(原題:OBLIVION)
----これって、
最近トム・クルーズが来日して話題になった映画だよね。
「うん。
トム・クルーズは華があるよね。
ぼくはこれまでに
シュワルツェネッガー、ハリソン・フォード、さらには
ディカプリオなどの来日記者会見に行ったことあるけど、
変な意味で慣れっこに。
それほどの興奮を味わうことはなくなっていた。
ところがトム・クルーズだけは別。
『アイズ ワイド シャット』でニコール・キッドマンと共に
東京国際フォーラムに姿を現した時、
思わず息を飲んだモノ」
----『アイズ ワイド シャット』って
スタンリー・キューブリック監督の遺作だよね。
そういえば、この映画
『2001年宇宙の旅』が引き合いに出されているみたいだけど…?
「そう。
それと『月に囚われた男』、そして『トータル・リコール』だね。
そのビジュアルひとつとってもそう。
全体的にそのカラーはホワイトで統一されている。
製作者サイドが
『2001年宇宙の旅』を意識したことは間違いないだろうね。
でも、これってあまり言っちゃうと
ネタバレになるからなあ」
----ということは、
映画の中身も難解ニャの?
「いや、
そう構えて観ることはないと思う。
物語は、こう。
2077年、地球はスカヴと呼ばれるエイリアンの侵略によって壊滅。
生き残った人類は土星の惑星タイタンへと移住を果たす。
荒廃した地球にはドローンという無人偵察機が飛び回り、
ジャック(トム・クルーズ)はパトロール機バブルシップを駆り、
そのドローンを管理している。
そんなある日、ジャックは墜落した宇宙船で眠る美女ジュリア(オルガ・キュリレンコ)を発見。
目を覚ました彼女はなぜか会ったことのないジャックの名を口にする…」
----へぇ~っ。
ミステリーがらみニャんだ。
「そう。
この映画は、
いわゆる宇宙でのバトル
(もちろんそれも見モノだけど)よりも、
その<謎解き>を核に置いている。
だからこそ、ぼくが入りこみやすかったとも言えるね。
戦いばかりでシーンを繋いでいくんだったら
それはアトラクション、あるいはゲームで十分だもの。
やはり、観ながら
考えるところがほしい」
----ふうん。
その任務には
ジャックはひとりであたっているの?
「いや、高度1,000mのところにそびえたつスカイタワーで
同じ任務に就く妻ヴィクトリア(アンドレア・ライズブロー)と暮らしている。
さて、問題はここから。
ふたりは、機密保全のため記憶を消去されている。
ところがその任務もあと2週間で終りという頃になって、
ジャックは、頻繁に、ある女性の、
しかも地球にまだ文明が残っていた頃を背景にした夢を見るようになる」
----うわあ、オモシロそう。
「でしょ。
実はポイントはココにある。
なぜ、ジャックは夢を見るのに、
ヴィクトリアのほうは見ないのか!?
それは結局は
それぞれの<愛>の深さの違いへと繋がってくる。
これに気づいたとき、
一見、難解に見えるこの映画もまた、
“愛こそすべて”という
ハリウッド伝統の映画へと転化する。
さて、ビジュアルに話を戻すと、
この映画で人気が出ると思われるのが
ドローン、そしてバブルシップ。
このユニークなデザインは
『ブレ―ドランナー』でシド・ミードが作り上げたスピナーに匹敵すると思うよ。
さっきは、バトルについてさらりとしか話さなかったけど、
シューティング・ゲーム世代にとっては嬉しくなるシーンも満載。
そのオチも含めて、
久しぶりに満足ゆくSFに出会った気がしたね」
「その時代、地球の月はエイリアンの攻撃を受けて
なくなっているらしいのニャ」
※「これもまた漫画『幻魔大戦』のラストカット以後の世界だ度
http://www.youtube.com/watch?v=mQiDs9tKZv4
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※画像はオリジナル・ポスター。
※劇中で使用されている「青い影」(プロコルハルム)
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真っ先に『幻魔大戦』の石森章太郎版続編を思い浮かべました。
あれも砕けた月の下で繰り広げられる話でしたね。
ところで、私はヴィクトリアも夢を見ていたんじゃないかと思います。
恋焦がれるジャックがジュリアの許に行ってしまう夢。
ジュリアが現れたときのヴィクトリアの狼狽振りからすると、彼女にも真実が判っていたんじゃないかと……。
なかなか『幻魔大戦』との共通性を語ってくれる人がいなくって…。
いやあ、ほんとうに嬉しかったです。
ヴィクトリアの、あの狼狽の表情、
確かに、それはありですね。
ただ、ジュリアの許に行く夢だと、それは
<記憶>ではなく、
<予知夢>となるわけで…。
となると、
この映画の語ろうとしているところが
ぼくの解釈とは大きく違ってきて…。
これは根本から考え直さなくてはいけなくなってしまう。
う~ん。
その記憶が2077年に夢となって現れていたんじゃないかと思います。
ジャックが本来は別の女性と結ばれるはずの人だと気づいているからこそ、ヴィクトリアは「(ジャックがいてくれる)今日はパラダイスよ」と報告していたのではないかと……。
その解釈はピッタリきますね。
「今日はパラダイスよ」とも呼応する。
しかしそうなると
やはり勝つのは想いよりも“運命の愛”。
ちょっと複雑ですね。
ヴィクトリアがかわいそうに見えてきました。
既視感の塊とは言え、実にうまく世界観をまとめている。
「トロン:レガシー」より自分の原作で縛りが無いからなんでしょうけど、ずっとのびのびと自分の撮りたいものをやってるように感じます。
ジョセフ・コシンスキーはこの路線で何本かやってほしいものです。
噂にあがっている「2300年未来への旅」とか「ブラックホール」のリメイクなんてピッタリだと思うんです。
後は、もう一つ「新しいモノを観た!」という独自性かなあ。
こういう世界、こういうビジュアルを観たいという自分の願望をかなえてくれた。
これからもこの監督には
映画の新しい地平を切り開いてほしいです。