ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第41号、集中講義を全廃せよ

2006年02月19日 | 教育関係
教育の広場、第41号、集中講義を全廃せよ

(2001年06月13日発行)

 集中講義とは何か御存知ない方もあるかと思います。実際、私自
身、東京にいる時は、その言葉を聞いたことはありましたが、よく
は知りませんでした。

 それは大学における授業の一種なのですが、普通の授業のよう
に、1年間とか半年間とかにわたって毎週1回ずつ授業をするので
はなくて、2~4日間に、朝から夕方まで休み時間をはさんで90分
間の講義を何回か行い、それで所定の授業を受けたことにして、学
生に単位を与える授業です。

 私の知っている範囲では、東京の大学ではこういう事は少ないの
ではないでしょうか。少なくとも私は受けたことがありません。

 ではなぜこういう集中講義が特に地方の大学ではあるのでしょう
か。それは、自分の大学で必要な先生を揃えることが出来ない上に
、しかも非常勤講師としても先生が毎週通ってくることが出来ない
場合が多い、ということだろうと思います。

 従って、これは本来のあり方からは大きく外れた変則的な授業な
のです。それもそのはず、授業というものは、毎週出席して、課題
を出されてそれと家庭で取り組み、その結果をもって又次の授業を
受ける、という風にして始めて本当の成果を挙げることができるか
らです。

 集中講義の一番悪い所は宿題が出せないということであり、従っ
て学生が一方的に「聞く」という受動的な態度になるということで
す。

 このように元々成果の上がりにくい授業形態である上に、更に1
日に数時間の授業ということになりますから、その無意味さは一層
増します。

 そしてこの無意味さを決定的にするのが講師の不熱心さです。た
いていの講師は1時間くらい早めに講義を終えます。ひどいのにな
ると2時間以上早く止める人もいます。

 実を言いますと、私も或る国立大学で2度、集中講義をしまし
た。その時、担当の教授から「4時までやらなくていい」と「忠告
」されました。

 では、このように教育的には意味の小さな集中講義がなぜ沢山行
われているのでしょうか。それは、講義をする講師にメリットがあ
るからであり、講師を呼ぶ教員にとって意味があるからです。

 たいていの集中講義は30時間です。これを4日間で行います。こ
れによって講師は約20万円の報酬を得ます。もちろん講師はこれが
目当てなのです。夏休みや冬休みの恰好のアルバイトなのです。

 そして、この講師の選択は事実上、担当教員の自由になっていま
す。では、この教員はどういう基準で誰を講師に呼ぶのでしょうか
。自分の恩師とか東京の有力教授などを呼ぶ場合が多いのです。そ
れは、恩師にアルバイトをさせてあげて、いずれ自分がより良い大
学の教授職に斡旋してもらうためです。

 もちろん自分が相手の大学で集中講義をするために、相手を呼ぶ
場合もあります。つまりアルバイトの相互交換です。

 そして、実際の授業は上に述べたように「適当にやって」夕方か
ら宴会をするのです。これが集中講義の実態です。もちろん全部が
こうだと言うのではありませんが、こういうのが多いのも事実で
す。

 読者の皆さんの中には、集中講義が役立ったという人もいるだろ
うと思います。しかし全体をみて考えて下さい。集中講義に使われ
ているエネルギーとお金とそこで得られた成果を比較して考えて下
さい。その時には是非とも「マイナスの成果」も、つまり大学教育
と学生の精神に及ぼしたマイナスの作用も考慮に入れて考えて下さ
い。そうすれば、集中講義は止めるべきだと分かるはずです。

 私は先に本メルマガの第10号で「大学教員のアルバイトこそ堕落
の元」という文章を発表しました。そこでは述べませんでしたが、
このアルバイトは大きく分けて2種類あるのです。つまり、毎週他
大学で授業をするようなアルバイトと、長期休暇中に集中講義をす
るアルバイトとです。

 例えば、東京都立大学の或る教授は、30時間の集中講義を1年間
に3つの大学でしています。そのほかに毎週のアルバイトを2つと
毎月のアルバイトを1つ、合計6つのアルバイトをしています(こ
れは東京都の情報公開条例を使って調べたものです)。

 これによってその教授は年間約 250万円ほどの副収入を得ている
はずです。正規の収入として1000万円以上を得ながらその上にで
す。「乞食と大学教授は3日やったら辞められない」という言葉が
あるそうですが、頷けます。

 これが大学教員のアルバイトの実態です。

 これで本当の大学教育ができるのでしょうか。

 集中講義の全廃を提案します。