----ソフィア・コッポラ監督の新作だよね。
まだ3作目だけど、こんな歴史劇を撮るとは
ちょっと意外な気がするニャあ。
「うん。でも観てみて納得。
これまでの宮廷映画とはまったく異なる。
まず、その色使いからして全然違うんだ」
----へぇ~。どういうところが?
「18世紀を描いた映画で指標となるのは
キューブリックの『バリー・リンドン』。
彼はその室内撮影では、
外光とロウソクの灯だけで撮影することで当時を再現。
確か、そのためにNASAで開発されたレンズを使ったんじゃないかな
ところが、この映画ではライトを大活用。
ポップな明るい世界を作り出している」
----と言うことは、リアリティに欠けているわけだ。
せっかくヴェルサイユ宮殿のロケ許可が下りたのに
もったいないね。
「いや。思うに、
この映画はマリー・アントワネット自身にスポットを当てて
その目に映るもの、体験したことを
心の動きのままに再現しようとしたのじゃないかな。
フォーンはオーストリア皇女だったアントワーヌ(キルティン・ダンスト)、
後のマリー・アントワネットが何歳の時に結婚したか知ってる?」
----え~っと。確かまだ幼かったんだよね。
「彼女はなんと14歳で
フランスの王太子ルイ・オーギュスト(ジェイソン・シュワルツマン)の元へ嫁いでいるんだ。
まだティーンエイジャーで遊びたい盛り。
そんなマリーの目に映るのは、
国王と愛人デュ・バリー夫人(アーシア・アルジェント)がいちゃつく姿や、
それを横目に見るスキャンダル好きの取り巻きたちの下品な会話。
そんな中、彼女は幼い夫ルイが自分を抱こうとしないばかりに、
いつまで経っても世継ぎとなるべき子供に恵まれず、
大きなプレッシャーを感じてしまう。
そこでマリーは同じ年代の取り巻きと遊びにふけり始めるんだ。
自分の世界を楽しむことを決意した
マリーの世界はそれこそガーリッシュ。
どのフレームも、美しい花と大きなケーキで占められている。
映画にはマカロンがたくさん出てくるけど、
それにあわせて
ミント・グリーンやカナリア・イエローといった
いわばキャンディポップが、
この映画の色の基軸となったわけだ」
----ははあ。見えてきた気がする。
つまり、彼女は周囲への反動から
自分の欲望を満たす方向へ向かって行ったわけだ。
「うん。それはルイ15世が
天然痘によって急逝したことでさらに拍車がかかる。
自分が最高位に位置したことで
もはや周囲にはマリーを制御する人はだれもいなくなる。
そのため、映像も彼女の退廃ぶりを写し出し、
明るさの中にも猥雑さが忍び寄るようになってくる。
髪型なんて、その退廃的遊び心の極地。
まるで中に何か入っているのでは?と思われるほど、
マリー・アントワネットの欲望のように大きく膨らんでいるからね。
そんな彼女を見て故国の母マリア・テレジアの心配は深まってゆく」
---それはそうだよね。でも彼女って子供も生まれていなかった。
「うん。兄のアドバイスによってマリーとルイは、
ようやく結ばれるんだ。
かくして長女に恵まれた彼女は、
別荘のプチ・トリアノン宮殿で
ガーニングや動物の飼育に喜びを見いだす牧歌的な世界を送り始める。
子供の教育のためだけでなく、
マリー自身も安らぎを感じたんだろうね。
そこでは、着るものまでもナチュラルなものとなっている」
----そうか。この映画は彼女の心理の推移によって
その衣装や小道具も変わってゆくわけだ。
「そういうこと。
だからこの作品は映画として十分に楽しめる。
リアリティがどうのこうのと言うのは、そこでは関係ない。
音楽も現代のものが使われていると聞いていたけど、
『ムーラン・ルージュ』のように全編がロックと言うのではない。
クラシックもあればニュー・ロマンティックも」
----ニャるほど。シーン、シーンの必要性に応じて使い分けているんだね。
「でもやはりこの映画の最大の功労者は、
マリーを演じたキルティン・ダンストだろうね。
ヴェルサイユ宮殿を去る時の彼女のアップは
それこそ見逃せないよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「目を見張ったニャ」
※とは言え贅沢三昧だ度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
まだ3作目だけど、こんな歴史劇を撮るとは
ちょっと意外な気がするニャあ。
「うん。でも観てみて納得。
これまでの宮廷映画とはまったく異なる。
まず、その色使いからして全然違うんだ」
----へぇ~。どういうところが?
「18世紀を描いた映画で指標となるのは
キューブリックの『バリー・リンドン』。
彼はその室内撮影では、
外光とロウソクの灯だけで撮影することで当時を再現。
確か、そのためにNASAで開発されたレンズを使ったんじゃないかな
ところが、この映画ではライトを大活用。
ポップな明るい世界を作り出している」
----と言うことは、リアリティに欠けているわけだ。
せっかくヴェルサイユ宮殿のロケ許可が下りたのに
もったいないね。
「いや。思うに、
この映画はマリー・アントワネット自身にスポットを当てて
その目に映るもの、体験したことを
心の動きのままに再現しようとしたのじゃないかな。
フォーンはオーストリア皇女だったアントワーヌ(キルティン・ダンスト)、
後のマリー・アントワネットが何歳の時に結婚したか知ってる?」
----え~っと。確かまだ幼かったんだよね。
「彼女はなんと14歳で
フランスの王太子ルイ・オーギュスト(ジェイソン・シュワルツマン)の元へ嫁いでいるんだ。
まだティーンエイジャーで遊びたい盛り。
そんなマリーの目に映るのは、
国王と愛人デュ・バリー夫人(アーシア・アルジェント)がいちゃつく姿や、
それを横目に見るスキャンダル好きの取り巻きたちの下品な会話。
そんな中、彼女は幼い夫ルイが自分を抱こうとしないばかりに、
いつまで経っても世継ぎとなるべき子供に恵まれず、
大きなプレッシャーを感じてしまう。
そこでマリーは同じ年代の取り巻きと遊びにふけり始めるんだ。
自分の世界を楽しむことを決意した
マリーの世界はそれこそガーリッシュ。
どのフレームも、美しい花と大きなケーキで占められている。
映画にはマカロンがたくさん出てくるけど、
それにあわせて
ミント・グリーンやカナリア・イエローといった
いわばキャンディポップが、
この映画の色の基軸となったわけだ」
----ははあ。見えてきた気がする。
つまり、彼女は周囲への反動から
自分の欲望を満たす方向へ向かって行ったわけだ。
「うん。それはルイ15世が
天然痘によって急逝したことでさらに拍車がかかる。
自分が最高位に位置したことで
もはや周囲にはマリーを制御する人はだれもいなくなる。
そのため、映像も彼女の退廃ぶりを写し出し、
明るさの中にも猥雑さが忍び寄るようになってくる。
髪型なんて、その退廃的遊び心の極地。
まるで中に何か入っているのでは?と思われるほど、
マリー・アントワネットの欲望のように大きく膨らんでいるからね。
そんな彼女を見て故国の母マリア・テレジアの心配は深まってゆく」
---それはそうだよね。でも彼女って子供も生まれていなかった。
「うん。兄のアドバイスによってマリーとルイは、
ようやく結ばれるんだ。
かくして長女に恵まれた彼女は、
別荘のプチ・トリアノン宮殿で
ガーニングや動物の飼育に喜びを見いだす牧歌的な世界を送り始める。
子供の教育のためだけでなく、
マリー自身も安らぎを感じたんだろうね。
そこでは、着るものまでもナチュラルなものとなっている」
----そうか。この映画は彼女の心理の推移によって
その衣装や小道具も変わってゆくわけだ。
「そういうこと。
だからこの作品は映画として十分に楽しめる。
リアリティがどうのこうのと言うのは、そこでは関係ない。
音楽も現代のものが使われていると聞いていたけど、
『ムーラン・ルージュ』のように全編がロックと言うのではない。
クラシックもあればニュー・ロマンティックも」
----ニャるほど。シーン、シーンの必要性に応じて使い分けているんだね。
「でもやはりこの映画の最大の功労者は、
マリーを演じたキルティン・ダンストだろうね。
ヴェルサイユ宮殿を去る時の彼女のアップは
それこそ見逃せないよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「目を見張ったニャ」
※とは言え贅沢三昧だ度
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ソフィア・コッポラとの相性いまいちなんだけど
予告の雰囲気で、なんとなくベルバラ?なんて想像しちゃって
密かにこれも期待しちゃってます。
衣装の変化なんかも・・・楽しみだなぁ~
ソフィア・コッポラ、合いませんか?
ぼくはけっこう好きなんだけどなあ(汗)。
でも一作ごとに作風が違うので、
もしかしたら今回はイケるかもですよ。
ベルバラ……。
なるほど言われてみればですね。
ロマンスも少し出てきますが、
あまり重きは置かれていなかったです。
すんなり落ちて来て雰囲気を楽しめました。
心境を語らないキルスティン・ダンストがすごく愛らしかったですね。
ソフィア・コッポラって、
一作ごとに、
異なるアプローチで映画と接している気がします。
いまのところ、
どの作品も自分の守備範囲。
これからが楽しみです。
マリー・アントワネットについて詳しく知らなかったので、この映画のマリーがどうのとは言えないのですが、私にとってこれから先、マリー・アントワネットはキルスティン×ソフィアのマリーになりそうです。
この映画は、
ぼくの中のマリー・アントワネットのイメージを大きく変えてくれました。
それまでの歴史の教科書で植え付けられたものが
視点を少し変えるとまったく違ってくる。
映画はやはりこうありたいものです。
私もソフィア・コッポラの視点には新鮮味があってとても堪能できました。
瑞々しさある映像も気に入りました。
なにより贅沢三昧してるのに嫌味が感じられないマリーなんて初めてでしたから、なんか共感もしてしまったくらいです。
この映画、海外では評判が悪いとか…。
親の七光りを利用したとも言われる
ベルサイユでのロケ。
その割には、歴史考証など無視しているかのような
ぶっ飛んだ映像で、
「じゃあロケの必要性はないじゃないか」ということなのでしょうか?
でも歴史映画全てが『バリー・リンドン』である必要もないし、
ぼくはけっこう楽しめました。
満面の笑みが印象的だった
苦節11年・・・
そこで気力が失せたのか、失速してしまいました^^;
前半の切り口嫌いじゃなかっただけに、この失速感
とっても残念でした。。。
週末は、おばちゃんチップスで気分変えてきます~♪
(って、全然違うジャンルだけど(爆)
この映画、評判悪いですね。
ぼくは、最初から歴史物としては観ていなかったせいか、
そのポップな世界がけっこう楽しめたのですが…。
ケン・ラッセルがチャイコフスキーを描いた映画に
『恋人たちの曲・悲愴』というのがあるのですが、
その中の幻想シーンを思い出しました。