ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『塀の中のジュリアス・シーザー』

2012-11-01 23:27:26 | 新作映画
(原題:Casare deve morire)




----『塀の中のジュリアス・シーザー』
これまた意味深なタイトル。
「そうだね。
実はこれ、
イタリアのパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟の作品。
ベルリン映画祭では金熊賞を受賞。
イタリアのアカデミー賞に当たるダヴィッド・ディ・ドナテッロでも
作品賞を始め主要5部門を受賞している話題の作品なんだ」

----ふうん。
どういうお話ニャの?
「イタリア、ローマ郊外にあるレビッビア刑務所。
ここでは囚人たちによる演劇実習が行なわれている。
毎年、さまざまな演目を囚人たちが演じて
所内劇場で練習の成果たる舞台を
一般の観客に観てもらうんだ。
指導しているのは演出家ファビオ・カヴァッリ。
この映画では、
今年の演目であるシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』の
公演が終わったところからスタート。
囚人たちによるオーディションに始まり、
所内の稽古風景が写しだされていく。
しかも、所内の劇場が工事中ということで、
あらゆる場所を使って稽古は行なわれる。
そう、刑務所自体がローマ帝国へと変貌していくんだ」

----ニャるほど。
ということはドキュメンタリー。
「ぼくもずっとそう思っていたんだ。
ところが、やがておかしなことに気づく。
稽古中に役者同士が
芝居を離れたところの個人的ないさかいを始める。
あるいは、面会のあとで、
芝居に戻ることはできない…。
まあ、それだけならありえる話なんだけど、
それがあまりにもタイミング良く写しだされるものだから、
徐々に疑問が湧いてくる。
『これって、やらせじゃないのか?…』ってね。
その疑惑を増幅させるのが
あまりにもベストのポジションにカメラが置かれていること。
いさかいであれ、落ち込む役者であれ、
それらの場面は、
これ以上ないアングルで捉えられているんだ。
ということで、観ているうちにさらに混乱。
これは虚なのか?実なのか?ってね」

----う~ん。
「さて観終わって分かったのは、
この映画には<脚本>があったってこと。
つまり芝居を演じる彼らは、
また、演じている自分を演じていたワケだ。
演出家ファビオ・カヴァッリもね。
『だから何?』と言いたくなる人もいるかもしれないけど、
これはほんとうにゾクゾクする体験。
オモシロい映画、感動する映画、興奮する映画、泣ける映画…
そういうのはいくつもあるけど、
虚と実の間をゆらゆらと彷徨う、
そういうこれまで味わったことがない体験をさせてもらえると、
もう、それ以上のものは求めようと思わなくなる。
まあ、そこがぼくの弱点でもあるけどね」


フォーンの一言「そういえば、精神病院患者に演じさせる映画というのもあったニャ」ご不満

※それは『マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者によって演じられたジャン・ポール・マラーの迫害と暗殺』のことだ度

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