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『天地明察』招差術の問題について

2010年04月21日 07時37分27秒 | 天地明察
昨日書いた「『天地明察』の問題は誤植か否か?」の記事に早くもコメントを寄せてもらい大きく進展したので改めて記事に。本当にありがたいことです<(_ _)>

本屋大賞を受賞した『天地明察』236ページ掲載の招差術の問題は以下の通り。

Tenchi_00

今、図の如く、大小の十五宿の星の名を持つ円が並んでいる。角星と亢星の周の長さを足すと十寸である。また心星と尾星と箕星の周の長さを足すと二十七寸五分である。さらに虚星、危星、室星、壁星、奎星の五つの星の周の長さを足すと四十寸である。角星の周の長さは何寸であるか問う


もっもさんに、この問題が渋谷の金王八幡神社所蔵の算額を元にしているのではと指摘していただき、更にcobozeさんにその問題の内容及び解法の情報を提示していただいた。

鳴門教育大学情報教育ジャーナル
情報教育の視点から見た和算に関する考察(菊地章氏,井出健治氏)
http://www.naruto-u.ac.jp/journal/info-edu/j05006.pdf

そこに掲載されている算額の問題は、

今有如圓宿名一十五球
只云角亢二球周寸相併
一十六寸又云心尾箕三
球周寸相併三十寸重云
虚危室壁奎五球周寸相
併六十三寸問角球周寸
幾何


であり、『天地明察』の問題とは数字のみ異なっている。

角星+亢星=16寸(10寸)

心星+尾星+箕星=30寸(27寸5分)

虚星+危星+室星+壁星+奎星=63寸(40寸)

※カッコ内は『天地明察』の問題

算額では、それぞれの数値を宿星の数で割ると、8寸、10寸、12.6寸と増大している。宿星が大きくなるのだから当然。一方、『天地明察』の問題では、5寸、9.17寸、8寸となっており、明らかに誤謬が存在している。

算額の解法は以下の通り。

Sangaku01
Sangaku02

『天地明察』の問題をこれに当てはめてcobozeさんが解いてくれたのが、4.3512773722627737226277372262774...だそうです。ごめんなさい、行列方程式は習ってません(多分)。頑張って、後で筆算したいと思ってますが^^;

cocoさんの御指摘から始まった招差術問題も皆様の御力によりかなり進展しています。『天地明察』掲載の問題は誤謬の可能性が非常に高く感じられますが、他の可能性などございましたら、是非御指摘くださいますようお願いします。

※「算額の解法」はリンク先のPDFから引用したものですが、誤植等があります。詳しくはコメント欄をお読みください。

※文庫版およびコミック版では問題が修正されているようで、その解についてはコメント欄に記載。