神のたなうらより生まれた
無数の蟹の子は
まだ何も知らない
ただ
焦るように動くだけだ
ちよろづの
ちよろづの命よ
すべてを教えてやろう
おまえたちに
喜びを教えるために
うれしいものを
いくらも作ってやろう
蟹の子のために水を
蟻の子のために土を
鳥の子のために風を
ああ
何もかもを
やってやらねばならぬ
おお
動かなかったものが
進みだした
おお
なぜだろうと
考えるようになった
なぜだろう
わたしは
おお
考えるようになった
大きくなる
どんどん大きくなる
おお
とうとう
愛を知った
だが
まだ
何と小さいのだ
おまえたちは
すべてを
すべてを
やってやらねばならぬ
