----あれれ。今日は『裏切りのサーカス』じゃなかったの?
ツイッターでは要望もいただいたって聞いたけど…。
「う~ん。そのつもりだったんだけど、
今日観た『愛と誠』があまりにもオモシロくって。
これは、その興奮冷めやらぬうちに早くと…」
----へぇ~っ。意外。
監督は苦手の三池崇史でしょ?
「そう。でも、この監督って、
ハマると、常軌を逸したオモシロさを発揮する。
この映画も、どうやらミュージカルとは聞いていたけど…」
----えっ。そうニャの?
この原作って、70年代に一世を風靡した
熱血純愛漫画だよね。
「うん。
でも、原作の梶原一揆がいま生きていてこれ観たら怒るんじゃないかな…。
そう言いたくなるほど。
いや、誤解されないようにあわてて付け足すと、
ストーリーは、原作そのままだし、
台詞もいわゆる名台詞と呼ばれるものは
きちんと使っているんだよ。
たとえば岩清水の『君のためなら死ねる』とかね」
----ぷっ。臭い台詞だニャあ。
「そうでしょ。
この漫画って、
子どもの頃に、スキーの暴走であわやのところを
間一髪、少年・大賀誠に助けてもらった少女・早乙女愛の
誠に対する一途な愛を描いたもの。
この事故で、誠は額に三日月の大きな傷を負っているんだ。
だが、誠は、そんな愛がうっとうしくてたまらない。
せっかく、愛の親がPTA会長を務めている
ブルジョア子弟の学園に入学させてもらったものの、
退学して不良の巣である実業高校へ。
それを追って愛もまた転校。
そして愛を愛する岩清水もまた彼女を追う…。
もう、プレスも見ないでサラサラ言えるほど簡単なお話。
で、このスト―リ―の面で注目してほしいのが、
いわゆる、昨今流行りの携帯小説なんかの基本パターンが
すでにここで出来上がっているということ。
正直言って、あの手の物語は退屈極まりない。
で、じゃあ、これはどうかと言うと…」
----オリジナルだけに、オモシロいってこと?
「いや、そうじゃないんだ。
この漫画、連載当時から、やはり変な違和感があった。
それは、“愛とは戦い”というテーマとなる骨子よりも、
影からそっと見ている岩清水、
あるいは、人前はばからぬ愛の告白といった、
随所に散りばめられた劇画的描写の部分。
もう、勢いで漫画で読むからいいけど、
どう考えても“ありえねぇ~”って感じ。
で、この映画は、そこをそのまま“意識的に”
“ありえねぇ~”で出してゆく」
----そう?まじめにやっていたかもしれないよ。
「それはないね。
そこをはっきりさせるために、
監督は、この映画にミュージカルという“作為”の頂点のような手法を取っている。
それも、昭和の歌謡曲がほとんど。
しかもパパイヤ鈴木の振り付けを加えることで、
いよいよもってとんでもない世界が展開する。
ある意味、学芸会風というか…。
ぼくなんか、出演者が歌い出した瞬間、笑っちゃったものね。
その中には、前作の山根成之監督に敬意を表してか
誠を演じた西城秀樹の持ち歌もある。
もちろん歌うは妻夫木聡。
あっ、彼の誠はなかなか様になっていたね。
対する武井咲の愛も、
勘違い&空回りブルジョアお嬢さまという路線で
コメディエンヌとして頑張っていた」
----コメディエンヌ?
ほんとに、笑いの方なんだ…。
「あっ。
不良学園内での抗争はそれなりに劇画チックで
これまた魅せてくれるよ。
特にスケバン。
まるで内藤誠監督『番格ロック』。
そうそう、さっきの歌謡ミュージカルで思い出したのが
藤田敏八『野良猫ロック・ワイルドジャンボ』。
この映画では、当時、新人として競い合っていた
にしきのあきらと野村正樹が海岸で対峙する。
実は、これは劇中劇のロケシーンだったんだけど、
それに通じる<遊び>にも似た世界だったね」
----映画はストーリーではなく語り口…ってヤツだね。
「うん。
そう言う意味では、感動的な映画ではあったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「この話でコメディ・ミュージカルって想像つかないのニャ」
※『カタクリ家の幸福』より遥かに楽しめた度
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
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ツイッターでは要望もいただいたって聞いたけど…。
「う~ん。そのつもりだったんだけど、
今日観た『愛と誠』があまりにもオモシロくって。
これは、その興奮冷めやらぬうちに早くと…」
----へぇ~っ。意外。
監督は苦手の三池崇史でしょ?
「そう。でも、この監督って、
ハマると、常軌を逸したオモシロさを発揮する。
この映画も、どうやらミュージカルとは聞いていたけど…」
----えっ。そうニャの?
この原作って、70年代に一世を風靡した
熱血純愛漫画だよね。
「うん。
でも、原作の梶原一揆がいま生きていてこれ観たら怒るんじゃないかな…。
そう言いたくなるほど。
いや、誤解されないようにあわてて付け足すと、
ストーリーは、原作そのままだし、
台詞もいわゆる名台詞と呼ばれるものは
きちんと使っているんだよ。
たとえば岩清水の『君のためなら死ねる』とかね」
----ぷっ。臭い台詞だニャあ。
「そうでしょ。
この漫画って、
子どもの頃に、スキーの暴走であわやのところを
間一髪、少年・大賀誠に助けてもらった少女・早乙女愛の
誠に対する一途な愛を描いたもの。
この事故で、誠は額に三日月の大きな傷を負っているんだ。
だが、誠は、そんな愛がうっとうしくてたまらない。
せっかく、愛の親がPTA会長を務めている
ブルジョア子弟の学園に入学させてもらったものの、
退学して不良の巣である実業高校へ。
それを追って愛もまた転校。
そして愛を愛する岩清水もまた彼女を追う…。
もう、プレスも見ないでサラサラ言えるほど簡単なお話。
で、このスト―リ―の面で注目してほしいのが、
いわゆる、昨今流行りの携帯小説なんかの基本パターンが
すでにここで出来上がっているということ。
正直言って、あの手の物語は退屈極まりない。
で、じゃあ、これはどうかと言うと…」
----オリジナルだけに、オモシロいってこと?
「いや、そうじゃないんだ。
この漫画、連載当時から、やはり変な違和感があった。
それは、“愛とは戦い”というテーマとなる骨子よりも、
影からそっと見ている岩清水、
あるいは、人前はばからぬ愛の告白といった、
随所に散りばめられた劇画的描写の部分。
もう、勢いで漫画で読むからいいけど、
どう考えても“ありえねぇ~”って感じ。
で、この映画は、そこをそのまま“意識的に”
“ありえねぇ~”で出してゆく」
----そう?まじめにやっていたかもしれないよ。
「それはないね。
そこをはっきりさせるために、
監督は、この映画にミュージカルという“作為”の頂点のような手法を取っている。
それも、昭和の歌謡曲がほとんど。
しかもパパイヤ鈴木の振り付けを加えることで、
いよいよもってとんでもない世界が展開する。
ある意味、学芸会風というか…。
ぼくなんか、出演者が歌い出した瞬間、笑っちゃったものね。
その中には、前作の山根成之監督に敬意を表してか
誠を演じた西城秀樹の持ち歌もある。
もちろん歌うは妻夫木聡。
あっ、彼の誠はなかなか様になっていたね。
対する武井咲の愛も、
勘違い&空回りブルジョアお嬢さまという路線で
コメディエンヌとして頑張っていた」
----コメディエンヌ?
ほんとに、笑いの方なんだ…。
「あっ。
不良学園内での抗争はそれなりに劇画チックで
これまた魅せてくれるよ。
特にスケバン。
まるで内藤誠監督『番格ロック』。
そうそう、さっきの歌謡ミュージカルで思い出したのが
藤田敏八『野良猫ロック・ワイルドジャンボ』。
この映画では、当時、新人として競い合っていた
にしきのあきらと野村正樹が海岸で対峙する。
実は、これは劇中劇のロケシーンだったんだけど、
それに通じる<遊び>にも似た世界だったね」
----映画はストーリーではなく語り口…ってヤツだね。
「うん。
そう言う意味では、感動的な映画ではあったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「この話でコメディ・ミュージカルって想像つかないのニャ」
※『カタクリ家の幸福』より遥かに楽しめた度
こちらのお花屋さんもよろしく。
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昭和の時点で古臭かった原作を、こんな風に開き直ってカオスなエンタメ大作に仕立て上げるとは。
ちょっとミュージカルの見せ方には疑問があるものの、ここまでごった煮の要素を最終的には一つの世界観にまとめてしまうのですから、やはり大したものですね。
この映画すごく面白かったです!
でも、このパロディのようなリメイクを見て、当時はどう受け止められていたのか気になっていました。
えいさんのおっしゃるとおり、やっぱり少し大袈裟だという感じだったのでしょうか?
岩清水くんのセリフの受け止め方とか気になりました(笑)
「激しい恋」が頭から離れません(笑)
そう、開き直りですね(笑)。
でも、これでも実は脚本よりも
かなり、ギャグは押さえてあるとかで…。
その按配も、ちょうどよかった気もします。
当時は、この漫画、なぜか人気がありました。
でも、ぼくは違和感を持って読んでいて…。
三池監督は、ぼくが感じていた違和感を
巧く掬いだしてくれた気がして
なるほど、こういうことだったのかと…。
ここで使われた歌謡曲、
すべてが懐かしいです(笑)。
今回の映画化は原作好きの者にとっては喜ばしいかぎりです。
もしよろしければこちらのサイトにも一度遊びに来てください。『愛と誠』関係に関する出演者ブログやニュース、他の方の感想ブログのリンク一覧にまとめており、また『愛と誠』に関する書き込みならなんでも書き込んでください。
・ 映画『愛と誠』ネタバレ掲示板 http://aimako.bbs.fc2.com/
他にも
・ 『愛と誠』覚え書き http://www.myagent.ne.jp/~bonkura/201X.html
・ 梶原一騎ファンサイト『一騎に読め!』 http://www.myagent.ne.jp/~bonkura/
コンビニにも、原作の漫画が置かれて
ちょっとした人気再燃ですね。
ただ、三池監督の映画にしては、
あまりヒットしていないようで、
好きなだけに残念です。
脚本の宅間孝行氏のカラーが全開で、三池監督は上手く乗せられちゃったのかとも思います。
>原作の梶原一揆がいま生きていてこれ観たら怒るんじゃないかな…。
きっと喜んでくれるような気がします。
実弟の真樹日佐夫氏が特別協力として名を連ね、なおかつ(チラリと)出演までしてらっしゃるのは、本作に梶原魂がこもっていることを感じられたからではないかと思います。
この映画がらみで
妻夫木聡インタビューをしたのですが、
その時聞いた話だと、
脚本は、もっとぶっ飛んでいて、
監督が押さえた部分もあるそうです。
なんか、分かる気がするなあ。