歩かない旅人

 彼がなした馬鹿げたこと・・・彼がなさなかった馬鹿げたことが・・・人間の後悔を半分づつ引き受ける。ヴァレリー

人間の「本性」は変わらない

2016-06-12 11:04:10 | 雑誌『Hanada』を読んで

 

    


 月刊雑誌を今月は3冊買ってしまいました。『正論』と『WiLL』は今までで通りですが、やっぱり気になって『Hanada』まで買ってしまいましたが、舛添公私混同問題を取り扱っているのは『Hanada』だけでした。

  

 この原稿が書かれた時間は、一か月前ぐらいになるでしょうか。今日現在から考えたら、韓国学校などそっちのけで、舛添氏は火だるまになっています。乗り切っていく勝算でもあるのでしょうか。

 

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 (月刊雑誌『Hanada』2016年7月号より)

 F R O N T  P A G E

 現場を行く

 人間の〝本性″は変わらない

     

             門田 隆将

 人間とは恐ろしいものだ。どんなに偉くなっても、〝本性″は変わらない。この人の情けない姿を見ていると、つくづくそう思う。

正月の家族旅行や、家族でとる近所での食費まで血税で賄おうというケチな姿勢や、あるいは海外出張では、一転して湯水のごとく都民の税金を浪費する「大名旅行」を展開する。

  東京都議会に臨む舛添要一知事=8日午後

 もともと『この程度』の人であったことは知っていたつもりだが、こうまで目の前に曝け出されてしまうと、なんだか呆れて、怒りもわいてこない気がする。

 舛添要一・東京都知事とは、あの猪瀬直樹・前都知事が徳洲会から五千万円を受け取った事件で辞任した後、〝緊急避難的に″誕生した知事である。

   

 石原慎太郎の後継として猪瀬氏は四百三十三万票を集めたが、舛添氏は「半分」の二百十一万票しか獲得しておらず、そのまま「緊急避難知事」と言う認識しか私は持っていなかった。

 また、しっかりした「政治信念に基づいて」舛添氏が行動した、と言う認識を持ったことも、これまで一度もない。

 実は、舛添氏は、この〝緊急避難″の知事選ではなく、以前にも一度出馬している1999年のことだ。この時、舛添氏はやはり、石原氏の「半分」の票しか取れず、二位の鳩山邦夫氏にも敗れ、三位に終わっている。

 その後、自民党に入党して参議院議員になった舛添氏は、第一次安倍改造内閣で厚生労働大臣に抜擢された。

 だが、民主党に敗れて下野するや、自民党を離党して「新党改革」の代表におさまった。恩のある自民党にうしろ足で砂をかけるようにして出て行った政治家が、突然の猪瀬知事の辞任と言う、降ってわいた〝緊急避難選挙″出俄かに名前が浮上。 あれよ、あれよという間に都知事になったの

 しかし、この選挙の折に、皆が奥歯にモノの挟まったようなことしか言わなかった中で、小泉進次郎。衆議院議員だけがこう喝破したことは記憶に新しい。

 「(舛添氏は)自民党が野党で一番苦しいときに〝自民党の歴史的使命は終わった″と言って出て行った人だ。(彼を)応援する大義はない」

  

 「ずっと自民党を離れずにいた党員、あるいは有権者たちが、 (舛添氏を支持する)自民党の姿勢に〝背骨″があるとみるだろうか」

 小泉氏が言ってのけたのと同様、時流に乗るパフォーマンスだけが売り物の舛添氏に、私も何かを期待することはなかった。

 案の定、都知事になるや、舛添氏がやり始めたのは、恐ろしいほどの額の血税を費やした『都市外交』と言う名のパフォーマンスだった。「まるで一国の元首気取りだ」、「自分を外務大臣と勘違いしている」

 私はそんな批判を当初から都庁の内部で漏れ聞いていた。確かに都知事の権限は絶大だ。特別会計を含む東京都全体の予算は、実に十三兆六千五百億円(2016年度当初予算)にも達し、これは世界十七位のスウェーデンの国家予算のほぼ匹敵する。

 そのトップに君臨することが出来たのだから自分だけが〝偉く″て「舞い上がった」のは無理もなかろう。

 しかし、自尊心を満足させるための舛添外交の中身は、実にお粗末なものだった。例えば、就任半年後の韓国訪問で、朴槿恵大統領と会談した舛添氏は、「一部政治家の言動で両国関係に難しさが出ているが正しい歴史認識を共有しつつ、関係を安定的に発展できるよう努力をお願いする」

 「慰安婦問題は両国関係だけではなく、普遍的な人権に対する問題。真摯な努力で解決できる」という〝お言葉″を頂戴している。

  

 この時、まさに「正しい歴史認識」を韓国に持ってもらうために、舛添氏が朴大統領に何かを言ったのかと思ったら、さにあらず。お説ごもっともで引き下がったばかりか、逆にソウル大学での講演では、

 「90%以上の東京都民は韓国が好きなのに、一部がヘイトスピーチをして、全体を悪くしている」と、そんなスピーチまでして韓国の歓心を買ったのである。

 そして朴大統領から出たのが、「二校目」の韓国人学校の用地を確保して欲しいという要望だった。

 今回の問題は、新宿区の都立市ヶ谷商業跡地について、新宿区が「待機児童」などの施設への使用要請を行ったにもかかわらず、これを蹴って韓国人学校に貸与しようとした舛添知事の姿勢が問題化したことに始まる。

  

 一回あたり二千六百万円に及ぶ高額出張費も、年に五十回も公用車で金曜日の午後から湯河原の別荘へ赴く姿勢も、さらには、家族との私的な旅行や食事代まで税金で賄おうとすることも、すべて〝根″は同じところにある。

 偉いのは「自分」だけで、「都民」、あるいは「税金」のことなど、もともと彼は何とも思っていないのだ。自治体に外交など要らない。

 高齢者や待機児童問題で悲鳴を上げている都民のために、貴重な税金を生かして欲しい。

 

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 7月13日から、都議会では舛添公私混同問題を巡って、集中審議が始まります。一抹の心配は、議員たちの都合を優先した公私混同です。特に過半数を占める与党、自民・公明両党のはっきりしない動き方です。