月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ヴィンデミアトリックス・69

2022-08-06 05:23:43 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿な女は
いつでも美人にたかりつく
あんな女になりたいと
とにかくきれいになりたいと
吸血鬼のようにとりついて
すべての美を吸い取ろうとする

あれほどきれいになれば
何だってうまくいく
男が全部言うことを聞いて
自分のために何でもする
馬鹿な女はそう考えて
盗んだ美貌に磨きをかける

本当の自分は
汚いことばかりして
とても醜いから
全部ないことにして
あれになる
あの美人になる
頭のてっぺんから足の先まで
全部盗んで
あのきれいな人になる

愚か者よ
それは馬鹿だと
何度言われても目が覚めないか
どうしてもあの美人が欲しいのか
自分がきれいになるためには
どんな汚いことも平気でするか

遠い黎明の大地から
風が吹いてくる
あきれた馬鹿を収容するために
暗い地獄の門が開く

人の美しさを盗んで
世間をだましてきた馬鹿な女は
すべてこの世を追い出される

もう二度と
あんな醜いものは
見たくないと
神にさえ嫌われ
すごすごとこの世を出てゆく




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