海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

稲嶺ススム総決起大会

2010-01-13 02:08:52 | 米軍・自衛隊・基地問題
 12日午後7時から名護市長選挙予定候補者・稲嶺ススム氏の総決起大会があったので参加してきた。21世紀の森屋内ドームに集まった支持者は3000名を超した。渡久地武明後援会長のあいさつのあと、稲嶺氏を推薦している政党・団体が紹介された。続いて政党代表、稲嶺氏の出身地・三原区代表、若者代表、後援会女性部長、県議などの激励あいさつ、市議会議員紹介と代表あいさつが行われた。その中では三原区代表で発言された上里氏のあいさつが秀逸だった。90歳でヤマヤッチーと呼ばれているそうだが、シマクトゥバで語られる話に会場が湧いた。
 最後のガンバロー三唱のあいさつの中で、故・岸本前市長が新基地建設に反対していたかのような発言があった。保守から革新まで幅広い団体、個人が稲嶺氏を推している。辺野古新基地建設に終止符を打つ、という今回の市長選挙の重要性を考えれば、まずは稲嶺氏の勝利を最優先させるべきだろうが、事実を偽ることはできない、ということは記しておく。



 1月10日に21世紀の森体育館会議室で開かれた井原勝介氏(前岩国市長)の講演会で、市長選挙において利益誘導を図る団体・個人とのしがらみを断つことが、民主的な地方自治を進める上で重要であると井原氏が話していた。まさに正論なのだが、名護市の現状はそれとはほど遠い。辺野古新基地建設という巨額の利権はもとより、基地と公共工事に依存してきた沖縄では、利益誘導政治のしがらみがはびこっており、この13年余の名護市はその最たるものだ。また、地縁・血縁の強さや浮動票の比重など、都市地区の選挙との違いもある。
 そういう地域で選挙に勝つためにはどのような方法が有効かを現職の陣営はよく知っている。一見、街頭演説やポスター、立て看板、チラシ配布など目に見える運動では劣っているようだが、企業や団体、市議会議員、区長をはじめとした地域の有力者などを中心に、確実に票固めをしているようだ。
 全国的に注目を集めているだけに、市外からの応援者がこれからさらに増えていくだろうが、実際に票を入れるのは名護市民だ。基地や安保という大きな問題が焦点になっていても、国政選挙ではなく名護市という一地方自治体の首長選挙である。そのことをよく踏まえないと、運動が上滑りして実際の票には結びつかないという結果になりかねない。こういうことは今さら私が言うまでもないことだが、これまで何度か名護市長選挙を見てきて感じていることである。
 最近、メディアを通して「辺野古はもうできない」「辺野古は終わった」という発言が流される一方で、長崎県の大村基地や伊江島、下地島が取り沙汰され、辺野古新基地建設問題という市長選挙の焦点がぼやけつつある。辺野古現行計画の微修正を主張する現職が再選されれば、名護市民はやはり辺野古を選んだ、という大キャンペーンがやられるのは目に見えている。辺野古新基地建設計画はまだ生きているのであり、市民を13年間苦しめ続けてきたこの問題を終わらせるために、名護市に住む一人として稲嶺氏を勝利させたい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 名護での激論会/ランド研究... | トップ | 案内 「第10回生物多様性... »
最新の画像もっと見る

米軍・自衛隊・基地問題」カテゴリの最新記事