新 ・ 渓 飲 渓 食 時 々 釣 り

魚止滝のずっと手前で竿をほっぽり
ザックの中身をガサガサまさぐる男の日記

乗り鉄ひとり旅も楽しんでいます

相棒と〇〇リュウ君

2011-07-19 14:23:46 | 渓流釣り 山歩き

 

新松田駅を7時20分発の路線バスにwaAさんと乗り込みます。

いきなりの異臭に気が付き、まさかと思い自分の服をクンクンすると、やはり犯人は僕でした。

この匂いを表現すると、香ばしい焦げ臭。

思えば釣りでも山歩きでもこの服とは何年相棒を組んできたことか。

長年に渡り染み込んだ僕の血と汗と青春の結晶が、まさに加算された年齢の分だけ自分でも嗅ぎたくない香りとして今開花したのです。

嫌ね!

 

8時ちょうど、玄倉バス停で下車した僕らのザックは他の誰のものよりもでっかく膨らんでいます。

「酒、どんだけ持ってきた?ヒィヒィ、」 「ビール700ミリと日本酒2合、焼酎1合、フゥフゥ、」 「俺はビール700ミリ、日本酒300ミリ、トリス瓶一本、ハァハァ、」 「足りるべか?ゼェゼェ、」 「なんとかなるべさ、ゲホゲホッ、」 「それにしても、重たいべさ、グエッ、ペッ!」 「臭いし・・・」

バス停から林道を歩き始めるのは何年振りでしょうか。

何気なく車で通過するより、のんびり歩くからこそ見えてくる風景のひとつひとつが新鮮です。

注) 僕の臭いは新鮮をもぶちこわします

 

40分ほどで小川谷分岐に到着。 

入渓すると先客がバーベQをしておりましたが、釣り師ではなさそうなので軽く会釈し流れをまたぎます。

ひとつ目のカーブを曲がった砂場に陣取り、ブルーシートを広げ一本目のビールで乾杯。

「おお、ギンギンだぜ!」 

渓流で飲むビールって、どうしてこんなに美味いのでしょう♪

注) 僕の臭いは美味しさをもぶちこわします

福井の珍味「へしこ」を開けると日本酒モードに突入。 

waAさんが持ってきた広島の地酒は辛口で爽やかな吟醸香の美味しい日本酒でした。

注) 僕の臭いは美味しさをもぶちこわします

 

そろそろ 釣りしましょう。

久しぶりなのでレッグガードを装着するのは渓流シューズを履く前だったか後だったかさえ忘れていました。

  

 

ここは初めての渓流です。現れる渓相ごとにわくわくします。

注) 僕の臭いはわくわくをもぶちこわします

滝がありました。林道沿いの湧水が落ちているようです。近づくと滝のシャワーが顔の面にあたり、冷たくてとっても気持ち良いのです。

注) 表現が少し危うかったでしょうか?

それにしても釣れません。反応すらありゃしません。いつものことですが ・・・ 

注) いつもの僕は臭くありません

ありゃりゃ、すぐに堰堤が見えてしまいました。

すでにwaAさんは釣りを放棄しております。

「なんだよ、やんねーのか?」 「面倒くさいから見てる」

遠くから僕の釣りをニヤニヤと観戦しやがっております。 

トゥ(竿を振る声) テリャ(アワセを入れた声) ナリャ(抜き上げる声) ピチャピチャ(魚が暴れる音) ギャハハッ(僕の笑い声) ピッ(シャッター音) ドカドカ(waAさんの足音) シュシュッ(waAさんが竿をのばす音) トゥ(waAさんが竿を振る声) テリャ(waAさんがアワセを入れた声) ナリャ(waAさんが抜き上げる声) ピチャピチャ(魚が暴れる音) ギャハハッ(waAさんの笑い声) ピッ(waAさんのシャッター音) トゥ(僕の竿を振る声) テリャ(アワセを入れた音) ナリャ(抜き上げる声) ・・・・・・ 

同じサイズで尾ビレビレビレのホウリュウ君ばかりでしたが、楽しませてくれました。

ホウリュウ君、ありがとう。

 

ここでデポしたザックに財布を入れっぱなしにしちゃったことに気づき慌てて戻ります。

その後上流を少しだけ散策しましたが、だらりとした流れが続くようなので今日の釣りは終了。

さあ、酒呑みましょう。 

 

 ピータンを切り、ハンバーグを焼き、醤油漬けホルモンを炒め ・・・ 

この手際良さだけは誰にも負けない二人です。

waAさんはピータンに微妙な反応を浮かべておりました。ハンバーグの焼き汁にケチャップを混ぜたソースは懐かしいママの味がしました。

注) 僕のママはまだ生きていますし、ママを食べたことはありません

バス釣行はとにかく楽チンです。運転の面倒もなく、どんだけ酒を飲んでも心配ありません。

でも、本音は ・・・ やっぱし世附で渓飲渓食がしたいです。

 

 

15時過ぎのバスを待ちます。バス停の標識が壊れていたので直してあげました。 

画像だけですが ・・・ 

  

新松田でも酒を飲みました。

若松食堂(蕎麦屋?)は素朴な大衆食堂です。植木でテレビの見えない席に座ってしまい音声だけなでしこJAPAN優勝の報道に感動しながら、カレーライスをアテに酒を飲むwaAさんでありました。

この店の酒の肴は美味しかったな。オクラの胡麻和えは最高でした。

 

この日の夕方から、痛みで苦しみ出す僕です。

フンリュウ君が悪化したのです。

普通の部位に出てくれれば良いものを、

それなのに、ああそれなのに、なぜに君はこんなところに顔を出す?

水戸様と蟻さんが渡る中間よりも水戸様寄りに出来たフンリュウ君、頼む、爆発しないでくれ!

あ、

変な汁が出てきました。

明日、僕は病院で辱めを受けてきます。

 

注) 後で妻から聞きました。僕の服、前回着た時から洗ってなかったそうです

捨てようと思っていたところ、着てっちゃったそうです

たたんで置いとくなー(怒)

僕の服、欲しい人にあげる

さよなら、僕の相棒


渓流にて

2011-07-11 12:11:40 | 渓流釣り 山歩き

 

節電が叫ばれる中、いよいよ梅雨が明けた。 久しぶりにわAさんとK田博士を誘ってみたが都合が合わず、こんな時はひとり渓流のせせらぎの中で、渓魚と遊ぶに限るのだが ・・・ 

 

「最近ひとりで遊んでばっかね」と妻からイヤミを言われる。 竹♂も、「お腹減った!散歩行こう!首モミモミして!」とチョッカイを出してくるので、この日のひとり遊びは出来なくなった。

 

丹沢湖まではダラダラグネグネと上りが続くが、妻の運転する車なので僕には関係ない。 神縄の斜面ですごいでかい〇〇チを踏んだ。 けもののモノだろうか、いよいよ自然の中に入ったようだ。

 

最初は新松田駅から路線バスで小〇沢を探るつもりだったが、車なので玄倉林道へとすすむ。 ユーシンへと続く林道は途中チェーンで直進を塞がれ小川谷方面へ向かう。 立間橋脇に車をとめようと思ったが、軽トラと数台の車があり仕方なく上流へ向かう ・・・・・・ 

 

すぐ川に降りられる駐車スペースを見つけます。 木陰に陣取り、周囲に他の犬がいないかを確認し10メートルリードへ結び直すと竹♂はいきなりの全開モードです。 久しぶりの渓流に妻も喜んでいます。 来て良かった。

「おい竹♂、楽しいか? そうかそうか、どんどん遊べ、わっはっは!」とザックから冷え冷えの缶ビールを取り出すと、 「ダメ!」 いきなり妻のキツイ一言。 どうやら帰りの運転は僕のようです、とほほ。

 

「ちょっくら釣ってくる」 「え~? 竿持ってきたの?」 「うん、だって僕、釣りしにきたんだもん」 「たまには竹♂の面倒みてあげなさいよ」 「ほんのちょびっとだけ、ね?ね?」 「じゃあ一匹釣ったら戻ってきてよ」 「ラジャ!」 ・・・バカめ、俺が一匹釣るのにどれだけ時間掛かるかも知らないで、甘いぜ妻、わっはっは!

 

しかし、さすがは夏の休日、気付けば上流にも下流にも釣り師どころか水浴び水遊びのお方々ばっか。 淵ごとにバシャバシャと浮き輪の子供やその家族が戯れ、まるで大磯ロングビーチか! ビーチパラソルの下ではMr.オクレみたいな黒ブチガリガリ男が彼女の背中にサンオイルなど塗りたくってなさり、まるで湘南の浜辺か! この場面で俺は竿を振るのか? ここは本当に山奥の渓流なのか? 

 

しょうがなく陣地に戻ります。 その場所は細い沢水が流れ込み、すぐ上には小さな落ち込みがあります。 竿を振るならこのポイントしかないのです。 岩陰に身を隠し毛ばりを投げ入れると、狙ったポイントに毛ばりはポトリと落ちます。 ・・・よし、来い!・・・ フラッと魚が浮きました。 ・・・いた!くわえろ!・・・ 明らかに毛ばりを意識しています。 が、毛ばりは流れに負けゆっくりと流れ落ちます。 それでも魚はまだ浮いたままです。 ・・・まだいける!・・・ 慎重にピックアップしようとした時でした、どこに隠れていたのかピチョッと反応があり、小指ほどのチビメ君が毛ばりをくわえてしまいます。 ・・・くそ、ここでアワセを入れては完全に浮いた魚は警戒してしまうぞ、頼むチビメ君、100円あげるから静かに毛ばりを離してくれ、あ、バカ、よせ、やめれ、暴れるな、お願い、釣れないで ・・・ 

 

浮いた魚はもう見えなくなっていました。 チビメ君のハリを丁寧に外し下流へ逃がしてあげると、もっと下流で妻の声が聞こえます、 「はい、おしまいね!」 「そ、そんな殺生な、」 「ダメ!ちっちゃくたって一匹は一匹だもん」 「頼むよ、けっこう型の良いのがいたんだよ、も一回だけ、ね?ね?」 と妻をなだめ、ワンチャンスに賭けます。 が・・・ 

た、竹♂、お前ってやつは ・・・ 

「僕、ワンちゃんっす!」 とダジャレた顔して嬉しそうに僕のポイントで水遊びをする竹♂でした。 

 

竹♂よ、今度は今日同じ沢で大きなイワナを釣った輩へも、「僕、ワンちゃんっす!」攻撃をかましてやろうな、わっはっは! 

 

※※※ 前半の文章はパクリです。


大人になったら、したいこと ・・・ 悪あがきだよ信州ぬけがけ編

2011-07-06 00:23:15 | 旅行、食い歩き

 

大人の休日倶楽部パスとは、JR東日本路線内であれば期間中の連続4日間は13000円ポッキリで新幹線だって特急列車だって、しかも6回まで指定席無料で乗れちゃう夢のような乗り放題パスです。 

青森から強制送還された僕にはあと一日期限が残っていたので、最後の悪あがきにぶらり信州日帰りひとり旅に出かけてきました。

 

八王子8時03分発あずさ3号指定席に乗り込みます。通常では7440円が、今日はタダですぞ、タダ!

眺望の良いラウンジでゆったり風景を楽しみます。 一昨日、寝台急行あけぼのにフラレたことなど忘れちゃうほどに気分爽快です。

 

 このあずさ3号は今日の目的地である南小谷行きなのですが、松本でわざわざ途中駅下車しました。 ローカル線の旅を楽しみたかったからです。 ホームの逆側には松本電鉄新島々行き戦車が停車しています。 いつかこの電車とバスを乗り継いで上高地を目指すのも楽しそうです。 ホームに駅そばがありました。 食いたい食いたいあぁ食いたい ・・・ でも昼飯は南小谷でと決めていたのでぐっと我慢 ・・・ 偉いぞオレ!

長野県松本と新潟県糸魚川を結ぶ『大糸線』は鉄道ファンにとって人気の高い路線です。 以前黒部へ向かう夜行列車で同じ路線を利用したこともありますが、明るい車窓の風景を楽しむのは初めてです。 R145と並走する大糸線は懐かしい景色が続きます。 初めての白馬登山、姫川源流、青木湖、木崎湖、そして妻と初めて一緒に登った八方尾根や夫婦の道祖神になごまされたあの日 ・・・ 僕は今ひとりでローカル線に揺られながらたくさんの思い出にひたっています。 

  

 南小谷駅はJR東日本と西日本の境界駅です。 ここからあっちは大人の休日倶楽部では行っちゃダメなのです。 ズルしたらお金を払わされちゃうのです。 ここから先はまた次の機会に乗車しましょう。 

南小谷駅は姫川のすぐ沿いにありました。 先日の豪雨の影響なのか、雪解け水のせいなのか、ダムの放流なのか、濁流化していました。  誰もいなかったので橋の上からチュバを垂らして遊びました ・・・ ガキか!

ちょうど白馬行きの路線バスが駅前に待機していたので乗ろうか乗るまいか迷っている間に発車してしまいました。 

  

 

朝から何も食べていません。 駅員さんからすすめられた『おたり名産館』を目指します。 僕は『おたり姉さんかん』と聞き違えていたのでどんなオネイサンなのかちょびっとだけ不純な想像をしてしまいましたが、あとで恥ました。 

おたり名産館は地元の食材を地元のおかあさん達が丁寧に料理してくださるお蕎麦屋さんです。 まず気持ちの良い接客にホッとします。 メニューから山菜天ぷらを注文。 これで300円?と思わず唸るほどのボリュームですが、これがカラッ、サクッと軽いのです。 まったくしつこくなく、油臭さもまったくありません。 開いたコゴミの葉、ウドブキ、ミズと紫蘇の実のかき揚げ他、とにかく美味いのです。 塩で食すとこれがまた冷酒に良く合います。 蕎麦は南小谷産蕎麦粉のにっぱち手打ち蕎麦。 少し平打ちっぽいですが風味ものど越しも上級です。 汁は濃い目ですが決して醤油辛くなくほのかに出汁の香る落ち着いた味。 蕎麦湯は濃厚な濁り具合いが二杯三杯と楽しめます。 そして冷酒のおかわりごとに違う小鉢の肴がこれまた嬉し。 机に飾られた季節の花もやさしくて、居心地の良い風情にあふれたこのおたり名産館に、気がつけば僕は1時間半もドッカと腰を据えておりました。 値段ばかり高くて盛りも少なく味も好みではない高級店よっか、このお店に僕はまた来たい。

平日、旅先、昼酒、この三拍子はたまらないですね。

周辺に夫婦の道祖神があるのではと探してみましたが、残念ながら見つけることは出来ませんでした。 さて、松本まで戻りましょう。

  

 

松本城を見学しました。 この松本城は国宝で ・・・ と、歴史のお勉強を話すと長くなるので感じたことだけ書きます。

小さな窓がたくさんあった(1枚目) 暗く狭い廊下がこわい(2枚目) この大砲は竹♂と同じぐらいの大きさで可愛い(3枚目) この階段でみなさん頭をぶっつけていた(4枚目) 天守閣からの眺めは良かった(5枚目) このすだれ(なんてったっけ?)は・・・ほれ、近こう寄れ、緊張するでない、ウブよのぉ~ ふぉっふぉっふぉっ・・・と殿様がいやらしいことをしている想像をしてしまう(6枚目) この武士のお顔は全然ダメだ(7枚目) 松本城はかっこいい(8、9枚目) 

翌日の早朝、信州では震度5強の強い地震があり松本城は10数か所に亀裂が入ったそうです。 前日の17時閉館(城?)最後まで天守閣にいたのはこの僕ひとりです。 被害を受ける前の最後の松本城にいた人物として僕は有名人になれぬだろうか? なれたら、みんなにサインあげるね。

  

   

  

 

 とにかく暑い日でした。 ああビールが飲みたいと駅まで戻るその道すがら、僕はその店を思い出してしまったのです。 時計を見るとちょうど17時30分、その店の開店時間です。 カウンター席の端にすわり店内を見渡します ・・・おお、懐かしい!・・・ この居酒屋に初めて訪れたのは数年前。 とある方と松本で待ち合わせ、この店で呑んだ暮れたんだっけな。 

まずは生ビールを一気飲み。 お通しのぜんまいと竹の子の煮付けを摘まみながら岩手の地酒“ホリャ米”と地元“佐久の花”をちびりちびり。 ああ幸せ! 三種盛り(三点盛りだったかな?)には馬刺しの炙り、アスパラと信州牛の炒め、そして茎わさび醤油漬け。 他にわさびの薬味、なめこ、生野菜ピリ辛味噌付きがそえられ、店主の料理に対する丁寧さがうかがえる逸品です。 酒も料理も安くてうまい!うま過ぎる!! 他の料理も楽しみたかったのですが、ここはぬけがけの身にて自重(嘘) 次回こそは“とある方” とまたご一緒できればと思っております。 違う美女ならなお嬉し。 

いやぁ~、ぬけがけ酒はうまかったっすねぇ~ ♪♪♪  

  

 

おしまい 


大人になったら、したいこと ・・・ 津軽→下北→むむぅ!

2011-07-02 11:39:14 | 旅行、食い歩き

 

翌朝は4時に目が覚めました。 

地図によると津軽最北端の川 “袰内川“ までは40分ほどの距離です。 どのような川なのか見てみたかったし、その河口はマッカ石と呼ばれる素晴らしい海岸美だそうで風景写真を写すのも楽しみだったのですが、残念ながら暗く低い雲に押しつぶされそうな朝の空模様のため断念しました。

すでに漁港では漁師が魚の仕分け作業に忙しそうです。 近寄って話し掛けたり写真を撮ったりもしたかったのですが、気軽な旅人が真剣に働く漁師の邪魔など決してしてはならぬこと。 あたかもレポーター気分でずうずうしくもカメラを向けるような分別ない男にはひとり旅などする資格などないのです。 この土地に生きる漁師の大切な今を、遠くからこっそりと一枚だけ撮らさせていただきました。 

この花の名前は忘れちゃいましたが、子供の頃に海沿いでよく見かけた花だった記憶があります。

   

ポツリポツリと雨が降ってきました。 夕方までに青森に戻れば良いのですがせっかくの旅です、早めの行動を決めました。 短い滞在でしたが、竜飛は本当に魅力のある土地でした。 いつの日か地元漁師と酒など酌み交わし語らいでみたいものです。

6時55分発町営バスに乗ります。 料金は一律で100円なんです。 1日に数本しか運行されないこの町営バスは地元の方が病院へ行ったり行政機関を利用したりと町へ出るための大切な交通手段なのです。 なので土地の人間以外(僕ですね)は出来る限り小さくなって端っこにこっそりと乗車するのが正しいのです。 

それぞれの集落ごとに乗客の人数が増してきました。 このバスにはどおやら序列があるようです。 「〇〇さん、おはよごぜます」 「おお!」 「〇〇さん、怪我の調子はどうだすか?」 「おお!ほとんど悪いな!」 「〇〇さん、お孫さん明日来なさるですよね?」 「来ねぐなった ・・・ おい、通路にでってえ荷物置くでね!他の客(僕ですね)に迷惑かけっべ」 「あ、どうもすんません」 「あ、いえ、どうも、はは、(僕ですね)」 間違いなくこの〇〇さんが一番のお偉方で、確かに顔も怖くて態度もでかい。 三厩駅に近づいたころに運転手がちょっと焦りの声をあげます、「あれ?病院行きのバスさ、まだ来でねな?」 「〇〇さん困っでまうぞ。すぐ電話しれ(他の客)」 どうやら三厩駅手前の国道で病院行きのバスに乗り換えるはずのようですが、その連絡バスがいないようなのです。 「もすもす、オメなにやってっだ!あ?起ぎられなかっただど?オメ今日は〇〇さんの受診日だど、どうすんだ?あ?わがっだ、今日は電車で行ってもらうよう話しとっがら、オメあとで謝っどげ!(運転手)」 どうやら病院行きのバス運転手は寝坊してしまったようです。 「〇〇さん、申しわけねども、今日は病院行きバスさ来れねえがら、悪いけんど三厩から電車で行っでもらえねべか?」 了解したのか〇〇さんは、「おお!」 と手をあげました。 が ・・・ 「おい、止めれ、おい、俺は病院いぐ、おい、バスがいねぞ、おい、電話しれ おい ・・・ 」 乗客は必死で笑いをこらえておった町営バスの車中でした。 写真は渋々と三厩のホームを歩く〇〇さん。

 

駅舎に貼ってあった港まつりのお方は地元ではかなり有名な民謡歌手&ローカルタレントさんだそうです。 後に調べたプロフィールには 青森県ウス郡キネ郷里モチ米村出身 佐藤キナ子の息子 とありました。 是非とも関東進出を狙ってください。

 

蟹田駅で下車。 贅沢にもフェリーターミナルまでタクシーに乗りました。 一区間の料金にもかかわらずとても感じのよい運転手さんでした。 「楽しい旅にしてくださいね」 ・・・ こんな言葉を掛けられると本当に嬉しいものです。

  

フェリーターミナル受付の美女も感じのよい応対をしてくださいました。 気に入られたかった僕はガラにもなくリンゴジュースなど飲んで爽やかな中年男子を装いました。 このむつ湾フェリーでは運が良ければ並走して泳ぐイルカさんが見られるそうです。 イルカさんが見られた日はサービスで “イルカさんバッチ” がもらえるそうで僕は欲しくて欲しくてたまらなくなりました ・・・ ガキか!

むつ湾フェリーの乗客は5人ほどでした。 間違いなく赤字だべなぁ~ 途中携帯ナビで現在地を確認しました。 住所未特定と表示されました。 

途中、青森発函館行フェリーが見えました。 子供の頃、僕も同じ航路をたどったあの青函連絡船を思い出します。 船内のレストランでカレーライスが食べられずにダダをこねたちっぽけなことほど大きな思い出となっています。 

・・・ あの船にいつかまた乗りたいなぁ ・・・ 苫小牧発仙台行きフェリーにも乗ってみたいなぁ ・・・ 頭の中ではAmコードのギターストロークが響いています。  そんなことより、今はただただ ・・・ イルカさんバッチ、欲しいなぁ ・・・ ガキか!

1時間で脇野沢湾に到着。 フェリーターミナル待合所にあった写真は先程たまたま撮った岩の写真でした。 この岩は 『鯛島』 という名でこの脇野沢のシンボルだそうです。 この鯛島には語り継がれる悲恋の物語伝説があるそうです ・・・・・・ 

『約1200年程前の延暦の頃、蝦夷征伐のためこの地にやって来た坂上田村麻呂将軍に恋憧れた娘が京に帰ってしまった将軍を恋しがり、身に宿した将軍の子を生むと、自ら命を断ってしまいます。 哀れ悲しんだ村人たちは、少しでも都に近い場所にと、この鯛島に娘の亡がらを葬ったのです。 しかし、それからは島の付近で船の難破が相次ぎ、それが娘のたたりとされ、この島には誰一人近寄らなくなりました。 それから500年程後、戦いに敗れこの地に逃れてきた藤原藤房卿がこの話を聞き、自ら彫った天女の像を島に奉ったところ怪事がおさまったとされています。 今もこの島の付近のワカメは、その娘の髪の毛と云われ、鯛島周辺の漁をさける人が多いのです』 ・・・ だそうです。

    

大湊駅行きJRバスの時刻まで2時間半近くあります。 ターミナル受付のまたまた美女の方が やはりとても感じのよい方で周辺図を見せてくださいました。 近くにある商店街で運が良ければスーパーマーケットの惣菜が残っているのではと教えられ、運まかせで行ってみると ・・・ 運はありませんでした。 でも初めての地を歩くのは楽しいものです。 スーパーマーケットの女性店員さんも、酒屋のおばちゃんも、この脇野沢町の方は本当に親切な方が多いのです。 何気に立ち寄った、さっきまで土地の名前すら知らなかったこの町で旅の思い出が作れるとは思いもよらぬことでした。 

なんとか手に入れたニューカツサンドと牛乳とカミカミスルメとウメッシュで昼飯。 ターミナルには立派な食堂が隣接されていたのですが、今夜は青森で暴飲暴食を決め込んでいたので満腹にはなりたくなかったのです。 

待ち時間中、フェリーに同乗された方とずっと話をさせていただきました。 川口在住のこのお方、あのU鬼隊長にとにかく激似なんです。 年間60日をも登山に費やし昨日までは八甲田山にこもっておられたそうです。丹沢にも詳しく、「谷太郎はヒルが多いんですよね」 なんて細かなことまで知っておられるこのお方を僕は気付かぬうちに “隊長!” と呼んでしまっておりました。 いや、ほんと、シ・グ・サ・までそっくしでした。  本物のU鬼隊長、お元気かしら?

  

バスの車内でもずっと話をさせていただきました。 「ほほう、君も大人の休日倶楽部の旅でしたか」 「はい隊長!やっと50歳になれたもので、えっへっへ、隊長は今日は?」 「僕は今日帰るんです。君は?」 「はい隊長!実は寝台急行あけぼのの指定がとれたので、夕方まで青森で暴飲暴食するつもりっすよ、えっへっへ、」 「ええ、あけぼのがとれたの?いいな!僕なんかびゅう窓口で1か月前の10時ピッタシに係の人にボタン押してもらったのにとれなかったんだよ」 「運がよかったっす、えっへっへ、」  寝台急行あけぼのとは青森・上野間の日本海沿いを13時間もかけて運行される、今では残り少ない貴重な夜汽車なのです。 このあけぼのに乗車することが今回のひとり旅の最大の目的なのです。 

まずは本州最北端の路線 “大湊線” に乗って北青森のローカル線を完全制覇しましょう。 バスから降りると“隊長”ともお別れです。 大湊駅駅改札でお別れの挨拶をすると ・・・・・・ 

「それよりも、君 ・・・ 」 「はあ?」

ホワイトボードに目線を移すと ・・・・・・ 

そ、そんなばなな! なんて、 なんてこった!! むむぅ!!!

 

憧れだった寝台急行あけぼの。 

駅弁と酒類と週刊誌を買い込み乗車。 18時25分、定刻通りに動き出すとまもなく各駅ごとの到着時刻を告げる車内放送。 夕暮れ前、車窓には最後の青森がまだ写されている。 田園風景や果樹園畑、時折通過する小さな町の風景や一瞬で過ぎ去る踏切音。 僕は思わず500ml缶ビールのプルトップをあげる。 停車駅ごとに大きな荷物を持ち込んだ乗客がまだ車内の静寂をゆるさない。 気がつくと僕の正面席には幼さの残る女性が座っている。 少し泣いているのかうつむいたままだ。 親元を離れ、故郷を離れ、そして恋人に別れを告げ大都会へと旅立つ不安さを僕は自分ことのように噛み締めながらも、それでも無関心を装う。 吉田拓郎の『制服』と中島みゆきの『ホームにて』が似合うこの寝台急行あけぼのもやがて個々のカーテンがひかれると、やさしい静かな夜汽車の顔へと変わる。 最後の乗客は象潟駅だった。 正面の席の少女はカーテンの向こうでかすかな寝息をたてている ・・・良かった・・・ 時計を見ると22時53分、僕はまだ眠りについてはいない。 GF1のディスプレイから撮影した数々の画像を確認する。 八甲田丸、竜飛漁港、脇野沢とたくさんの旅の余韻にひたりながら駅弁の紐を解く。 ホタテ、焼きウニ、イクラ、地鳥照り焼き、山菜、椎茸煮付け、漬物 ・・・ 僕の好物ばかりがつまった贅沢なこの駅弁を買うまでに10分近くも迷ったものだ。 カップ酒をちびりすすると、旅の初めにおさない食堂で飲んだ弘前の地酒“玉川”の澄んだ味が蘇る。 ・・・ああ、本当に良い旅だった。 いや、まて、僕の旅はまだ終わってはいない・・・ 携帯時刻表を取り出し途中停車駅を調べる。 ・・・高崎か!ここで下車すれば吾妻線の始発に乗れるんだ。 八ッ場ダム建設で揺れている川原湯温泉で旅の疲れを癒してから帰ろう ・・・・・・ 

こんなイメージトレーニングをずっとずっとしていたのに、それなのに、ああそれなのに ・・・

 

途方に暮れるとは、まさにこういうことを言うのでしょう。 

大湊線で八戸へ向かうまで、気力を振り絞るようでした。 こうなれば八戸で暴飲暴食をしかねえべさ! それはそれはカッチカチの硬い決意でした。

それなのに、ああそれなのに ・・・ 開いてる店、ありませんでした。 最後の悪あがきに携帯のじゃらんで当日の宿を探すも、八戸、青森、弘前、秋田、盛岡、仙台、すべてが満室、ありませんでした。 

今回の青森ひとり旅、最後にしたことは、FKさんそっくしのコイツの写真を撮ったこと。 キャッキャキャキャ~ッ!

八戸 ワ・ラッセ のねぶたの一部

 

ちなみに、欲しかったイルカさんバッチももらえませんでした、うぇ~ん ・・・ ガキか!

 

最後まで読んでくださりありがとうです。