俺の名前はK田博士。 ここの管理人のダチだ。 趣味は日の出町への遠征。 性格はいたって温厚に見えるが、実は酒乱の頑固者。 最近じゃすっかり酒が弱くなっちまってよ、まったくまいっちんぐマチコ先生だぜ。
それにしても今年ほど釣りに行かなかった年はなかったぜ。 世附が荒れてどうにも竿を振る気になれねーんだ。 だから日の出町で違うサオを振ってるって訳だ。 わかるかな~? わかんね~だろうな!
それでもシーズン最後ぐらいはお気に入りの千曲源流で岩魚の顔を拝もうと思ったんだけどよ、オヤジ2人も行きたいなんてほざきやがるから、しょうがなく相模線の原当麻駅で拾ってやったんだ。
途中野辺山近くのコンビニで食料買い込んでから仮眠して、明るくなってから毛木平駐車場に向かうつもりだったけどよ、自営業のデブのほうが、“僕、蛾が怖いの” なんていちいちうるせーから仮眠もそこそこに現地へ向かうことにしたんだよ。 途中農家が真っ暗いうちからレタスを収穫してる風景は何度見ても頭がさがるぜ。
しかしこの歳になるとさすがに夜通し運転はこたえるぜ。 ましてやオヤジ2人は運転手伝うわけでもねーし、まったくまいっちんぐマチコ先生だぜ。
毛木平の駐車場はハイカーで満車状態だった。 そん中で酔っ払かってヘラヘラしてやがるのは俺達だけだったけど、まあ、朝焼け見ながらの朝酒も悪かねえぜ。
着替えて登山道歩きはじめたら、自営業のデブの方が、“僕、腰が痛いの” なんてわがまま言いやがったけど、まあ昔からの付き合いだし、しょうがねーからゆっくり歩いてやったのよ。
俺はこの渓のポイントすべてを熟知してっから、まずはオヤジ2人に釣らせてやるべと先行させてやったのよ。 台風の影響でポイントが倒木や枝に邪魔されてはいるけど、それはそれは美しい渓なんだ。 だのに、“落差が面倒だ”、“虫が多い”、“釣りにくくてイヤ” なんて文句ばっか言いやがるオヤジと付き合うのはまったく疲れるぜ。
サラリーマンのチャリオヤジはミミズの餌釣り。 自営業のデブのほうは相も変わらずエルクヘアのテンカラ釣りだ。 まあ、2人なんとかボウズを間逃れたみてーだからそろそろ俺も本気モードに入ったところ、自営業のデブのほうが、“僕、とっても腰が痛いから先に帰る” とか言いやがって渓を下り始めたもんだから、しょうもなく俺も撤収よ。 ホントはもっと上流に良いポイントがあるっちゅうのに・・・まったくまいっちんぐマチコ先生だぜ。
帰り道じゃ、“腹減った” だの “シッコしたいから止めて” だの、まったくうるせー2人だぜ。
帰りも原当麻まで送ってやったんだけどよ、こいつら俺をさしおいて茅ケ崎でジンギスカン食って、はしご酒ではお疲れさんにクエン酸サワーだかなんだか飲んで酔っ払ってから帰ったそうだ。 脳天気なオヤジ2人にはまったくまいっちんぐマチコ先生だぜ。 まあ、自営のデブのほうにはいつも毛ばりもらってるし、サラリーマンのチャリオヤジには強力わかもともらってるし・・・
俺の名前はK田博士。 たまにはぼやきたくもなるっちゅうことよ。。。