しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

ディファレンス・エンジン

2012-12-09 | 本棚
チャールズ・バベッジの蒸気コンピュータは実現しなかったが、
もし実現していたら人と社会は…


内容(「BOOK」データベースより)
上 
時は産業革命、英国の数学家チャールズ・バベッジによって発明された「差分機関」の完成で、蒸気機関が著しく発達した1855年のロンドン。蒸気が支配する異形の世界で、革命家の娘シビル・ジェラードは謎の紳士との出会いをきっかけに遥かな冒険を夢想し、古生物学者エドワード・マロリーは暴漢に絡まれる女性エイダ・バイロンを救い、国際的陰謀へと巻き込まれる!サイバーパンクの中心的な作家2人が紡ぐ記念碑的名作。

カール・マルクスはアメリカでコミューンを立ち上げ、渡英した福沢諭吉や森有礼たちは、蒸気コンピュータを輸入するために画策する。ロマン派の詩人ジョージ・バイロンは英国で首相となり、詩人ジョン・キーツは蒸気映像作家として活躍する…蒸気機関が夢見る鏡合わせの19世紀で繰り広げられる、幻想と爛熟のモチーフに彩られた傑作歴史改変SF、ここに再臨。巻末にはアイリーン・ガンによる「差分事典(ディファレンス・ディクショナリ)」増補版*を収録。

これ↑を軸に読み進んだが、話が入り組んでわかりづらい。
もう少し補足すれば

近代英仏というのがミソ。
階級の対立闘争、資本家、急進貴族、労働者等に深刻な溝**、各地のラッダイト、市民運動、暴動で街は荒れていた。
物語の舞台がアメリカだったなら、階層の根深さより権利と自由みたいな書き方/読まれ方になったかもしれない(私感)

大まかに:主要人物で3つ
1ラッダイト運動家の娘シビル・ジェラードと
ミック・ラドリー/テキサスの政治家のサム・ヒューストンの広報映像技師(今ならプログラマー)が
フランスに向かう晩
ラドリーは襲われる。彼は一組のプログラム・カードを持っていた。
シビルがある電信を送ったあとのこと。

2エドワード・マロリー 探検家。各国で恐竜発掘の傍ら、アメリカで銃を先住民に流していた。
ダービー会場でレイディ・エイダ・バイロン(機関の女王***)が襲われているのを救うが、マロリーは狙われ追われる。

3ローレンス・オリファント 外交官、著述家。マロリーを救い、一連の事件の背後を、フレイザーらと捜査・調査する。
一方、フランスでは大ナポレオン“機関”が原因不明の不調でうまく走らない。

その合間に、森有礼、福沢諭吉、ウィスキー注ぎ人形(茶運び人形も)…がちりばめられている。
森は最後に重要なポイントになるのだが、
文明開化前の東洋の島国、日本人と純朴な向学心を、“超機関”「京」Kとかアシモの現在に重ね合わせるのもおもしろい。

最後に
後日談として レィディ・エイダとシビルの邂逅、ゾクッときた。
そして、1991年、歯車うごめくディファレンス・エンジン ギクッときた。


史実との違い、ディファレンスを楽しむ作品ってレビューがあった。
史も実も私はさっぱりだが
史実と虚実のドライブ感、推理物好き、歴史好きならハマるだろう。


*森有礼のWikipediaにはローレンス・オリファントの文字はない。
**王室パパラッチ、最近のキャサリン妃へのニセ電話取材なんかも、そう見える。
***S.ジョブズとかB.ゲイツみたいな感じ

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