かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

マイ タマゴケ クロニクル vol.2

2015-04-01 06:28:35 | コケをめぐる旅
2008年の夏にタマちゃん(タマゴケ)と初めて出会った私は、
その愛らしい姿にすっかり心をわしづかみにされ、
それからというもの山に入るたびに「タマちゃん、タマちゃん…」と
念仏のように唱えながら(はたから見るとかなり怪しい)再会を試みるのだった。

その後、何度か八ヶ岳を登った際には小さな群落と出会い、
また最初に出会った針山タマちゃん(なんだか人の名前みたいだ)とは
同じ登山ルートを登るたびに再会し、その鞠のようなフォルムに毎回きゅーんとなっていたのだが、
次に衝撃的なタマちゃんと出会ったのは、思いもかけぬ場所、
母の実家がある田舎の山中でのことだった(ちなみにこれまた長野県)。


山の緩やかな斜面に建つ母の実家には、田舎ならではのそこそこ大きな庭がある。
そして庭からは、地続きで裏山に入ることができる。

法事で母の実家を訪れた私は法要を終えて、
久々に顔を合わせた親戚たちが居間で談笑する中をこっそり抜け出し、
また例のごとくコケチェックをしに庭に出た。

 ※コケチェック:コケ図鑑を読むようになってからというもの、行く先々、とくに緑の多い場所へ行くと、
  必ずどんなコケがそこに自生しているのかをルーペと図鑑でチェックするのが習慣となっていた。


庭に配置された大きな岩に付いたコケ、スギなどの樹幹に付いたコケなどをルーペを使って夢中で見る。
ルーペでコケを覗いていると、まるで森に入っているような豊かな気持ちになれる。これが何とも楽しい。
そうして小さな森を見てはちょっと移動、見てはちょっと移動を繰り返しているうちに、
知らないうちにどんどん庭の奥へ奥へと進んでいたらしく、気づけば裏山に足を踏み入れていた。

親戚たちの声が届かない所まできてしまい、これはさすがにまずいだろう。
そう思い、庭へ戻ろうと踵を返したその時だった。

(ん?なにやら強い視線を感じる・・・)

そう、何かにじっと睨まれているような。

(タヌキか!? ま、ま、まさか、、、クマ!!?)

クマと遭遇した自分の姿が頭をよぎり、背筋が寒くなる。
もし本当にクマだったらえらいこっちゃ!
まずは冷静に。そしてクマに背中を向けぬようにせねば!

できる限り物音を立てぬようにおそるおそる辺りを見回してみる。

すると・・・



▲ジーーーーーーッ!

ぎゃ!!!

タマちゃん!! しかもなんと大勢な!!

いままで見たことのない巨大な群落からは、無数の「目玉おやじ」がにょきっと顔を出し、
このおやじ部分だけ見ていると、なんだか、エイリアン襲来、そしてこのままにじり寄られて囲まれて、
最終的には誘拐されちゃうんではないかとすら思えてくるものものしさである。



▲ちょっと引いて見てみるとこんな感じ。大きさは大人の頭部くらいはあった。(長野県、4月中旬)


まさか田舎の裏山で潜伏中のエイリアンと遭遇するとは。
しかし、ビビりつつも不思議とまたいっそうタマゴケに心惹かれてしまう。

あの睨み、キモチ悪いはずのに、なぜだか快感。
むしろ「もっと睨んで!」とさえ思えてしまう。
なんだろう、この感じ。うーむ。これぞタマちゃんマジック!


▲ジーーーーーーッ!


それ以来、あの赤い目玉にまた睨まれたくて、
タマゴケ探しは胞子体が出て(サク)の蓋が取れる春先(4月頃)を狙うようになるのであった。


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