海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

大阪にて

2008-03-31 23:54:32 | 生活・文化
 裁判の翌日は国立国際美術館に行き、アボリジニの画家「エミリー・ウングワレー」展を見る。初めて見る画家だったが、横溢するエネルギーに圧倒される。特に初期(といっても70代なのだが)の点描を主とした作品の集中力、密度の濃さ、色彩がもたらすリズム感やうねりに惹きつけられる。巨大なキャンパスにヤムイモの根や地割れを抽象化して描いたという作品は、明確な形をなしているわけではないが、ナスカの地上絵に通じるも . . . 本文を読む

大江・岩波沖縄戦裁判傍聴

2008-03-30 11:21:39 | 「集団自決」(強制集団死)
 28日は大江・岩波沖縄戦裁判の傍聴に行った。大阪地裁裏庭には、傍聴券を求めて600人くらいは集まっただろうか。さすがに今回は抽選に外れてしまったが、大正区の皆さんの好意で傍聴券を譲っていただき、法廷に入ることができた。  判決内容については報道の通りだが、印象的だったのは梅沢氏の落ち込みようだった。裁判官や被告側が引き揚げ、傍聴席にほとんど人がいなくなっても、しばらく椅子に座ったままだった。原告 . . . 本文を読む

大阪へ

2008-03-27 10:10:35 | 「集団自決」(強制集団死)
 今日は午後から大江・岩波沖縄戦裁判の判決を傍聴するために大阪に向かう。これまで五回傍聴してきたが、くじ運が良い方なので四回は傍聴券に当たることができた。本人尋問の時は競争率10倍でさすがに外れてしまったが、岩波書店の『世界』に傍聴記を書くことになっていたので、券を回してもらい法廷に入ることができた。明日もかなりの人が集まるだろう。仮に傍聴はできなくても、裁判をめぐる様子を細かく見てくるつもりであ . . . 本文を読む

07年11月25日「福岡講演」記録5

2008-03-27 07:19:16 | 講演記録
【沖縄基地強化の陰で利権を貪る政治家たち】  先ほど下地島の三〇〇〇メートルの滑走路について、「自衛隊使用が望ましい」と久間防衛大臣が発言したことに触れました。久間大臣が宮古で発言した同じ日に、与那国島にはアメリカの艦艇が寄港していて、これに抗議する集会が開かれていました。久間大臣がなぜ米軍艦の与那国島寄港にあわせるように宮古島に来て、そういう発言をしたのか。これはたんなる偶然とは思えないのです。 . . . 本文を読む
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07年11月25日「福岡講演」記録4

2008-03-27 07:17:50 | 講演記録
【沖縄における自衛隊強化と右派の動向】  そういうことを考えるとき、今回の教科書検定問題が教育基本法が改悪され、これから教育現場で「愛国心教育」がこれまで以上に強力に進められようとしていることと深い関係があるのは明らかです。また、「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓を否定しようという意図は、自衛隊を「自衛軍」という形で本格的な軍隊にしようという動き、つまり憲法九条を改悪しようという動きや、有 . . . 本文を読む

07年11月25日「福岡講演」記録3

2008-03-27 07:16:01 | 講演記録
【玉砕という言葉に立ち返って考える】  もともと赤松、梅澤の部隊というのは、マルレという小型ボートに爆雷を積んで、沖縄島に上陸する米軍の艦隊を背後から攻撃して撃沈するというのが任務だったんです。マルレというのは水上特攻艇なんです。夜間に出撃して不意打ちを喰らわせた方が効果が大きいですから、島全体が秘密基地として厳しい軍の統制下におかれました。住民は勝手に島から出ることもできないし、食糧も乏しいなか . . . 本文を読む

07年11月25日「福岡講演」記録2

2008-03-27 07:13:51 | 講演記録
【憲法九条の否定と日本軍の名誉回復を狙った大江・岩波沖縄戦裁判】  大江・岩波沖縄戦裁判とは何か、というと、二〇〇五年の八月五日に、渡嘉敷島の戦隊長であった赤松嘉次さんの弟である赤松秀一さんと、座間味島の戦隊長であった梅澤裕さんの二人が、大阪地裁に裁判を起こしました。岩波書店が発行している大江健三郎さんの『沖縄ノート』、中野好夫さんと新崎盛暉さんが書いた『沖縄問題二十年』、家永三郎さんが書いた『太 . . . 本文を読む

07年11月25日「福岡講演」記録1

2008-03-27 07:10:02 | 講演記録
 以下に載せるのは、昨年(2007年)11月25日に福岡で行った講演の記録を基に、大幅に加筆修正したものである。すでに四ヶ月がたち、教科書検定の訂正申請の問題などは結果も出ていて、古くなっている部分もある。しかし、9・29県民大会の意義と課題や大江・岩波沖縄戦裁判の背景の分析、「集団自決」をめぐる考察などは、今後さらに深められるべき問題として続いている。明日は大江・岩波沖縄戦裁判の判決が下りるが、 . . . 本文を読む
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嫌がらせには倍返し

2008-03-26 20:26:38 | 「集団自決」(強制集団死)
 昨年の12月26日、ちょうど四ヶ月前のことだ。夕方から名護市内の某公共施設で集まりがあり、その夜は忘年会があったので、車をそこの駐車場に置いたままにした。翌日取りに行くと、ドアミラーとフェンダーミラーがへし折られていた。  周囲を探しても壊された部品はなく、犯人が持ち去ったのが分かった。嫌がらせをやられたわけだが、すぐに頭に浮かんだことがいくつかあった。12月26日は「集団自決」の日本軍強制をめ . . . 本文を読む
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イッペーと桜

2008-03-25 23:36:45 | 生活・文化
 県民大会に参加するために沖縄自動車道を南下していると、名護から中部にいたる山々の新緑が目に鮮やかだった。テレビでは全国各地で桜の開花が報じられているが、沖縄ではすでに葉桜となってサクランボが実っている。  沖縄で春の花といえば今では、この二十年ほどで広がっていったイッペーの黄色い花が目立つ。1994年のちょうど今頃、高校教師に採用され、初任校がコザ高校だったので沖縄市中央にアパートを借りた。部屋 . . . 本文を読む

二人の恵氏

2008-03-25 10:16:34 | 米軍・自衛隊・基地問題
 一昨日の沖縄タイムス朝刊と昨日の琉球新報朝刊に、次のような記事が載っている。  22日に県内で宅配された産経新聞と世界日報に、米兵による性暴力事件の被害者を批判し、実名と誤解される名前が記されたチラシが折り込まれていたという。チラシを依頼したのは国旗国歌推進県民会議の恵忠久会長。A4版の両面に被害者の批判と、自民党や公明党は大会に参加すべきでないという主張が載っているとのこと。人権に関わる記載が . . . 本文を読む
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3・23県民大会

2008-03-24 20:23:40 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日(23日)は午後1時過ぎに北谷野球場前に行った。反住基ネットのメンバーがすでに来ていて、ビラを受け取り、そのあとずっと会場内でビラまきを行う。あいにくの雨にもかかわらず、2時から開始された「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」には6000人(主催者発表)もの人が集まった。会場をくまなく歩いたのだが、雨を避けて野球場の廊下(1・2階)や内野スタンドにもかなりの人がいて、実際にはそれ . . . 本文を読む
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県民大会に仲井真知事不参加

2008-03-22 23:45:31 | 米軍・自衛隊・基地問題
 明日開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に、仲井真県知事が不参加を表明した。それ自体は予想されたことであり驚かないが、出席見送りの理由として「契機となった事件の被害者と家族をそっとしておいたらどうかという判断が第一だ」(琉球新報3月22日付朝刊)と述べているのには、白々しさと不快感を覚える。知事が不参加を決めたのは、支持母体である自民党が県会議員選挙への影響を考えて不参加を . . . 本文を読む

「談合賠償放棄」を唱える輩

2008-03-21 20:59:15 | 政治・経済
 談合問題で揺れているのは名護市議会だけではない。沖縄県議会でもとんでもない論議が行われていた。琉球新報3月20日付朝刊に次のような記事が載っている。   〈「談合賠償放棄」県議会決議見送り/県負担発生を懸念/「準備不足」の指摘も  県発注工事の談合問題に係る県の損害賠償請求をめぐり、県議会土木小委員会(小渡亨委員長)は十九日、地方自治体の「権利放棄」の規定に基づく県の請求権放棄について、二月定例 . . . 本文を読む

名護市の談合問題

2008-03-19 19:06:32 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日(18日)は午前中名護市議会の傍聴に行った。10時前に議会に入ると傍聴席の前にテレビカメラが数台陣取っている。新聞記者も数名座っていて、前日とはまるで雰囲気が違う。17日は傍聴席に新聞記者が二人と市民は私を入れて三人しかいなかった。一番目に質問を行う大城敬人議員が、名護市の談合問題を取り上げていることにマスコミも注目していたのだが、実際、それだけの内容のある質問だった。何よりも、名護市の入札 . . . 本文を読む