アンテナを張る?

 今日、8月10日は「道路の日」なのだそうです。なので、今日の神奈川新聞には別刷りの「かながわ道路ネットワーク特集2017」がはさみ込みになっておりました。神奈川県内の中学生が道路・流通関係のお偉いさんを取材して、それを神奈川新聞がまとめた4ページ物の特集でした。

 その中で横浜環状北西線について取材した横浜市内の某私立中学校3年生の高橋君の取材後のコメント。
 「(前略)常にアンテナを張って新しい情報や機会を逃さないようにしたいと思います」
 高橋君、なかなか立派です。ですが、「アンテナを張って」ってどう云う意味?

 アンテナって、家の屋根の上に立っている「魚の骨」みたいだったり、ベランタの手すりに取り付けてある「中華鍋」みたいなものじゃないの? なのに「張る」ってどう云うこと? 張る、じゃなくて、立てる、設置するじゃないの?

 いや、高橋君が正しいんです。語源的には。

 私たちが現在目にするアンテナの形は先に書いたように「魚の骨」(八木アンテナ)だったり「中華鍋」(パラボラアンテナ)だったりするのですが、アンテナの原型は金属のワイヤーだったんです。要するに針金を地面からできるだけ高いところに「張った」のがアンテナだったのです。ですから高橋君が云う「アンテナを張って」は正しいのです。「できるだけ高いところに」と書きましたが、それは、そうした方が電波の送受信の効率(感度)が良くなるからです。よく、昭和なオヤジが「アンテナを高く掲げて」と云ったりする「語源」はここにあるのです。

 電波開拓の初期には適当な長さのワイヤーを勝手に張っていたのですが、そのうちに送受信する電波の波長の1/2の長さだと効率が良いことがわかり、この形式のアンテナ(ダイポール・アンテナ)が使われるようになり、このダイポール・アンテナの前に同じようなワイヤー(後に金属パイプ)を数本、後ろに一本取り付けるとさらに効率(感度)が良くなることが発見されます。これが魚の骨のような形のアンテナ、現在の地上波TVのアンテナとなります。この形式のアンテナを八木・宇田アンテナ(略して八木アンテナ)と云います。
 
 八木アンテナは東北帝国大学の宇田新太郎、八木秀次両氏によって1920年頃に発明されました(1926年に特許取得)。日本ではあまり注目されなかったようですが、欧米では画期的な発明として研究・改良され、第二次世界大戦では超短波を使用するレーダー用のアンテナとして戦闘機や偵察機に搭載され実戦使用されています(日本でも夜間戦闘機「月光」に搭載されていいます)。

 いやはや、話が大幅に逸れてしまいましたが、「アンテナを張る」の意味を正しく理解いただくためには不可欠な脱線ではありました。

 それにしても、若干14歳の高橋君が「アンテナを張って」などと云う言葉を知っていたのには驚きです。お父様あるいはおじい様が使っていたのを聞いて覚えたのでしょうか。しかしですね、最近ではワイヤー状のアンテナが使われるケースは稀ですので、昭和のオヤジチックではありますが、今後は「アンテナを高く掲げ」を使った方が良いかも知れません。

 考えてみると、「高く掲げ」も現代ではどうかなとも思う昨今ですね。だって、本体に内臓されてはいるとは云え、スマートフォンには外部から見えるアンテナは付いていませんし、今では八木アンテナよりも重要な地位を占めるパラボラアンテナに至っては、高く掲げると地上付近を飛び交っている電波や不必要なノイズを拾ってしまうので、お空にある人口衛星が直視できる場所であれば、できるだけ低い場所に設置した方が良いはずですから。「アンテナを張る」「アンテナを高く掲げる」に代わる新しい言葉が必要な2017年なのであります。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、思いがけない場所で咲いているのを見つけた「狐の剃刀」。今朝、通勤途上で見つけたのでiPhoneで撮ってすぐにFacebookにUpしたのですが、ピントが甘かったのでリベンジ!と思い昼休みにD3200を持って撮りに行きましたがやっぱりピントが甘い。次の撮れる機会は来週の火曜日。それまで咲いていてくれるか知らん。

 「恩田の森Now」 http://blog.goo.ne.jp/ondanomori に、ただいまは 7月31日に撮影した写真を4点掲載いたしております。肝心な120カットが消失したためiPhoneで撮ったトホホな写真ですが、盛夏を迎えた森の様子の一端をご覧いただければ幸いです。

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