しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

トリュフォーのも素晴らしかった

2010-10-26 | 本棚
華氏451
映像とバーナード・ハーマン(ヒッチコックの音楽)の効果。
なにより、ジュリー・クリスティを
焚書官Guy Montageの妻とクラリス(カリオストロのではない)の二役にしたこと。
また、少々の古臭さとか細かい象徴をリメイクするくらいなら、
まったく別の作品を撮った方がいいとも思った。※1


が、
そのノヴェライズではない。

映画より“読みづらい”かもしれない。
だけど、一過性の勝ち負け・恫喝で書いたのではないから※2
人の心に静かな感動、言葉の抒情が残る作品。


当時のマッカーシズムへの憤りだという。

政治や思想書けるほどのログでもないから
ここでは言論の制限だの、モラルだのでなく、
「文章と言葉」の見方で。
相手の揶揄で「してやったり」の政治屋みたいなのも愚だ。

芸術芸術がいちばんだとも、決して言わないが
言葉って、それだけのもんじゃない。

本を読むことを禁じられた社会
ビーティ署長の(社会の)概観と
モンターグの思索・葛藤・逃亡
を縦糸に話が進んでいくが

横糸として
文字にしたためられた詩情豊かさの方を書いてみる。
(この本の説得力は、むしろこっちがあればこそだと思う)

言葉は色で、音で、景色である

映像作品だと時間、予算の制限があるが
本を読む人に制約はない。
一級の映像作家が描けなかった画も文字の向こうに浮かんでくる。

sfガジェットはいうにおよばず
(耳の中の通信機による二人羽織な会話・混乱とか)
たとえば、ホンの一節、
逃亡中のモンターグ、刹那
一杯の牛乳、リンゴ、梨。
こんな些細な羅列であっても
自分のペースで噛み締められる。

(いきいきとした日本語訳の文章があってこそなのだが)
その国の言葉で読めたらナンボいいのだろうとも思う。

ペンをとったきっかけが、怒りだが
結びは、Book Peopleが口伝で本を伝え遺す。本は“ガワ”ではない。
だけど、なにより、
文字で著わし遺すことへのBradburyの愛着じゃないかと、わたしは思う。


※1 何年か前、
911原理主義者、相変わらずだなと思いながら、
書いたことがあった。

※2 必ずしも、完結していないし(10/28)
多少荒っぽい部分もあるが、
力の誇示や絶望や不条理を目指していない。

もひとつ、
sfは論文でなく、エンタメだから
逃亡とコミュニティ・新世界
始まったとたん終わった戦争と、復活への歩み。て
読み手(アメリカ人)のツボ、うまくおさえてる書き手にも思える。

またもや、アンディ(イギリス人)
♪XTC - Books Are Burning
http://www.youtube.com/watch?v=_bh8bDjQg84

いもづるで(donna?^^)
電気羊-だの、オーウェルだのもありかもしれないが、
連チャンはきついかも。


ほんのぐうぜん(^^)(10/31)
予告の書棚見たわけでも、当て込んで書いたわけでもなかったのだが
(ウソ臭いがホント。見ていたら、もっと別の書き方していた)
↑のうだうだだらだらながながは、せんじつめればこういうこと↓

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』 - Panasonic Melodious Library
 パナソニック メロディアス ライブラリー - TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 -
http://www.tfm.co.jp/ml/today/index_20101031.html
(残念ながら聞き逃したが)
短いことばでツボを押さえているのは、さすが。

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