ゲート手前の商店から漏れる明りの中には、石油ストーブを囲って談話する常連の釣り客と店主の姿.
ガラス戸を引くとどの沢に入るかを聞かれ、僕は「千鳥橋あたりから・・・」と緊張しながらこたえたあれは、初めて沢割りから参加した日のことです。
大きな山女魚を釣り上げた日、いつもの「釣れたか?」の声に引き込まれるように自ら勇んで商店の中へ入ると、少しだけ自分も世附の釣り師になれたような、そんな気がしたものです。
世附を想うとき、誰しも浮かべるひとつの風景・・・浅瀬橋を渡り見えてくる世附の入口、湯山商店の風景
世附を想うとき、誰しも浮かべるひとつの顔・・・世附の番人、湯山のおやじさんの顔
そのおやじさんが、逝ってしまいました。
「大又出合いの淵はよ、都会の子供達が泳ぎに来るのを毎年楽しみにしてんだ」・・・武骨なおやじさんの、緩んだその優しい顔を今でも思い出します。
春になったら、晩年はとめられていたお酒をおやじさんのいらした場所に世附で知り合えた仲間と、そっと供えたいと思っています。
あちらの世界でも、いつものあの椅子に座っておられることでしょう。
湯山のおやじさんと長く深くお付き合いしてきた方々にとりまして、僕などがブログに書くことなどはなはだ出しゃばりだとは十分過ぎるほど承知しておりますが、ひとりでも多くの方が湯山のおやじさんを偲んでいただきたいと、そう願ってなりません。
湯山のおやじさんと皆さんの思い出話など、ひと言でも残していただければ幸いです。
追記
FKさん曰く、「おやじさんは三途の川でも番人やってるから、向こうに行った人はちゃんと挨拶して肩揉みをするように」・・・とのことです。