(原題:Le concert)
「これは観る前に想像していたのとはまったく違ったね。
本当に映画は観てみなくては分からない」
----そうニャの?
タイトルからして、だれもが心打たれる感動作って気がするけど…。
「もちろん。それはそうだよ。
でも一言で“感動”って言ってもいろいろあるでしょ。
こういう、クラシックがらみのタイトルからして、
もっと生真面目というか、しみじみというか…。
ところが、この映画はそんなクラシックの持つ
平均的イメージではなく、
キャラクターがいずれもバイタリティに富んでいて個性的。
設定自体もユニークだしね。
物語は
元ロシア・ボリショイ交響楽団の指揮者でいまは
同楽団で清掃員をしている主人公アンドレ(アレクセイ・グシュコブ)が
1枚のFAXを目にしたことから始まる。
それは演奏を取りやめたサンフランシスコ交響楽団の代わりに、
パリのプレイエルに出演するオーケストラを探しているというもの。
パッとひらめいた彼は、
昔のオーケストラ仲間を集め、ニセの楽団を結成し、
ボリショイの代表としてこのコンサートに出場するよう動き出す…」
----そりゃあ、ムチャクチャだ。
「そう。この映画は、
そのムチャクチャさが映画の軸になっている。
普通に考えたらあり得ないことばかりだからね。
まず、彼ら元楽団員はアンドレを含め、
30年も“実戦”からは遠ざかっている。
その仲間たちも、
タクシー運転手だったり、蚤の市業者だったり、ポルノ映画の効果音担当だったり。
先方との交渉は、
かつて彼らを廃業に追い込んだバリバリの共産党員。
彼には彼の目論見があって、
どうしてもパリに行きたくて、この交渉役を請け負う。
ニセのパスポート、ニセのビザ、地下の物置からのニセ電話。
そんな彼らの前に難題が続出。
後払いの渡航費なんて持っているはずもない。
まあ、これ以上は言わない方がいいだろうなあ」
----あれ?メラニー・ロランは?
「彼女はアンドレが指名した若手スターのソリスト。
そう、この演奏曲目は
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。
これは、ブレジネフ政権時代、
アンドレたちが演奏中に演奏を止められた因縁の曲。
さあ、彼がなぜ彼女を選んだのか?
映画はこの謎を抱えたままクライマックスの演奏シーンへ突き進む。
そしてここがポイントなんだけど、
巧みなミスリードもあって、
思わぬ、その謎が、しかも演奏中に明らかになる。
もう、ここはほんとうに滂沱の涙。
まさかこんなポピュラーな曲で涙を流すとは、
自分でも思いもしなかった」
----へぇ~っ。普通に考えると、
アンドレの隠し子って感じだけど…?
「それがね…。
あっ、ヤバいヤバい。
この映画が感動的なのは、
自由を奪われた人々が、
その後の厳しい環境の中、たくましく生きる人々を、
コミカルなタッチを交えて描いていること。
そしてその奥に、何物にも代えがたい
自由と生命の尊厳を歌い上げていることにある。
いやあ、話しているうちに、また観たくなってきたなあ。
そうそう、監督は『約束の旅路』を手掛けたあのラデュ・ミレイハニュだよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「『オーケストラ!』の『!』は『ブラス!』のヒットにあやかっているのかニャ」
※ミュウ=ミュウもポイント。彼女もいい度
お花屋さんもよろしく。
噂のtwitterを始めてみました。
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「これは観る前に想像していたのとはまったく違ったね。
本当に映画は観てみなくては分からない」
----そうニャの?
タイトルからして、だれもが心打たれる感動作って気がするけど…。
「もちろん。それはそうだよ。
でも一言で“感動”って言ってもいろいろあるでしょ。
こういう、クラシックがらみのタイトルからして、
もっと生真面目というか、しみじみというか…。
ところが、この映画はそんなクラシックの持つ
平均的イメージではなく、
キャラクターがいずれもバイタリティに富んでいて個性的。
設定自体もユニークだしね。
物語は
元ロシア・ボリショイ交響楽団の指揮者でいまは
同楽団で清掃員をしている主人公アンドレ(アレクセイ・グシュコブ)が
1枚のFAXを目にしたことから始まる。
それは演奏を取りやめたサンフランシスコ交響楽団の代わりに、
パリのプレイエルに出演するオーケストラを探しているというもの。
パッとひらめいた彼は、
昔のオーケストラ仲間を集め、ニセの楽団を結成し、
ボリショイの代表としてこのコンサートに出場するよう動き出す…」
----そりゃあ、ムチャクチャだ。
「そう。この映画は、
そのムチャクチャさが映画の軸になっている。
普通に考えたらあり得ないことばかりだからね。
まず、彼ら元楽団員はアンドレを含め、
30年も“実戦”からは遠ざかっている。
その仲間たちも、
タクシー運転手だったり、蚤の市業者だったり、ポルノ映画の効果音担当だったり。
先方との交渉は、
かつて彼らを廃業に追い込んだバリバリの共産党員。
彼には彼の目論見があって、
どうしてもパリに行きたくて、この交渉役を請け負う。
ニセのパスポート、ニセのビザ、地下の物置からのニセ電話。
そんな彼らの前に難題が続出。
後払いの渡航費なんて持っているはずもない。
まあ、これ以上は言わない方がいいだろうなあ」
----あれ?メラニー・ロランは?
「彼女はアンドレが指名した若手スターのソリスト。
そう、この演奏曲目は
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。
これは、ブレジネフ政権時代、
アンドレたちが演奏中に演奏を止められた因縁の曲。
さあ、彼がなぜ彼女を選んだのか?
映画はこの謎を抱えたままクライマックスの演奏シーンへ突き進む。
そしてここがポイントなんだけど、
巧みなミスリードもあって、
思わぬ、その謎が、しかも演奏中に明らかになる。
もう、ここはほんとうに滂沱の涙。
まさかこんなポピュラーな曲で涙を流すとは、
自分でも思いもしなかった」
----へぇ~っ。普通に考えると、
アンドレの隠し子って感じだけど…?
「それがね…。
あっ、ヤバいヤバい。
この映画が感動的なのは、
自由を奪われた人々が、
その後の厳しい環境の中、たくましく生きる人々を、
コミカルなタッチを交えて描いていること。
そしてその奥に、何物にも代えがたい
自由と生命の尊厳を歌い上げていることにある。
いやあ、話しているうちに、また観たくなってきたなあ。
そうそう、監督は『約束の旅路』を手掛けたあのラデュ・ミレイハニュだよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「『オーケストラ!』の『!』は『ブラス!』のヒットにあやかっているのかニャ」
※ミュウ=ミュウもポイント。彼女もいい度
お花屋さんもよろしく。
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>その後の厳しい環境の中、たくましく生きる
もうここでダメ押しされました。
観たいです。
ぜひご覧になっていただきたいです。
この映画は、ロシアの過去を問いながら、
そこに“自由”という普遍的問題を提起。
しかも、この現代が直面している
未曾有の不況の中で生きる人々…という
今日的なテーマへも繋がっています。
かと言って、それらを大上段に振りかざすのではなく、
構成、語り口ともに映画としてオモシロい。
拾いものと言っては申しわけないくらいに
素晴らしい時間を体験させていただきました。
監督のポリシーにもう心から賛同。
不可抗力によって奪われてしまった幸せを、小さな嘘をつくことによって取り戻す。
それを夢見て生きる人たちに、ただただ感想です。
メラニー・ロランも、凛として媚びることなく、素敵でした。
○ 感動
そうですよね。 現代の、光の見えない時代だからこそ、
こういう映画に励まされるのかもしれません。
ぼくも3月に観た映画の中では
トップクラスの感動をもたらしてくれた映画でした。
特に、あのヴァイオリン協奏曲。
クレッシェンドが
ここまで巧くハマった映画はなかったです。
まんまとやられました。
あのラストのチャイコフスキー。
いま思い出してもゾクッです。
>自由を奪われた人々が、その後の厳しい環境の中、たくましく生きる人々を、
>コミカルなタッチを交えて描いていること。
>そしてその奥に、何物にも代えがたい
>自由と生命の尊厳を歌い上げていることにある。
私もその通りだと思います。
そういう、深いテーマを持ったお話を、
とぼけた、コメディ・タッチで実に楽しく描き、最後は音楽的感動と興奮の大団円になだれ込む…
完璧な出来栄えです。
ラデュ・ミヘイレアニュ監督の作品は、不覚にも私はこれが初めてでした。
監督の過去の作品も見たくなりました。
思いきり笑って(バカにしているの?と思うくらい)いるところが良いんですよね。
最後のコンサートに向かう
逆境を乗り越えてきた、したたかで、しぶとい楽団員達
本当に愛すべきメンバーでした。
これが、旧ソ連のお話というところが
オモシロかったです。
いろんな体制が生まれても、
人間というのは根本的なところで
どの国の人も同じ。
こういう視点って好きです。