西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

付替え道路工事再開219日目・攻防10

2017-06-29 19:16:19 | 石木ダム
県が昨年作った現場内の詰所は、銀色の鋼板で覆われどこかの宗教団体のサティアンのようだ。



今月20日に県道わきの空き地に建てた現場詰所も、同じように銀色の鋼板で周りを取り囲み、こちらもサティアンのようだ。



それでみんな現場内にある詰所を第一サティアン、今回できた詰め所を第二サティアンと呼んでいる。

午前8時50分、その第二サティアンの前に業者のワゴン車が止まり、6人の作業員が降りてきた。



詰所の入り口から中に入ろうとするが、地権者と支援者とで中に入れないように止める。そこでしばらく小競り合いがあったが、業者は直ぐにダム事務所に連絡をし、ダム事務所から次長と建設課の4人の計5人が第二サティアンへやって来た。

少しの間押し問答が続いたが、すぐに門扉を開け職員も業者も第二サティアンの中へ入った。


ここから堰を越えて現場に入るのは簡単なので、すぐにでも現場へ入るのだろうと思っていたら、業者と県職員が中から出て河川敷に向かって行く。

慌てて走って、河川敷に下り数人でネットを張り業者・県職員と向き合った。



ここから一歩たりとも中に入れない! その思いで必死でネットを握りしめる。

「どうか話し合いをして下さい。お願いします。」「業者のみなさん、帰ってください。生活を奪わないで下さい。」と口々に言いながら現場への入場を阻んだ。






現場に入れなかった県職員・業者はまた第二サティアンへ戻った。



堰の近くにある鋼板を2枚ほど取り外してドアを付け、簡単に堰へ行き来できるようにしてあるとの話で、昼食後見てみようと出かけていくと、業者と出くわした。

手には工具箱を下げている。 また、河川敷から現場へ入るつもりらしい。



走る。みんなに知らせなくてはと電話をしながらさらに走る。

河川敷に下り、ネットを張ってみんなで追い返した。

今日は2度も河川敷からの入場を阻むことができたのだ。


しかしその後、県職員も業者も第二サティアン裏の堰から現場へ入った。



こんなことなら最初から堰から現場へ入ればよかったのだ。

何度も業者と私たちとを対立させ、摩擦を起こさせるようなことは止めればいいのだ。



今日は走り回った一日だったが、体重は減っただろうか…?


付替え道路工事再開215日目・攻防9

2017-06-23 20:24:06 | 石木ダム
午前7時20分、新現場詰所前にダム事務所職員5人と業者11人がやって来た。



銀色の鋼板で取り囲まれた新詰所は、まるでどこかのサティアンのようだ。

身軽なダム事務所の建設係長が、すぐに鋼板を乗り越え詰所の中に入った。そして、詰所のカギを開け業者を中に入れる態勢を整えた。



私たちは、このプレハブの建物の前と車の出入りができる門扉の前に座り込んだ。

20日に大型トラックに資材を積み、プレハブの現場事務所をすぐさま作った県は、敷地の中にトラックやユンボを入れたまま周りを銀色の鋼板で囲ったのだ。

20日は私たちの座り込みを突破できなくて、とうとう全部の車も資材も置いて帰ったのだがトラックのほとんどは「わ」ナンバー、つまりレンタカーだ。

レンタル料もかかるだろうし、業者としては1日も早く外に出したいに違いない。

出してもらっていいが、ドラム缶4本や他の資材も運び出してもらいたい。それらを残されると工事の進み具合に影響が出てくる。

こちらとしては、プレハブの詰所と仮設トイレは残して、あとは全て持ち出すということが条件だった。


県職員・業者との膠着状態が続いてから1時間半、県はまた警察を呼んだのだ。



今回で9回目の出動なので、もう顔なじみになった川棚署の刑事さんが今日も仲介して話し合いがもたれたが、県は「業者3社の代表と話し合って、反対同盟からの条件は飲まないと決めている」として、話し合いは直ぐに打ち切られた。


そうであるならば、こちらは座り込んでとにかく車を出させないことだ。



蒸し暑く遮るものもない場所で、日に照らされながらみんなで座り込みを続けた。

その間に、業者は入口の鋼板や門扉を外し、中の様子が見えるようになった。






動きがあったのは午後3時すぎ。

とうとう根負け(?)したのだろうか、ドラム缶をクレーンで釣り上げトラックに乗せ出した。

そして、午後3時45分、全ての資材を乗せたトラック、クレーン車は帰って行った。




今回は資材まで持ち帰らせることができたけれど、いつもこんなだとは限らない。

気を抜かずに闘い続けなければと思う。

付替え道路工事再開212日目・攻防8

2017-06-20 22:15:06 | 石木ダム
長い、長い一日だった。



午前4時半に共有地権者のYさんより電話。

すぐに石木ダム建設のために、県が大型重機を現場に入れようとしているに違いないと思った。

Yさんによると地権者のIさんより電話があり「M採石場のところ」と言って切れたのだと言う。

「今から支度して出ます。」と言うYさんの車に夫と二人便乗させてもらって「こうばる」へ向かった。


午前5時30分、石木交差点から「こうばる」へ上がって行くと右手にクレーン車が見えてきた。
大勢の人の姿も見える。

えっ! ここ?

県は大型重機を現場に入れるために、ゲート前か河川敷入口どちらかにトレーラーを持ってきているのだとばかり思っていたが違った。

もっと下、一番現場に入りやすい堰のところにトラックやユンボが置かれていた。

石木ダムの付替え道路工事と同時期に、県道の拡幅工事も行われていて、これまで道路だったところに細長い空き地が出来た。
手ごろな広さで、ひょっとしたらその土地を資材置き場にするのではないかと気になっていたが、どうやら当たっていたようだ。


大勢の県職員と業者が動き回っており、現場詰所用のプレハブを作り始めていた。

後で聞いたのだが50人ほどが中に入っていたらしい。県の職員は28人まで確認できた。





空き地はフェンスで囲まれ、その中をまた金網で囲み、その中をまたジェラルミン製の板で囲み始めた。

私たちの激しい抗議の声の中、工事は着々と進み午前中には終了した。








大きな工事用の扉が開かれ、その扉の前に座り込んでいた私たちともみあいになった。







混乱が静まって中を覗くと、早朝に入ったトラックやユニック車が頭を入口に向け止まっている。

夜中から来ていたはずなのに、一度も姿を見せなかった所長が現れて、車両を出すので道路を開けるよう私たちに言う。



とんでもない!資材や燃料や監視カメラやもろもろのものを持ち込んだのだから、それらのものを持ち帰ってもらわねば工事はますます進むのだ。

雨脚がひどくなってきたが、私たちは傘をさし動かず座り込んだ。



しばらくしてサイレンが聞こえ、パトカーが私たちの前に止まった。

また県は警察に通報したらしい。

警察の力で私たちを排除したい県、しかし思惑は完全に外れたのではないか?

警察は「ただ道路に座っているだけ」として私たちを排除することはなかったし、膠着状態だった反対派と県との仲介をしてくれたのだ。

やっと所長が私たちの前に現れたが、らちがあかない。



こちら側の主張は、プレハブ以外の工事用資材を持ち帰ってくれれば車両を出すということだったが、所長はなかなか決断できない。

午後5時過ぎ、川棚署の刑事が県と話し合い「大型車両5台とプレハブ以外の資材を持ち帰る」との結論が出たのに、資材を積み込む様子もない。

雨の中、業者も県の職員もずぶぬれ、通報を受けてやって来た川棚署の刑事さんたちもずぶぬれだ。

早く入れ込んだ品物をトラックに積めばいいのにとイライラが募っていた時、本庁から土木部の次長と河川課長がやって来た。

ああ~~、所長はこの二人の到着を待っていたのだ。

早朝4時から抗議を続けている地権者のみなさん、私たちでさえ5時30分から抗議を続けているのだ。いい加減にしてくれと言いたくなるが、それは作業員も若い県職員も同じだっただろう。

さあ、これで資材を持ち帰るのかな? しかし、みんなの前に出てきた土木部次長は、あろうことか「ダム必要論」を言い始めた。



おかしいんじゃないか! 今がどういう状況なのか把握できていないのだろうか?

再度、川棚署の刑事が中に入り、地権者の方も資材の確認に入られたが、結局、所長は資材を持ち帰らないとの結論をやっと出したのだ。

そして、午後7時30分、トラックもクレーン車も置いたまま県職員と残っていた業者は帰って行った。



こういう結論なら、午前中で終わっていたはずだ。

今日のことで所長の決断力不足を感じたが、地権者や私たちのみならず、作業員、県職員、川棚警察署員まで、雨の中7時間も濡れながら結論を待たされたのだ。結論を引き延ばし続けた所長の責任は大きいと思う。


14時間に亘る県との攻防はやっと終わったのだった。


付替え道路工事再開210日目・攻防7

2017-06-16 20:58:23 | 石木ダム
13日は岩屋から里山を下って現場入りしたダム事務所職員と業者だが、翌14日は河川敷入口から職員・業者11人が現場に入った。



現場では「付替え道路工事」ではなく、その工事にかかるための「工事用車両道路」作りが行われている。

現場に入られてしまうとどうしようもない。12台もの監視カメラが付いた現場をみんなで監視するのだ。


今朝は、7時25分にダム事務所職員2人と業者4人が現場に入った。

ゲートに上がる途中、河川敷入口で地権者のみなさんとダム事務所職員が対峙しているのが見えて、慌てて河川敷へ向かった。



ダム事務所の次長と建設課長、建設係長、それに建設会社の現場責任者と作業員3人の計7人の現場入場を皆さんで必死に止めている。

私も急いで隊列に加わった。

建設課長は相変わらずデジカメで写真を撮り、写させまいと地権者の方が手を伸ばしてレンズを塞いでいる。



係長は、先日から首からカメラをぶら下げていると思っていたが、実はビデオカメラだったのだ。



さかんに「撮ってますよ」を連発する。


「もう工事はせんで帰らんね。」「次長、早う引き上げますって言わんね。」とみんな口々に言うが、課長は「工事をさせて下さい。」の一点張りだ。

30分ほど押し問答が続いたが、とうとう職員・業者は引き上げることになった。

本当に下まで帰るのか、堰や他の入り口から現場に入ることがないか、みんな後をついて行く。



迎えに来たワゴン車に乗ったのを確認して、みんな戻って来た。

しかし、油断はならない。一度帰っても二度、三度とワゴン車でやって来たこともあるし、他の入り口から入ったこともあるのだ。

誰もが気を抜かず、お昼まで河川敷、堰、ゲート前と別れて見張りを続けたが、やって来ることはなかった。





工事日程が遅れているのだろうか?
現場に入った職員・業者は昼休みもなく工事を続けていた。

付替え道路工事再開205日目

2017-06-09 21:33:15 | 石木ダム
川棚町に入って小串、大崎半島入口を通過するが電話はまだ掛かってこない。



いつも支援者のYさんが県の動向を知らせてくれるのに今日はまだだ。Yさんに掛けてみるが出ない。地権者のSさんにも掛けるが出ない。

もうこれは県・業者とゲート前で対峙しているに違いない。

あわててゲートに上る途中、河川敷入口辺りに業者のヘルメットが見える。



河川敷で車を降り、リュックを背負ったままみなさんのそばに並んだ。

今朝は7時30分に県・業者がゲート前に来て、県職員5人と業者が1人現場に入ったとのこと。

しかし、みなさんの頑張りであとは現場入場を阻止できたのだ。

河川敷でも、県職員・業者の現場入場を阻むことができほっとする。

いくら県職員が現場に5人入っても、作業をするのは業者なのだ。どうにもならないだろう。

先に現場に入った県職員が、中からこちらの様子を窺がっている。




10時20分、河川敷入口で座り込みを続けていたが、ピー!っという笛が聞こえる。

正面ゲートからだ。見ると県職員が現場の囲いの中から出て、ゲートに向かっている。

慌てて走る。走る。

また、中から番線を切り竹を鋸で切ってゲートを壊すつもりなのだ。必死で竹にしがみつく。

地権者のみなさんがどんな思いでこのゲートを作ったのか、あなた方にはわからないに違いない。

ゲート前で職員との攻防が続く中、今度は河川敷からピー!と聞こえてくる。見ると業者が現場へ入ろうとしている。

今度は、河川敷へ向かって走った。

幸いネットで入場を防ぎ、建設課長と業者を止めた。



もう、現場には入れないと思ったのか業者は日陰で一休みした。

そこからは、世間話が好きなおばさんたちの出番だ。

「歳はいくつ? 結婚しとるとね? 子供はいると?」などなど業者のみなさんと話をする。



睨みあっていないときは、みなさん気さくな人たちだし、優しい父親の顔を覗かせる若者だ。

その中の年配の作業員で大型ユンボを動かしている人が、「俺たちは月給じゃないとさ。日給だけん働かんとお飯の食い上げたい。」と話される。



「大変ね~。でもね、こっちもダムは作らせられんとよ。もう50年も反対して来とると。こっちも生活を奪われるとよ。」

作業員の方一人ひとりに対して、地権者も支援者も、誰も悪い感情など持っていない。

「石木ダム」という公共事業が、地権者と業者との対立を生み出しているのだ。