海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

国民新党沖縄県連への申し入れ

2010-05-26 20:22:28 | 米軍・自衛隊・基地問題
 新基地問題を考える辺野古有志の会とティダの会は、5月24日に国民新党沖縄県連と民主党沖縄県連を訪ね、普天間基地の辺野古「移設」=新基地建設を決して許さないという立場から申し入れを行った。23日に名護市ブセナリゾート前で行われた鳩山首相来沖への抗議行動に続く取り組みである。



 午後1時に那覇市おもろまちにある国民新党沖縄県連を訪ねた。呉屋宏県連代表が対応し、約40分の話し合いがもたれた。以下に申し入れ文を紹介したい。

普天間基地の「県内移設」反対に転換することを求める申し入れ

 貴党におかれましては、日々のご活動ご苦労様です。
 普天間基地の「移設」に関して政府原案が取り沙汰されています。辺野古沿岸もしくは浅瀬に埋め立てを軸として1600~1800メートルの滑走路を建設する、との報道がなされています。鳩山首相はいま「国外、最低でも県外」という選挙公約を投げ捨て、「県内移設」を強行しようとしています。
 一方で国民新党の亀井静香代表は、辺野古浅瀬へのくい打ち桟橋方式は批判しつつも、キャンプ・シュワブ陸上部への「移設」を主張しています。
 このような動きに対し稲嶺進名護市長は、辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない、という自らの選挙公約を守り、貫くことを表明しています。5月4日に行われた鳩山由紀夫首相との会談でも、そのことを強く主張し、辺野古への「移設」=新基地建設反対の立場をはっきりと示しました。
 去る1月24日に行われた名護市長選挙で、国民新党は稲嶺進候補者を推薦しました。そうであるなら、辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない、という選挙公約を貫こうとしている稲嶺市長を支えていくのが、国民新党の果たすべき役割ではないでしょうか。
 私たち辺野古有志の会・ティダの会は、「移設」候補地として政府原案に明記された辺野古区やその隣接地で生活するものとして、政府原案を容認することはできません。辺野古区をはじめ沖縄島北部の住民は、すでにキャンプ・シュワブ基地、キャンプ・ハンセン基地、北部訓練場などを抱えて、日々米軍演習の被害、恐怖にさらされています。
 実弾演習による流弾事故や早朝から夜間までとどろく射撃音、ヘリコプター訓練の爆音、廃弾処理による被害、米兵によるひき逃げや住居侵入、窃盗など度重なる事件。過去には殺人などの凶悪事件も発生しています。すでに北部住民は大きな基地負担を抱え、日々の生活と命を脅かされているのです。
 にもかかわらず、国民新党はキャンプ・シュワブ陸上への「移設」を主張し、辺野古区をはじめとした北部住民に新たな基地負担を担えというのですか。「県内移設」=たらい回しは、県内で新たな基地負担を生み出すものであり、沖縄の負担軽減にはなりません。私たち住民をこれ以上苦しめるのは止めてください。
 国民新党は15年の使用期限を打ち出していますが、辺野古区民、名護市民はこれまで14年以上も辺野古「移設」=新基地建設問題で分断と対立を強いられ、苦しめられてきました。それがどれだけ長い時間だったか分かりますか。米軍が受け入れる可能性も低い15年の使用期限は、現地住民の被害や苦しみを無視したものでしかありません。
 4月25日に読谷村で開かれた県民大会で、普天間基地の早期閉鎖と返還、県内移設反対、国外・県外移設を求める県民の意思が、日本政府、全国に向けて示されました。国民新党が沖縄県民の圧倒的多数の意思を尊重し、キャンプシュワブ陸上案や嘉手納基地統合案を撤回して、「県内移設」反対の立場に転換することを求めます。
 以上申し入れます。
2010年5月24日

 呉屋代表は、申し入れについてはあとで検討するとして、具体的にコメントすることはなかった。また、名護市長選挙で稲嶺候補者(現市長)を推薦したことについて訊かれ、推薦は総合的な判断で行ったので、基地問題に対する考えは違ってもいい、とした。
 呉屋代表は、私は宜野湾市に長年住んでいるが、宜野湾市民、周辺自治体住民のことを考えると、普天間基地が固定化されてはいけない、と述べた。これに対して、辺野古は人口が少ないから移していいのか、宜野湾と辺野古を天秤にかけて命の重みに差をつけるのか、爆音がうるさいのは宜野湾も辺野古も一緒、地域差別ではないか、と批判が噴出した。
 辺野古の皆さんが、自らの沖縄戦体験から基地に反対していることを語り、シマクトゥバで批判するのを呉屋代表は黙って聞いていたが、嘉手納基地統合案やキャンプ・シュワブ陸上案など国民新党の主張に対して質問や議論をしようとすると、考え方が違うから議論しても仕方ない、として拒否した。
 15年の使用期限を本当に信じているのか、という質問にも答えることはなかった。
 政党、政治家は自らの政策を説明する必要があるのではないか、という意見にも、考え方が違う、という言葉をくり返した。
 呉屋代表の対応は、辺野古の皆さんの話に耳を傾けようという姿勢はあったが、説明や議論を回避しようとする姿勢が目立った。
 



この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 緊急名護市民集会 | トップ | 民主党県連への申し入れ »
最新の画像もっと見る

米軍・自衛隊・基地問題」カテゴリの最新記事