月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ミンタカ・14

2018-02-13 04:14:45 | 詩集・瑠璃の籠

森が深くなるだろう
感性の進化を見た人間は
これまでのように
簡単に木を切れなくなる

草をむしることにも
心を鬼にせねばならないことを
学ぶだろう
強くなるしかない自分を
それで認識していく

みどりが町に押し寄せるだろう
自分だけを守るはずだった
快適な住居の中に
不思議なものが住み着くだろう

それは小夜啼き鳥のように
人間のそばにいながら
歌うのだ
なつかしい
とうとうあなたに
また会えたと

遠いむかし
いつもあなたのそばにいた
わたしは美しい心なのですと

すべてのひとが救われるのは
難しいとは知っていた
だがわたしたちはいつも
あなたたちのそばにいて
未来を信じていた

あなたたちが心を忘れ
森を殺し始めても
ずっと
また会える日が来ることを
信じていた

なにもかもがよくなってくる
これからは
わたしがあなたの
そばにいるから

森が押し寄せてくる
人間の世界に
鬼と言われて去っていった
美しいものが
人間の世界に帰ってくる





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