海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

沖縄県知事選挙への官房機密費流用問題

2010-07-22 18:17:41 | 米軍・自衛隊・基地問題
 7月21日に放映されたTBSのNスタとNEWS23クロスで、鈴木宗男議員が官房機密費の流用問題について重要な証言を行っていた。小渕内閣当時に官房副長官を務めていた頃に知った事実として、自民党の総理経験者に年間2000万円が渡されていたことや、1998年に行われた沖縄県知事選挙で、自民党が推した稲嶺恵一氏の陣営に3億円が渡されたことを明らかにしていた。

http://www.dailymotion.com/video/xe3sb7_yyyyyyyyyyyyyyyyyyy_news

 1998年の県知事選挙は、現職の大田昌秀氏に対して、沖縄の自民党と経済界は稲嶺恵一氏を擁立し、普天間基地の名護市辺野古「移設」を最大の焦点に、激しい選挙戦が行われた。日米特別行動委員会(SACO)の合意に基づいて「県内移設」を進めようとする日本政府は、稲嶺氏を全面的に支援した。当時の自民党幹事長だった野中広務氏は、すでに同年1月に行われた名護市長選挙の時から自公連立体制を作り出していた。さらに政府が沖縄県への予算支出を締め上げることで「県政不況」を演出し、「9・6%」という失業率を表したポスターを街中に張りめぐらすという大手広告代理店を活用したイメージ選挙を行い、「政府との太いパイプ」を売り物にした経済界出身の稲嶺氏を当選させた。
 基地問題と経済問題をリンクさせることで、その後、政府と稲嶺県政は一体となって「アメとムチ」という手法で沖縄県民を懐柔し、普天間基地の「県内移設」を受け入れさせようと画策する。島田懇談会事業や北部振興策など、辺野古「移設」を進めるためにばらまかれた”汚れた金”の走りとして、3億円もの金が官房機密費から県知事選挙に流用されたというわけだ。
 NEWS23クロスでは大田昌秀氏へのインタビューもあり、政府から稲嶺陣営に金が出ているという噂が、選挙当時からあったことが語られていた。それが事実であったことが、今回の鈴木議員の証言で明らかになった。ポスターの量や運動員の数で圧倒していた稲嶺陣営の選挙資金として、当時の政府が官房機密費を流用していたということ。同県知事選挙の結果が、その後の沖縄の政治に与えた影響の大きさを考えれば、これは極めて重大な問題だ。
 はたして官房機密費が流用されたのは、1998年の県知事選挙の時だけだったのか。その後の県知事選挙や、あるいは名護市長選挙などでは流用されなかったのか。当然、そういう疑問も出てくる。官房機密費も元々は市民が払った税金だ。それを使って政府が地方自治体の選挙に介入し、政府の方針に従う首長を当選させるために画策するのは、地方自治や民主主義を破壊する暴挙であり、けっして許されない。
 官房機密費の問題は、沖縄にとって過去の問題ではなく現在進行形の問題だ。自公政権から民主党を中心とした政権に替わっても、官房機密費はそのまま使われている。普天間基地の辺野古「移設」を進めるために、名護市の推進派(容認派)や辺野古区の行政委員会に政府、沖縄防衛局から色々な関わりがなされている。そこでも官房機密費が使われていると考えている人は多い。
 今、この時期に鈴木議員が沖縄県知事選挙への官房機密費流用を暴露したのは、民主党政権の官房機密費の使用を牽制する意味があるのだろう。ただ、それだけだろうか。おそらく、今回の鈴木議員の暴露によって、官房機密費に関わりのあった沖縄の自民党関係者、県知事選挙選対関係者は戦々恐々としているはずだ。もっと暴露されたら……、という不安を与えることで行動を規制することができる。それが11月の県知事選挙にどう影響していくか。そのことも注意してみておく必要がある。
 鈴木議員が暴露した官房機密費の流用問題は、今後大きな問題になっていくはずだ。沖縄のメディアも徹底して追及してほしい。
 

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2 コメント

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自由と民主の名の下で (ミュウタント)
2010-07-23 10:43:41
どこからも監査を受けないお金が自由に使える、国のお金=私たちが働いて国に支払った税金、そのほかの税金だ。どんぶり勘定で使うことだけは一所懸命。許せませんね。
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知事選 (ru)
2010-07-24 19:37:54
機密費、やはりと言う感で今更驚きはしません。今回の鈴木談で当時の選挙の何とも言えない違和感を思い出しだします。ポスター(高失業率は現県政が悪いと記憶)ベタベタ、お金がかかってそうな稲嶺応援勝手連(若者は応援してます的なぁ~↑)…特に意味不解でした。これから行われる県知事選や名護市議選など、国の姑息な行為に目を光らせなくてはいけないですね
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