「共通番号制法案」(マイナンバー法案)が成立に向けて大詰めを迎えている。すでに5月9日に衆議院本会議で可決され、現在は参議院で審議が行われている。政府・与党は5月中での可決、成立を目ざしているとされる。沖縄でやれることは限られているが、反住基ネット沖縄では衆議院可決に抗議し、廃案を求める要請文を内閣総理大臣、総務大臣宛に送っている。同文は5・15平和行進の参加者に配布された反住基ネット沖縄のビラの裏面に載っている。以下に引用して紹介したい。
2013年5月13日
内閣総理大臣 総務大臣
安倍 晋三様 新藤 義孝様
住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄
代表世話人 上江洲 由美子
「共通番号制度法案」の衆議院可決に抗議し、廃案を求めます
政府は5月9日、衆議院本会議で国民一人一人に番号を割り当て、年金や納税情報を一元的に管理できる「マイナンバー法案」を可決し、参議院に送付しました。この法律は「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号利用等に関する法律」が正式名称で、その中身について国民にほとんど知らされることなく可決されたことに強く抗議します。この法案が成立しますと、現在、バラバラに管理されている年金、所得・納税額、家族構成などを「共通番号」によって政府が一元的に収集、管理、利用することができるようになります。国家による個人監視強化が心配されます。
政府は、「役所の手続きが簡略化される」「所得の公正な把握」などメリットを挙げていますが、簡略化されるのは今のところ所得証明が必要な手続きに限られています。そもそもこの制度は、消費税増税に伴い真に手を差し伸べるべき人への「給付付き税額控除」に必要だとされてきました。しかし、自・公政権になってこの構想は立ち消えになり、制度導入の理由は不明確になっています。さらに自営業の経費や富裕層の海外へ移転された資産の掌握は限界があるといいます。また、この制度を始めるには膨大な国民の血税が使われます。情報システムの整備にかかる費用は数千億円から1兆円規模に上るとされ、IT関連企業は新制度がもたらす特需を取り込もうと動き出し始めたと報道されています。利便性よりもリスクがはるかに大きいこの共通番号制度を強引に成立させようとする安倍政権の意図に大きな疑念を持たざるを得ません。この法案は、形の上では個人情報の提供禁止規定が設けられていますが、刑事事件捜査への個人情報の提供など例外規定が多く設けられていて、「プライバシー権」や「自己情報コントロール権」などを侵害される危険性があります。政府が個人情報を収集、管理、利用できることによって「監視社会」が強化されるのは明らかです。
住民登録番号を導入している韓国では、不正アクセスによる番号の流出や盗用による被害が多発しています。アメリカでも社会保障番号の不正取得による「成りすまし」犯罪の損害額が年間約5兆円に上ったと政府調査報告があり、大きな社会問題になっています。
私たち「住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄」は、政府総務省が昨年1月29日沖縄県那覇市で開いた「番号制度シンポジウムin沖縄」において国民の「プライバシー権」や「自己情報コントロール権」をないがしろにする同法案をただちに廃案にするよう反対の意見を述べました。しかしながら安倍政権は、廃案になった民主党案よりも、さらに劣悪な内容の法案を強引に成立させようとしていることに強い怒りを禁じえません。ただちに廃案にするよう要求します。
以上、引用・紹介終わり。
福島みずほさん(社民党党首)のホームページに、福島さんと白石孝さん(プライバシーアクション代表)が「共通番号制度」の問題点について対談した映像がある。こちらもぜひご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=wh0MSZYrP2c&list=FL7lQvEVpMkDDJRPllASALFQ&index=2