省の半分がフッ素中毒

先月、米国務省の出した2004年度の人権報告書で、「失望した。米国との人権対話で約束したことの多くを果たしていない」」と人権状況を批判された中国。もちろん外交部は抗議。「いわれの無い指摘で、断固として抗議する」と、いつも通りの反応です。しかし、このニュースを目にしても同じことを言えるでしょうか。

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 貴州の半数がフッ素中毒 地方病の治療が課題
http://news.163.com/05/0302/04/1DQH69AA0001124T.html


半分とは1900万人です。貴州は安徽と並ぶ貧困省。その現状から、安くて質の悪い石炭を使うしかないのですが、それがフッ素中毒や砒素中毒を招き、長生きできない身体になるとか。記事の中に出てくる患者は40代や50代ですが、杖を突いています。脚が曲がり、歩行にも激痛が走るからです。記事に飛んで写真を見ていただければ分かりますが、悲惨の一言です。

そのほかの症状としては、腰が曲がり、腕は曲がったまま伸ばせない、皮膚が化膿し、シミが出来る、泣けば流れてくるのは濁った水と、半端な状態ではありません。それでも貧困ゆえ治療費が払えず、同じ石炭を使わざるを得ません。

両会ではご大層に「十大挑戦」を掲げていますが、そんなものより急を要するなのは明らか。1900万人の命がかかっています。先月の春節に、胡錦涛は貴州を訪問しましたが、何も聞いてない事はないはず。聞けばこの問題は30年以上放置されてきたとか。これも切り捨てるのか、しっかりと対策を取るのかで、胡錦涛の「親民政権」がどの程度かわかるでしょう。なにもしないだろうけど。


参考:http://www2.next.ne.jp/~sirayuki/f.osteo.scr.html(骨フッ素症について)
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王直の墓、ついに訴訟

昨日は怒りに任せて駄文を書きなぐってしまい、申し訳ありませんでした。

今年も全人代と政協委員会、いわゆる「両会」が始まりましたが、反分裂法と江沢民の引退が扱われると思います。江沢民は2002年に党総書記、2003年に国家主席、昨年に党中央軍事委員会主席と、3つの地位からは辞任していましたが、今回で中国中央軍事委員会主席も辞任し、いよいよ完全引退となるわけで、不愉快なツラをもう見なくて済みますね。

と、したり顔で全人代について語ろうかと思ったんですが、ほとんど知識が無いので無理でした。ここはひとつ別の話題で乗り切ろうと思います。私を含め、もう忘れかかっている事件の続報です。


 日本人が漢奸の墓を修繕 南京の院生2人が寄付者を告訴
http://news.sohu.com/20050302/n224502537.shtml

日本人が安徽にある漢奸・王直の墓を修理した事件が、また一騒動起こしている。現在、2人の南京大学法学院で国際法を学ぶ2人の大学院生が、南京中級人民法院で民事訴状を提出した。告訴状によると被告は日本の長崎県五島市と、寄付を行い墓を修繕した12名で、まだ立案するか決定されていない。原告の一人である李建は、「五島市はこの動きを組織しているし、12人の寄付者は事実上墓を建てた事になる」としている。

 民族の感情を傷付けた=人格を傷つけた

原告の張訥、李健は「中国国内に漢奸の記念碑を建てて賞賛することは、中国社会の公共利益と社会道徳に反し、中国社会に悪影響を与えた。さらに激しく原告の民族感情と人格の尊厳を傷つけ、原告の人格を侵害した」としている。

李健は民法第5条101条の規定で、公民の人格と尊厳は法律の保護を受け、侮辱や誹謗などで公民の権利を損なうことを禁止すると説明する。「我が国憲法においても、中華人民共和国公民の人格と尊厳は侵犯を受けず、いかなる方法による公民への侮辱や誹謗、誣告、罠にかけることを禁じると規定されている」(李健)

「民族感情は人格や尊厳の一部分であり、民族感情は当然守られるべきである。我々一人一人の肩にのしかかっているのだ。だから公民個人は自己の民族感情が侵害を受けたことに権利があり、自己の人格と尊厳が侵害を受けたのだから民事訴訟を起こしたのだ」(張訥)

張訥、李健は国内外の王直に関する資料を読み、王直が倭寇を率いて東シナ海沿岸部を略奪し、海上貿易を行っていたのは事実としている。このため、被告が王直という漢奸の墓を建てた行為は、彼らの人格と尊厳を損ねたのだと言える。

 何故賠償金は30万元か

彼らは訴訟請求の中で被告は即刻原告への人格尊厳への損害を止め、王直の墓と芳名塔を破壊し、全国規模のマスコミで原告への謝罪を行い、30万元の賠償金と、訴訟費用の負担も求めている。「30万は南京人民に対して骨に刻まれた数字。しかし日本側が賠償を行えば、30万元でも3分(1角=10分)でも我々にとっては同じこと」(李健)

法律を用いた民族感情問題の解決は国内では多く見られないが、2人の今回の行動は「理智的で冷静的な解決方法」だ。法律を学んでいる彼らは専門的な角度から自分たちの行動をこう分析する。「我々の訴訟が上手くいけば、必ず我が国公民の人格権における「人格尊厳」の拡大があるだろう。つまり、民族感情も人格尊厳を形成しているということだ」


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出ました。民族の感情を傷付けられた中国人が。久々の王直ネタです。今回は南京からのお越しなので、「南京大虐殺」も上手く絡めて、「抗日戦争勝利60周年」の今年にふさわしい内容に仕上がっています。いやあ、もう訴訟理由がほとんど因縁なんですが、おそらくこの2人は達成感でいっぱいでしょう。勝訴しても日本への実害は無く、彼らの傷ついた人格の回復が成されるだけですが、それでも満足することでしょう。

それにしても南京にはこんな思考回路の教師や学生しかいないみたいですね。反日が強まるほど、脳は停止する。誰かこのテーマで論文発表してください。

王直関連の資料を読めば分かることですが、王直が活躍していた頃の倭寇は7~8割が中国人(と朝鮮人)で占められています。そこら辺の都合の悪い箇所はバッサリと捨てて、漢奸の墓をわざわざ建てに来た日本人をやっつけろ的な考えで、派手に火をつけてくれました。墓を壊しておいて、更に賠償請求とは、さすがに朝鮮の宗主国はやることが一枚上です。

昨日の文章を書いた後だと、どうも全て用意周到な計画の一環のような気がして嫌ですね。二度目に墓を壊したのは地元幹部の差し金でしたし、持ってるカードは今年一気に使うつもりなのでは?

30万元のくだりは笑わせてもらいました。これから賠償請求は30万元、が流行るかもしれません。ところで、安徽にある墓の話で、地元からではなくどうして南京からばかり抗議が起こるのか?その辺はやっぱり党の戦略なのかもしれません。


関連:
王直という男の墓(2005/02/03)
http://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/50137c9f6a49720fe0a350919abfcee0
王直の墓、また壊される(2005/02/06)http://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/3321e48bf6db91b5d8fa932270144edd
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