歩かない旅人

 彼がなした馬鹿げたこと・・・彼がなさなかった馬鹿げたことが・・・人間の後悔を半分づつ引き受ける。ヴァレリー

英国EU脱退、日本への影響は

2016-06-29 10:44:06 | 産経ニュースから記事を拾う

 

 


 6月28日午後13・24時現在の株価は日経平均、15.384円24銭と前日より75円03銭上がっています。私のような無知な素人はこの株価を眺めて何となく。景気の動向を見ているのですが、自分の生活に関係しているかその実感は全くありません。

 参院選真っ最中ですから、選挙に利用することが出来れば何でも利用しようとする卑しい政治屋たちは、この英国EU脱退をどう料理しようかと手ぐすね引いているようですが、今のところ心配はなさそうです。

 という記事を産経ニュース内のiRONNA蘭から探し出して載せてみました。

 

 🏰 🏰 🏰 🏰 🏰 🏰 🏰

 

 

 

 英EU離脱でもリーマン級の経済危機が起こり得ないホントの理由

   

  

     小笠原誠治(経済コラムニスト)

 リーマン級ショックが起こる?

 英国のEU離脱を巡る国民投票の結果が明らかになった。大方の予想に反して「離脱」が過半数を上回ったのだ。接戦になるであろうという予想はそのとおりであったが、結果は逆になった。何故だろうか?

 それは希望的観測に基づいた予想が多かったから、つまりバイアスのかかった目でみていたということである。英国がEU離脱を決断すれば、先行きの不透明感が強まり、リスクオフの様相が強まる。

そして、リスクオフの様相が強まれば当然のことながら円高が進むだろうから日本としては迷惑なことだ、と考える人が多いのは分かる。

  

 でも、仮にそうだとしても、そもそもリスクオフで円高が進むのは、日本がマイナス金利まで導入して普段円キャリートレードを煽っているからでもある。つまり、リスクオフで円キャリートレードの巻戻しが起こり、円買い需要が発生するので円高になる。

 いずれにしても、こうして結果が出たからには、今後の関心事は、この決定が英国経済のみならず世界経済にどのような影響を与えるか、ということに移る。そのことに関して、リーマンショック級の危機が起こるという声も聞こえてきている。果たしてそうなのであろうか?

  


 私は、今回の決断が世界経済に与える影響は限定的だと考える。ただし、英国経済自身に与える影響は軽微なものでは済まないであろう。というのも、英国の輸出の約4割はEU加盟国向けであるからであり、それらの輸出に対し新たに年間50億ポンド(約80億ドル)の輸出関税が圧し掛かるからである。

 

また、英国の輸入に対しても年間90億ポンド(約132億ドル)の輸入関税がかかるとみられ、それが家計の負担として重くのしかかるのである。要するに、輸出業界にとっても家計部門にとっても大きな痛手となるのである。

 世界経済に与える影響

 ただ、その程度のことで英国経済が壊滅的な影響を受けることはあり得ない。何故ならば、変動相場制の下ではその程度の製品価格の変動はしばしば起きるからである。

そのことは、我が国においてアベノミクスをスタートさせた後、円安が急速に進み、そして、今年に入ったからは逆に急速に円高が進んでいるものの、輸出数量にはさほどの影響を与えていないことからも明らかである。

 

 英国のEU離脱は世界経済に深刻な影響を与えるとか、リーマンショック級の危機が起こり得るという声も聞こえる。なぜ、そのようなことが懸念されるかと言えば、英国を倣ってEUを離脱する国が現れるとEUの崩壊にもつながりかねないからと言うのである。

確かに、世界的に国粋主義的な動きが強まるなかEU諸国のなかにはEUから離脱すべきだという声が大きくなっている国もあると言う。しかし、だからと言って、英国のように実際に国民の総意としてEU離脱を選択する国がどれだけあるかと言えば甚だ疑問だと言わざるを得ない。

   

イギリスはどこへ行く=24日、ロンドン(ロイター) なぜ英国以外の国では実際にEU離脱にまでは到らないと考えられるかと言えば、EUに留まるメリットの方が離脱するメリットより遥かに大きいからである。

事実上財政破綻し世界に大きな衝撃を与えたギリシャの国民でさえ、EUに留まることを望んだのである。つまり、ユーロ圏諸国は、ユーロを使用することで多大なメリットを享受することができるのだ。

 その一方で、英国はEUの加盟国ではあっても、ポンドという独自の通貨を放棄してはいない。つまり、そもそも英国の立場は、EUには加盟していても中途半端というか、いいとこ取りをしてきただけと言うこともできる。

逆に言えば、既に独自通貨を放棄してユーロ圏にどっぷりつかっている国が、再び独自通貨を使用するような事態になることはなかなか想像できないということである。

 日本に与える影響

 日本は英国に多額の直接投資をしている。つまり、そうした日系の企業が、先ほど述べたような理由で輸出が不振になるというデメリットを被ることが考えられる。

さらに、既に顕在化しているように、英国のEU離脱決定により先行きの不透明さが増すなかでリスクオフの様相が強まっているので、一気に円高、株安が進んでいる。では、これから先、リスクオフの様相はますます強まり、ますます円高が進むのであろうか?

  

国民投票を控えてロンドンの中心部の広場にはイギリスの国旗と欧州連合(EU)の旗を持った人が集まった(ロイター) 

 私は、そのように考える必要はないと思う。なぜなら、確かに今後、どのようなことが起きるか予断を許さない面はあるものの、時間の経過とともに少しずつ英国の進むべき道が明らかになるからである。

 既に述べたように、確かに新たな関税負担と言う重石がかかるであろうが、仮に主な影響がその程度のものであると分かれば、むしろ不透明性は一挙に払しょくされると考えた方がいい。

 実際、日本などは、EUのような地域経済圏に属していなくても、それほど不自由さを感じずに経済運営をしているのであるのだから、英国についても必要以上に心配することはない。

   

 今回のEU離脱決定を契機に英国と中国との関係が一層強まる可能性がある。別に、英国が意図してEU諸国との関係を弱め、その一方で中国との関係を重視するという訳ではないが、英国がEUから離脱すれば、それ以外の国や地域との関係が強まるのは自然の流れであるからだ。

 つまり、英国はEU向けの輸出が減少するのを中国向けの輸出を増やすことによってカバーしようとするのではないだろうか。また、中国としても、そうした英国の微妙な立ち位置の変化を見抜き、英国により接近することが予想される。

   

 英国の人口は6400万人ほどである。その国の経済成長率が一時期マイナスに落ち込むことがあっても、世界経済に与える影響は微々たるものに留まるであろう。また、既に述べたように、英国に倣ってEUを離脱する国が続出するとはとても思えない。

 そうこうするうちに、英国のEU離脱の影響が軽微なものであることが現実に理解され始めると、リスクオフの雰囲気は一気になくなるとも予想され、円高圧力を長い期間かけ続けることも現実的ではないだろう。

 

 🏰 🏰 🏰 🏰 🏰 🏰 🏰

 

 元々イギリスは、EUに便宜上というか、ほんのお付き合いで入っていたともいえます。欧州の中でもイギリスは、第二次大戦前は三大強国の一つでありました。EUの中でもイギリスが入るか入らないかでは、重みが違ってきます。

 しかし、欧州と言っても民族も言葉も国力の差も様々です。単に通貨を統一し、人の動きの自由を緩やかにしても問題は山積みだったでしょう。

 しかし、これを日本の現状に置き換えると、EUは国連と少し似ているかもしれません。拠出金は多く出す割には、日本にとってほとんど役立たずの代物です。権威があるようで実質は何の役にもなっていない。その代わりをしているのが多分、G7あたりなのではないでしょうか。

  

 ここにきて、ドイツの動きが気になります。イギリスとチャイナの関係も気になります。裏でチャイナが生き残りをかけて何か企んでいるかもしれず、日本のインテリジェンスは大丈夫なのでしょうか。