした人は、気がつくと自分だけが話をしているということになる。気分よく多く話させ、難なく欲しかった情報を手に入れるわけだ。一度会った諜報員に再会することがあれば、彼らが聞いた話を細かいところまでじつによく覚えていることにも驚くはずである。彼らはとても「いい人」でもある。誰もが好感を抱く。ユーモアもあり、話に説得力もある。かといってパーティーなどで場を盛り上げるタイプの人とは違う。会話の中心にいて皆を笑わせるようなことはないし、気前よく皆に酒をふるまったりすることもない。ただ相手の気分をよくして、長く話をさせることがうまい。だから、まったくそういうつもりがなくても、自分に関する情報を彼らに詳しく伝えてしまうのだ。

・諜報員の間でよくいわれているのは、「何かを得るには、まず自分から何かを与える」ということである。相手に話させる前に、まず自分のことを話す。具体的に何を話すかはその場の状況次第だが、一般的に、将来のキャリアプランやお金に関する悩みなど、多少踏み込んだ話のほうが効果が高い。うまく話すことができれば、それに反応して相手も話しはじめる。自然に言葉が行き来するようになれば、目的の情報を引き出すことも、そう難しくなくなるだろう。

・話を聞き出す相手と会うときには、その人が信頼している誰かの紹介を受けるといい。これが驚くほどの効果を発揮する。もし適切な人物が見つからなければ、引き出そうとする情報に無関係な人物を誰か選び出し、紹介を頼もう。それでも紹介者がいないよりはいい。そういう紹介者がいることで、相手はつい安心し、うっかり重要な情報を漏らしやすくなる。紹介者については、会話の中でも触れるようにする。

・話を聞く力と注意力さえあれば、わざわざ聞きたい話をするように相手を仕向けなくても、情報は得られるかもしれない。CIAの諜報員は皆が聞き上手であり、鋭い観察眼をもっている。そうなるよう訓練を受けたからだ。情報を得るときには、複数の手段を利用したほうが情報の確度は上がる。会話を誘導することで得た情報以外に、ひたすら話を聞くことで得た情報、相手をよく観察することで得た情報があれば、すべてを比較対照することができるだろう。すべてが一致していれば、おそらくその情報は正しいとみなしていい。

・動機は「弱み」と言い換えることもできる。動機、弱みを的確に見極め、それを利用して協力者を得ることは諜報員の大切な仕事である。同じようなことはビジネスの世界でも必要になる。ビジネスでは、上司、顧客、同僚、競合他社の社員など多くの人と関わるが、それぞれに動機、弱みをもっている。そこを突けば人は動く。直属の上司は、自分と同じ大学の卒業生だと聞くと、それだけで厚遇する。ある顧客はゴルフが好きで、ゴルフコンペでは常に誰にも負けたくないと思っている。同僚のひとりは、じつは近いうちに退職したいと考えている。いつも顧客を取り合っている競合他社の営業マンは、ブロンドの美人に弱い。誰にも少しそういったところがある。あらかじめ人の弱みを知っておくと、行動の予測に役立つ。弱みをうまく突けば、自分の利益につなげることもできるだろう。ただ、この種の情報は非常に個人的なものなので、ある程度時間をかけて注意深く人を観察しなければ得ることができない。これだけでも、観察力がいかに大切かがわかってもらえると思う。

・親しくなる方法は、自分と相手がどういう人間かで大きく違ってくる。何度か顔を合わせてやりとりする中で徐々に自然と親しくなり、信頼関係を築いていくしかない。仕事上で関わる相手であれば、数少ない機会を確実にとらえて、自分の能力を証明する。実績をあげることで信頼に足る人間だとわかってもらう。時間をかけて自分の誠意や能力を知ってもらったほうがいい。

・同じ情報でも、その価値は人によって違う。自分が何の価値もないと思う情報でも、他人にとっては重要かもしれない。また、情報の価値は時代によっても変わりうる。たとえば冷戦終結後、スパイの探っていた情報の価値には大きな変化があった。国家の情報公開が進んだことで、それまで国家機密とされていた情報の多くが隠されなくなり、価値を失ったのだ。かつては敵国だった国との外交関係が改善したことで無価値になった情報もある。反対にテクノロジーによって世界が狭くなり、経済のグローバル化が進むにつれ、民間セクターの情報、企業秘密の価値は、以前に比べてはるかに高くなった。こうした時代の変化を受けて、スパイの世界も以前とは大きく様変わりした。

・スパイから身を守るコツ
①出張など移動の際に持ち歩く情報は最低限にとどめる
②共用の電子機器やネットワークは極力使わない
③書類は必ずシュレッダーにかけてから捨てる
④自分についてどんな情報が世の中に出回っているかを知っておく
⑤ブログやSNSは注意して使う
⑥普段から近くにいてよく話す人だからといって安心しない
⑦自分の直感を信じる-「何か変だ」と思ったら、話題を変えるか話を打ち切る
⑧同業他社の人間に気をつける
⑨アルコールに気をつける-アルコールはスパイの最高の友

・スパイ防止という観点からいえば、業界や企業の規模を問わず注目すべきなのは、だいたい次のような点になる。こうした点を見ていれば、スパイ行為を察知しやすくなる。急に大きな変化があったときは、あやしいと考えたほうがいい。
◎退社した社員の転職先
◎退社する社員の属性(所属部署、もっているスキル)
◎新規採用者の前職
◎外での会社の評判
◎離れた顧客の受け皿
◎新技術を導入したり何かを改善したりしてから、競合他社が追随するまでの時間
上記の点に関して急激な変化が見られた場合には、他社が人材や情報を盗んでいるか、スパイを送り込んでいるか、あるいは故意に悪い評判を流しているかのいずれかだと考えられる。

・CIAへの就職希望者は何千人、何万人という大変な数にのぼるため、CIAは非常に厳しい採用条件を設け、一部のごく優秀な人だけに絞り込むことができる。候補者たちはまず、情け容赦のない徹底的な身元調査で、完全に身綺麗な人間であることが確かめられる。多数の心理テストにより、精神状態に一切の問題がないことも確認される。人間を見る目の確かな元諜報員による面接は、何度も繰り返し行われる。それにより、知性に優れ、他人に好かれる人間かどうかが判断される。そのうえで、多岐にわたる検査で健康状態が万全であるかどうかも見られることになる。身綺麗で、知性的で、心身ともに健康で、人に好かれる-そんな素晴らしい人間だけが残った小さな集団の中から、CIAはさらにふさわしい人間だけを選び抜いていくのだ。

・なぜCIAはこれほどすごい人材を大量に採用できるのか。それは報酬が高いからではない。まず重要なことは、CIAに入れば、ほかでは決してできない仕事ができるということだ。たとえば私は訓練の段階で、すでに楽しくて仕方なかった。飛んでいる飛行機から何度も外に飛び出した1週間の集中空挺訓練、変装の訓練、高速での自動車運転の訓練もあった。衝突や破壊などまったく厭わない訓練だ。道路封鎖を破壊して走行したこともあった。こうした派手な訓練で身につけたことは、その後の日々の任務ではほとんど役に立たないが、楽しいことだけは確かだ。こんなことができるなら、民間企業の高額報酬など捨ててもかわないと思った。当然、CIAも完璧な職場ではないし、誰にでも向く仕事ではない。ほかの仕事と同じように、よいところもあれば悪いところもある。その官僚主義的な体制にいら立つこともある。不合理な要因で物事がなかなか前に進まないこともある。どう見ても愚かで無能として思えないような人間もいる。それは民間の大企業でも同じだろう。それでもCIAは、高い教育を受け、経験も豊富で、外の世界にいくらでも成功のチャンスがあるはずの優れた人材を引き入れることができる。しかも定着率は、民間企業に比べてもかなり高い。なぜ辞めずに残る人が多いのだろうか。大きな理由のひとつはCIAの使命にあると考えられる。CIAの職員は自分たちが何のために仕事をしているのかをよく知っているし、自分の仕事を信じている。自分たちの力で世界を少しでもよくできると思える。世界中の国に旅ができるのも魅力だ。それだけでも辞められない人もいる。

・CIAの5つの人事戦略
①次々に新しい仕事を与える-優秀な人材は停滞を嫌う
②社員の履歴書が充実するような肩書きや地位を会社に用意する
③重要な仕事ほど、任せる人は純粋に能力と人間性だけで決める
④部門横断的なチームを編成し、退屈な仕事にもやりがいをもたせる
⑤一匹狼にも居場所をつくる-無理にマネージャーにもチームのメンバーにしないほうが組織にとっても本人にとってもプラス

・優秀な人間だからといって、必ずマネージャーに向いているとは限らない。また、チームで動くことにどうしても向かない人もいる。無理にメンバーにしたところで、本人にとってもチームにとってもためにならないこともある。経営者はそのことを理解し、ひとりで動いてこそ力を発揮する人材に、無理にチームワークをさせないようにすべきだろう。CIAにもいろいろなタイプの人がいる。出世欲が強く、一刻も早く昇進して上級の管理職になりたいと思う人も大勢いる一方で、管理職には興味がなく、ずっと現場でひとりスパイ活動をしたいと思う人もいる。幸い、CIAの組織構造は、どちらの人間にもうまく対応できるようになっている。

・私生活でなにかよからぬことをしていれば、それが仕事に影響することは避けられない。犯罪にあたる行為はもちろんのこと、そこまででなくても倫理にもとる行為をしていれば、必ず仕事に悪影響がある。だから、そういうことがあれば、早めに察知して対策を講じなくてはならない。配偶者を虐待している人間は、いずれ家庭の外でも同じような暴力を振るう可能性が高い。多くの異性と見境なく関係をもっていれば、いずれ仕事の場で出会った異性にも手を出しかねない。しかも、それに会社の経費を使うようになるかもしれない。ドラッグやアルコールを濫用していれば、判断力が低下してしまう。いくら仕事中は遠ざけていたとしても、徐々に影響が大きくなるのは間違いない。個人のブログで人種差別的な発言をしている人間は、職場の人たちに対しても同じような見方をしているはずである。簡単な話だ。過去の行動を見れば、未来が予測できる。私生活で不道徳なことをしていれば、いずれ仕事中にも同じことをすると考えられる。人間性は一貫したものだ。あるときに不誠実なのに、別の時には誠実ということはない。だから、その人の不誠実さを証明するような行為があれば、それを深刻に受け止める必要がある。あるときだけ急に人格が変わるという人は、探せばどこかにいる可能性もないことはないが、まずいないだろう。

・ビジネスの世界でも似たようなことはある。買収や合併、ジョイントベンチャーなどは珍しくないし、時には担当者がひとり替わるだけで、昨日の敵が今日の友になる場合もある。JPモリガン・チェースのように、長い歴史の中で何度も競合相手と合併、買収を繰り返してきた企業もある。そういうことを考えれば、市場で激しく競争している相手に対しても、たとえいくら憎んで軽蔑していたとしても、誠意と礼節を忘れないのは大切だろう。世界はめまぐるしく変わる。将来、誰と利害が一致することになるかは、まったく予測がつかないのだ。

・競合する企業で大規模なレイオフを計画しているとしたら、優秀な人材を引き入れるチャンスだ。最高の能力をもった人材はおそらくレイオフの対象にはならないだろうが、より安定した場所を求めて移ってくる可能性はある。供給業者が訴訟や規制などで不利な状況に追い込まれた場合も、ある意味では好機といえる。先行きの不安から、長期契約を提案すれば価格を低く抑えても応じてくるかもしれない。競合する法律事務所、あるいはコンサルティング会社の共同経営者を誹謗するような記事が地元新聞に載ったとしたらどうか。そのときは、重要な顧客を奪い取るチャンスである。最新のニュース、とくに地元や業界に関するニュースには目を光らせておくべきだ。そのニュースに関連して起きる状況変化をうまく利用すれば、自分や自社に利益をもたらすことができる。業界内に幅広い人脈があれば、新聞やテレビとは違った情報が得られることもある。これから起きる変化を早く察知するほど、早く行動を起こすことができる。競合企業の幹部の動向、新たな法規制の導入、市場環境の急激な変化といったことに関する情報は、できるだけ早く得るべきだ。そのほか、競合企業の供給業者や重要な顧客に何か変化があった場合もチャンスといえるかもしれない。これは卑劣なやり方だろうか。たしかに少し卑劣だろうが、状況が逆ならば競合企業も同じことをしてくるはずである。

・わずかな額の不正使用も、見逃しているとすぐに大きく膨れ上がってしまう。社内のあらゆる階層で、使用の規律を徹底しなくてはならない。さもなければ、いずれ大変な事態を招くことになるだろう。

・CIAの危機管理が具体的にどういう点で優れているか、その特徴をあげてみよう。たとえあ9・11テロ発生後のCIAの対応に関しては、次のようなことがいえる。
①注意や行動が、組織の内側ではなく外側を向いていた
②優れた功績をあげた者がいれば普段どおりに称賛され、相応の報奨が与えられた
③幹部への連絡が、通常よりもはるかに容易になった
④命令がすべて明確で具体的だった
⑤権限委譲が行われ、下の人間にも大きな権限が与えられた
⑥資源の振り向け先が大きく変更された
⑦現場の職員を混乱から守り、仕事に集中できるようにした。
⑧職員の志気を上げ、忠誠心を高める努力、組織への信頼を高める努力がなされた

・本当は苦しいときほど、言葉で誉めることや、何か物で称賛の気持ちをあらわすことが重要になる。苦しいときに優しくされれば、誰だって普段よりはるかに嬉しく感じるものだ。私はアフガニスタンで長い間、薄い紅茶がひどい味のインスタントコーヒーしか飲んでいなかった。そこにスターバックスのコーヒー豆が届いたときの嬉しさ。本当に泣きそうなほど嬉しかった。危機的な状況でも社員の働きを正しく評価し、優れた功績に報いることは、次のような点からも重要といえる。
◎社内で交わされる会話はどうしても暗いものになりがちだが、誰かが活躍したというのは明るい話題である。経営者が皆にわかるようにそれを称えれば、会社全体に明るい話題を提供することができる。
◎貢献したことが認められ、褒め言葉をかけられた、たいしたものでなくても報奨をもらった、ということがあると、その社員の会社への忠誠心が高まる。私が見てきた会社の中には、危機的状況にあってもマネージャーと部下の関係が大変良好なところがあった。よく調べると、残業で遅くなったときには、マネージャーがポケットマネーで部下のためによく夕食を注文していたようだ。当時は製品のリコールで対応に追われ、業務が深夜に及ぶことも珍しくなかったが、ちょっとしたことで現場で対応する社員の取り組む姿勢はまったく違ったものになっていた。
◎危機的状況においては、各人が普段の担当業務以外の仕事にも取り組む必要が出てくる。ただし、必要だからといって、担当以外のことをただ指示するだけでは、「それは私の仕事ではありません」と反発される恐れがある。しかし、「業績をあげれば必ず正当に評価され、間違いなく相応の報奨が与えられる」と皆が信じていれば、そうした反発は少なくなるだろう。

・悪いニュースを正直に、時を置かずに伝えられるというのは、上に立つ者にとって大切なことだ。状況がよくないときほど、リーダーは皆の目につくところに出て行って話をしなくてはならない。そのほか、覚えておくべきなのは次の3点である。
◎トップの人間が中間管理職を通さずに情報を直接発信すれば、より正確に伝わるうえに信憑性も高まる。
◎姿を見せ、頻繁に話をしていれば、社員のトップの人間に対する信頼感は高まる。この人も自分たちと同じようにこの会社に賭、必死に苦境を乗り切ろうとしているのだとわかってもらうことが重要だ。
◎組織はどうしても「縦割り」になりがちだが、トップが直接、皆に語りかければ、部署の壁を超えた人材、資源の活用がしやすくなる。危機においては普段と違う動きが多く求められるので、この柔軟性は大切である。

・危機に陥った会社の経営者が社員と話す際に注意すべきことを、次にまとめておく。
①事態の深刻さを正直に知らせる
②現状でとりうる行動の選択肢を明確に示す。選択肢が少なくても、ありのままを伝える
③危機脱出のため、短期的にどういう戦略をとるかを知らせる。全社的な戦略だけでなく、各部署、各人がその中でどう行動すべきかも知らせる
④さらに話を広げ、中期的な目標も示す
⑤①から④を頻繁に繰り返す

・◎指示が明確であればあるほど、社員は能力を発揮する。危機的状況で極めて明確な指示が与えられると、普段よりはるかに高い能力を出す人もいる。
◎危機にあっても明確な指示が出されれば、社員は経営者の能力を信じることができる。社員は信頼している経営者には忠実に従う。
◎明確で具体的な指示があれば、社員の関心は外向きになりやすい。行動もより生産的、建設的になる。

・「権限委譲」という言葉はたんなる掛け声に終わってはならない。社内でも下の階層に位置する人間に、本当に大きな権限を与える必要がある。上からの介入はせず、自ら意思決定をさせる。危機的な状況でこそ、日々現場で仕事をしてきた「エキスパートに大きな権限をもたせ、最大限に力を発揮してもらうことが大切である。そのほか権限委譲に際しては、次の点にも注意すべきである。
◎大きな権限が与えられれば、会社の危機、ひいては自らの危機を救うために力を尽くすことができる。そうすれば、保身にばかり走らずに済む。勤務時間中にずっと転職先を探すようなことはなくなる。
◎細かく介入、管理することをやめ、下の人間に権限を委譲すれば、その分、経営幹部にはゆとりが生まれる。社員に姿を見せ、コミュニケーションをとる機会もつくりやすくなる。
◎現場に大きな権限が与えられていえば、状況の変化に即応して資源の振り向け先を変えることも可能になる。それだけ資源を効率的に使えるようになる。

・話をするときは話をするだけ、聞くときは聞くだけになってしまう人は多い。同時に両方ができる人は少ない。しかし人を説得するとき、何かを売り込むときには、常に神経質なくらい相手の反応を見ている必要がある。話のうまい人、売り込みのうまい人は皆、同じ能力をもっている。聞き手が自分の話に興味を失ったことを察知する能力だ。話をしなが「聞いていないな」と思えば、すぐに軌道修正ができる。これは何も「聞き手に媚びを売って、機嫌をとれ」ということではない。相手をいい気分にさせるばかりが能ではない。場合によっては、わざと怒らせる、疑いを抱かせるなど、否定的な反応を引き出すほうがいいこともあるし、そういう戦略もありうる。ただ大切なのは、相手にどういう反応をさせたいのかを自分で知っていることだ。こちらの望みどおりの反応をしてくれるよう、操作していかなくてはならない。

・彼らは相手のためを思ってそうしているわけではない。少しずつでも親切にしておけば、いつか自分が困ったときに助けてもらえると思うからだ。たいした努力なしで助けられるのなら、むしろ積極的に助けようとする。日ごろから周囲の人に親切にしていれば、自分の足元には強固な基盤ができていく。人間は誰かに恩がある、借りがあると思うと、あまりいい気分ではないものだ。だから、他人に親切にされたことのある人は、可能なときには返したいと思う。今日の親切は明日には重要な内部情報になって返ってくるかもしれない。

・トップの人間性を探るときは、とくに次の点に注目するといい。
◎側近はどういう人間か
◎どういう人間を高く評価しているか
◎反対に冷遇されているのはどういう人間か
◎社内で昇進させた人間と、外から雇った人間に何か違いはあるか
最も大切なのは、人間のどんな属性が評価されやすいか、またどういうことをすると喜ばれるかを知ることである。「才能、知性、仕事に対する熱心さが何より重視されるはず」と誰もが信じたいところだが、現実はもっと複雑である。以前に勤めていた会社の同僚たちと会社をつくったため、その仲間の結束がとても強く、ほかの人間は入っていけないということもある。自分の意見に常に従う人間ばかりを周囲に置きたがる人もいる。技術系の会社にもかかわらず、専門知識よりも人付き合いのうまさが大事にされることもある。血統や学歴、職歴が重視される場合もある。名門大学出身者や有名企業で働いた経験のある人ばかりを優遇する経営者もいる。どういう人間が評価されるかがわかれば、自分をそれに合わせていけばいいことになる。社内で早く出世している人の人間性に共通点があるとわかれば、彼らの真似をすればいい。また、どういう人間が嫌がられるかがわかったら、そうならないようにすれば、少なくとも不利になることはないだろう。

・ライバルとみなした人は能力もあり、運もよく、周囲との人間関係も良好で、しかもトップからの評価も高いはずだ。つまり、間違いなく早く出世するということである。いまは同僚だとしても、近い将来、上司になる可能性が高い。そういう人にあまり敵対的に接するのは得策とはいえない。それよりも、同僚であるいまのうちに味方につけておくほうがいいだろう。CIAでも、出世しそうな人間を見つけて早いうちから関係を構築しておくことはよく行われている。いまはさして高い地位にはいないが、近い将来、地位が上がって力をもちそうな人と親しくなっておくのだ。すでに地位が高い人と接触するより簡単だということもあり、CIAの諜報員は未来のリーダーに多くの時間と労力を注ぎ込む。これは民間企業でも間違いなく有効な方法だと思う。将来有望な同僚が味方になっていれば、その人に引っ張られて上に行ける可能性が高いし、そうでなくても何かと有利になることは多いはずである。

・たとえ、郵便室の職員であっても、社内に自分の「帝国」をつくるべきだと思う。「帝国」というのは、ここでは自分の味方になってくれる人たちのネットワークという意味である。自分の代わりに危険やチャンスを察知してくる人たちのことだ。人間はどうしても「上にはへつらい下には厳しい」という態度をとりやすい。しかしそういうことを続けていると、周囲の人、とくにつらくあたった下の人たちから嫌われてしまう。それでは出世しても上の地位に行けたとしても、気がつけば下には敵ばかりということになる。上に立ったときに重要なのは、重要な情報があちこちから得られることである。正規の経路だけでなく、まったく思いがけないところからも情報が流れてくるようえなければうまくいかない。CIAの諜報員でもそれは同じだ。だから諜報員は、世界全体に補助的な協力者の巨大なネットワークをつくり上げている。必ずしも日常的に機密情報に触れる立場にはないが時折、役立つ情報を提供してくれる人、あるいは、いざというときに諜報活動の手助けをしてくれる人たちのネットワークをつくっている。

・仮にめでたく出世できたとしても、周囲への態度を変えてはならない。相変わらず受付係や、駐車場やビルの管理人、助手といった決して地位の高くない人に愛想よく接する姿勢をずっと変えないことが大切だ。「帝国」を維持しつづけるのである。そうすれば、いつかまったく思いがけないところから、重要な情報が飛び込んでくるかもしれない。「帝国」をつくるということは、会社全体に諜報網をはりめぐらせることともいえる。その諜報網によって、上から下まであらゆる人の動向を素早く知ることができる。社内に状況変化があった場合も、ほかより早く察知して対応できるだろう。そうして常に人に先んじて動ける人間だという評価を得られれば、おそらく昇進も早いはずだ。社内の誰かが成功したときにもそこから利益を得やすいし、逆に誰かが失敗したときにも損害を被ることが少なくなる。いうまでもないことだが、こうした「帝国」「諜報ネットワーク」の類が効力を発揮するのは、その持ち主にある程度以上の能力があり、通常の仕事を大過なくこなせる場合に限られる。能力や仕事ぶりが標準以上の人がネットワークをもてば、たんに優秀な人が勤勉に働いているだけではとても不可能なことを成し遂げられるだろう。

良かった本まとめ(2014年下半期)

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