町村「反日教育改善」要求と反応

昨日、一昨日と体力的にしんどい日々が続いてしまい、本来扱うべき重要な話題を後回しにしてしまいました。ちょっと鮮度は落ちていますが、やらないわけにはいきません。そうです、我らが町村外相がついにやりました。まず日本での第一報から。


  中国に反日教育の改善提起 参院予算委で町村外相
http://www.sankei.co.jp/news/050304/sei112.htm


既にご存知の方も多いと思うので転載は控えますが、愛国教育=抗日と明言した閣僚はもちろん彼が始めてで、これはかなりポイント高いですよ。さすが中共から右翼認定を受けた政治家は嫌がる事をどんどんやっていきますね。もう共同がこんな感じで世界中に配信してしまいました→"Japan urges China to 'improve' education on history"(日本が中国の歴史教育改善を主張)。

次にいつ李肇星に会うかは知りませんが、あの不愉快な顔が歪むかと思うと、今から楽しみです。ここ最近何度もこの表現を使っていますが、最近の日本はどんどん先手を打って、中国は防戦一方です。外相と幹事長代理が変わっただけで国とは変わるものなんでしょうか。産経すら「反発が予想される」と朝日っぽい懸念を示しています。そんな町村発言に対する反応はこちら。

 日本の外相 中国に歴史教育の改善要求
http://news.sina.com.cn/c/2005-03-05/11255274289s.shtml

日本は長期に渡って隣国を侵略した歴史を正確に認識し、対処する事が出来ず、歴史教科書を何度も改竄し、一部の政治家は本末転倒を続け、侵略を美化し、歴史を捏造している。そして今年は世界反ファシズム戦争勝利60周年と中国抗日戦争勝利60周年の年であり、日本の外相の逆襲は、また彼らの歴史等における問題の精神構造を表しているのだ。


なんですかこのとってつけたような文章は。いつもいつも言ってますが、歴史教科書のどの部分をどのように改竄してるかしっかりと明記してください。レッテル張りはもう結構です。ちなみに今年は日本におけるドイツ年です。みなさん仲良くしましょう。

いや、中国は我々の期待を裏切りません。町村発言はこれを受けたものなのか分かりませんが、前日に教育部が凄い通知を出していました。

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  教育部 小中学校に抗日教育と民族意識の成長の関連付けを要望
http://news.sina.com.cn/c/2005-03-04/18375269633s.shtml

通知では中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利60周年、長征70周年を中心に、小中学校における民族意識の発揚と成長強化月間の展開を求めている。


これが中国の道徳教育だそうです。しかし中国語の「徳育」は政治思想面での教育の意味も含まれますので、ただでさえ子供の頃から心を歪ませているのに、今後は更に強化ですか。小学生の頃はだしのゲンを毎週見せられていたら、今頃私は日本共産党に入って反日活動を繰り広げていたのは確実だと思いますが、幼少時の刷り込みとは恐ろしいものです。

南京記念館増床との合わせ技で、今年から素晴らしい歴史教育が始まりそうですね。長征まで持ち出して、革命教育も一緒に強化します。「社会への理解を強めるため」なんて嘘っぱちです。共産党の愚行を隠して、「日本へ目を逸らせるため」と正直に言いなさい。

繰り返しますが、中国は我々の期待を裏切りません。町村発言の2日後に出された評論をご覧下さい。

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 中国の愛国主義教育は反日教育ではない
http://news.sina.com.cn/c/2005-03-06/02245992900.shtml

4日、日本の外相町村孝信が中国の歴史教育に対し「異論がある」として、中国に北京の抗日戦争記念館における展示品などの改善を求めた。日本側は以前にも事務レベルで「中国の愛国教育は反日教育とほぼ同じ」と指摘しているが、閣僚級からは例がなく、日本からの歴史問題の提起も前代未聞である。

日本がこの時期に愛国主義教育の問題を出したのは、決して偶然ではない。今年は世界反ファシズム戦争勝利、中国抗日戦争勝利60周年に当たり、中国と世界各国は記念活動を盛大に行う。この時期に日本が中国に愛国主義教育の問題を持ち出してきたのは、中国の記念すべき年を邪魔し、中国の記念活動が彼ら(日本人)を刺激させないようにしているのは間違いない。更に、中国の愛国教育に対する批判は、近年の中日関係悪化と後退の責任は中国側にあるとの印象操作であり、中国の愛国教育は人民を挑発して日本人への恨みを植え付け、中国政府が人民を挑発して日本への不満を煽っているかのようだ。


聞いてもいない事をべらべらと喋るのはよくないですよ。かのようだ、ではなくそのものズバリです。

日本政府の目的が何であれ、一つ確かなのは日本の中国の愛国主義教育に対する正しい理解が無いことだ。中国の愛国主義はもちろん抗日戦争期も含まれており、多くの中国人民が侵略者に対して反抗し、日本の侵略者に対し勇敢に、決して屈せず戦った英雄の業績や、中国の大地で日本の侵略者が犯した中国人民虐殺などの悪行を訴える事である。しかしこれらは全て事実に基づくもので、捏造など無い。まさか一国の政府が自分の民族の歴史を知らないという事はあるまい。

最後の一文はのしをつけてお返しします。全て事実と言い切っちゃいましたが、アメリカから武器提供を受けていた事はいつもどおりスルーですか、そうですか。

更に重要なのは、これらの展示と教育は、全ての日本人を恨むよう人民を教育するものではなく、日本、日本政府、日本国民と日本軍国主義を分けており、中国人民に復讐を喧伝しているわけではない。また人民を教育して中華民族の寛容と言う美徳を発揚し、未来志向で中日両国の友好を薦めるものである。また、中国の愛国教育の中では、日本の中国における犯罪だけではなく、西洋が中国に対して行った悪行も含まれる。アヘン戦争や円明園の焼失、八カ国軍の北京での悪行、ロシア帝国の江東64村占領などだ。つまり中国の愛国教育は日本の言うような、日本の中国への侵略だけを扱っているわけではない

町村はウソは止めろといってるのですよ。キモはそこです。中共製の歴史に出てくるの日本人は鬼子ばっかりなのか、なんでか考えた事ありますか?学者さん。中国の人民がみんな勇敢に戦ったわけではないでしょう。文革の中間論みたいになってきました。「適度」という言葉を知らないのが中国。そして論説もフィナーレへ向かいます。

重ねて述べるが、中国の愛国主義とは日本のいうような「中国人は自虐性を好む」といったものでは決して無い。中国の愛国主義教育において、近代以来中国が受けてきた被害を語る場面はほんの一部であり、多くは中華民族の源流に流れる歴史と文化の発揚であり、神の大地に美しい山河を謳歌し、中華民族の歴史の発展のために多大な功績を残した英雄、偉人達を謳歌するものである。

日本側が真の中日友好を望むのなら、自己の発言をよく確認し、行動をよく考えることだ。そこから両国関係の発展が生まれる。


最後はもう意味が分からなくなりました。中国側が真の日中友好を望むのなら、自己の発言をよく確認し、行動をよく考えるべきでしょ。日本との関係だけに限らずです。

結局「日本の発言は誇張」としか言ってないんですよね。まともに付き合った私がバカでした。抗日戦争を教えるのはいいけど、日清戦争を教えないのはなぜか、抗日戦争における海外の援助を教えないのはなぜか、文革を教えないのはなぜか、など色々歴史教育に対して聞きたい事はありますが、一つだけと言われれば、「反日な箇所は少ないとはいえ、結果として多数の憤青が生まれるのは自発的なものですか?」これですかね。

さて、次に町村と李肇星が会談を開く日が楽しみです。最近、締めはこればっかりな気がしますが、手抜きじゃないですよ。楽しみが最近増えて困ります。


補足(03/08/14:10):Unknownさんに指摘していただいた共同の見出しですが、よく見ると、なぜか'improve'と強調されてました。意図的ですね。全文はこんな感じです↓

<Japan urges China to 'improve' education on history>

Saturday, March 5, 2005 at 00:19 JST
TOKYO — Foreign Minister Nobutaka Machimura said Thursday China should "improve" its education on history, a rare proposal on the sensitive issue from Tokyo.

"I have proposed an improvement on the state of China's history education," Machimura said during a session of the House of Councillors Budget Committee. Machimura was responding to a remark by fellow Liberal Democratic Party lawmaker Eriko Yamatani who proposed that Japan ask China to remove what she calls exhibits that do not represent facts at the Memorial Hall of The War of Resistance Against Japan in Beijing. (Kyodo News)
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