平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

校閲ガール・河野悦子~地味な校閲係をファッション大好きなイケイケガールがやったら、どうなるか?

2016年10月06日 | 職業ドラマ
 地味な校閲係をファッション大好きなイケイケガール(←古い)がやったら、どうなるか?
 そういう物語だ。
 河野悦子(石原さとみ)は、人気ミステリ作家で大先生の本郷大作(鹿賀丈史)のゲラにこんな赤を入れる。

「チョベリグ」 ←女子高生の口調が古くさくてあり得ません。

 結果、大先生は激怒!
 ……にはならずに、こんな反応。
「あんな面白い校閲、初めて見た。添付してくれた女子高生のツイッターも面白かった」
 そして、言葉談義。
「超うまい」なんて言葉は今は使わない。
 使うのは「おにうま」「やばうま」
 ジワジワくる美味しさの時は「地味うま」
 本郷はこれを面白がる。
 <言葉>にこだわるのが作家という仕事だからだ。
 彼らは貪欲に言葉を漁っている。
 今、流行の言葉にも昔の言葉にも。
 だから、面白がった。
 悦子の指摘に刺激されて、キャラクターのイメージも膨らんだかもしれない。

 もともと悦子は校閲係に向いていた。
・服を見ただけで、どこのブランドかわかる。
・このネクタイとシャツは合わないと、服装の組み合わせの悪さを指摘できる。
・カフスボタンなのにネクタイピンとして使っている間違いを指摘できる。
 ここで言う<服>を<言葉>に置き換えれば、悦子のしていることはそのまま校閲の仕事になる。
 悦子の<ファッションへのこだわりや知識>が<言葉>に向けられれば、素晴らしい校閲係になるだろう。

 疑問を持ったら、とことん追及するというのも校閲係の資質かもしれない。
 今回、悦子は、作家・本郷がどうして<立日橋>という橋の名前にこだわるのかを現地に行って確かめた。
 わざわざ現場まで足を運んで確認するのである。
 普通の人間にはなかなか出来ない。
 ……………………………………

 この作品は、どうしても『重版出来!』と比べてしまう。
『重版』の主役が実は<作家たち>であったのに対し、『校閲ガール』の主役は、あくまで<悦子>だ。
 悦子の成長物語だ。
 これは従来ドラマの枠から出ておらず、ちょっと古くさい。
 石原さとみさんの着せ替え人形のようなファッションショーを楽しむということか?
 悦子には『家売るオンナ』の三軒屋万智ほどのインパクトがないしなぁ。

 ただ、水曜10時の日テレ枠らしく、主人公が啖呵を切ることは忘れない。
 今回、悦子は事なかれ主義の文芸部編集者の貝原八郎(青木崇高)にこう叫んだ。
「何で偉そうに中年に説教されなきゃなんないのよ!
 てめえこそ、少しは原稿に目を通してこっち持って来いよ!
 詰め込み教育を受けてたくせに、やることがハンパ過ぎるんだよ! この無能が!」
 せりふで聞いた時はそんなでもなかったが、文字に起こすと結構、きついこと言ってる。
 これが悦子なんだろうけど、こういう主人公が今ウケるのか?

コメント
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