かわいいコケ ブログ  I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、
ブログをはじめました。

苔好き、旅好き、山好き女子の
コケの記録帖です。

山形コケ紀行(その2)&「お知らせ」を2つ

2017-06-15 14:17:45 | コケをめぐる旅

6月もなんやかんやで小忙しい日々を送っております。
あぁ、今年はもうちょっとゆったりとブログが書けると思ってたのに・・・。
気力はまだしもなんといっても体力が追いつかないよ。


<私信>
いよいよ明日の夜は荻窪の書店Titleさんでトークイベントが開催されます。
本物のコケを持って行きますので、もし自分のルーペや霧吹きをお持ちの方はご持参くださいませ!
(もちろん持っていない方のために、こちらからも準備していきます)


----------<お知らせ>----------


●その1:池坊華道の専門誌『華道』にコケ特集

 


オカモス関西支部長Mさんからのご紹介で、池坊華道の門弟の方々が主読者といういけばな専門誌『華道』の取材を受けました。
なんとロケ先は京都の「苔寺」こと西芳寺! 取材当日は取材を受けたというよりも自分が取材に行ったような気分で、
美しい苔庭の写真をたくさん撮って帰ってきました(誌面はもちろんプロカメラマンによる撮影です)。

基本的に一般誌ではないので誌面をご覧になれる方は限られていると思いますが、
このブログを読まれた池坊華道の方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧になってみてください。


  
▲誌面の雰囲気をちょっとだけご紹介。西芳寺のはじめ、いけばなとコケのかかわりなど6ページにわたった贅沢な特集です


ちなみに、池坊華道といえば、その初代家元・池坊専好(いけのぼうせんこう)の半生が描かれた、
現在公開中の映画『花戦さ』が話題。なんでも「いけばな」がテーマの映画というのは世界初なのだとか。
「もしかしてコケも登場しているかしら」と淡い期待を胸に公開初日に観に行きましたが(じつは野村萬斎ファンでもあるもんで)、
やはりテーマはいけばななのでコケは登場せず・・・。でも役者もいけばなも豪華でなかなか面白かったです。



●その2:「『はじめてのコケ観察会』参加レポートin 水元公園(東京都葛飾区)」

日本のこれからの観光の可能性やスタイルを探ることをテーマにしたサイト「観光 Re:デザイン」にて、
コケについての記事を書かせてもらったことは前回に紹介しましたが、
同サイトのスタッフの方が、4月に行われた水元公園のコケ観察会に実際に参加してくださり、そのレポートを書いてくださいました。

このブログでの紹介がまたも遅くなりましたが、少し前から記事がアップされています。ぜひご覧くださいませ。

※記事はこちら→ 



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さて、ここからは山形コケ紀行のつづき。

湧水が豊富なところはコケも豊富だろうと踏んで遊佐町周辺の湧水地巡りに的を絞った今回の山形旅行。
第一目的の湧水地から帰る頃にはすっかり夕方になっていたので、その日はそのままホテルへ。



▲ホテルからの眺め。この日の日本海はとても穏やかで夕日がきれいに見えた


翌日はこれまた義理姉の事前リサーチにちゃっかり乗っかって、湧水の名所に連れて行ってもらう。



▲釜磯海水浴場



▲こじんまりした海岸ながら、砂浜から真水が湧き出ているという不思議な場所






▲浜辺の岩には、私の中の気になる磯の生き物ナンバー1の「フジツボ」がびっしり!



▲海水浴場からすぐの所にある「神子の水(かみこのみず)」。湧水を利用した地元民の共同の洗い場。
 1番上は飲料で、一番下の段は子供のおしめを洗うのに使われていたとか。今も現役で、この日は海藻を洗ったあとが残っていた


道の駅での昼食を挟み、そこから再び車で移動。
今回の旅で一番印象に残った湧水の絶景ポイントへ。






▲角度によってスカイブルーやエメラルドグリーンに見える湧水100%の池・丸池。
 直径約20m、水深5メートルほどで、池の底まではっきりと透けて見える水の透明度





▲ 小さな池ながらなんともいえない神秘的な雰囲気があり、時間に余裕があればもっと見ていたかった。
 地元民からは信仰の対象として「丸池様」と呼ばれているという



▲池のそばにひっそりとたたずむお社





▲さらに丸池から歩いて数分のところにある牛渡川(うしわたりがわ)。こちらの水は無色透明。川岸の所々から水が湧き出しているのが見えた



▲なんと。ここには清流にしか生えないというバイカモの大群落が!



▲近くで見ると、なんだか金色のクジャクの羽で作った織物のようなファンタジーな代物に見え・・・



▲遠目で見ると群落一つひとつがゆらゆらと水中で揺れる様子がなんだか生きもののように見え、
 「ジブリ作品のキャラクターになりそう」とか思ったり・・・って、やっぱりファンタジー




▲牛渡川近くの永泉寺(ようせんじ)。なんともこの土地らしい名前。昔は出羽三山を崇拝する山岳信仰の修行の場だったという
 あまりうまく撮れなかったけど、コケ生す石段があり、手前の樹幹のホソバオキナゴケが大群落だった



そして最後は車で少し移動して、コケ図鑑の担当編集者Eさんもイチオシだった胴腹(どうはら)の滝へ。



▲山の斜面から豊富に湧き出る水がゆるやかな滝状になっている







▲冬でも凍らないことから年中、飲み水用に水を汲みに来る人が訪れるという






▲小さなお社の左右に流れる滝は湿度も安定しているのかとくにコケ生していた




▲胴腹の滝に最近立てられたと思しき看板


景勝地の写真を撮るのが好きな人などにはこういった自然味あふれる景観のムードに水を差す代物かもしれないが、
ただ「じゃまだなぁ」ではなく、そもそもこの看板が立てられるに至った経緯を想像することも大切なのではないかと思う。

何もしないとコケや他の小さな植物が踏みつけられたり、剥がされたりして、
だんだん景観美が損なわれてきた経緯があったのではないか。

この看板は、地元の人がそれだけ長くこの場所を見守り続けており、
大切にしている表れなのだなと私などは逆にちょっとホッとしたのであった。


以上、途中からコケというよりも、ただただ湧水を追っかけていた感のある今回の山形コケ紀行。

家族旅行だったため、コケばかりを一人で眺めているというわけにもいかず、
たしかにもっとじっくり見たかったという悔いも少し残るが、
それでも、ずっと憧れてきたエリアを巡れたという満足感は大きかった。

これを足掛かりに、次回は5月はまだ雪が残っているだろうということで今回は諦めた
遊佐町にほど近い獅子ヶ鼻湿原(秋田県にかほ市)で「鳥海マリモ」をぜひ拝みたいところだ。

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山形コケ紀行(その1)&「お知らせ」を2つ

2017-05-23 16:21:13 | コケをめぐる旅

  
   ▲滝のそばの岩上に生える胞子体が成熟してきたコツボゴケ(2017.5月 秋田県)



----------<お知らせ>----------

●その1:『近所で、旅先で、さらに自宅でも。 じわじわ高まるコケの人気。その理由とは?』

「観光 Re:デザイン」という日本のこれからの観光の可能性やスタイルを探ることを
テーマにしたサイトにて、上記タイトルの記事を寄稿させていただきました。

すでに4月末にはアップされていたのですが、GWに遊びまくったり、連休ボケしていたりして、
すっかりここでのお知らせが遅くなってしまいました(担当者Jさん、本当にごめんなさい~!)。
よかったらぜひご覧になってみてください。

※記事はこちら→ 

ちなみに記事のトップを飾っている画像は、4月に東京・葛飾区の水元公園で行ったコケ観察会の様子。
撮影を快く承知してくださった参加者の皆さん、その節はありがとうございました。

 
▲水元公園でのコケ観察会の様子。いろんなコケの胞子体がちょうど出ていた時季で、楽しかったです。



・・・余談・・・

最近テレビや雑誌などのメディアで「コケがひそかなブーム」という切り口で、コケが紹介されているのを目にする機会が多くなった。
たしかにコケの観察会やイベントにはとても多くの方が興味を示し、参加もしてくださる。

個人的には、コケが好きでコケを楽しむお仲間さんが増えていることは嬉しい。
でも、それはあくまで人間界で起こる事象の一つに過ぎないことであって、
コケたちにとっては自分が注目されているなんて、正直、どうでもよいこと・・・にちがいない(笑)。
 
コケを眺める人が増えようが減ろうが、相変わらずコケは、美しく、神秘的で、ユニーク。そして繊細だ。
もしも、そこに人間の軽率な一手が加わると、いともたやすくいなくなってしまう。

「好き」というその気持ちの根底にあるのは、利己からくるものなのか、それとも相手を重んじる愛からくるものなのか。
私たちがコケに接する時、これからはそんなことを少し考える「ひと呼吸」があるべきなのかもなぁ。

最近、〝ブーム〟と呼ばれる陰でひそかに、そして、大きな問題となっている「コケの乱獲」と「コケの使い捨て」。
上記の寄稿文の結びは、そんなことを思いながら書いたことを思い出しました。



●その2:《祝》『知りたい 会いたい 特徴がよくわかるコケ図鑑』(発行:家の光協会 )が増刷決定!

  


筆者がGWに遊び呆けている間にも、編集者さんらと力を合わせて作ったコケPOP(説明はまた後日!)ががんばってくれたのか、
予想に反して多くの方がこの本を手に取ってくださいまして、発行からちょうど1か月で増刷が決まりました。

ありがたい。

もう本当にその言葉につきます。
ありがとうございます。

なお、本屋さんに行ったのになかったという方はしばしお待ちを。
2刷目は6月初旬頃には店頭に並ぶと思います。


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さて、ここからは山形コケ紀行。


夫の実家が山形県にあり、もうここ何年もゴールデンウィークとお盆には山形県を訪れるのが常になっている。

関西人からすれば、東北というのは近い親戚がいるなど何かしらの縁がないと、
ほとんど訪れる機会がないし、日常生活の中で情報を得るチャンスも極めて少ない。

事実、山形県について興味を持つチャンスがほぼ皆無だった結婚前の私にとって、
「さくらんぼ」、「ラ・フランス」、「だだちゃ豆」という美味しそうかつ高級そうな三大農産物と
「県民が芋煮会に対して底知れない情熱を持っている」(by 秘密のケンミンSHOW)というのが、山形県のすべてだった。

いま思えば、山形県の皆さん、ごめんなさいってかんじであるが、
きっと関西を知らない山形県民からしても、大阪は「粉モン」に「豹柄」だし、兵庫は「おしゃれな港町・神戸」ってな具合で、
これだけインターネットが発達してもなお、遠い土地へのイメージというのは、
しょせん中学くらいまでに見聞きした情報がすべてになってしまうのだと思われる。

しかし、意外や意外、実際に訪れてみると山形県、なかなかどうしてこれが私の心惹かれるコンテンツが満載の県なのである。
たとえば「縄文土偶」をはじめ、「ジオパーク」、「伝統野菜」、「井上ひさし」、「山伏」、「湧水地」などなど。
どうしてもっと早くこの県に目をつけておかなかったのかと悔やまれるが、今さら悔やんでも仕方がない。

その中から今回のゴールデンウィークは「湧水地」に目的を絞り、
鳥海山の麓にあり、湧水で有名な遊佐町(ゆざまち)へ行くことになった。
もちろん、言わずもがな湧水が豊富なところにはコケがあるだろうと踏んでのことである。


奇遇にも、遊佐町は『特徴がよくわかるコケ図鑑』の担当編集者Eさんのご出身地であったことから、
下調べするまもなく、湧水地の情報を事前に得ることができた。

さらにGW前に、たまたまキノコ写真家で東北エリアの森に詳しい新井文彦さんと飲む機会があり、
「鳥海山麓の湧水地ならここへ行け!」というEさんとはまた違った新情報をゲット。

さらにさらに、夫の姉が鳥海山へ毎年スキーに行っており周辺の地理に詳しいことから、
効率よく複数の湧水地の名所を回るコースを考えてくれ、さらには近くの宿も予約してくれるなど、
なんだかもう、今回は旅に出る前から色々と至れり尽くせり状態。

これはもう湧水地が私を呼んでいるとしか思えない。

そして当日、運転免許がない私たち一家(私のみならず夫もない)は、移動も義理姉や義父にがっつりお世話になり、
首からカメラとルーペだけ下げた状態で車中で爆睡していたら、いつのまにか素晴らしい湧水地の入口に到着していたというわけである。

いやはや、おねえさん、こんな私でごめんなさい。



▲目が覚めたら、今回の第1目的地に到着。



▲看板の柱を見ると「にかほ市」とあり、ここは山形県ではなく、ギリギリ秋田県という場所らしい。寝ぼけつつ、片道10分の道のりを歩きだす



▲遊歩道脇の小川。なかなかの水量じゃないか。寝ぼけていた頭もじわじわと覚醒



▲5月初旬の東北は、林床にスミレが群生。「スミレも種の見分けが難しいのだよなぁ」なんてこと思いながら、さらに先へ進む


そして、看板には「10分」とあった道を
スミレやらコケやらを見ながら20分ほどかけて歩いていくと・・・




▲ででーん!と突如現れた大迫力の景色


見ているだけで涼しくなれるこの絶景。岩という岩がコケだらけである。
驚くべきはこの水が上流から流れてきた川の水などではなく、
その場所、その場所から浸み出している湧水だということ。

入口の看板によれば、溶岩が何層にも積み重なってできている鳥海山の地層に降った大量の雪や雨が、
およそ10~20年の時間をかけて、このように山麓のいたる場所に湧水として流れ出ているのだという。

とくに溶岩の縁部分にあたる場所の湧水は水量も多いため、
このような景観も美しい湧水地として有名になっているとのこと。



▲角度を変えて見た様子。青々としたコケが流水に映える


あの岩場にはいったいどんなコケが生えているのかと非常に気になったが、
正直、目測でも向こう岸にわたるには腰以上まで水に浸かるであろうことはひと目でわかり、
さらにこの勢いのよい流れっぷりからして、うかつに近づくのは危険すぎると判断。

早々にコケの見分けは諦めて、ここではひたすらコケ風景を楽しむことにする。



▲近くにはこのような看板もありました。確かに自然環境保護の点からも入るのはご法度。
 でも実際に素人が「川を渡る」のは技術的にもかなり厳しいと思う











ふんだんに水分を含んだみずみずしいコケ、そして耳に心地よい湧水の流れる音、いつまでいても飽きない。
ぼんやり風景を眺めていたら、目の前の岩場にコツボゴケの大群落。ようやく種がわかるコケがいた!(笑)



▲すかさず滝をバックにパチリ


そして、帰り道。行きでは気づかなかったが、靴ひもを結び直すためにしゃがんだら、
スギの大木の足元に胞子体をたくさんつけたコケの群落を発見。





なんだか長く伸びた胞子体の柄が気になって、よくよく見てみると・・・











こ、この子はもしかしてヨツバゴケ!?
まだ胞子体が若くて、ヨツバゴケ(四歯苔)の最大の特徴である4本の蒴歯(さくし)が現れていなかったが、
ためしに1本の胞子体の帽を失敬したところ、まだ未成熟ながら蒴歯の形状がヨツバゴケのそれであった。

さらにもう一つ、ヨツバゴケの特徴となる茎頂部の葉がカップ状になった植物体も発見。





本来なら、このカップの中に粒々の無性芽が詰まっているはずなのだが、
残念ながら今回はそれらしきものが見つからず。

ちなみに、ヨツバゴケの近縁種には「アリノオヤリ」というかわいい名前のコケがあるが、
こちらは胞子体の柄が途中で明らかに「く」の字に曲がるのが特徴。
その点から見ても、今回のコケはヨツバゴケの可能性の方が高そうだ。


ヨツバゴケを自分で見つけたのは今回が2度目。1度目は昨年の8月初旬、山形県内の山中でのことで、
やはり「山形のコケが見たい!」と義父たちせがんで車で連れてきてもらった時だった。

帰宅後、復習のためにも、改めてその時の画像をもう一度よく見直して見ることにする。

すると・・・・・



▲この時は山中の腐木上に生育。すでに胞子体は胞子を出しきって、朽ちつつあるようだった(2016.8月 山形県)



▲ピンボケで見づらい画像で申し訳ないのだが、蒴歯が4つに分かれている(2016.8月 山形県)



▲この時は、カップ状になった植物体が1か所にかたまって、たくさん生えていた(2016.8月 山形県)



▲よくよく中をのぞいてみると、つぶつぶの無性芽が! わかるでしょうか?!(2016.8月 山形県)



▲無性芽は顕微鏡で見ると円盤形だそう(2016.8月 山形県)


できたら今度のお盆休みも、あのヨツバゴケの場所をチェックしに行きたいなぁ。   <つづく>

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奥入瀬コケ紀行 extra : シャクシゴケ / 「コケはともだち」が5刷目に

2016-09-28 11:11:53 | コケをめぐる旅

奥入瀬渓流の森を歩いていると・・・

  
   ▲シャクシゴケの群落

出会いそうでなかなか出会わないこのお方、
以前もお会いしたのはこの森だったと記憶する。



▲葉状体の縁は細かく切れ込んでいる。中肋に沿うように並んでいる黒い点々はラン藻。ルーペ越しに見るとキウイの種のようにみずみずしかった

シャクシゴケは苔類にしては珍しくラン藻と共生しているコケだ。
本種以外に体内にラン藻が共生しているコケは、このコケと同じ科に属するウスバゼニゴケ科のウスバゼニゴケ、そしてツノゴケ類だけである。
さらに手持ちの図鑑によると、葉状体の先端に半月状の無性芽器がつき、なかには金平糖形の無性芽がつまっているのだとか。

でも私が見た群落は、先端にポケットはついているものの、どうも無性芽が中に入っているようには見えず、
もしかしたら今見えているのは、同じく葉状体の先端につくという雌株の生殖器官なのかもしれない。





じつはこの写真、いまやコケ好きの間では必携アイテムとなっているオリンパスのコンパクトデジカメ「STYLUS TG-4 Tough」で撮影した。
数年前から流行しているが、このたび私もようやく手に入れた次第で、使ったのはこの旅が初めて。

少し前までコケ好きの間で使われるコンパクトデジカメといえばリコーの「CX」シリーズがトレンドだったが、数年前に「生産終了」となってしまったため、
「もし手持ちのリコーが壊れたら、次のカメラはどうすればいいんだ!」と路頭に迷っていたコケ好きたちを救ったのが、
「顕微鏡モード」がついて、コケのような小さなものの撮影にも対応したこのTG-4だった。

初めて使ったカメラの撮影記念に。
以上、おまけのシャクシゴケでした。


----- One more extra -----


奥入瀬へ向かう前日、たまたま糞土師の伊沢正名さんと電話で話す機会があり、

「青森へ行くなら、小牧野遺跡へぜひ行ってみてください。僕が協力した展示物もあるから見てみて!」

とおすすめされた。

縄文時代にも大いに興味がある私(しかし知識はないです・・・)は、
それはぜひとも見てみたい!と、Kさん親子にわがままを言ってねぶた祭りが始まる前に連れて行っていただいた。

小牧野遺跡、それは縄文人が作ったとされる日本最大級の環状列石(ストーンサークル)なのであった。



▲直径55メートル。他にも環状列石は、青森県の弘前市、秋田県や岩手県、北海道など各地に遺跡が残っているという






▲「縄文の学び舎 小牧野館」にて、伊沢さんのうんちのコーナー

なぜこの資料館にこの展示?と思ったら、縄文時代は野外でうんちをするのが当たり前で、
そういった排泄物がどのように自然に還っていくかが、伊沢さんが足で、いやお尻で稼いだ克明なデータを基に、
リアルなレプリカを使って解説されていた。なるほど、そういうわけだったのね。



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▲『コケはともだち』(著:藤井久子/監修:秋山弘之/発行:リトルモア


さて、話はまったく変わって。
かなり遅ればせなのですが、少し前に嬉しいニュースがありました。

拙著『コケはともだち』が増刷され、このたびおかげさまで5刷目となりました。じつは7月末から書店に並んでいます。
6月に発行元のリトルモアさんからこの一報がありながら、日頃からブログに書かねばと思っていることが多過ぎて、
ついついこのニュースを書くのが今頃になってしまいました。

この本を手に取るといまでも、

「世間にはコケの美しさ、面白さに気づいていない人があまりにも多過ぎる。コケのことを知れば、その人の人生はもっと楽しくなるはず!」

と、この本の企画書を書いていた当時の、熱い(そしてちょっとおせっかいな?!)気持ちがありありと思い出されます。
そしてページをめくれば、私だけでなく、編集者のTさん、リトルモアの皆さん、監修やイラスト、デザインなど、
この本にに携わってくれた皆様が注いでくれた愛情がにじみ出てきそうです。

これからもどうかこの本が、コケのことが気になり始めた方の助けとなる一冊であり続けますように。

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奥入瀬コケ紀行 その3: 「苔ルーム」に潜入!

2016-09-23 12:54:42 | コケをめぐる旅




9月に入り、机にかじりつきながらコケのことばかりしている今日この頃です。
最近、夢にまでコケのことが出てくるシマツで、「あ、夢にまでコケが出てきた!」と寝ている自分が驚いて、深夜に飛び起きてしまうことも。
まさに寝ても覚めてもコケ状態。好きなことでここまで頭がいっぱいになるって正直、大変。
だけど生きている間に自分の好きなことが見つかり、それに没頭できる環境もあるというのはやっぱりありがたい。
恵まれた日々を噛みしめる毎日です。

さて、そんなわけで同じく「コケのこと」ながら、なかなかブログが更新できなかったのだが、
今日はやっとこ奥入瀬コケ紀行の最終話である。

今回、旅行の直前までその予定ではなかったのだが、まさかのチャンスに恵まれて、
奥入瀬渓流沿いにたたずむ高級リゾートホテル「奥入瀬渓流ホテル」のとある特別なお部屋に泊まることができた。


それはどんなお部屋かというと・・・





こちら!





▲じゃーん! グリーンで埋め尽くされたお部屋!


こちら、同ホテルが企画したこの夏限定の「苔ルーム」である。 →詳細は星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルのHP

この部屋のことは、周りのコケ好きさんたちの間でニュースリリースが発表された当初から話題になっており、
その存在は知っていたのだが、まさか自分が泊まれることになるなんて・・・。

もちろん、親しいコケ友さんたちからはうらやましがられ、
「泊まったからには、その部屋の細部にいたるまで見てきたことをあますことなく報告せよ!」
との任も仰せつかりましたゆえ、ここにそのすべてをご報告させていただきます、ハイ。(笑)


まずは、玄関。





「グリーン系のスリッパ」というのは想定の範囲内だったので驚かなかったのだが、注目すべきはスリッパの先にあった。



▲なんじゃこりゃ!



▲そう、コケの胞子体です


スリッパはただのグリーンのスリッパと見せかけて、じつはコケの群落だったのだ。やられた!



▲履いてみるとこうなります


そして玄関横にある靴入れの上には本物のコケがお出迎え。



▲右にあるスプレーはシュースプレーなどではない。もちろん苔玉を潤すための水が入ったスプレーである


次にバスルームは・・・



▲写真が暗くてちょっとわかりにくいですが、タオルはもちろん石鹸もグリーン、歯磨き粉のパッケージもグリーン(これはたまたま?!)だった


そしてお手洗いは・・・



▲便座の蓋が大地に見立てられ、コケが一面を覆っています(注:もちろんフェイクです!)。



▲よく見るとトイレットペーパーもグリーン


ちなみに後日、この部屋の写真をSNSにアップしたところ、
オカモス関西の重鎮Mさんから「スリッパの胞子体はオオツボゴケでは?」との主旨のコメント。

オオツボゴケとは動物のフンの上に生える、コケの中でも珍しい種類で、いわゆる「糞ゴケ」と呼ばれる類。
たしかにこのスリッパの胞子体は、まだ胞子を飛ばす前の若いオオツボゴケの胞子体に見える。

  ※残念ながら手持ちの写真がないので、詳しく知りたい人は「オオツボゴケ」もしくは同種とよく似た「マルダイゴケ」で検索してみてください。



思わずSNSのコメントを見て、さすがMさん!と唸ったと同時に、
それならばこのスリッパは玄関よりもぜひトイレに!と思った次第である。







さて、玄関周りで長くなりましたが、いよいよ部屋の中に入ります。





















大型家具からちょっとした小物に至るまで、どこもかしこもグリーン系。
よくぞここまで集めたなぁと、部屋を一望し思わず感嘆の声が漏れる。

なお、この部屋を企画した同ホテルのNさんによると、

「初めての試みなのでまだ手探りなところも多いんですが、まず初年はとにかくコケに包まれているような緑の空間を作りたかったのです」

とのこと。

この部屋を作るに際し、アイデアを地元のデザイン系の学生たちに募り、スリッパの胞子体やトイレカバー、ベッドの壁面にかけられたコケ画など、
これは絶対に既製品ではないなと思わせるオリジナリティーの高いグッズは彼らによる制作なのだそうだ。

さらに、ベッドの向かい側にあるテレビ台周りもステキでした。












▲はい、喜んでシュッシュさせていただきます!


ちなみに、ちょっと気になったのがこの空間。
このモコモコのコケ風マット、手触りもよくて、
見ているだけではどうにももったいないのだが・・・
はて、どんな使い道があるだろう?






▲ベッド横のソファからジャゴケ風クッション(クッションカバーの質感が似ている)を持ってきて、上の棚から読みたい本をチョイスして・・・



▲こんなふうに利用してはどうでしょう


さらに苔ルームを出ても、このホテルのコケ尽くしは終わらない。



▲フロントで受付係の方々が使っているパソコン



▲コケが全面を覆わず、まだ土部分が見えているところが逆にリアル



▲お土産物コーナー。「苔涼し」は数年前に訪れた時にもあったコケスイーツ。もはや定番なのだろう



▲ちなみにこちらが中身。奥入瀬渓流のコケむす岩をイメージしたクルミ入りの砂糖菓子だ



▲さらにその横には、新たなコケスイーツが増えていた!



▲和菓子もあれば、洋菓子もあり!




▲丁寧な断り書きが・・・





▲さらにさらに、お土産物コーナーの目立つところにはビクセンとコラボレーションして作られたコケ観察グッズまで




▲もちろん苔ルームにも置いてあり、自由に試用できるようになっていた

 
   ※なお、このコケ観察グッズは「おいけん」で通販もしている模様。詳細についてはこちらへ → 


読んでいる方もだいぶお腹いっぱいになってきたかと思われるが、まだまだ終わりません。
こういった有形のもの以外にも、先述のNさんをはじめコケに詳しい同ホテルのガイドさんの案内で趣向を凝らしたコケツアーも用意されており、
宿泊者のやる気次第で、さらにディープなコケ世界に足を踏み入れることも可能なのである。



ちょっとこの画像では見づらいが、早朝5時からの「渓流モーニングカフェ」も前日からすでに予約で満席。
奥入瀬の自然を体感したいという宿泊者たちのモチベーションの高さがうかがえる。





また、さらにホテルでは毎日「森の学校」と銘打った地元ガイドによる座学の講座も開催されている(無料)。
基本的に夜開催なので、昼間に別のガイドツアーの予定を入れている人でもこの講座を聞くことができる。
星空講座などは屋外で実際に夜空を観察をしながら行われたりもするのだそう。





普段、旅行するといってもこのような高級リゾートホテルに泊まり慣れていない私は、正直言って宿泊費が高い!と思っていたが、
宿泊者がこのホテルでどのように過ごしたいか、よりよい選択ができるように設けられた幅広いサービスのための価格設定なのだとちょっと納得した。


ホテルをチェックアウトしたあと時間があったので、フロントロビーから1階下に降りてみた。
そこは間仕切りもなく広々とした空間で、地元にちなんだアートを紹介するスペースが設けられていた。
さらにそこからホテルの敷地内の林へと出ることもできるし、屋内の椅子に座ってガラス越しに緑を楽しむこともできる。



▲最近新しく設けられた展示物。看板を読むと、当の展示物は屋外にあるとのこと



▲コケむす板?!いえいえ、これはかつて奥入瀬渓流に置かれていた「苔テーブル」でした



▲2012年秋に訪れた際に撮影した、在りし日の苔テーブル


青森滞在最後の夜は、地元ガイドのKさん親子にねぶた祭りに連れて行ってもらった。

人生初体験、聞きしに勝る「ねぶた」の大迫力。
老若男女がそろいのハッピを着て、跳人(はねと)たちが練り歩き、
沿道からは見物客たちの威勢のよい「ラッセラー」の掛け声があちこちで響く。

5日間続くこの祭りが終わることは青森県民の夏が終わるのと同意であるという。
祭りの終わりをさかいに、気候も不思議と秋めいてくるのだそうだ。


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奥入瀬コケ紀行 その1 : 4時間で200メートルの旅

2016-08-19 16:27:08 | コケをめぐる旅

▲アオモリサナダゴケ (2016年8月 奥入瀬渓流)


この夏は夫の仕事の都合もあって8月初旬にまとまった休みを取り、青森県の奥入瀬渓流へ遊びに行った。
2012年に初めて訪れて以来、今回が人生5回目の奥入瀬である。

昔から旅行が好きで、人生の限りある時間とお金を私はできるだけ世界の色々な所を見て回るのに使いたいという旅行者タイプであり、
決して同じ場所を何度も訪れる旅を好む人間ではないと思っていたのだけれど、屋久島と奥入瀬だけは別格だ。何年かに一度は無性に訪れたくなる。

それはなぜなのかと考えてみたところ、やはり一番はその場所の自然環境が醸し出す独特の雰囲気みたいなものに強く惹かれていること、
そしてもうひとつ大事なポイントとしては、心惹かれるけれどそれをいまだ上手く言い表わせずにいる私に寄り添って、
一緒に答え探しに付き合ってくれる人々がそこにいるからだと思い当たった。

ちなみに屋久島はここ15年ほどで6回、今月末で7回目の訪問となる予定。
日に日に楽しみなのであるが、その前にいま抱えている大切な仕事に目途をつけなくてはと焦る毎日でもある。


さて、ありがたいことに今回の旅も、地元の自然ツアーガイドであり、
〝私の奥入瀬の妹〟と(勝手に)呼んでいるEさんが連日私たち一家をアテンドしてくださった。

初日は同じく地元ガイドのNさん宅に泊めていただき、夕方から庭で宴会、そのままの流れで夜中には星空観察へ。
奥入瀬渓流にほど近く周りに民家が数軒しかないNさんの自宅の庭では、夜空を見上げると天の川がはっきりと見えた。
夏の星を数えていたら大きな流れ星も通りぬけ、私たちは声をあげて大興奮。
星の世界もなかなか奥が深そうだが、名も知らぬ無数の星たちを眺めているとやっぱり興味が湧いてしまう。



▲初日に私たち一家を泊めてくれたNさん宅の庭で見つけたカタツムリ。見たことのない殻の形をしていた



▲宴会に地元の写真家Ⅰさんが持ってきてくれたコブつきのミズ(山菜)


翌日は午前中にMさんのガイドで十和田湖のカヌーツアー、
午後からはKさんのガイドで森歩きツアーを楽しんだ。

Kさんとは、じつは「NPO法人 奥入瀬自然観光資源研究会」の代表理事であり、
この春に『奥入瀬自然誌博物館』という本を上梓した河井大輔さんのことである(ちなみに本のデザインを手がけられたのはカヌーガイドのMさん)。
この本は自然に興味がある人にとっては大変面白い内容で、私の中ではここ数年読んだ本のなかで印象に残る本ベスト5には確実に入る本である。

本の背表紙を閉じた時には私はすっかり「河井大輔ファン」になっており、
せっかく今回もツアーをお願いできるのだからと旅行の数日前には再度この本を読み込んで当日に臨んだ。

この本の魅力については今ここで書くと長くなるので、このあとの記事でゆっくりと語らせていただこうと思う。
 ※ちなみに発行当初に、コケ友Yさんもブログでもこの本の感想を書いていて、激しく共感したものでした。



▲十和田湖をカヌーでめぐる




▲午後からは奥入瀬渓流の森へ


さて、河井さんと奥入瀬渓流の下流域にある「石ヶ戸休憩所」で待ち合わせ、まずはその辺りを歩こうということになった。

最初は奥入瀬渓流が今回初めての夫にカリスマガイド・河井大輔の解説をぜひとも聞いてもらいたい!と
夫を河井さんの前へ前へと積極的に促していたつもりだったのだが、
いつのまにか途中から私が河井さんを横取り(?)し、Eさんも巻き込んで3人でどんどんミクロの世界へ。
今思い出しても何きっかけでそうなってしまったのかわからない。

でも気づくと4時間近く森にいて、たった200メートルほどしか移動していないのだった。
夫はあきれを通り越してなんとやら…だったろうが、なんせ私はこの200メートルの間ほとんど地面に集中していたので、
実際に彼がどんな表情をしていたのかはわからない。毎度のことだがこんな私で申し訳ない、夫よ。

そして謝っていながらなんだが、やはり森の足元は私の心をわしづかみするような不思議に満ちていて、
地面から一時も目が離せず、たった200メートルの移動でも十分満足のミクロトリップができたのだった。






▲「河井さん横取り事件」のきっかけは、薄暗い森の中で明るく輝く「アオモリサナダゴケ」を見つけたからか、はたまた美しいキノコが目に留まったからだったか…



▲地面に落ちたホオノキの実にだけつくという「ホソツクシタケ」。若い時は白く、成熟するとこのように黒くなる



▲こちらは落ち葉からニョキニョキと「オチバタケ」



▲高々と無性芽を突き上げる「エゾチョウチンゴケ」






▲コケマットの上には小さなシダたちの群生



▲マットなグリーンで葉の上に毛が生えている「カラクサシダ」



▲こちらは「コケシノブ」(という名前のシダ)。珍しくソーラス(胞子嚢群)をつけている






▲コケよりさらに小さい変形菌たち


そしてこの日、いちばん驚いたのはこちら。



▲(ちょっとピンボケしていますが)地面から長~いマッチ棒?!



▲「そっと掘り起こしてみて」と河井さんに言われEさんが掘ってみると



▲キノコかなとは思っていたが、まさか冬虫夏草だったとは!正体はカメムシに寄生する「カメムシタケ」だそう



▲宿主となったカメムシ


森で出会ういかなるものについても、河井さんは当たり前のように熟知しており、
彼らに向けるまなざしは、まるで子どもの成長を長く見守ってきた親のようである。
そして私見ながら、私が奥入瀬を訪れるたびに、この河井さんの森の生き物たちに対する「親度」はカクジツに増している。
親にもいろいろいるが、河井さんは心温かくも冷静沈着な親である。
だからこそ、あのような本が書けたのだろうなと思う。 (つづく)



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「おとなのためのコケ講座」@みえむ

2015-11-22 07:58:45 | コケをめぐる旅
いよいよ昨日から京都府立植物館で「苔・こけ・コケ展2015」が開催されているが、
初日ですでに来場者は1000人を超えているとかで、かなり盛況とのこと(すばらしい!)。

自分はこの企画展のためにここ1週間は会場の展示物や物販の準備に追われていたのだけど、
じつは他にも今月はいろいろとコケ活動があり、充実した1か月になっている。

その第1弾は、11月7日(土)に三重県総合博物館(通称:MieMu/みえむ)で行われた「おとなのためのコケ講座」に参加してきたことだ。
「おとなのための」だなんて、なんてステキな響き!と案内が出されて早々、意気揚々と申込んだはよいものの、
よくよく調べたら現地に行くのに2時間半かかることを知り(しかも前日に…)、当日は午前10時の開催に間に合うよう午前7時には自宅を飛び出たのだった。


▲三重県総合博物館の最寄駅は津市。駅前のロータリーからバスに乗り、博物館までは5~10分ほど。



▲三重県総合博物館。


平成26年4月にオープンしたみえむはオープンしてまだ1年半ということで、とてもきれいな施設だった。
そしてコケがテーマの本格的な講座はオープン以来、今回が初めてだったのだとか。


▲講師は若手女性研究者のMさん(嬉しいことにMOSS‐Tシャツを着てくださっていた!)。


今回の講座は博物館の敷地内にあるコケを採取して、顕微鏡で見て図鑑と照らし合わせてみるという内容だった。
まず「コケとは何か?」という基礎的なレクチャーを座学で受けたあと、野外に出てMさんが作られた「コケマップ」に沿って7種のコケを採取する。

この日の参加者は11人。コケ初心者の方が大半を占め(とはいえコケ以外の植物や自然に詳しい方が何人もいらっしゃった)、
さらにクマムシなどコケの中のムシについて調べている方や、東京からわざわざ夜行バスに乗って(!)こられたコケ友のTさんがいて驚いた。


▲まずは敷地内の明るくて土が軟らかめの盛土に生えるコケを採取する。さて、何種類のコケがいるでしょう?



▲いろいろなメンツが見えてきた。



▲コスギゴケ。



▲ケヘチマゴケ。



▲ユミゴケ(これはコケマップのリスト外)。



▲次に踏みしめると靴に水がしみてくるような、水分の多い土壌にて。ウマスギゴケを採取。



▲さらに日陰がちな雑木林のなかへ。



▲ここではコカヤゴケを採取。他にヒメタチゴケの大きな群落からも一部を採取した。



▲日当たりの良い場所に生えるギンゴケを見つけに行く途中に生えていたネジグチゴケ。
 裸地の中でひときわ目立っていた赤い柄がコケ好きたちの目にとまらないわけがなく、しばし撮影タイム。



▲はまだ若く、これから成熟していくようだった。この秋中に胞子を飛ばすのか、いや次の春に向けて準備中という感じかな?!


昼食を食べた後は、いよいよ顕微鏡でコケ観察。

Mさんいわく、
「今日はこちらで先に何ゴケかを教えてしまっていますが、本来はコケの名前を調べる時は、
 まずは図鑑とコケを見比べて『絵合わせ』をすることが大切です」
とのこと。

今回、図鑑は「原色日本蘚苔類図鑑」 (保育社 ※現在は廃版) と「日本の野生植物―コケ」(平凡社)が、
顕微鏡は、実体顕微鏡と静物顕微鏡が参加者一人ずつに用意されていて、顕微鏡のセットの仕方から教わった。



▲上から時計回りにウマスギゴケ、ヒメタチゴケ、コスギゴケ。こう見るとコスギゴケのなんと小さなこと!


採取後に採取袋(クラフト紙)に入れておいたコケたちは、
たいがい紙に水分を奪われてこのように乾燥しているため、
まずは水滴を落として元の状態に戻す。



▲実体顕微鏡で見たコスギゴケの(帽をかぶった状態)。


何においてもそうだが、コケの同定をするときも判断するための材料が多いに越したことはない。
このように胞子体のついたものが見つかればラッキーだ。

それにしても久々に顕微鏡で見たコスギゴケの帽は、えもいわれぬきめ細やかで美しいつくり。
当たり前だが、これって人や虫がつくったわけではなく、コケ自身がつくり出したものなのだ。

毎回のことながら、顕微鏡下のコケの世界には生命の神秘を感じてしまう
(と同時に、しばらく見ていると「なんかヴェトナム風揚げ春巻っぽい」と神秘のカケラもない想像も膨らませてしまったワタクシ。コスギゴケよ、ごめん・・・)。



▲こちらは生物顕微鏡で見たヒメタチゴケ。

実は私はこの日、大阪で友人の結婚パーティーが夕方からあったため、ここでタイムオーバー。
泣く泣く途中退室することに・・・(なんせ、2時間半かかるんで!)。

参加者のみなさん、7種類すべて観察できたかな。
次回はじゅうぶん時間に余裕を持って参加したい。


なお、Mさんが最初の自己紹介でご自分がコケを意識するようになった
きっかけを話してくださったのがとても印象に残ったので最後に書き留めておきたい。

Mさんは小学2年生の時に、教科書に出てきた海外児童文学「むぎばたけ」(アリスン・アトリー著)のなかで、
ハリネズミのねぐらがふかふかのコケのベッドだったという一文を読んで以来、コケに目覚めたのだという。
私自身は文系で、国語が好きだったということもあり、このエピソードにとてもほっこり。

しかしよくよく考えれば、Mさんはまだ10代にもならない時分から、物語に出てくるたった一文でコケに目覚め、
現在に至るまでそのままコケの道をまっしぐらに進んでこられたのだから、そのコケへの情熱たるや計り知れないものがある。

でもきっと、本来、質の高い物語というのは物語の主題とは関係ないような部分にまで、
そこかしこに子どもの想像力を広げてくれる装置が仕掛けられているものなのかもしれない。
そして著者でさえ予期しないようなところで小さな読者の心を心地よく刺激し、
読者が大人になってもなお心のよりどころとなり続ける存在なのだ。

Mさんをそんな気持ちにさせ、いまもコケ研究の原点となっている「むぎばたけ」、近々ぜひ読んでみたいと思う。

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青い森へ再び。

2015-08-29 10:56:51 | コケをめぐる旅

▲奥入瀬渓流にて。オシダに光が宿る


「毎日暑すぎる…」「暑くて寝れない…」と暑さに文句を言っているうちに
8月が終わっていくような気がしていたが、数日前からようやくホッとひと息つける涼しさが戻ってきた。

いや、空は日に日に透明度が増してきているし、
夕方の雲はなんだかちれぢれとしたものがたくさん浮かんでいる。

風が吹いたときの匂いはなんだか生き物が土に還っていくような感じがして、
これはいよいよそこまで秋がきているのだと、夏の終わりに少しさみしくもなる。

でもとりあえず8月中にブログが更新できたので何よりです。


この夏は例年になくたっぷり休みを取り、旅を満喫することができた。
というのもお盆帰省で夫の実家がある山形へ行く前に、さらに北上して青森へ。

私が今住んでいる関西からだと、山形へ行くにも青森へ行くにもそれぞれ交通費にウン万円かかるのだが、
ふと思い立って調べてみたところ、山形―青森間は新幹線と在来線を乗り継いで1万円ちょっと。
乗車時間も約3時間ですむと知り、今回は山形へ行く前に急きょ青森旅行をねじこんだのであった。

行き先はもちろん、秋田県との県境にほど近い十和田湖を水源とする「奥入瀬渓流」。
約2年ぶり、人生4度目の奥入瀬である。


今回はコケも楽しみたかったが、それ以上に夏の奥入瀬渓流という、
そこかしこに生命力が満ち溢れる青々とした森をしっかりと体感したかった。

というのもいままでの奥入瀬訪問では「木を見て森を見ず」ならぬ
「コケ見て森を見ず」状態であったから(なんとも森に失礼でお恥ずかしい…)。
今回は4度目ということもあるし、あえて意識は青い森の上へ上へ。









ふー。森の空気を胸いっぱい吸い込むだけで、なんだか心が生き返る。

奥入瀬渓流とは、奥入瀬川の水源・十和田湖にほど近い子ノ口(ねのくち)から焼山(やけやま)までの全長14kmのエリアのことで、
約200mの高低差のある渓流沿いには、トチノキ、カツラを中心とした落葉広葉樹林の森が広がっている。


▲トチノキ




▲若い葉は5枚。手を広げたような形で、各葉の根元は1か所に集まっている


▲よく似ているがこちらはホオノキ。朴葉焼きの料理でもおなじみの葉っぱ。
 葉は車輪状につき各葉の根元が離れているところがトチノキと見分けるポイントだ



▲こちらはカツラの大木




▲丸い葉は秋になると濃い黄色に紅葉し、さらに落葉間近になるとカラメルのような甘い香りがする。
 この香りさえあればシロップなしでホットケーキが食べられるほど、私はこの香りが大好き(笑)



▲川向こうの木々の足元に茂るのはヤグルマソウ


▲園芸品種はひょろっと伸びた茎に青やピンクの花をつけるが、野生種は葉がとても大きい



▲シダの一種、ミツデウラボシ。「ミツデ」の名の通り本来は三つ葉だが、北国では単葉になるとか。
 葉の裏のソーラスが星に見立てられて「ウラボシ」なのだが、パン好きの私には「カイザーゼンメル」に見える…
  (カイザーゼンメルのフリー画像が見つけられなかったため載せられませんが気になる方は検索してみてくださいマセ)


しかしやっぱり足元も気にせずにいられないのが、コケ好きの悲しき性。

いつの間にかうつむき、うつむき歩いていたところ、
案内してくださっていた現地のネイチャーガイド・Kさんが、
「ここがおもしろいですよ」と腐木が積まれた一帯を指さす。




Kさん 「コケ以外にもいろんなやつがいるんです。今日はいるかな~」

さっそくルーペを取り出し、のぞきこむKさん。

私 (お、なになに? なにがいるの!?)

うずくまる私たち。



▲お、いた!やっぱり腐木といったらコケ!チョウチンゴケの仲間かな


▲(ブレブレですが)こちらはアオモリサナダゴケ。東北で多く見られ、青森県で最初に見つかり記録されたことが名前の由来


▲クモの繭(卵のう?!)


▲キセルガイ


▲腐木の上にはツルアジサイ、オヒョウ、アイコ(東北ではイラクサのことをこう呼ぶ。猛毒)など。



▲お、粘菌?!


▲あ、こっちにも粘菌だ!(ブレブレですみません)



▲白い粘菌


▲オレンジの粘菌。コケの上についている!


▲この粘菌、腐木と土のはざまに生えていたヒラハイゴケ(他のコケも混じっています)に付き、優雅に胞子を飛ばしている模様


▲あれ?! コケでも粘菌でもないものが何か見えますよ


▲おそらくコヤガの幼虫とのこと。からだに粘菌を身にまといながら、なんと粘菌をむしゃむしゃ食べていた!
 (正確にいうと粘菌を身にまとっているかは不明だが、からだの色が同化していた)

朽ちかけた木片の隙間に、湿ったやわらかい土にうずまるように、
ひそやかに生きるミクロサイズの生きものたち。
その生き様のどれもが私の想像を超え、なんと不思議で愉快なこと!
一つ一つがキラキラとまばゆい宝石のように輝いて見える。

腐木とは、木が「死」を迎えたあと、土に還っていく過程の姿だ。
しかし、その「死」のまわり、上も下も、朽ちかけているからだの中さえもが、
小さな生きものたちにとっては人生ドラマの舞台であり、
無数の小さなものたちがその場所で命を燃やし、輝いては、消えを繰り返す。

大きなものの一つの死の足元で、一日のあいだに何度も、数時間の間に何度も、
人間の目ではとうてい捉えきれない数とサイクルで、小さなものたちの生と死が交錯する。

そして彼らに居場所を与えている大きな腐木もまた彼らの手を借りながら、
大地に還り、いつしか完璧な土へと完成していく。
なんという美しいシステムだろう。

腐木が、そしてそこに潜む小さな生きものたちの営みが、
生命の不変の真理を教えてくれる。

私は彼らの姿をひと時も見逃すまいと
時間も忘れてルーペの先を見つめ続けた。


◆今回もコケ絵日記を描いてみた。この感動を忘れぬうちに・・・

  

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マイ タマゴケ クロニクル vol.3

2015-05-11 13:52:37 | コケをめぐる旅



さて、のびのびになっておりました「タマゴケ クロニクル」の最終章。
待っていてくれた人がいらっしゃるか否かはわかりませんが、遅くなってしまいすみませんでした。


春先のタマゴケ「タマちゃん」を待ちわびるようになって気づいたのは、
周囲のコケ友さん、またコケ好きの方の話に耳を傾けていると、やはり私と同じように
タマゴケが胞子体をつけるのを心待ちにしている人がとても多いということなのだった。

春にコケ好きが集まると、どんな場所でタマちゃんと出会ったか、どんな群落だったか、
いかにかわいかったかと、タマちゃん談義に花が咲く(いや「胞子が咲く」か!?)。

コケ好きじゃない人にはにわかに信じられないかもしれないが、
コケ好き同士でタマゴケの話をし始めたらコーヒー1、2杯の時間はじゅうぶんに間が持つ。

それほどにタマゴケのあの色、形、たたずまいは、コケ好きの心をくすぐる。
タマゴケはもはやコケ界のアイドル的存在なのだ。


そしてここ数年、私はアイドル・タマちゃんを追っかけて西へ東へ。
次第にどんな場所に行けばタマちゃんに会えるのか図鑑を見ずともコツがつかめてきた。




▲三重県にて。4月中旬。



▲近づいてみると・・・いました、目玉おやじ!





▲タマゴケに出会うなら低山へ。山道ぞいにひそんでいることが多い。東京都4月上旬。



▲おぉ!巨大群落!



▲しかし、とうてい手の届かない高さ・・・高嶺の花ならぬ高嶺のコケ。



▲4月上旬の東京のタマちゃんはまだ青リンゴ状態でした。




▲こちらは山形県のタマちゃん。毎年GWに訪れる夫の実家の近くの裏山。



▲手のひらよりも大きな群落。崩れやすそうな土の斜面によくくっついていられるなぁ。



▲桜前線と同じくタマちゃん前線も南から北上、東北の見ごろは4月下旬から5月あたりなのかもしれない。



▲ちなみにこれは今年のGWの様子。
 今年は全国的に夏の陽気で、同地も10日間連続の晴天。
 残念ながらタマちゃんはすっかり乾燥してアイドルらしからぬうらぶれた姿に・・・


最後に。ここ最近の新しいタマゴケトピックとして、
このかわいいタマちゃんを脅かす、
おそるべき菌類がいることも記しておきたい。

それは「タマゴケ寄生菌」と呼ばれ、タマゴケの雌株に寄生して、
本来、胞子体が出るべきところを菌糸で覆ってしまうというのである。

もしタマゴケの群落から真っ白い柄が何本も伸びていたらご注意を。
それはタマゴケ寄生菌の可能性が高い。
(写真で紹介したかったのですが、ざっと探したところ手持ちの中からは見つからず…)

なおこの菌についての詳しい話は、Google等で「タマゴケ 菌」で検索してもらうと、
日本植物分類学会が公開している「ニュースレター No. 47」の16ページ目に
コケを研究している学生Oさんが寄稿された文章が読める。

また、自然科学系雑誌「このは」(文一総合出版)でも「コケに寄生する菌類」のタイトルで
コケ研究者のAさんがタマゴケ寄生菌について触れられている。

ご興味がある方はぜひ読まれたらよいと思う。

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マイ タマゴケ クロニクル vol.2

2015-04-01 06:28:35 | コケをめぐる旅
2008年の夏にタマちゃん(タマゴケ)と初めて出会った私は、
その愛らしい姿にすっかり心をわしづかみにされ、
それからというもの山に入るたびに「タマちゃん、タマちゃん…」と
念仏のように唱えながら(はたから見るとかなり怪しい)再会を試みるのだった。

その後、何度か八ヶ岳を登った際には小さな群落と出会い、
また最初に出会った針山タマちゃん(なんだか人の名前みたいだ)とは
同じ登山ルートを登るたびに再会し、その鞠のようなフォルムに毎回きゅーんとなっていたのだが、
次に衝撃的なタマちゃんと出会ったのは、思いもかけぬ場所、
母の実家がある田舎の山中でのことだった(ちなみにこれまた長野県)。


山の緩やかな斜面に建つ母の実家には、田舎ならではのそこそこ大きな庭がある。
そして庭からは、地続きで裏山に入ることができる。

法事で母の実家を訪れた私は法要を終えて、
久々に顔を合わせた親戚たちが居間で談笑する中をこっそり抜け出し、
また例のごとくコケチェックをしに庭に出た。

 ※コケチェック:コケ図鑑を読むようになってからというもの、行く先々、とくに緑の多い場所へ行くと、
  必ずどんなコケがそこに自生しているのかをルーペと図鑑でチェックするのが習慣となっていた。


庭に配置された大きな岩に付いたコケ、スギなどの樹幹に付いたコケなどをルーペを使って夢中で見る。
ルーペでコケを覗いていると、まるで森に入っているような豊かな気持ちになれる。これが何とも楽しい。
そうして小さな森を見てはちょっと移動、見てはちょっと移動を繰り返しているうちに、
知らないうちにどんどん庭の奥へ奥へと進んでいたらしく、気づけば裏山に足を踏み入れていた。

親戚たちの声が届かない所まできてしまい、これはさすがにまずいだろう。
そう思い、庭へ戻ろうと踵を返したその時だった。

(ん?なにやら強い視線を感じる・・・)

そう、何かにじっと睨まれているような。

(タヌキか!? ま、ま、まさか、、、クマ!!?)

クマと遭遇した自分の姿が頭をよぎり、背筋が寒くなる。
もし本当にクマだったらえらいこっちゃ!
まずは冷静に。そしてクマに背中を向けぬようにせねば!

できる限り物音を立てぬようにおそるおそる辺りを見回してみる。

すると・・・



▲ジーーーーーーッ!

ぎゃ!!!

タマちゃん!! しかもなんと大勢な!!

いままで見たことのない巨大な群落からは、無数の「目玉おやじ」がにょきっと顔を出し、
このおやじ部分だけ見ていると、なんだか、エイリアン襲来、そしてこのままにじり寄られて囲まれて、
最終的には誘拐されちゃうんではないかとすら思えてくるものものしさである。



▲ちょっと引いて見てみるとこんな感じ。大きさは大人の頭部くらいはあった。(長野県、4月中旬)


まさか田舎の裏山で潜伏中のエイリアンと遭遇するとは。
しかし、ビビりつつも不思議とまたいっそうタマゴケに心惹かれてしまう。

あの睨み、キモチ悪いはずのに、なぜだか快感。
むしろ「もっと睨んで!」とさえ思えてしまう。
なんだろう、この感じ。うーむ。これぞタマちゃんマジック!


▲ジーーーーーーッ!


それ以来、あの赤い目玉にまた睨まれたくて、
タマゴケ探しは胞子体が出て(サク)の蓋が取れる春先(4月頃)を狙うようになるのであった。

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マイ タマゴケ クロニクル vol.1

2015-03-23 11:18:27 | コケをめぐる旅
顔に当たる風が気づけば驚くほど暖かくなっていて、
いよいよ春が来たと感じる今日この頃。

道端のちいさな草花や軒先の大きな木々もそれぞれに花を咲かせてにぎやかだが、
コケもご多分にもれず、ひそやかに(いやコケにとしては大々的に!だろう)春を迎えている。


登山や野山を歩くのが好きなコケ好きたちにとって、
この時季にもっとも気になるコケの一つが「タマゴケ」だろう。

「タマちゃん」の愛称がコケ好きの間ではもはや当たり前になっているほど
幅広い層から愛され続けているこのコケは、その名のとおり玉のような球形の群落を作る。
そしてこの時季になると、これまたまん丸な(サク)をつけ、
ひと目見たら忘れられないほどユニークで愛らしい表情を見せるのだ。

春になったらその姿を見ようと、タマゴケ愛好家の間では、
桜前線ならぬ「タマゴケ前線」の北上がこの時季の一大関心事。

かくいう私もタマちゃんファンの一人として桜の開花予報と一緒に
「タマゴケのが出ますよ予報」もニュースでやればいいのにとすら思っている。


欧米ではタマゴケのことを「Apple moss」という。
この時季の丸く膨らんだばかりの若いからその名がついたのだろう。

アメリカのコケ図鑑「Common Mosses of the Northeast and Appalachians」(Karl B. Mcknight,Joseph R. Rohrer,Kirsten Mcknight Ward, Warren J. Perdrizetら共著)
のタマゴケの頁では「若い時の明るい緑色の球形のは、小さなリンゴに似ている」と書かれている。



▲たしかにこの時季の若いは青りんごのよう。の上にちょこんとかぶさる蓋はリンゴの葉っぱに見えなくもない!?(東京都、4月初旬)

リンゴといえば日本人は赤色をイメージする人が大半と思うのだが、
青リンゴを連想するのがいかにも欧米らしい。



▲一方、日本のコケ好きは蓋が取れたあとのこちらのタマちゃんを「目玉おやじ」と呼ぶ。(三重県、4月中旬)


思い返せば、私のタマゴケとの初めての出会いは2008年、真夏の八ヶ岳であった。
コケは気になっていたものの「気になる」程度であったため、タマゴケの存在は知るはずもなく、
そのまん丸な姿をひと目見た時に「何これ!!!」と衝撃を受けたことを今も鮮明に覚えている。
そして下山後、すぐにコケ図鑑を買い求め、それ以来みるみるうちにコケにはまっていった。



▲(ややピンボケで見づらくてすみません)胞子体が球体の群落からツンツンと四方八方から出て、まるで緑の針山だ。(長野県、8月末)


いま見れば、このタマちゃん、すっかりが茶色くなって見頃はとうにすぎているのだが、
コケのことをよく知らなかった当時の私にとって「もしかしたらもしかするとこれは森の精霊かも…」と本気で思わせるほど、
じつに美しく神秘的なオーラをこのコケは放っており、非常にインパクトがあった。



▲若いが青リンゴなら、こちらの古いは焼きリンゴかも。


タマゴケは日本国内なら北海道から九州(ただし屋久島では見られないそうだ)の山地で見られるので、
いまもハイキングや登山でほうぼうの山を訪れるたびにタマちゃんチェックは欠かせない。

次回は、これまで出会ったタマちゃんたちについてさらに詳しく振り返ってみたい。
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