かわいいコケ ブログ  I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、
ブログをはじめました。

苔好き、旅好き、山好き女子の
コケの記録帖です。

:::::::::::::::お知らせ:::::::::::::::

11/27の記事にアップしましたコケカレンダー「苔暦2017」がおかげさまで残部僅少です。在庫がなくなり次第、販売終了となりますので、もしお求めの方がいらっしゃいましたら早めのご注文をおすすめします。お申し込みは、メールで。申し込み方法の詳細は記事をご覧ください(2016.12.8現在)。

【お知らせ】コケ好きのためのカレンダー「苔暦2017」ができました。  ※今日から販売スタートします!

2016-11-27 16:12:20 | 文系女子のコケ目線
    
     ▲今年も作りました。コケ好きのためのカレンダー「苔暦2017」


関西の紅葉ももうあと少しで見ごろを終えるというところで、
近所の山を眺めるのが毎日の小さな楽しみとなっている今日この頃。

でも葉が散ってはっと我にかえれば、
どっと押し寄せるであろう師走感に今からヒヤヒヤもしている。

このブログを読んでくださっている皆さんもきっと、
年末年始に向けて少しずつ準備をされ始めている頃でしょう。

そんなお忙しいなかに分け入るようで恐縮ですが、
来年に向けて、今年もコケ好きのためのコケカレンダー「苔暦」を作りました。

このブログを見てくださっている方の中で、もしご興味のある方がいらっしゃったらお分けいたします。  
 ※なくなり次第、終了します。


  「苔暦2017」  <壁かけ用、1部:1400円+送料 ※送料についての詳細は下記をご参照>

今年の12か月はこちら!


    

    

    

    

    

    



 
 ▲仕様:210×148㎜(A5サイズ)/全4色カラー。祝祭日の記載あり。吊り下げ用紐付き。
   ジェントルホワイトフェイス121.5K使用で、ややざらっとした手触りでマットな質感です


2016年版に続き、今年もせっかくなのでテーマを決めて写真を選んでみました。
2017年版のテーマはすばり、「明日のコケ (The moss of tomorrow)」

「明日のコケ」とは、つまり次の世代へと命を繋いでいくコケの胞子や無性芽のこと。
さらに大きなくくりで明日のコケを作り出すコケの生殖器官も含めて写真をチョイスしました。



▲観察中に気づいたことや、調べてみて改めて知ったことなどは、イラストやキャプションにまとめました



▲2016年版が好評だったので今年も透かし紙の帯紙付き



▲カレンダー上面に穴があいています。壁掛けカレンダーとしてどうぞ。


カレンダー代に加え、下記の通り別途送料がかかります。
それぞれ最安値の配送方法を選んでいますが、
ご希望の配送方法(宅急便など)がある場合はご注文の際にご相談ください。


【ご注文冊数による送料の違い】 ※カレンダーは1400円/冊です。

■1冊:送料140円(普通郵便)

■2~4冊:180円(スマートレター)

■5冊以上:送料無料 ←(一度にそんなにご購入くださるのは大変ありがたいので!)
 

購入希望の方は当ブログ左側のバーにある「プロフィール」の下、「メッセージを送る」にご連絡ください。
その際、下記の必要記入事項をご記載ください。

 ※iphone からこのブログを読まれている方だと「メッセージを送る」の欄が表示されないようです。
  ご注文は、bird0707◆mail.goo.ne.jp (◆を@に変えてください)のメールアドレスに送ってくださいませ。


こちらからご注文の確認とお振込先についてのお返事を差し上げます。


----メッセージへの必要記入事項-------------------


1.お客さま情報
  
・お名前:
・カレンダーの送付先:〒
・電話番号:
・メールアドレス:
  
2.必要部数   部  送料     円  ★合計金額  円

------------------------------------------------

●金額
 1部=1400円 (送料:1冊140円。2~4冊は180円、5冊以上は無料)
 
●代金 
 ご注文メールをいただいた方、各々に振込先をお知らせします。
 振込手数料はお客様の御負担でお願いします(入金確認後の送付となります)。

●発送方法
 PP袋で個包装の上、「普通郵便」または「ゆうメール」で発送します。 

●ご注文期間:11月27日~1月いっぱい頃まで。

 ※品切れ次第終了いたします。

 ※ご注文メールを頂いてから、基本3日以内にはにこちらから確認メールを差し上げます。
  3日以上たっても確認メールが届かない場合には、御手数ですがご一報ください。
 ※Amazonや巷の通販のような敏速な対応はできませんが、できるだけ早めに対応・発送させていただきます。



▲ちなみに今年は屋久島でゲットした屋久島オリジナルコケマスキングテープで封をしますよ(マスキングテープがある限り)。
 どんなコケが描かれているか、ぜひじっくり見てみてください


ではでは、皆さまのお申込みをお待ちしております。



▲ご自分用としてはもちろん、コケが気になるあの人へのクリスマスプレゼントにもオススメです。
 ちなみにカレンダーの横にあるのはスウェーデン製スギゴケの暖炉用箒。暖炉がないわが家では冬用のオブジェになっています

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苔こけコケ展2016@京都、盛況に終わりました。

2016-11-18 12:25:02 | 関西コケスポット

岡山コケの会関西支部(通称:オカモス関西)と京都府立植物園が主催の
コケの一大企画展、今年も3日間、大盛況に終わりました。

書きたいトピックは山のようにあれど、最近なかなか落ち着いてブログを書く時間がなくて。
でもなにかしら書かないと自分の精神衛生上にも悪いので(笑)、
「ブログを書くのは長くて1時間まで!」と決めて、ちょこちょことでもアップしていきたいと思う。

なのでほとんど写真ばかりですが、コケが好きな方々が集まった会場のにぎわい、少しでも伝われば何よりです。



▲いきなりなんですが、これらは京都コケ展オリジナルの苔判子。毎年新作が作られ、今回開催4回目にして初めてコケの名前が明かされた!



▲苔判子は無料のポストカードに自由に押しまくって持ち帰れるので、このブースは常に人気だった



▲会場は大賑わい



▲今年もオカモス関西のTさんが手塩にかけて育てた本物のコケたちがずらり。葉っぱの上で育つカビゴケもあります


















▲テラリウム、苔盆栽は老若男女問わず人気。とくにテラリウムの展示はここ4年でぐんと増えました


  
▲テラリウムそばの壁面には写真パネルでコケを紹介。今回はコケの生態に迫った貴重な写真が多かったです。
 ちなみに右の写真の右下に写っているのはオカモス関西・写真パネル班のHさん作「コケの顔出しパネル」。
 そう、景勝地や地方の駅でよくあるあのパネルのコケ版です(笑)。タマちゃん(タマゴケ)などと一緒に写れるとあり女性や子どもに人気でした



▲会場の右奥には顕微鏡コーナー。オカモス関西のスタッフがそばについて、顕微鏡の使い方や顕微鏡下のコケについてレクチャー中



▲そして会場の左奥には本物のコケを使った苔庭と裏千家のお茶席が設けられ、この一角は急に古都・京都らしいはんなりとした雰囲気に。
 でもよく見てほしい。壁面にあるのは苔庭の垣根なんかではない、蘚類・苔類のコケたちを超アップに写した壁紙なのである!



▲海外からの観光客とおぼしきお方も、興味深げに会場の写真を撮られてました。来年は英語の案内も付けた方がよいかも?!


  
▲最後は、こちらも毎年人気のコケ書籍・コケグッズブース。今年はここでしか手に入らないであろうコケの手ぬぐいもお目見え。
 販売ブース担当の女性は、それをカチューシャ風につけるというイマドキ女子らしいアレンジ。とっても似合ってました



▲もちろん私もご多分にもれず新作コケグッズを購入。自分のお財布事情を鑑みず瞬発的に「買います!」と言ってしまったため、
 気づけば財布の残りが帰りの電車賃ギリギリで肝を冷やした。
 左から時計回りにコケイロのコケ観察記録用ノート、オカモス関西×大阪自然史センターのコケ手ぬぐい、
 オカモス関西・Kさんのビーズで作ったサヤゴケのピンブローチ、Cafe de Foretのルーペ形ブローチ



▲ルーペ形ブローチのルーペの中はゼニゴケ、サヤゴケのピンブローチはかわいいだけでなく胞子体の特徴がよく表されていてビックリ


なお、写真にはアップしていないが3日間毎日、野外コケ観察会やテラリウム作り、
コケにまつわる講演会など、本会場の外でもいろんなイベントが盛りだくさんだった。

私は13日の、「苔三昧ーモコモコ・うるうる・寺めぐり」 (岩波書店)の著者で福井県立大学でコケの授業をされている大石善隆さんの講演を拝聴。
「京都の苔庭が10倍楽しくなる」というテーマのお話し、内容はもちろん大石さんのおしゃべりが予想外にアツく、大変面白かったです。

最後に。イベントを主催したオカモス関西のメンバーと、お手伝いをしてくださったオカモス本部(岡山)のコケを愛してやまない皆様、今年も本当におつかれさまでした!


【お知らせ】 コケ好きのためのコケカレンダー「苔暦2017」、もうできてます!

  

前回の記事で触れたコケカレンダー、完成しております。
取り急ぎのスマホ画像ですが、表紙はこんな感じです。
詳細は次回に!(近々アップします!)

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【コケ情報】11月11日(金)~13日(日) 「苔・こけ・コケ展2016」開催 /「苔暦2017」を鋭意制作中です!

2016-10-24 13:11:05 | 関西コケスポット

またも気づけば月の下旬。ハロウィンの影に隠れている「師走感」も、31日が過ぎればパッと舞台の幕が開くみたいに
突如その存在感を表すのだろうなぁと思うと、もう考えただけで今から恐ろしくてたまらない…。

「本当に無事に年を越せるのか、自分よ…」と机にたまった書類の山を見ながら自問自答しては、
「いやそんなこと考える暇があったらまずは手を動かせよ」と我に返る、そんな繰り返しの今日この頃である。


さて、いろいろブログに書きたいこと、書きかけていることはあるものの、
ひとまず今日は取り急ぎお知らせしたいことを2つ。


【コケ情報】 11/11(金)~13(日)「苔・こけ・コケ展2016」開催!
 

   


全国各地からコケ好きが集まるコケのビッグイベントが今年も京都府立植物園で行われます。
毎年お越しの方も、初めての方もぜひ、コケの美しさやコケの不思議を体感しにお越しくださいませ。

会場内の苔庭で野点、「苔三昧‐モコモコ・うるうる・寺めぐり」(岩波書店)の著者であるコケ研究者・大石善隆さんによる講演会、苔テラリウム作り、
野外観察会・顕微鏡観察会開催、多彩なコケ写真・種類豊富な本物のコケの展示、コケグッズ販売(コケTシャツもあります!)など今回も盛りだくさんの内容です。
さらに今年は例年とちょっと会場のレイアウトを変えて、よりコケをじっくり見られるように工夫しています。
岡山コケの会関西支部を中心としたスタッフ一同が皆さまをお待ちしております!


   



【お知らせ】 コケ好きのためのコケカレンダー「苔暦」を2017年版も販売予定です!

「今年は作ろうか。作っても大丈夫だろうか」と正直、一種の懸けのような気持ちで毎年作り始めるこのカレンダー
しかしここ最近、「来年の苔暦も出ますか?」という奇特なお問い合わせを何件かいただき、ちょっとホッ。ただいま鋭意制作中ですよ!

11/11~の「苔・こけ・コケ展」の物販コーナーに並べさせていただくほか、
11月中旬過ぎからブログでも告知したいと思っています。もうしばらくお待ちくださいませ。


 
 ▲ヒメジャゴケの群落。以前、10月に長野県の民家の軒先で撮らせてもらったもの。2017年版10月のカレンダーに使う予定です

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奥入瀬コケ紀行 extra : シャクシゴケ / 「コケはともだち」が5刷目に

2016-09-28 11:11:53 | コケをめぐる旅

奥入瀬渓流の森を歩いていると・・・

  
   ▲シャクシゴケの群落

出会いそうでなかなか出会わないこのお方、
以前もお会いしたのはこの森だったと記憶する。



▲葉状体の縁は細かく切れ込んでいる。中肋に沿うように並んでいる黒い点々はラン藻。ルーペ越しに見るとキウイの種のようにみずみずしかった

シャクシゴケは苔類にしては珍しくラン藻と共生しているコケだ。
本種以外に体内にラン藻が共生しているコケは、このコケと同じ科に属するウスバゼニゴケ科のウスバゼニゴケ、そしてツノゴケ類だけである。
さらに手持ちの図鑑によると、葉状体の先端に半月状の無性芽器がつき、なかには金平糖形の無性芽がつまっているのだとか。

でも私が見た群落は、先端にポケットはついているものの、どうも無性芽が中に入っているようには見えず、
もしかしたら今見えているのは、同じく葉状体の先端につくという雌株の生殖器官なのかもしれない。





じつはこの写真、いまやコケ好きの間では必携アイテムとなっているオリンパスのコンパクトデジカメ「STYLUS TG-4 Tough」で撮影した。
数年前から流行しているが、このたび私もようやく手に入れた次第で、使ったのはこの旅が初めて。

少し前までコケ好きの間で使われるコンパクトデジカメといえばリコーの「CX」シリーズがトレンドだったが、数年前に「生産終了」となってしまったため、
「もし手持ちのリコーが壊れたら、次のカメラはどうすればいいんだ!」と路頭に迷っていたコケ好きたちを救ったのが、
「顕微鏡モード」がついて、コケのような小さなものの撮影にも対応したこのTG-4だった。

初めて使ったカメラの撮影記念に。
以上、おまけのシャクシゴケでした。


----- One more extra -----


奥入瀬へ向かう前日、たまたま糞土師の伊沢正名さんと電話で話す機会があり、

「青森へ行くなら、小牧野遺跡へぜひ行ってみてください。僕が協力した展示物もあるから見てみて!」

とおすすめされた。

縄文時代にも大いに興味がある私(しかし知識はないです・・・)は、
それはぜひとも見てみたい!と、Kさん親子にわがままを言ってねぶた祭りが始まる前に連れて行っていただいた。

小牧野遺跡、それは縄文人が作ったとされる日本最大級の環状列石(ストーンサークル)なのであった。



▲直径55メートル。他にも環状列石は、青森県の弘前市、秋田県や岩手県、北海道など各地に遺跡が残っているという






▲「縄文の学び舎 小牧野館」にて、伊沢さんのうんちのコーナー

なぜこの資料館にこの展示?と思ったら、縄文時代は野外でうんちをするのが当たり前で、
そういった排泄物がどのように自然に還っていくかが、伊沢さんが足で、いやお尻で稼いだ克明なデータを基に、
リアルなレプリカを使って解説されていた。なるほど、そういうわけだったのね。



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▲『コケはともだち』(著:藤井久子/監修:秋山弘之/発行:リトルモア


さて、話はまったく変わって。
かなり遅ればせなのですが、少し前に嬉しいニュースがありました。

拙著『コケはともだち』が増刷され、このたびおかげさまで5刷目となりました。じつは7月末から書店に並んでいます。
6月に発行元のリトルモアさんからこの一報がありながら、日頃からブログに書かねばと思っていることが多過ぎて、
ついついこのニュースを書くのが今頃になってしまいました。

この本を手に取るといまでも、

「世間にはコケの美しさ、面白さに気づいていない人があまりにも多過ぎる。コケのことを知れば、その人の人生はもっと楽しくなるはず!」

と、この本の企画書を書いていた当時の、熱い(そしてちょっとおせっかいな?!)気持ちがありありと思い出されます。
そしてページをめくれば、私だけでなく、編集者のTさん、リトルモアの皆さん、監修やイラスト、デザインなど、
この本にに携わってくれた皆様が注いでくれた愛情がにじみ出てきそうです。

これからもどうかこの本が、コケのことが気になり始めた方の助けとなる一冊であり続けますように。

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奥入瀬コケ紀行 その3: 「苔ルーム」に潜入!

2016-09-23 12:54:42 | コケをめぐる旅




9月に入り、机にかじりつきながらコケのことばかりしている今日この頃です。
最近、夢にまでコケのことが出てくるシマツで、「あ、夢にまでコケが出てきた!」と寝ている自分が驚いて、深夜に飛び起きてしまうことも。
まさに寝ても覚めてもコケ状態。好きなことでここまで頭がいっぱいになるって正直、大変。
だけど生きている間に自分の好きなことが見つかり、それに没頭できる環境もあるというのはやっぱりありがたい。
恵まれた日々を噛みしめる毎日です。

さて、そんなわけで同じく「コケのこと」ながら、なかなかブログが更新できなかったのだが、
今日はやっとこ奥入瀬コケ紀行の最終話である。

今回、旅行の直前までその予定ではなかったのだが、まさかのチャンスに恵まれて、
奥入瀬渓流沿いにたたずむ高級リゾートホテル「奥入瀬渓流ホテル」のとある特別なお部屋に泊まることができた。


それはどんなお部屋かというと・・・





こちら!





▲じゃーん! グリーンで埋め尽くされたお部屋!


こちら、同ホテルが企画したこの夏限定の「苔ルーム」である。 →詳細は星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルのHP

この部屋のことは、周りのコケ好きさんたちの間でニュースリリースが発表された当初から話題になっており、
その存在は知っていたのだが、まさか自分が泊まれることになるなんて・・・。

もちろん、親しいコケ友さんたちからはうらやましがられ、
「泊まったからには、その部屋の細部にいたるまで見てきたことをあますことなく報告せよ!」
との任も仰せつかりましたゆえ、ここにそのすべてをご報告させていただきます、ハイ。(笑)


まずは、玄関。





「グリーン系のスリッパ」というのは想定の範囲内だったので驚かなかったのだが、注目すべきはスリッパの先にあった。



▲なんじゃこりゃ!



▲そう、コケの胞子体です


スリッパはただのグリーンのスリッパと見せかけて、じつはコケの群落だったのだ。やられた!



▲履いてみるとこうなります


そして玄関横にある靴入れの上には本物のコケがお出迎え。



▲右にあるスプレーはシュースプレーなどではない。もちろん苔玉を潤すための水が入ったスプレーである


次にバスルームは・・・



▲写真が暗くてちょっとわかりにくいですが、タオルはもちろん石鹸もグリーン、歯磨き粉のパッケージもグリーン(これはたまたま?!)だった


そしてお手洗いは・・・



▲便座の蓋が大地に見立てられ、コケが一面を覆っています(注:もちろんフェイクです!)。



▲よく見るとトイレットペーパーもグリーン


ちなみに後日、この部屋の写真をSNSにアップしたところ、
オカモス関西の重鎮Mさんから「スリッパの胞子体はオオツボゴケでは?」との主旨のコメント。

オオツボゴケとは動物のフンの上に生える、コケの中でも珍しい種類で、いわゆる「糞ゴケ」と呼ばれる類。
たしかにこのスリッパの胞子体は、まだ胞子を飛ばす前の若いオオツボゴケの胞子体に見える。

  ※残念ながら手持ちの写真がないので、詳しく知りたい人は「オオツボゴケ」もしくは同種とよく似た「マルダイゴケ」で検索してみてください。



思わずSNSのコメントを見て、さすがMさん!と唸ったと同時に、
それならばこのスリッパは玄関よりもぜひトイレに!と思った次第である。







さて、玄関周りで長くなりましたが、いよいよ部屋の中に入ります。





















大型家具からちょっとした小物に至るまで、どこもかしこもグリーン系。
よくぞここまで集めたなぁと、部屋を一望し思わず感嘆の声が漏れる。

なお、この部屋を企画した同ホテルのNさんによると、

「初めての試みなのでまだ手探りなところも多いんですが、まず初年はとにかくコケに包まれているような緑の空間を作りたかったのです」

とのこと。

この部屋を作るに際し、アイデアを地元のデザイン系の学生たちに募り、スリッパの胞子体やトイレカバー、ベッドの壁面にかけられたコケ画など、
これは絶対に既製品ではないなと思わせるオリジナリティーの高いグッズは彼らによる制作なのだそうだ。

さらに、ベッドの向かい側にあるテレビ台周りもステキでした。












▲はい、喜んでシュッシュさせていただきます!


ちなみに、ちょっと気になったのがこの空間。
このモコモコのコケ風マット、手触りもよくて、
見ているだけではどうにももったいないのだが・・・
はて、どんな使い道があるだろう?






▲ベッド横のソファからジャゴケ風クッション(クッションカバーの質感が似ている)を持ってきて、上の棚から読みたい本をチョイスして・・・



▲こんなふうに利用してはどうでしょう


さらに苔ルームを出ても、このホテルのコケ尽くしは終わらない。



▲フロントで受付係の方々が使っているパソコン



▲コケが全面を覆わず、まだ土部分が見えているところが逆にリアル



▲お土産物コーナー。「苔涼し」は数年前に訪れた時にもあったコケスイーツ。もはや定番なのだろう



▲ちなみにこちらが中身。奥入瀬渓流のコケむす岩をイメージしたクルミ入りの砂糖菓子だ



▲さらにその横には、新たなコケスイーツが増えていた!



▲和菓子もあれば、洋菓子もあり!




▲丁寧な断り書きが・・・





▲さらにさらに、お土産物コーナーの目立つところにはビクセンとコラボレーションして作られたコケ観察グッズまで




▲もちろん苔ルームにも置いてあり、自由に試用できるようになっていた

 
   ※なお、このコケ観察グッズは「おいけん」で通販もしている模様。詳細についてはこちらへ → 


読んでいる方もだいぶお腹いっぱいになってきたかと思われるが、まだまだ終わりません。
こういった有形のもの以外にも、先述のNさんをはじめコケに詳しい同ホテルのガイドさんの案内で趣向を凝らしたコケツアーも用意されており、
宿泊者のやる気次第で、さらにディープなコケ世界に足を踏み入れることも可能なのである。



ちょっとこの画像では見づらいが、早朝5時からの「渓流モーニングカフェ」も前日からすでに予約で満席。
奥入瀬の自然を体感したいという宿泊者たちのモチベーションの高さがうかがえる。





また、さらにホテルでは毎日「森の学校」と銘打った地元ガイドによる座学の講座も開催されている(無料)。
基本的に夜開催なので、昼間に別のガイドツアーの予定を入れている人でもこの講座を聞くことができる。
星空講座などは屋外で実際に夜空を観察をしながら行われたりもするのだそう。





普段、旅行するといってもこのような高級リゾートホテルに泊まり慣れていない私は、正直言って宿泊費が高い!と思っていたが、
宿泊者がこのホテルでどのように過ごしたいか、よりよい選択ができるように設けられた幅広いサービスのための価格設定なのだとちょっと納得した。


ホテルをチェックアウトしたあと時間があったので、フロントロビーから1階下に降りてみた。
そこは間仕切りもなく広々とした空間で、地元にちなんだアートを紹介するスペースが設けられていた。
さらにそこからホテルの敷地内の林へと出ることもできるし、屋内の椅子に座ってガラス越しに緑を楽しむこともできる。



▲最近新しく設けられた展示物。看板を読むと、当の展示物は屋外にあるとのこと



▲コケむす板?!いえいえ、これはかつて奥入瀬渓流に置かれていた「苔テーブル」でした



▲2012年秋に訪れた際に撮影した、在りし日の苔テーブル


青森滞在最後の夜は、地元ガイドのKさん親子にねぶた祭りに連れて行ってもらった。

人生初体験、聞きしに勝る「ねぶた」の大迫力。
老若男女がそろいのハッピを着て、跳人(はねと)たちが練り歩き、
沿道からは見物客たちの威勢のよい「ラッセラー」の掛け声があちこちで響く。

5日間続くこの祭りが終わることは青森県民の夏が終わるのと同意であるという。
祭りの終わりをさかいに、気候も不思議と秋めいてくるのだそうだ。


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奥入瀬コケ紀行 その2: 森を愛する旅人に〜「奥入瀬自然誌博物館」のこと〜

2016-09-06 17:22:46 | バードの本棚


▲「奥入瀬自然誌博物館」のコケのページ


8月29~31日開催の日本蘚苔類学会 第45回屋久島大会から無事帰宅した。

8月しょっぱなは奥入瀬渓流のコケ旅から始まって、
最後のしめくくりが屋久島だなんて、なんという贅沢な夏だったんだろう。
こんな夏休み、人生でもう二度とないかもしれない。

旅から帰ってきたら私の住む街はすっかり涼しい風が吹き、秋になっていた。
窓辺から秋の虫が歌うのを聴きながら、しばらくはこの夏の思い出をゆっくりと噛み締めて秋の夜長を過ごすことになるだろう。


さて、前回の奥入瀬コケ紀行のつづきである。
今日は一冊の本を紹介したい。

それはこちら。





前回のブログにも書いたが、河井大輔さんの「奥入瀬自然誌博物館」である。
この春に出版されて出版当初も読んだが、今回の奥入瀬の旅に向けて再読。
あらためて、じつによい本だと思う。

河井さんは北海道でアウトドア雑誌の編集や野鳥図鑑の執筆、環境調査業などに携わられたあと、
2007年から奥入瀬渓流を拠点に仲間の皆さんとネイチャーガイド業をされるようになり、
2014年からは「NPO法人 奥入瀬自然観光資源研究会」(通称:おいけん)の理事長として
奥入瀬観光のますますの発展と充実に努めておられる方である。

この本は、奥入瀬渓流がどうして今のような姿になったのかという成り立ちや、奥入瀬渓流で出会えるさまざまな生き物のお話が、
長年、奥入瀬の自然を見つめ続けてきた河井さんならではの視点で語られている。
具体的には樹木、野草、シダ、コケ、地衣類、菌類、哺乳類、鳥類、両性類、爬虫類、昆虫、
さらには水や地層にいたるまで、そのジャンルは多岐にわたる。











▲誌面の一部。どの写真も「よくぞこんな瞬間を!」と言いたくなるほど、芸術的で美しいのも特筆すべき点のひとつ


私は屋久島や奥入瀬渓流などを訪れた時には、現地の自然についてより深く理解したいという思いから、
必ず河井さんのようなプロのガイドがついてレクチャーしてくれるネイチャーツアー(なかでも森歩きツアーは必須)を利用するのだが、
欲張りなツアー利用者である私にとって、この本はまさに救いの書であった。

というのもこの本には、ツアー中にガイドさんの話を聞きつつも、その解説された対象物についつい夢中になるあまり、
途中からきっと聞き逃している(こういう経験って私だけだろうか?!)であろう話がふんだんに散りばめられており、
さらには私のように感覚的に森を楽しんできた人間が、もう一歩森に理解を深めるのに役立つ「自然科学的な眼をもつこと」の重要性を説いてくれているからである。

しかもまったく小難しくなく、読んでいるとまさに本のタイトル通り、
奥入瀬の森の博物館で河井学芸員が老若男女に向けて
ミュージアムトークをしてくれているかのように、語り口が優しく大変読みやすい。





たとえばこの「流れのしくみを読む」という短い文章。
「沢の流れ」とひとことで言ってもじつは「流心」「副流」「逆流」など場所によってさまざまな流れ方がある。
それがどのように生き物の暮らしに作用しているのか、そういうことも考えてみませんかと読者に説いている。

正直、私は水流の美しさには毎度のように目を奪われるものの、それが何にどう影響しているかなんて考えもしなかった。
ちょっと立ち止まって沢の流れをじっくりと見ることで、そこに生きる虫や魚、そしてコケの姿までもが見えてくる面白さ。

そいう眼差しを持ち、想像力を膨らまして、見えていないものにも思いを馳せること。
この本で河井さんが伝えたいことの一つなのではないかと思う。






奥入瀬の森をすでに歩いたことがある人、またはこれから訪れる予定がある人はもちろん、
奥入瀬に行ったことがない人も、この本を読めばきっと、どこかの森へ行って自分の「森を見る眼」を試したくなるだろう。

そう言った意味では全国各地の森歩きで役立つ本だと思うし、これは素人のみならず、案内する側のガイドさんにも参考になること間違いなしなのではないかと思う。
まったくもって素人の余計なお世話だが、全国のネイチャーガイドの方も各自1冊必携!と強くオススメしたい。

そしてこれはひそかな期待なのだが、もしも河井大輔さんのような自分のフィールドを心を尽くして見つめ続ける、そして発信し続けるガイドさんが全国各地いたら。
森好き、ネイチャーツアー好きの私としては、これからの森を巡る旅にとても希望がもてる。


ちなみに、この本は限定600部のみの販売なのだが、現時点で残り200部を切ってきたとのこと。
「限定」とある通り、おそらく売り切れてしまうと再版があるかどうかわからないので、
どうぞご興味のある方はお早めに。 → お問い合わせ・お申し込みはこちら  (※スクロールしてページの下の方を見てください)

ちなみにここまで勧めておいて最後に水を差すようだが、お値段は正直、高い。
でも以前『コケの自然誌』(ロビン・ウォール・キマラー著)を「いい値段するなぁ!」とちょっと財布を出し渋りつつも買って読み、
予想以上に満足感があったあの感じとこの本はどこか似ている。
コケ好きの方なら、この気持ち、たぶんわかってもらえると思います(笑)


   
    ▲奥入瀬の森の上流、十和田湖畔近くで見かけたツチアケビ。菌類から栄養をもらって生きる不思議な植物。
     秋につける真っ赤な果実は「森のソーセージ」とか「山のトウガラシ」などと呼ばれるそう

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奥入瀬コケ紀行 その1 : 4時間で200メートルの旅

2016-08-19 16:27:08 | コケをめぐる旅

▲アオモリサナダゴケ (2016年8月 奥入瀬渓流)


この夏は夫の仕事の都合もあって8月初旬にまとまった休みを取り、青森県の奥入瀬渓流へ遊びに行った。
2012年に初めて訪れて以来、今回が人生5回目の奥入瀬である。

昔から旅行が好きで、人生の限りある時間とお金を私はできるだけ世界の色々な所を見て回るのに使いたいという旅行者タイプであり、
決して同じ場所を何度も訪れる旅を好む人間ではないと思っていたのだけれど、屋久島と奥入瀬だけは別格だ。何年かに一度は無性に訪れたくなる。

それはなぜなのかと考えてみたところ、やはり一番はその場所の自然環境が醸し出す独特の雰囲気みたいなものに強く惹かれていること、
そしてもうひとつ大事なポイントとしては、心惹かれるけれどそれをいまだ上手く言い表わせずにいる私に寄り添って、
一緒に答え探しに付き合ってくれる人々がそこにいるからだと思い当たった。

ちなみに屋久島はここ15年ほどで6回、今月末で7回目の訪問となる予定。
日に日に楽しみなのであるが、その前にいま抱えている大切な仕事に目途をつけなくてはと焦る毎日でもある。


さて、ありがたいことに今回の旅も、地元の自然ツアーガイドであり、
〝私の奥入瀬の妹〟と(勝手に)呼んでいるEさんが連日私たち一家をアテンドしてくださった。

初日は同じく地元ガイドのNさん宅に泊めていただき、夕方から庭で宴会、そのままの流れで夜中には星空観察へ。
奥入瀬渓流にほど近く周りに民家が数軒しかないNさんの自宅の庭では、夜空を見上げると天の川がはっきりと見えた。
夏の星を数えていたら大きな流れ星も通りぬけ、私たちは声をあげて大興奮。
星の世界もなかなか奥が深そうだが、名も知らぬ無数の星たちを眺めているとやっぱり興味が湧いてしまう。



▲初日に私たち一家を泊めてくれたNさん宅の庭で見つけたカタツムリ。見たことのない殻の形をしていた



▲宴会に地元の写真家Ⅰさんが持ってきてくれたコブつきのミズ(山菜)


翌日は午前中にMさんのガイドで十和田湖のカヌーツアー、
午後からはKさんのガイドで森歩きツアーを楽しんだ。

Kさんとは、じつは「NPO法人 奥入瀬自然観光資源研究会」の代表理事であり、
この春に『奥入瀬自然誌博物館』という本を上梓した河井大輔さんのことである(ちなみに本のデザインを手がけられたのはカヌーガイドのMさん)。
この本は自然に興味がある人にとっては大変面白い内容で、私の中ではここ数年読んだ本のなかで印象に残る本ベスト5には確実に入る本である。

本の背表紙を閉じた時には私はすっかり「河井大輔ファン」になっており、
せっかく今回もツアーをお願いできるのだからと旅行の数日前には再度この本を読み込んで当日に臨んだ。

この本の魅力については今ここで書くと長くなるので、このあとの記事でゆっくりと語らせていただこうと思う。
 ※ちなみに発行当初に、コケ友Yさんもブログでもこの本の感想を書いていて、激しく共感したものでした。



▲十和田湖をカヌーでめぐる




▲午後からは奥入瀬渓流の森へ


さて、河井さんと奥入瀬渓流の下流域にある「石ヶ戸休憩所」で待ち合わせ、まずはその辺りを歩こうということになった。

最初は奥入瀬渓流が今回初めての夫にカリスマガイド・河井大輔の解説をぜひとも聞いてもらいたい!と
夫を河井さんの前へ前へと積極的に促していたつもりだったのだが、
いつのまにか途中から私が河井さんを横取り(?)し、Eさんも巻き込んで3人でどんどんミクロの世界へ。
今思い出しても何きっかけでそうなってしまったのかわからない。

でも気づくと4時間近く森にいて、たった200メートルほどしか移動していないのだった。
夫はあきれを通り越してなんとやら…だったろうが、なんせ私はこの200メートルの間ほとんど地面に集中していたので、
実際に彼がどんな表情をしていたのかはわからない。毎度のことだがこんな私で申し訳ない、夫よ。

そして謝っていながらなんだが、やはり森の足元は私の心をわしづかみするような不思議に満ちていて、
地面から一時も目が離せず、たった200メートルの移動でも十分満足のミクロトリップができたのだった。






▲「河井さん横取り事件」のきっかけは、薄暗い森の中で明るく輝く「アオモリサナダゴケ」を見つけたからか、はたまた美しいキノコが目に留まったからだったか…



▲地面に落ちたホオノキの実にだけつくという「ホソツクシタケ」。若い時は白く、成熟するとこのように黒くなる



▲こちらは落ち葉からニョキニョキと「オチバタケ」



▲高々と無性芽を突き上げる「エゾチョウチンゴケ」






▲コケマットの上には小さなシダたちの群生



▲マットなグリーンで葉の上に毛が生えている「カラクサシダ」



▲こちらは「コケシノブ」(という名前のシダ)。珍しくソーラス(胞子嚢群)をつけている






▲コケよりさらに小さい変形菌たち


そしてこの日、いちばん驚いたのはこちら。



▲(ちょっとピンボケしていますが)地面から長~いマッチ棒?!



▲「そっと掘り起こしてみて」と河井さんに言われEさんが掘ってみると



▲キノコかなとは思っていたが、まさか冬虫夏草だったとは!正体はカメムシに寄生する「カメムシタケ」だそう



▲宿主となったカメムシ


森で出会ういかなるものについても、河井さんは当たり前のように熟知しており、
彼らに向けるまなざしは、まるで子どもの成長を長く見守ってきた親のようである。
そして私見ながら、私が奥入瀬を訪れるたびに、この河井さんの森の生き物たちに対する「親度」はカクジツに増している。
親にもいろいろいるが、河井さんは心温かくも冷静沈着な親である。
だからこそ、あのような本が書けたのだろうなと思う。 (つづく)



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ミカヅキゼニゴケについて海外の文献を読んでみる

2016-07-30 10:51:27 | バードの本棚

▲ミカヅキゼニゴケ(撮影2013年12月・福井県)


じつはこの春から英会話を習いに毎週1回、近所の英会話教室へ通っている。

目下の目標は「いつか海外のコケが好きな人とコケの話をして盛り上がる!」ことである。
いや、これだけコケが好きな人が日本にいるのだから(…って私の周りだけかもしれないけど)、海外にだって自分と同じような人々がいるはずだろう。
ツイッターなどのSNSを見ていても、さまざまな国の人たちがコケの美しい写真をアップしているのを目にするし。
そういう人たちと出会った時に、臆することなく英語で会話できたら・・・きっとさらに世界が広がるにちがいあるまい。

そんなわけで、いつそんなタイミングがくるのかはわからないが、思いついたら実行せずにはいられない私である。

仕事で定期的に海外へ行くご近所のAさん(以前、スギゴケのリースを買い付けてくださった、あのAさん)と意気投合して、
お互い30代で一念発起して英会話習得のために教室に通い始めたというわけだ。


学生時代は勉強がそんなに好きではなかったが、そのなかでも英語はまだマシな方だった。
でも「会話」となると話は別で、文法は理解していてもスッと言葉が出てこない、発音も悪い。

なかなか道は険しい。

しかし、私を受け持ってくれているイギリス人のロバートさんは、
「あなたの趣味は何ですか?」という英会話のレッスン初回にありがちな質問で、
とうとうと私がコケの話をしたものだから、私がいかにコケ好きかをすでに理解してくれており、
「なにかコケのことで英訳したいことがあったら、いつでも言って!」と非常に親切である。

そこでその言葉に甘えて、先日、「Mosses and Liverworts of the Mediterranean(地中海のコケ)」(Jan Peter Frahm著)という本の
ミカヅキゼニゴケについて書かれたページを私なりに翻訳したものをチェックしてもらった。


  


そう、ここからが今日の本題、前回のミカヅキゼニゴケの話のしめくくりである。

どのようなことが書かれているのか、日本の一般書で書かれている内容と違いはあるのか、自分の記録のためにも翻訳内容を載せておく。
とはいえ、私もロバートさんもコケの専門家ではないため、正直、専門用語についてはちょっと訳が怪しい・・・。その点はどうかご了承ください。


----------「Mosses and Liverworts of the Mediterranean」より-------------------------------------------------------------------------

Lunularia cruciata(ミカヅキゼニゴケ)

ミカヅキゼニゴケは地中海沿岸ではもっともありふれた葉状体の苔類だ。
このコケは谷や渓谷の小川に沿った土上や岩上のより湿っぽいところや、
川岸の道の影になったところ、岩の裂け目などで育つ。

ミカヅキゼニゴケは、レンズ豆のような形をした無性芽で無性繁殖をよく行い、無性芽は半月状の無性芽器で作られている。
無性芽器を持たない植物体は説明するのがちょっと難しい。

雄の植物体はイボのような形の生殖器官を葉状体の上に作る。
雌の植物体は葉状体の中に穴があり、その中に生殖器官を作り、それは明るく白っぽい小片なので目立つ。

受精後は、雌器托には弱々しい柄が出て雌器托の傘の下には4つの胞子のうがつく。
雄株と雌株が別々な以上、受精して胞子のうが作られることはめったにない。

ミカヅキゼニゴケが中欧で最初に記録されたのは1828年、ドイツの都市・カールスルーエ(Karlsruhe)の植物園で、
おそらく地中海からの植物を載せたコンテナによって運ばれ、植物園から公園や墓地などに広まっていったものと思われる。
そしてそれはだいたい無性繁殖によってである。雄もしくは雌の植物体の生殖器官は例外的なことなのだ。

ミカヅキゼニゴケは霜(寒さ)への耐性がなかったが、温室でならば冬場も生き残ることができた。
ここ50年は、冬場でも凍らないような小川が主な生育地であることがわかっている。


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


さすが「地中海のコケ」と題した本だけあって、地中海沿岸が原産といわれるミカヅキゼニゴケについて
有性生殖や最初の発見地などにも触れられており、なんだか読んでいて新鮮だった。

そしてやはり、海外でも雌株が受精して胞子体を作ることは珍しいことのよう。

ちなみに前回の記事では、日本ではミカヅキゼニゴケの胞子体はほとんど見つかっていないことを書いたが、まったくの皆無ではない。
日本蘚苔類学会の会報誌「蘚苔類研究」(2015年8月 第11巻第5号 )に掲載されている古木達郎さんの「新・コケ百選」の中のミカヅキゼニゴケ科の記述によると、
外来種として大正12年に広島で初めて採集されて以来、長い間雄株しか見つかっていなかったが、90年代に兵庫県で造卵器と胞子体が報告され、
2000年代には広島県でも研究者たちによって胞子体が発見されているということである。
ただし、関東地方ではいまだ胞子体は見つかっていないということだ。



▲「Mosses and Liverworts of the Mediterranean」のミカヅキゼニゴケのページ


最後に余談だが、英会話教室のロバートさんはなかなかユーモアのある人で、私が発音や単語の綴りなどをミスすると、
「mistake」ならぬ「mosstake!」と言ってダジャレをとばしてくるので、ついつい笑ってしまう。



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池上本門寺ふたたび ~その2:ちょっと変わったミカヅキゼニゴケ~

2016-07-27 13:29:38 | 東京コケスポット


▲ミカヅキゼニゴケ(2016年5月・東京都)


6月末から仕事の依頼が立て続き、珍しく小忙しくしているうちに、
またすっかりブログの更新を怠ってしまった。
2か月前のことをいまさら書き起こしているようなペースでは、
いったい年内にあと何回ブログが更新できるのか・・・頭を抱えてしまうなぁ。


さて、まずは「その1」で止まっていた池上本門寺のコケレポートの続きである。

五重塔のホンモンジゴケの回復ぶりに胸をなでおろし、
次に向かったのはお寺に隣接する庭園「松濤園」だった。

こちらは常に一般解放されているわけではない庭園なのだが、
今回は以前、コケイベントでお世話になった本妙院のご住職のお口添えで
特別に入園を許可していただき、4年ぶりに園内のコケをチェックをする機会を得ることができた。

とはいえ、この庭園でもお目当てはただ一つ。
今回は園内のミカヅキゼニゴケが生えるスポットをチェックするのだ。

理由は、なにせ関西へ帰る飛行機の時間も迫っていたため、
園内すべてを見る時間的余裕がなかったということに尽きる。
せっかくのチャンスなのにもったいないが、仕方がない。

では、なぜミカヅキゼニゴケなのか。

じつは上京する少し前、岡山コケの会関西支部でいつもお世話になっているTさんから、
以前私がこの庭園で撮ったミカヅキゼニゴケの写真についてメールで問い合わせがあり、
どうしても再びこの目でこの庭園のミカヅキゼニゴケを確かめたくなったからだ。

ミカヅキゼニゴケというと、その名の通り、三日月形をした無性芽器(むせいがき・無性芽をためておくカップ)が何よりの特徴で、
多くの図鑑に「無性芽で繁殖する」という旨の一文が載っているのだが、じつは有性生殖についての情報はほとんど記載がない。
というのも、国内では胞子体がほとんど確認されていないからだ。



▲無性芽器をつけたミカヅキゼニゴケ


しかしこの春、Tさんがいつもコケ観察のフィールドとされている京都のとある地で、
雌器托(しきたく・雌株の生殖器官)をつけていると思われるミカヅキゼニゴケに出会ったというのだ。

そして、自宅に帰られていろいろ調べていくうちに私のブログの過去記事に行き当たったというわけなのだった。

4年前の当時、私もこの庭園でミカヅキゼニゴケのからだに何か付いている、もしかして生殖器官かも?!と思い、
岡山コケの会のベテラン会員さんに質問したり、海外のミカヅキゼニゴケについて書かれた本を読んだり、
またそ他の場所に生えているミカヅキゼニゴケにも生殖器官がついてないかと気にしながら各地で観察はしていたものの、
この4年、ついにフィールドで見つけることはなく、発見した当時に風船のごとくぷぅーっと膨らんだ好奇心も正直しぼみかけていた。

しかし!Tさんからのメールがきっかけで、私のミカヅキゼニゴケ熱が再燃した。
そもそものきっかけとなったあの松濤園のミカヅキゼニゴケたちが今どうしているか、どうしても見てみたい!
そこで、今回の再訪に至ったというわけなのだった。


さぁ、いま彼らはどうなっているのか。
4年前にミカヅキゼニゴケの大群落が生えていた一帯へ向かったところ・・・



▲現場。場所は午前中はわりと日がよく当たるところ。ただ影もあり、一日中日光が当たりっぱなしという感じではない


しかしながら、しゃがみ込んでまず目に飛び込んできたのは・・・



▲フタバネゼニゴケのにょきっと伸びた胞子体




▲そして、その足元には雌株と雄株が仲良さげに群落を広げているトサノゼニゴケ


あれ?ミカヅキは?!

4年前は確かにここにミカヅキゼニゴケの大群落がいた。
しかし、どうもいまは事情が違うらく、ここで今もっとも繁栄を極めているのはトサノゼニゴケなのだった。





ちなみに、トサノゼニゴケは今私が住んでいる西日本側では時々見かけることはあれど(どちらかといえば九州に多いという個人的な印象)、
じつは関東では、4年前にこの庭園で小さな群落を見たきりで他で見たことがない。

いま都内の真ん中でこのような大群落になっていることは、それはそれで珍しいように思うのだが、
今回は何と言ってもミカヅキゼニゴケが私の目的である。時間もないことだし、じっくり観察することはせず静かにスルーしよう。


また一帯は、トサノゼニゴケ、フタバネゼニゴケのほかにも、ヒメジャゴケ、ナミガタタチゴケ、コツボゴケ、アオギヌゴケの仲間などが、
この二大勢力の葉状体の隙間を縫うように乱立しており、まさに陣地を取り合うコケたちの戦国時代と化していた。
そして当のミカヅキゼニゴケはというと、どうもこのバトルには加わっていないようで姿が見えない。

もしや、もう完全に陣地を奪われこの地を去ってしまったのか。

そう思った時、一帯の端っこに目をやると植え込みの木々の足元で、ひときわべたっと地面にはりつく何かが見えた。
もしかして、あれがミカヅキゼニゴケか?!



▲お!この子たちかな?!




▲4年前と比べるとだいぶ群落は小さくなっていたものの、ミカヅキゼニゴケ健在!


そしてやっぱり!ミカヅキゼニゴケを知っている方ならひと目でお気づきのことだろう。
葉状体には無性芽器以外に、白いツノのようなものがたくさん頭をのぞかせているではないか!





後日、関西に帰ってから先述のTさんとさらなる情報交換をして、
結局、このツノのようなものは雌株の雌器托であるということがわかった。

ただ、4年前に見た時よりも、今回のそれはずいぶんと威勢がなく、小さく縮こまって見える。

   ※注)リンク先の過去記事:この時は勘違いして雄株生殖器官である「雄器托」と書いてしまっていますが、正しくは雌株の「雌器托」です。

どうもこのまま柄が伸びて胞子を飛ばすようには思われない。
もしかしたら不稔(受精をしていない状態)の雌器托なのかもしれない。
ならばこのまま朽ちていく運命なのか・・・・・・うぅ、ザンネン!

さらに4年前は雄株の雄器托(ゆうきたく)らしきものも見られたが、
今回はそういったものは見つけられなかった。


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▲こちらは2012年4月に撮った同地のミカヅキゼニゴケの写真。
 白いしずくのような形の雌器托に囲まれるように、黒っぽい盤状のものが見える。これこそが雄株の雄器托であろう。


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ちなみにこれまた後日にあった岡山コケの会関西支部の集まり(コケサロン)で、今回の話をしたところ、
「私もこういうの見たことありますよ」とおっしゃる方がいらっしゃって、またびっくり。

Tさんが見つけたミカヅキゼニゴケといい、受精せず(雄株が周囲にいなかったからできなかったのであろう)、
されど春という季節柄、雌器托だけは伸ばす準備ができているミカヅキゼニゴケは探せば案外いるのかもしれない。

Tさんが京都で見たタイミングは4月~5月にかけて、そして今回私が見たのも5月下旬なので、
やはり来年もこのあたりの時季にミカヅキゼニゴケをしっかりチェックしておくことを忘れないようにしたい。

いやはや、久々の更新ですっかり長文になってしまったが、
じつはまだこの件については書き足りないことがあるのです。

次回につづく!



▲今回、群落を見た雑感としては、雌器托がついている葉状体は普段のミカヅキゼニゴケに比べて無性芽器の数が少ないように感じた

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【コケ情報】7/1(金)~7/7(木)「ちいさな苔の写真展Ⅲ」 @大阪

2016-06-26 12:18:34 | コケ情報

   
 

梅雨はコケたちが恋にいそしむシーズン(つまり受精シーズン)ためか、
コケ好きの人間たちもなにかと盛り上がってしまいます・・・(!?)
ということで、またまたコケ情報です!

今年も「オカモス関西」の写真好きのメンバー4人でコケだけの写真を集めた写真展を行います。
場所は大阪市内のオリンパスギャラリーです。全日、メンバーの誰かしらは在廊しています。
関西近辺のコケ好きの皆様、よろしければぜひお立ち寄りくださいませ。


   「ちいさな苔の写真展Ⅲ」

●会場:オリンパスプラザ大阪 オープンフォトスペース
大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル1階
   地下鉄四つ橋線 本町駅 22番・23番出口からすぐ

●期間:2016年7月1日(金)~7月7日(木) ※ただし日曜日は休館

●時間:10時~18時  ※最終日は15時まで

●写真:オカモス関西メンバー 辻・波戸・村井・藤井
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