西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

付替え道路工事再開239日目・大型重機搬入

2017-07-28 09:16:56 | 石木ダム
午前4時50分、それまでの星空が消えあたりが白み始めた。



この第2サティアン前で抗議を始めてから4時間あまり、とうとう一晩をこの道路で明かしたことになる。


日付が変わったばかりの午前0時26分、毎日一緒に現地でダム反対行動を続けているY子さんから電話がかかる。

このひと月あまり、大型重機が入るのではないかとずっと気になっていたので、大型重機を搬入しているという電話に違いないと思った。

やはりそうだ。「今から出るけど、行ける?」。夫を起こし「重機を入れよるって!」と大声で言うと、「おお」と起き上がりすぐに着替え始めた。
夫も大型重機搬入が気になっていたのだ。

折り返しY子さんに電話し車に便乗させてもらうことに。


午前1時07分、こうばる第二サティアン・詰所前に到着。

地権者のみなさんがダム事務所の所長・次長・建設課長を取り囲んで抗議をされている。





警察をすぐに呼んだのだろう。川棚署の警察官の姿もある。そして、何か事があるたびに動員される本庁や県北振興局の職員の姿も見える。軽く10人は越えている。



抗議を受けていた職員たちは、逃れるように第二詰所の中に入った。

夜中とはいえ、外はうだるような暑さだが、詰所の中は冷房が効いているらしい。結露して窓ガラスには水滴がついている。昼間は中が見えないようになっている窓ガラスだが、外が暗いので中の様子が見えている。



30分ほど経っただろうか?

やっと所長はじめ県職員が詰所から出てきた。

帰ろうとする所長を取り囲む。このまま帰らせるわけにはいかない。



現場に入れ込んだ「大型重機2台、ローラー1台、小型ユンボ1台」を何としても持ち帰ってもらわなければならない。

「重機を出してください!」の声が響く。

これ以上の工事をさせてはならない。あの大型の重機ならサクサクと山を削り、すぐにでも盛土を完成させるかもしれない。

みんな「重機を出せ」を連呼し、膠着状態が続く。

そうやって5時間余り、所長からは「重機を出す」との確約は取れなかったが、「今日から来月16日まで工事を中断する。この間に重機搬出をも含む話し合いを数度にわたって持つ。」その予備段階の話し合いを8月1日に行うことが決まった。




白々と明けた空の下には、搬入された重機と崩されてしまった河川敷・護岸が見えている。







大型重機は正面ゲートからしか入らないと思っていた私たちの裏をかき、河川敷きから入れたのだ。

夜中に、職員を大量動員し、こそこそと重機を入れ込む。それほどまでしてやる公共事業とは何なのだろう?

人口減少・節水機器の普及等々の要因で平均給水量は下がりっぱなしの佐世保市にこれ以上のダムは必要ないにもかかわらず、50年前の計画に基づくダム建設を行おうとする長崎県の罪は大きい!








付替え道路工事再開235日目

2017-07-24 19:25:34 | 石木ダム
昨年7月25日に始まった第四次付替え道路工事は、今日で実数235日となった。



2010年3月に始まり同年7月23日に中断したのが第一次付替え道路工事。

2014年7月30日に始まり8月7日に23人を通行妨害で訴えて中断したのが第二次付替え道路工事。

2015年5月19日から翌2016年1月26日、工期満了で終了したのが第三次付替え道路工事。

そして、2016年7月25日から始まり現在も継続中なのが第四次付替え道路工事だ。


ちょうど一年になるが、工期は大幅に遅れていると言いながら中断も中止にもならず工事は継続され進んでいる。



ダム事務所の所長によると付替え道路の進捗状況は一割未満と言うことだが、このまま進めばかなりの割合に達するだろう。

だからこそ、私たちは頑張って業者を現場に入れないよう、工事がこれ以上進まないよう抗議を続けてきた。


先週は火曜~木曜の間、みんな必死で業者の現場入場を止め、現場に入るのを遅らせてきた。午前中はほとんど仕事ができなかったのだ。

それで、金曜日には午前6時30分に県職員2名と業者5人が早出をして現場に入った。

入った業者をよく見ると、これまで見たことがない作業員が動いている。 同じ会社の別メンバーがやって来ているようだ。


そして今朝は、午前7時20分に岩屋ルートで金曜日と同じメンバーが現場へ下って来たのだそうだ。



トラックやユンボは8時まえから動き始め、作業は少しづつ進んでいく。

しかし、作業の進み具合をテント横で見ているわけにはいかない。


8時40分になるといつものように第二詰所まえに業者がやって来て詰所の中に入ろうとするし、その手助けに県職員がやって来るだろう。
急いで、第二詰所へと下った。


やはり8時40分に業者5人が到着。すぐにダム事務所から職員6人がやって来た。





きょう初めて現場へ手伝いに来た総務課長は、いいところを見せようと張り切って大声を出している。



私は東側の門の前で、門扉が開かないように取っ手を握った。



雨が降り出し、みんな濡れながら業者を止めたが、早朝から現場に入っていた県職員が川を渡って第二詰所のカギを開け、正面の門扉のカギを開け、私たちがいる東側の門扉のカギも開けた。

それでも詰所も開かないように、正面の門扉も開かないように頑張っていたが、詰所の扉が押されて外れかかりその隙に業者は全員詰所に入ってしまった。

業者全員を手助けをして現場に入れた県職員は、全員9時30分に引き上げた。

もうちょっと頑張れたらな~と思ったが仕方がない。


明日は簡単には入れないぞ~!

団塊世代の底力はすごいのだ。




付替え道路工事再開233日目・攻防13

2017-07-20 19:42:51 | 石木ダム
今日も、業者とダム事務所職員は時間差でやって来た。




このところブログ更新がなかなかできなかったのは、この抗議行動の中で使用していたデジカメを落とし壊してしまったせいだ。

県職員と対峙し、現場に職員や業者を入れないように動き回りながら片手で写真を撮るので、カメラを落とすことは日常茶飯事だったのだが、今回は落とし方がまずかった。

レンズが引っ込まなくなりカメラ店に持って行ったが、すぐには修理できないとのことで仕方なく新しいカメラを買った。

買ったものの古希目前の団塊世代の悲しさ、新しいカメラになじめず四苦八苦、やっとどうやら使えるようになった。


さて今日は午前8時40分に6台の車で7人の業者がやって来た。

業者のおじさんや若者とも顔なじみになって、ちょっとした会話も交わすようになった。



「今日も愛妻弁当ね? よかね~。」たわいない会話だけれど、それがこのあと県職員が来て繰り広げられる攻防戦の緩衝材にもなるのだ。

午前9時10分、県職員の登場。

今朝は第2詰所前ではなく、ずっと下のほうで車を止め5人の職員が歩いてやって来た。



あっ、歩いてきていると思った瞬間、若いT君がフェンスからジェラルミン製の塀を乗り越え中に入った。

止める間もないできごとで、入られてしまったら仕方がない。あとは他の職員と業者を現場に入れないように頑張るしかない。

警戒していたが、もう一人の職員にも入られてしまった。

職員は2人で中から事務所のカギを開け、正面の門扉のカギも開けた。



しかし、そこからが私たちが粘りを発揮させる時なのだ。

東側の門のカギも開けられたが、扉にしがみついて開けさせない。

正面もみんなで開けられないように押さえている。



開けようとする門の隙間から、昨日私たちが帰ってから持ち込んだ土嚢が見えている。



若いT君は、塀を内側から支えている鉄パイプに乗ってビデオカメラを回し私たちを執拗に写している。



建設課長は、「妨害行為ですよ。不法侵入ですよ。」と言い続けている。




そんな中、10時50分まで持ちこたえたが、正面を開けることが無理だと判断した県職員は、向かって左側の門扉の取り付け金具を外しとうとう業者を中に入れた。



1時間40分にわたる県との攻防は終わったが、結局、業者は午前中仕事をすることができなかった。


毎日がこういう闘いの連続だが、私たちはこれを続けることしかできない。

こうやって、工事を1時間でも2時間でも遅らせていくこと。

裁判闘争とともに、その積み重ねが大事なのだと思っている。

付替え道路再開229日目

2017-07-13 21:43:32 | 石木ダム
午前8時40分、いつものように業者が出勤してくる。



今日は電気工事関係の人もいて、いつもより多い9人だ。

20分後にはダム事務所の職員がやって来たが、こちらもいつもより多い。普通は次長と建設課のメンバーだけだが、今日は用地課の4人もやって来た。





これだけ多くの職員が来たということは、どうしても今日やりたい工事があって業者を現場に入れたいのだろう。


しかし、業者を簡単に現場へ入れることは出来ないのだ。今日の新聞によると、石木ダムの完成予定年度を2022年としているが、そのためには本年度末(2018年3月)までに本体工事にかからなければならない。



いま事業認定取り消しの裁判と工事差し止めの裁判を闘っているが、この裁判の間も工事は行われていく。

裁判には長い時間がかかる。たとえ事業認定取り消し訴訟で勝ったとしても、その長い期間にダムが出来上がっていればダムの運用は開始される。
裁判で勝っても、出来上がったダムを壊して元通りにするということにはならないのだ。

だからこそ、いま必死で工事を遅らせるために業者の現場入場を止めているのだ。


今日は第2サティアン詰所前で、50分間業者と県職員の現場入場を止めた。


簡単には現場に入れないと判断したのか、9時50分、県はまたまた警察を呼んだ。



川棚警察署の出動は今回で14回目。

ただ詰所前に私たちがいたというだけで何の事件性もないので、川棚署も困ったのではないだろうか?

車の移動を指示するくらいで特段何もなかった。


県はこの後、業者を連れて中央ゲートへ向かったが、本気で入る気はなかったのだ。





しばらくして第2サティアンに残っていた地権者から連絡があり、県職員に入られて、正門も東側の門も開けられてしまったとのこと。

入られてしまったら仕方がない。

しかし、今日も半日近く工事を遅らせた。

ダム事務所の所長も、「工事が数か月遅れている」ことを認めている。



こうやって工事を遅らせていくことの積み重ねが大事なのだ。


付替え道路工事再開223日目・攻防12

2017-07-05 20:01:24 | 石木ダム
今朝はいつもより30分ほど早くこうばるへ到着。 雨雲が低く垂れこめているが、田植えが済んだ田んぼでは青々とした稲が伸びている。



午前8時40分、いつものように6台の車で7人の業者が第2サティアン前にやってきた。



業者は「開けて下さい。」と言うものの無理に入ろうとはせず、ダム事務所の職員が来るのを待っている。

午前9時、ダム事務所の建設課4人組が公用車でやって来る。

建設課長が「妨害しないで下さい。ここは事務所の入り口です。開けて下さい。」を繰り返すが、私たちは必死に止める。





しばらく押し問答が続いていたが、建設課長が東側の通用門を開け中に入り正面の門扉を開いて業者を中に入れた。



中に入った業者は、裏側に付けた通用門を通って堰を渡り現場へ入るのに違いない。

急いで堰へと向かった。



そこでは、すでに地権者の男性陣数人が業者と県職員の行く手を塞いでいる。

堰からの入場は無理だと判断したのだろう、業者も県職員も河川敷へと向かっている。

河川敷へと走りながら緊急事態の笛を吹く。早く早くみんな河川敷に集まれ!



この河川敷でも、みんなの力で業者・県職員を追い返すことができた。


河川敷からも入れないとすると、今度は正面ゲートから入ろうとするだろう。

やはり業者も職員もぞろぞろと正面ゲートへ歩いている。

また走る。走る。

正面ゲートでも業者・職員を追い返すことができた。



やっとホッとしてテントへ戻り、冷たい水を飲んだ。


どこからも現場へ入ることができなかった業者・職員は、その後、銀色の鋼板にはしごをかけ塀を越え、さらに川にはしごを下ろし川伝いに堰まで行き、そこから現場へと入った。

午前11時15分攻防は終わったが、業者の作業は半日遅れたことになる。

中々、業者の入場を阻むことができないが、作業を遅らせることは続いている。半日の遅れが2日続けば1日の遅れとなる。

そういう闘いを続けていかなければならない。