MRJ用のエンジンを国内生産

 YS-11以来の国産旅客機、MRJについては何度も書いてきている郷秋<Gauche>だが、実は今月初めに報道された、アメリカのリージョナル専門のエアライン2社を保有するトランス・ステーツ・ホールディングス社(TSH)から100機(確定50機、オプション50機)のMRJを受注した事を書きそびれていた。

 景気低迷に伴う航空需要減少の時期となり受注に苦戦していたMRJだが、ようやく大口のカスタマーを獲得したことで弾みをつけたいところである。既にANAから25機受注していることからTSHの100機を加えて125機。他に政府専用機として10機が導入することが決まっているから(民主党政権になってキャンセルされなければ良いのだが)、これで135機。採算ラインと云われる300機の半分まであと一息というところまで来たことになる。

 さて、今日の本題。MRJのエンジンは既にP&W(プラット&ホイットニー。GE、ロールス・ロイスと共に世界中の旅客機にジェットエンジンを供給する御三家のうちの一社)のPW1000Gに決まっていたが、このPW1000Gを三菱重工が国内で生産することになった。これで機体もエンジンも国産の旅客機がまもなくテイクオフすることになるわけだが、残念ながらPW1000Gの生産は限りなくライセンス生産に近いもの。

 そうは云ってもPW1000Gの生産を通して得られるジェットエンジンの製造ノウハウは吸収の意義は大きく、いずれ登場するであろう完全国産ジェットエンジンに向けての良い経験になる。旅客機であっても機体もエンジンも完全な国産機が作れるようになれば、次ぎのステップは国産戦闘機である。

 他国に頼らず自らの手で自らの国を守る戦闘機を作ってこそ完全なる独立国だと郷秋<Gauche>は考えている(これが出来る国は意外と少なく、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、スウェーデンくらいか)。戦争を肯定しているわけではないが、独立国たる日本が、他国の脅威から自らの手で自国を守らなければならないのは自明である。

 さて、MRJ。2013年から月産2機のペースで生産を開始し、段階的に5~6機引き上げることが予定されていると云うが、そのためには更に百機単位での受注が必要なことは云うまでもない。現在、ボンバルディア(カナダ)及びエンブラエル(ブラジル)のリージョナルジェットを運行しているJALにもいずれMRJにスイッチしてもらわなければならないだろう。

 結果として税金を投入して再建されることになるJALが、官民挙げて取り組むMRJに背を向けることは許されない。導入時期の早かったCRJ(ボンバルディア)はともかく、既に「見えていた」MRJに背を向けてERJ(エンブラエル)導入を決めたJAL経営陣の責任は厳しく糾弾されなければならないだろうな。


 例によって記事本文とはなんの関係もない今日の一枚は、気が付けば既に(文字通り)花盛りとなって山茶花(さざんか)。毎年書いていることだが、椿と混同され冬から早春の花と思われがちな山茶花であるが、実は山茶花は晩秋の花なのである。
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