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RICHARD WRIGHTの俳句(41)

■旧暦9月17日、土曜日、台風20号の風雨で一日家に閉じこもり。

(写真)廃墟になった講堂のようにも見えるが、現役の青果市場である。

ぼくは、原発問題には、ずぶの素人で、技術的な知識はまったくないが、26日に静岡地裁であった判決には、ちょっと、びっくりした。そして、不安になった。浜岡原発訴訟で運転差し止めが認められなかったのである。この問題については、ぼくは、感じるところが2つあった。一つは、国も電力業界も裁判官も、自然を甘く見ていないか、というもの。自然は人間が予測したり管理したり計測したりできる範囲を超える何かを持っているんじゃないか。それを本能的に感じるからこそ、漠然とした不安を持つんじゃないか。科学的に見て、妥当な耐震基準など、ほんの気休めにすぎないように感じる。柏崎刈羽原発でも、自然のそうした「大きさ」が垣間見えたように感じられた。近代人の驕り。これが、判決の背景にはあるように感じる。2つ目は、原発問題は、生命リスクの問題であると同時に、エネルギー問題であり、現行社会のありようを根本的に問いかけるものであること。そして、この問いかけは、グローバリゼーションが進展して相互依存の高まった現代では、一国の問題に留まらない広がりを持っているということ。

リスクの拡大に対応する国際機関は、IAEAだと思うが、原子力の軍事利用から平和利用の促進へという目的上、原発リスクには十分対応できていないように感じる。多国籍エネルギー産業の政治力という問題も裏にはあるのかもしれない。前近代社会に戻すことは、もはや無理であるから(それを主張すれば、歴史を無視した原理主義者と同じ危険性を持つことになる)、エネルギー消費のあり方はこのままでいいのか、原子力代替エネルギーをどうするのか、という問題が問われるように思う。




(Original)
Just before dawn,
When the streets are deserted,
A light spring rain.



(Japanese version)
夜明け少し前
街には人気がない
さっと春の雨



(放哉)
朝早い道のいぬころ


■ライトの作品は心惹かれた。Just before dawnという時間。新鮮で静かな時間。the streets are desertedという、ガランとした感じ。A light spring rainの弾んだ音の感じ。最後の行のaという単語で、一雨という感じが出ているように思った。

放哉の作品、春雨もあったが、定型時代の凡庸な作品だったので、入庵後の句を選んでみた。こちらは、早春の朝の田舎道を子犬が地面の匂いでも嗅ぎながらよろよろ歩いている感じがする。人は出てこないが、犬と人の親密な空気がある。(Click here for my English-version site)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
むずかしいね。 (あきこ)
2007-10-28 13:53:03
この問題はむずかしいね。

遡れば、この「原子力」の研究結果を世に送り出してしまった学者はさぞや苦しんだことだろうと思う。人間は善意の生き物ではないから、この途方のなく危険で強力なエネルギーをどのようにでも使う。

たしかに、国も電力業界も裁判官も、自然を甘く見ていると思う。とても切実で危険な問題をよくもこんなに後回しにできるものだなぁ、と思います。

原子力代替エネルギーの用意が一番急がなければならないことですが、これも対応が遅いし、エネルギーとしてはどれも原子力を超えられない。化学は前進しかなくて、過去に戻ることができない宿命も抱えているように思う。「矛盾」と向き合いながら書きました。お粗末なコメントでごめんね。
 
 
 
同感です (冬月)
2007-10-28 15:20:25
■わざわざ、コメント、恐縮です。

原発は怖いです。首都圏全滅で首都の札幌移転なんていうシナリオもありえるかもしれません。おまけに放射能汚染は広域的だし、何世代にもわたって被害に遭う。東海大地震に対して100%安全とはだれにも言えないはずですから、即時運転停止が普通の感覚だと思いますね。宮崎章という裁判官は、法律は知っていても、普通の感覚が欠如している。そんな気がしましたね。

一方、反原発派には、根本的な代替社会案を提案することが求められているんでしょうね。

少しずつ、この問題を調べてみようかと考えているところです。
 
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