ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版』

2008-11-08 23:09:27 | 新作映画
(原題:Les Parapluies de Cherbourg)


----やっと、映画のお話----と思ったら、
これリバイバルじゃニャい?
「リバイバルと言えばリバイバルだけど、
今回はデジタルリマスター版。
その昔、ぼくが観たのは
映画が作られた1964年から遅れること確か6、7年。
ATG映画館で公開された『袋小路』だか『バルタザールどこへ行く』だかの
併映としてのこれもやはりリバイバルだった」

----そのときはどう感じたの?
「いやあ、もう驚いたのなんのって。
これはいまだにぼくのミュージカルの中のベスト1。
全ジャンルに広げても10本のうちの1本には入ってくるね」

----確か、フランス映画だよね。
ハリウッド製ミュージカルとはどこが違うの?
「まあ、ぼくがいまさら改めて言う必要もないけど、
一番ビックリしたのが
劇中のセリフ全てが歌になっていること。
その歌がシェルブールの町そのものさえもセットのように見える
ポエジーな色遣いの世界の中で
ミュージカルとしては掟破りとも思える悲恋のお話を語っていくんだ」

----それって『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような感じ?
「いやいや、あんな絶望的なものじゃない。
そこには『それでも人生は続いていく』という基本的な姿勢がある。
この映画の主人公は青年ギイと少女ジュヌヴィエーヴのふたり。
ギイはアルジェリアへ出征。
まだ16歳のジュヌヴィエーヴは彼の不在が耐えられず…
というもの」

----それって、ある意味、戦争批判も含んでるの?
「それはあるだろうね。
ただ、男の視線からすると、
お腹に赤ちゃんもできていながら、
なぜ彼を待てなかったのか?と思ったのも事実」

----その気持ち、今度観ても変わらなかった?
「うん。
ギイが不在のときに現れる宝石商。
ジュヌヴィーエーヴが彼に心が傾く瞬間も、
きちんと入れてあり、
ここに監督ジャック・ドゥミの女性観が窺えるね。
彼女がまだ16歳だったということを差し引いても、
これは男性よりの映画という気がする。
今回の試写でも、男性のすすり泣きが耳に入ってきた」

----えいはどうだったの?
「いやあ泣けたね。それも昔よりも遥かに……。
最初に観たときは、
ピンクとライトグリーンを貴重に
アクアブルーを配したファンタジックな色世界に
目が釘付けになったけど、
今回は、もっと深く物語に入り込めた。
ラストを締めくくる雪のガソリンスタンド。
あれこそが<人生>。
しかもそれをセリフではなく
映像と音楽によって見せきる……。
いま観ても決して古びることはない。
今回、デジタルリマスターという
望みうる最高の映像で観られたことを本当に感謝したいね」



           (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「とにかく観るのニャ」いいねぇ

※これが映画だ度

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4 コメント

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こんにちは (JK)
2009-02-14 23:00:05
映画に負けないカラフルな文章ですね。
今だと音楽面からも注目されるのかな、
でも音楽は「ロシュフォールの恋人たち」の方が好きかも、
こちらの感想も聞きたかったです。
■JKさん (えい)
2009-02-15 20:44:28
こんばんは。
いやあ、この映画、大好きなもんで、
文字色まで凝ってしまいました。

音楽は、公開当時から人気でしたよ。
ぼくはEPレコード持ってます(笑)。
『ロシュフォールの恋人たち』は
観た当時、あまり好きになれなくて
今回は、実は行っていないんです。(汗)
雪が舞う (うめ)
2010-04-08 14:48:20
こんにちは。
ずっと、観たくて、でも観れるとは思ってなかったこの作品。
今週近所でやって下さいました!
ほんっとに、すばらしいです。
「しあわせ?」と互いに問い、雪の舞うラストにはもう、こみあげました…。

そして、 デジタルリマスターって、こんなにキレイなんだ! と、今更ながら関心してしまいました。

ちなみに来週『ロシュフォール…』です。
時間があえば、観てみようと思います。
■うめさん (えい)
2010-04-09 10:48:22
こんにちは。

あのラストシーンは、もう言葉にならないですね。
まさに人生を凝縮した瞬間だったと思います。
いま思い返してもじ~ん。

『ロシュフォール~』は、
こちらに比べてとても明るい映画。
肌合いが違ってました。

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