かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

マイ タマゴケ クロニクル vol.1

2015-03-23 11:18:27 | コケをめぐる旅
顔に当たる風が気づけば驚くほど暖かくなっていて、
いよいよ春が来たと感じる今日この頃。

道端のちいさな草花や軒先の大きな木々もそれぞれに花を咲かせてにぎやかだが、
コケもご多分にもれず、ひそやかに(いやコケにとしては大々的に!だろう)春を迎えている。


登山や野山を歩くのが好きなコケ好きたちにとって、
この時季にもっとも気になるコケの一つが「タマゴケ」だろう。

「タマちゃん」の愛称がコケ好きの間ではもはや当たり前になっているほど
幅広い層から愛され続けているこのコケは、その名のとおり玉のような球形の群落を作る。
そしてこの時季になると、これまたまん丸な(サク)をつけ、
ひと目見たら忘れられないほどユニークで愛らしい表情を見せるのだ。

春になったらその姿を見ようと、タマゴケ愛好家の間では、
桜前線ならぬ「タマゴケ前線」の北上がこの時季の一大関心事。

かくいう私もタマちゃんファンの一人として桜の開花予報と一緒に
「タマゴケのが出ますよ予報」もニュースでやればいいのにとすら思っている。


欧米ではタマゴケのことを「Apple moss」という。
この時季の丸く膨らんだばかりの若いからその名がついたのだろう。

アメリカのコケ図鑑「Common Mosses of the Northeast and Appalachians」(Karl B. Mcknight,Joseph R. Rohrer,Kirsten Mcknight Ward, Warren J. Perdrizetら共著)
のタマゴケの頁では「若い時の明るい緑色の球形のは、小さなリンゴに似ている」と書かれている。



▲たしかにこの時季の若いは青りんごのよう。の上にちょこんとかぶさる蓋はリンゴの葉っぱに見えなくもない!?(東京都、4月初旬)

リンゴといえば日本人は赤色をイメージする人が大半と思うのだが、
青リンゴを連想するのがいかにも欧米らしい。



▲一方、日本のコケ好きは蓋が取れたあとのこちらのタマちゃんを「目玉おやじ」と呼ぶ。(三重県、4月中旬)


思い返せば、私のタマゴケとの初めての出会いは2008年、真夏の八ヶ岳であった。
コケは気になっていたものの「気になる」程度であったため、タマゴケの存在は知るはずもなく、
そのまん丸な姿をひと目見た時に「何これ!!!」と衝撃を受けたことを今も鮮明に覚えている。
そして下山後、すぐにコケ図鑑を買い求め、それ以来みるみるうちにコケにはまっていった。



▲(ややピンボケで見づらくてすみません)胞子体が球体の群落からツンツンと四方八方から出て、まるで緑の針山だ。(長野県、8月末)


いま見れば、このタマちゃん、すっかりが茶色くなって見頃はとうにすぎているのだが、
コケのことをよく知らなかった当時の私にとって「もしかしたらもしかするとこれは森の精霊かも…」と本気で思わせるほど、
じつに美しく神秘的なオーラをこのコケは放っており、非常にインパクトがあった。



▲若いが青リンゴなら、こちらの古いは焼きリンゴかも。


タマゴケは日本国内なら北海道から九州(ただし屋久島では見られないそうだ)の山地で見られるので、
いまもハイキングや登山でほうぼうの山を訪れるたびにタマちゃんチェックは欠かせない。

次回は、これまで出会ったタマちゃんたちについてさらに詳しく振り返ってみたい。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。