西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

やさい通信

2010-07-30 20:44:16 | 石木ダム
佐世保には、無農薬の野菜を共同購入する「西海無農薬野菜の会」という団体がある。
佐世保のお隣、西海市西海町の農家が生産した無農薬の野菜を佐世保の市民が購入するという会で、毎週1回生産農家の方が自宅まで、取れたての旬の野菜を届けてくださる。

          

私ももう20年以上の加入暦である。「野菜の会」は、年に4回ミニコミ紙「やさい通信」を発行している。その通信の6月号に原稿を頼まれて、私は迷わず石木ダムのことを書いた。
cosmosさんのブログにも掲載して頂いたけれど、自分のブログが出来たので、こちらでも公開しようと思う。


川原(こうばる)の里

 石木ダムの建設予定地である、東彼・川棚町川原郷を初めて訪ねたのは、もう16年も前のことである。当時、佐世保市は大渇水できびしい制限給水が続いていた。鳴りを潜めていた「石木ダム」建設の話が、市民の口の端に上るようになってきたのもこの頃だった。こんな中、ダム建設反対を掲げ反対運動を続けられている地元の方のお話を聞く機会があって、私は川原郷を訪れたのだった。

          

川原郷は、登山愛好家にはマッターホルンに似ていると人気の高い、虚空蔵山の麓にあった。澄み切った川の流れ、小さい石積みの棚田が広がる里の様子に私は心を奪われた。「ああー、人間はこうやって営々として田圃をつくり、米を収穫して、何世代にも亘り生き抜いてきたのだ。」と言う思いがわきあがり感動したのだった。こんなに美しい郷を水の底に沈めていいのか?私の気持ちは、反対同盟の方のお話を伺う前に、ダム建設反対の気持ちで固まった。

          

そもそも石木ダム建設は、川棚町の治水と佐世保市の利水を目的とした多目的ダムとして計画された。しかし、実態は針尾工業団地への水の供給と工業団地が出来れば、人口が増え水の需要が増すだろうとの見込みから計画されたものである。だが、県の目論見ははずれ、広大な工業団地は買い手が付かないまま10年以上が経ち、1992年、やっとテーマパーク「ハウステンボス」ができたが、2003年には会社更生法の適用を申請、現在も再建中なのは、みなさんよくご存知のことだろう。

「見ざる・聞かざる・言わざる」のユニークな反対運動を続け、県や市の職員など外部との接触を一切断っていた反対同盟が動いたのは一昨年9月。
淀川水系流域委員会の座長だった今本京都大教授、同じく荻野教授を招いての石木ダム現地見学会と調査報告集会が開催され、県内外から多くの人が集まった。そのような動きの中から、川棚町では「清流の会」佐世保では「水問題を考える会」が発足し、学習会やシンポジウムを開く中で、はっきりと石木ダムの必要性が否定されたのだった。

          

私は、この学習会の中で出会ったMさんが立ち上げた、石木ダムに反対する市民グループ「石木川まもり隊」に参加し、他の会員のみなさんと一緒にパンフレットの配布や事業認定申請反対の署名活動、事業説明会での質問などを行ってきた。同時に情報公開法を使って、市内のダムの貯水量の変遷や補水量、取水量の動きなど会員で手分けして、細かく調べあげた。

その結果分かったのは、佐世保市が過大な水需要予測をしていること、1日1万トンもある漏水に有効な手を打っていないこと、そして極めつけは10年前にはあった水源が消えてしまっていることなどだった。私たちは水道局に疑問をぶつけたが、納得のいく回答は得られなかった。

「このままではダムが造られてしまう。」私たちは石木ダム建設に疑問を抱いている市議会議員・県議会議員に資料を渡して議会で追及してもらうことにした。その結果、3月議会で水道局は「漏水防止対策をやる。再生水利用の拡大をはかっていく。」と確約したのだった。

3月24日、県は予算が付いていることを理由に、付け替え道路の年度内着工に踏み切った。雑木林が次々に伐採され、山肌があらわになっていくが、まだまだだ。政府も「コンクリートから人へ」を標榜している。そう簡単にダムは作らせない。いま工事をやっているところは買収済みの土地だ。未買収の土地のほうが多いのだ。私も共有地権者の一人だし、立木4本も所有している。絶対に売りはしない。

                    

3月31日から、建設現場入り口で、ばあちゃんたちや女たちを中心にした抗議の座り込みが続いている。朝7時半から2時間程度、ラジオ体操をしたり、石木ダム反対の歌・こうばるの歌を歌ったり、ばあちゃんたちと話をしたり、時間はあっという間に過ぎてしまう。半世紀近くも反対運動を続けてきた人たちだけど、川原の人たちはみんな気のいいやさしい人たちばかりだ。
「ごめんねぇ。遠くから毎日来てくれて、悪かねぇ。」とばあちゃんたちは言うけれど、「ごめんね。」と言わなければならないのは、私のほうだ。
「夜にゆっくりしょうか、もう寝ようかとすると、県の職員の来らす。正月は元旦から佐世保の市長さんの来らす。言わすことはお願いします、お願いしますだけ。こん何十年ちゃ、気の休まる時はなかとよ。」…。

気のいいみなさん方を、長年苦しめてきたのは私の住む佐世保市だ。とどのつまり、ダム推進の為政者しか選べなかった私たち自身がこの人たちを苦しめてきたのだ。だから私は、今日も「ごめんね。」の気持ちで、ばあちゃんたちの横に座る。

サンデー毎日

2010-07-28 15:06:36 | 石木ダム
週刊誌・サンデー毎日の7月11日号のグラビアに、3ページに亘って川原郷の写真が載っている。

      

写真を撮ったのは、大西暢夫さん。
大西さんは、写真家であり、映画監督でもあり、最近出版されたフォトエッセイ「ぶたにく」はベストセラーにもなっている才能溢れる方なのだ。

10年ほど前、岐阜県に建設された徳山ダムによって、村ごと沈んでしまう徳山村に暮らす人々を取材された「僕の村の宝物」と言う本を読んで作者に引かれ、次に出た「山里にダムがくる」も買って読んだ記憶があった。

その大西さんを、石木ダム建設絶対反対同盟が主催した「3.14団結集会」で昨年と今年お見かけした。
ジャーナリストといえば、大柄でごついという先入観があったが、大西さんは小柄で優しい目をした実に控えめな方だった。

       

その大西さんが撮った「見ざる、言わざる、聞かざる」の櫓とダム小屋に集まるばあちゃんたちの写真が3ページに亘って掲載されているのだ。「大西さんから送ってきたよ。」とS子さんが、座り込みの現場にサンデー毎日を持ってきて、みんなで回し読みとなった。

ばあちゃんたちも、熱心に見ている。みんな欲しいという事になったが、川棚の本屋さんには1冊もないという。
S子さんは本屋に注文するというが、ばあちゃん達はみんな早く欲しそうだ。

それで、「佐世保で買って、明日の座り込みに持ってきますよ。」と約束。

さて、川棚からの帰りに一番近い本屋に直行。佐世保では大手の本屋の支店だが売り切れで1冊もなし。
次に全国チェーンの〇た屋へ。1冊しかない。ええ~っ!「サンデー毎日」ってそんなに売れるの?
次に我が家の近くの商店街にある本屋さんへ。5冊あって、ちょっとほっとする。

でもまだ6冊。
駅のキヨスクに行けばあるかも…。そこで佐世保駅へ、6冊残っていて大正解だ。
駅の隣のビルにある本屋で1冊。我が家の分も入れて、あと2冊。

佐世保中心の商店街、四ヶ町にある本屋で2冊。やっと15冊揃ってよかった。

翌日、座り込み現場に持参した。

       

ばあちゃん達は、恥ずかしそうだが、全国発売の週刊誌に載ったということで、どこか誇らしげでもある。

そして、とても嬉しそうだった。

ねむの木

2010-07-25 21:56:13 | 石木ダム
東彼・川棚町を流れる川棚川を左手に、波佐見町に向かって遡って行くと、石木小学校が見えてくる。その石木小学校先の信号を右に曲がり、今度は川棚川の支流である石木川を遡って行くと、川の両側に大きなねむの木が何本も…。



ねむの木は知っていたし、見たこともあったけど、こんなに大きなねむの木を見たのは初めてだ。その大きなねむの木に、ピンク色の花が沢山咲いている。もう盛りを過ぎ、ずいぶんと色あせてきたけれど、それでもほのかな香りがただよってくる。



私たちがダム建設に反対して、座り込みを続けていた場所にも、風に吹かれた花がはらはらと舞い散って、とてもきれいだった。

     

花は、くちなしの花に似た香り。しかし、あれほど強烈ではなくほのかに甘い匂いだ。

川棚町・川原(こうばる)は合歓の里でもある。

ちょっと一息

2010-07-23 16:11:13 | 石木ダム
石木ダムの建設予定地で続いていた“座り込み”は今日からお休み…。



          
いつまでなのか、はっきりはしないけど「ダム付け替え道路」の建設工事が今日から一時中断となったので、工事が再開されるまでの間は“座り込み”も休みとなった。

このままダム建設が中止になればいいのだけれど、そう簡単にことは運ばない。
しかし、ほぼ毎日、石木通いを続けていた私と夫は、ちょっと一息。

3月24日に始まった「ダム付け替え道路」の工事を阻止するために、3月31日から連日の座り込みに入って足掛け4ヶ月。凍りつくようだった川原の里も、今では照りつける太陽で熱中症にでもなりそうな暑さです。



座り込むばあちゃん達の健康が気がかりだっただけに、工事中断にほっとしています。

はじめまして

2010-07-23 14:46:26 | 日記
アナログ人間で、パソコンだ、インターネットだ、ブログだ…と言うところからはもっとも
遠く離れていたはずなのに、なぜだかこんなことを始めてしまいました。

日々、思うことなどを綴っていければと考えています。

どうぞよろしく。