。*.☆ぱちょのイケメン王宮ブログ☆.*。

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*彼服ワンピガチャ ルイ編*

2016-07-12 15:30:49 | イケメン王宮☆ガチャ


よく晴れた空に小鳥のさえずりが響くある日…―


ウィスタリアの建国記念日のため、休日をもらっていた私は、

公務で城に滞在しているルイと過ごすため、部屋を訪れていた。

ルイ「何か…不思議な感じ」

ソファの隣に座ったルイは、

侯爵服に似せて仕立ててもらった、私のワンピースを見つめている。

(…やっぱりびっくりするよね…)

かすかに目を瞬かせるルイの様子に、少し気恥ずかしさを覚えた。

「せっかくのお休みだから、特別なことしたくて…」

そう話す声も次第に小さくなっていき、頬が火照ってしまう。

すると、ルイは私の言葉を受けてぽつりとつぶやいた。

ルイ「じゃあ、俺も特別なことしたい」

(何だろう…?)

首をかしげる私に、ルイはやわらかくほほえんだ。

ルイ「カレンに甘えてほしい」

「えっ?」

今度は私が目を瞬かせてしまう。

「それが…特別なこと?」

尋ねると、ルイは小さくうなずいた。

ルイ「いつもカレンが甘えさせてくれるから…」

ルイ「今日は反対。カレンが甘えて…?」

そういったルイは、やわらかく目を細めている。

「甘えるって…?」

ルイ「たとえばこうやって…」

するとルイに腕を取られ、優しく抱き寄せられた。

(わっ…)

お互いの鼓動が聞こえそうなほどの距離に、頬が一気に熱を持つ。

(これがしたいこと、かな…)

そう思っていると、ルイは私の胸元にそっと頬を寄せた。

「ル、ルイ…」

ワンピース越しに伝わるルイの熱に、胸が大きく音を立てて跳ねる。

恥ずかしさに、そのまま動けないでいると、

ルイは顔をあげて、面白がるように囁いた。

ルイ「…カレンもやってみて」

そう言って身体を離したルイは、ふっと笑って私を見つめている。

(恥ずかしいけど、ルイがしたいこと一緒にやりたいし…)

イタズラっぽくほほえむルイを見つめ、

私は火照る頬をルイの胸元にそっと寄せた。

ルイの香りとぬくもりに包まれ、きゅっと胸が甘く締め付けられる。

(あれ…でも…)

次第に聞こえてくるルイの鼓動に徐々に安らかな気持ちになっていく。

(ルイに触れるといつもドキドキするのに…)

「こうしてると…ちょっと安心するかも…」

「ルイが傍にいるんだってわかって、胸が温かくなる」

顔をあげてルイを見ると、わずかに目元を赤らめていた。

ルイ「俺はいつもそういう気持ちもらってる」

嬉しそうに言ったルイは、

私の頬に手を添えて、優しく唇を寄せる。

ルイ「ありがとう」

ふわりと瞳を細めるルイに、鼓動が甘く震えた。

(ルイ……)

同じようにほほえむ私を、ルイはぎゅっと抱きしめてくれる。

(ルイといると、たくさんの思いで満たされて…)

(胸がいっぱいになる)

そうして再び重なった唇は、次第に深められていく。

私は、いつの間にか背に触れていたソファのシートにそっと身をゆだねた…―。



--------------------

おわり


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*彼服ワンピガチャ アラン編*

2016-07-12 15:12:46 | イケメン王宮☆ガチャ


真上に登ろうとする太陽の光が、木漏れ日となって降り注ぐある日…―



ウィスタリアの建国記念日でお休みをもらった私は、

どこか落ち着かない気持ちでいっしょに過ごす約束をしたアランを待っていた。

(…なんか思ったよりも恥ずかしいかも…)

鏡に視線を向け、アランの騎士服に似たデザインのワンピース姿の自分を見る。

不意に扉がノックされた。

???「入るけど、大丈夫?」

(…せっかくこの日のために用意したんだから)

「うん、どうぞ」

かすかに跳ねる鼓動を感じながら、ゆっくりと開かれる扉を見つめる。

アラン「いつもの格好で来たけど何で…」

そう言いながら入ってきたアランは、私を見て目を見開いた。

アラン「……」

そのまま何も言わずに、アランは私の目の前に立つ。

(ずっと見つめられると…余計恥ずかしいよ)

アランの視線に、頬が次第に熱くなっていくのを感じる。

すると、アランがふっとほほ笑んだ。

アラン「それって騎士服?」

「うん…せっかくのお休みだからアランとおそろいに仕立ててもらって…」

言いながらさらに顔がほてっていくのを感じ、顔をそらしてしまう。

アラン「ふーん、それで俺の真似してんの?」

「真似のつもりじゃなかったんだけど…」

私は、改めてアランの服装と自分のワンピースを見比べる。

(でも、確かに…)

「…そっくりになっちゃった」

はにかみながらそう言うと、アランは声に出して笑っている。

(そんなに笑わなくても…)

そう思ってアランを見つめると…

アラン「それじゃあ…」

言葉を切ったアランはふっと笑みを浮かべた。

アラン「格好だけじゃんくて、俺の行動も真似してみろよ」

「えっ…?」

(アランの真似って…)

「どういうこと…?」

戸惑い首をかしげていると、アランは考えるように視線を彷徨わせている。

そして、すぐに何かを思いついたように口角に笑みを浮かべた。

アラン「キス、とか」

「……!」

(キ、キスって…)

顔を真っ赤にする私に、アランはぐっと顔を近づけた。

アラン「ちなみに団長命令だから」

アラン「騎士服着てるってことは、俺の部下って思ってもいいんだろ?」

悪戯っぽくほほ笑むアランの瞳には、目を瞬かせる私が映っている。

(からかってるのかもしれないけど…)

(アランからキスされるの…嬉しいから……)

私はうるさいほどに響く鼓動を押さえながら、瞳を閉じてアランへ口づけた。

ぬくもりが触れた瞬間、胸が甘く締め付けられるのを感じる。

そっと唇を離すと、真っすぐなアランの瞳とぶつかり、

その恥ずかしさに、身体を離そうと足を引くと…

(あっ……)

後ろにあった椅子につまづいて、身体がよろけてしまった。

倒れてしまうと思った瞬間、アランのたくましい腕に抱きとめられる。

アラン「ったく。お前って本当、危なっかしいヤツ」

そう言ったアランは、小さく笑ってため息をつく。

「そんな言い方しなくても…」

アランの様子に、つい拗ねたように言うと、

楽しげに目を細めたアランが、優しく口づけを落とした。

アラン「だから、俺がずっと守ってやる」

澄んだ瞳で真っすぐに言われ、心が甘くくすぐられる。

そうして、アランはふっとほほ笑むと、私の頬を大きな手のひらで包み込んだ。

(いつでも優しく支えてくれるアランが…好き)

再び唇が重ねられ、次第に深くなっていく口づけに、

私は幸せに高鳴る鼓動を響かせた…―


--------

おわり


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アルバート編 Sweet End

2016-04-02 15:00:16 | イケメン王宮☆その他
アルバート編スイートエンドです


アルバート「あなたがつらそうにしている姿を見ていると…」

アルバート「どうしようもなく、抱きしめたくなる」

頬に触れるアルバートのぬくもりに、私はひとつの答えを出した。

(私のことを好きかわからないのに…これ以上、一緒にいても苦しめるだけ)

(せめて、最後に……)


私は一瞬ぎゅっと目をつぶると、アルバートを抱きしめる。

アルバート「プリンセス……?」

(精一杯、自分の気持ちを伝えよう)

「私はアルバートが好きです…ですが……」

「それ以上にアルバートが苦しむ姿を見たくありません」

視線を上げると、アルバートは眉を寄せて私を見つめていた。

お互いの切ない瞳が交わり、アルバートはぽつりとつぶやく。

アルバート「…俺も、これ以上あなたを傷つけたくはない」

アルバート「…幸せになってください、プリンセス」

アルバートの答えに、私は別れを告げられたのだと悟る。

「…私も、アルバートの幸せを祈ってます…」

交わっていた眼差しが伏せられ、アルバートはそのまま部屋を出て行く。

(これが私たちの答え…)

扉の向こうにアルバートが消え、瞳から涙があふれた。

(これで…いいんだよね)


翌朝…―。

ユーリ「いいの?カレン様」

ユーリが見ている窓の外には、馬車が止まっている。

(もうすぐ、アルバートがシュタインに帰ってしまう。だけど…)

見送りに行かないことを決め、私はユーリに頷く。

「うん」

(昨日、ちゃんとアルバートとお別れはしたから…)

私はアルバートを思い描きながら、心の中で呟いた。

(さよなら、アルバート)



やがて時は過ぎて行き……。

夜空に星が瞬くある日…―。

シュタインで開かれるパーティーの招待状が私のもとに届いた。

ジル「いかがなさいますか」

(シュタインに行ったら、アルバートにも会うかもしれない)

薄れることのない切なさが胸に込み上げるけれど…

―アルバート「公務をおろそかにするとは、何を考えているのですか」

そんなアルバートの声が聞こえた気がして、微笑む。

(時も経っているし、このまま逃げていても仕方ないよね)

「そのパーティーに出席します」

私はジルにはっきりと告げた。


ダンスホールに入ろうとすると、ジルが仮面を私に渡す。

「これは?」

ジル「身分を隠して交流をするそうです。その方が平等に話し合いがなされるだろうと」

「そうなんですね…」

私は仮面を付けて、華やいだ舞踏会に足を踏み入れた。

(みんな、仮面を付けてるから誰が誰だかわからないな)

(たしかに、こうしたら身分や立場関係なく意見を言うことができるかもしれない)

辺りを見回していた私は、思わず息をのむ。

アルバート「……」

(やっぱり、アルバートも出席していたんだ)

時が止まってしまったように見つめていると…不意にダンスの演奏が流れた。

(思い切って……)

仮面に手を当てて、私はアルバートに声をかける。

「あの…踊っていただけませんか」

振り返ったアルバートは、少し驚いたように目を見開いた後、淡々と告げる。

アルバート「私はこの会合の参加者ではないので、仮面を付けている方にしてください」

(だけど、アルバートと話せるのは仮面を付けてる今だけだから…)

「ですが…実はこういう場が苦手で…なかなか自分からお誘いすることができなくて」

アルバート「…そういうことでしたら、仕方ありませんね」

差し出された手のひらに、とくん、と胸が高鳴る。

アルバート「どうぞ」

アルバートの手のひらに自分の手を重ねる。

アルバート「……」

無言のままダンスの輪の中に連れ出され、ドレスのスカートが揺れる。

アルバート「踊るのは、この曲だけにしていただきたい」

「はい…」

念を押す声に頷くと、アルバートの手が私の腰を引き寄せる。

(アルバートとまたこうしていられるなんて…)

近付いた距離に、鼓動がうるさいぐらいに鳴り響く。

アルバート「苦手というわりには、ダンスがお上手ですね」

(それは…)

―…アルバートと踊ったことがあるから。

そう告げてしまいそうになり、あいまいに微笑む。

「そうですか?」

アルバート「…失礼。少々、偉そうなことを言いました」

「いえ、褒めていただいて嬉しいです」

(私のこと、誰だかわかっていないみたい……)

アルバートのリードに身をゆだねていると、自然と頬が緩んでくる。

(やっぱり、アルバートといると幸せになる…)

胸をときめかせていた、その時…私の顔から緩んだ仮面が落ちて行く。

「っ…!」

とっさに手で仮面を押さえるけれど、アルバートの瞳が驚きに見開かれる。

アルバート「あなたは、ウィスタリアのプリンセスではないですか?」

「す、すみません…」

音楽が鳴り止んだのを合図に、私はその場から駆け出した…―。


アルバート「待ってください」

追いかけてきたアルバートが私の腕を掴む。

「………」

(アルバートの顔が見られない…)

何も言えずにいる私の顔から、そっと仮面が外された。

アルバート「プリンセス…」

囁く声と同時に、唐突に力強い腕に抱きすくめられる。

「アルバート……」

絞り出すような声で、アルバートは苦しげに告げる。

アルバート「記憶が戻らなくても…会えない間、気が狂いそうでした」

(え……)

アルバート「頭に浮かぶのは、あなたの笑顔ばかりだった」



ふっと私から身体を離したアルバートが、私をしっかりと見つめる。

(私も……)

「私も…アルバートに会いたくて…それでダンスを…」

言いながら、私の視界が涙で滲んできてしまう。

するとアルバートの指先がそっと私の頬をなでた。

アルバート「それ以上、もう言葉にしなくていい」

アルバート「俺はもう、あなたを離しませんよ」

私たちは引き寄せられるように、口づけを交わす。

「ん……」

少し長い口づけが離れると、アルバートは頬を染めて目を細めた。

アルバート「………」

「どうか…しましたか?」

尋ねると、アルバートがふっと笑みをこぼした。

アルバート「おかしいですね…こんなことで思い出すとは」

「思い出したって…」

アルバート「言葉の通りですよ、カレン」

問いかける間もなく、唇が押し当てられて吐息ごと奪われる。

アルバート「あなたがいない人生など、考えられない…」

照れ隠しのように、きつく唇が重ねられ…

私とアルバートの幸せな時間がまた、始まろうとしていた…―。


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おわり


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アルバート編③

2016-04-02 14:58:05 | イケメン王宮☆その他
タイトルがわからないやつアルバート編の3話目です


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アルバートは優しく、ぎゅっと包み込むように抱きしめてくれる。

(アルバートが優しいと…ますます切なくなってしまう)

「ありがとうございます…」

アルバート「いえ…あなたが触れたせいで、震えているのがわかりましたから」

また雷が響き、アルバートは抱きしめる腕に力を込める。

(雷の音が聞こえないように、してくれてるのかな…)

だんだんと落ち着いてきて、身体を預けるように力を抜いた。

(雷よりも…)

(アルバートの鼓動が、身体中に伝わってくるみたいに鳴り響いている)

雷の音が遠ざかっていくと、アルバートの腕がわずかに緩む。

アルバート「…少し、きつく接しすぎてしまいましたね」

「え?」

アルバート「あなたをプリンセスとして認めていないのは確かですが」

アルバート「厳しい言い方をしてしまったかもしれません」

一呼吸置いてアルバートが話し始める。

アルバート「…あなたを見ていると、どうしていいか分からなくなる」

「それは…どういうことですか?」

尋ねると、アルバートの頬がわずかに染まった。

アルバート「自分でもわからないのですが」

アルバート「…胸が苦しくなる」

ざーっと雨の音が窓をたたく。

私はアルバートの言葉を受け止めながら、先日のことを思い出した。

(もしかして、あの時……)


―「アルバー……」

―アルバート「……」

―アルバート「なんですか、こんな時間に」

―「いえ…たまたま見かけたので」

―アルバート「そうですか。では、私はこれで失礼致します」


(あの時アルバートは、私の事が思い出せなくて苦しんでいて……?)

思わず涙がこぼれそうになり、まつげを伏せる。

(だとしたら…これ以上一緒にいても、アルバートが苦しむだけだよね)

アルバート「どうかいたしましたか?」

顔をのぞきこまれそうになって、私はとっさにアルバートの顔からメガネを外した。

アルバート「な、何をするんですか、私はメガネがないと見え…」

「知っています。メガネがないと見えないことも優しいことも……」

アルバート「…どういうことですか」

「言えません…ですがお願いです。しばらく、このままでいてください」

アルバート「………」

(私の顔は、ぼやけて見えないはずだから…)

アルバートの胸に抱かれながら、私は静かに涙を零した。

(アルバートはしばらくしたらシュタインに戻ってしまう)

(誰にも知られていない恋なら、このままさよならしよう)



雨がやむのを待って、私とアルバートは城に戻ってきた。

アルバートと部屋の前で別れ、扉を閉める。

(部屋まで送ってもらったけど、一言も話さなかったな)

そこへ、軽いノックとともにユーリが顔をのぞかせる。

ユーリ「カレン様、雨大丈夫だった?」

ユーリ「すぐにお風呂に入って」

「うん、分かった…」

私は頷くと、ユーリに促されるままバスルームへと向かった。


ユーリ「……様子がおかしいな」

ユーリはカレンを見送ると、アルバートのもとへ足を向けた。

アルバートは扉を閉めると、尋ねてきたユーリに眉を寄せる。

アルバート「なんですか、突然」

ユーリ「何があったか知らないけど、カレン様の様子がおかしかった」

ユーリ「何かあったの?」

ユーリの問いかけに、アルバートは息をつく。

アルバート「貴様に話すのは、気が進まないが……」

アルバート「俺にも分からない…ウィスタリアのプリンセスがなぜ悲しそうなのか」

アルバート「それを見ていると、なぜか胸が苦しい」

ユーリはアルバートの様子を見ると、静かに話し始める。

ユーリ「アル。今からする話、信じてくれる?」


ユーリはカレンとアルバートが事故にあったときのことを話した。

ユーリ「…アルはなぜかカレン様の記憶だけ失っていた」

ユーリ「カレン様に直接聞いたわけじゃないから俺には分からないけど」

ユーリ「アルとカレン様は恋人同士なんじゃないかって思ってたよ」

アルバート「……恋人同士だと?」


バスルームから部屋に戻ってきた私は、ドレッサーに腰掛ける。

その上に置いてあった蝶があしらわれた髪飾りにふと目がとまり、手を伸ばした。

(これは……)


―アルバート「新しい髪飾りですか?」

―「はい」

―(アルバートってこういうところよく気がつくな)

―少し驚いたのが分かったのか、アルバートが不可解そうに眉を寄せる。

―アルバート「不思議そうな顔をしていますね?」

―「男の人ってよく女性が髪を切っても分からないっていうので…」

―「アルバートはすごいなと思ったんです」

―そう告げると、咳払いをしたアルバートが真剣な眼差しを向ける。

―アルバート「ほかの男と一緒にしないでください」

―アルバート「俺はあなたのことはよく見ていますので、分かります」


(もう、アルバートがそう言ってくれることはないんだ)

胸に切なさが込み上げたその時、部屋の扉が叩かれて……。

アルバート「夜分に失礼致します」

現れたアルバートに、心が揺れる。

「アルバート……」

アルバートは私に近付くと、真剣な眼差しを向けてきた。

アルバート「私も正直に話しますから、あなたも話してください」

「…っ…」

(私の正直な気持ち……?)

戸惑う私に、アルバートは真っすぐに告げる。

アルバート「俺はあなたを見ていると、なぜか胸が苦しい」

アルバート「それに…あなたが悲しそうな顔をしていると見ていられなくなる」

アルバート「なぜ、俺の前であなたは悲しそうな顔をするのですか」

(それは……)

私はアルバートに見つめられ、溜まっていた感情があふれ出してしまう。

(これ以上、もう隠しておけない…素直に言おう)

「アルバートと私が…恋人だったからです……」

「だからといって、アルバートの気持ちを無視して苦しい思いはさせたくないんです」

(それが…私の本心)

今にも零れそうな涙に私が言葉を詰まらせると、

アルバートは優しく私の頬に触れた。

アルバート「俺はあなたを好きかどうかわからない。ただ言えることは……」

アルバート「あなたらつらそうにしている姿を見ていると…」

アルバート「どうしようもなく、抱きしめたくなる」

アルバートの言葉に、私は…―。



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つづく


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アルバート編②

2016-04-02 14:56:31 | イケメン王宮☆その他
とても前なのでタイトルとか覚えていないやつ、

アルバート編の2話目です


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公務を終えた夜…―。

私は廊下を歩いていると、バルコニーに人影を見つけた。

(あれは……)

そのままバルコニーまで来ると、そこには思い描いた人の姿があった。

「アルバー…」

声をかけようとして、私はアルバートの表情に思わず息をのむ。

アルバート「………」

(とてもじゃないけど…声なんて掛けられない……)

月を見つめるアルバートの顔がどこか苦しそうで、胸が軋んだ。

すると、気配に気がついたのかアルバートが振り返る。

アルバート「なんですか、こんな時間に」

「いえ…たまたま見かけたので」

アルバート「そうですか。では、私はこれで失礼致します」

(アルバートの表情…どこか苦しそうだった)

私は先ほどのことを思い返すと、思い切って声をかける。

「あの……」

アルバート「なんでしょうか」

「何か悩み事があるのでしたら言ってください」

「私、聞くことだけは得意なんです」

にっこりと笑顔を見せると、アルバートは息をつく。

アルバート「まったく…プリンセスとは思えない発言ですね」

アルバート「こんな時間に出歩くのは、あまりよくないですよ。では」

軽くお辞儀をして、アルバートはそのまま行ってしまう。

(アルバート、苦しそうに見えたけど……気のせいなのかな…)

すれ違うアルバートの背中を見送りながら、私は小さく息をついた。


部屋に戻ってきたアルバートは扉を閉めると、眉を寄せた。

アルバート「……おかしい」

プリンセスの笑顔が過り、鼓動が痛いほど騒いでいる。

アルバート「…プリンセスを見ると、胸が苦しくなる」

息をつき、気持ちを切り替えるようにメガネをはずした…。



次の日…―。

勉強のための本を探しに書斎に行くと、そこにアルバートがいた。

「アルバートさん…?」

私の声に、アルバートが本から私へと視線を移す。

アルバート「ああ、あなたですか」

それだけ言い、また本を読み始めるアルバートに私は口をつぐんだ。

(あまり話しかけない方がいいのかな…?)

すると、アルバートが息をつきながらちらりと私を見る。

アルバート「…座ったらどうですか?本を読みに来たんでしょうから」

「ありがとうございます…」

私は椅子に腰かけると、アルバートの読んでいた本に目を瞬かせた。

「ウィスタリアの歴史について…調べているのですか?」

アルバート「こうして公務を休んでいる間でも、何か出来ることはあるはずですからね」

アルバート「ウィスタリアとの今後の交流にも役に立つ」

「努力家なんですね」

(そういうところは前から変わらないな…)

微笑むと、アルバートはメガネを指で押し上げる。

アルバート「…褒めてもプリンセスとは認めませんよ」

「わかってます」

(恋人になる前も、こんなやりとりしていたっけ)

そんなことを思っていると、ふと思いつく。

(そうだ……)

「あの…」

アルバート「なんですか」

「もしよろしければ、次の休日にウィスタリアを案内させてください」

「本を読むより、城下のことがわかると思いますし…」

アルバート「………」

何も答えないアルバートに私は慌てて言う。

(もしかして、困らせてしまった…?)

「…迷惑…でしたよね」

「もしもの話だったので気にしないでください」

小さく笑って、書棚に向かおうとすると…。

アルバート「待ってください」


私はアルバートに呼び止められて振り返る。

アルバートは咳払いをすると、口を開いた。

アルバート「…今後のために、案内してください」

(うそ……)

アルバートはそれだけ言い残し、本を脇に抱えて立ち去っていく。

アルバート「では、また後ほど」

「わかりました」

嬉しくて、少しはしゃいだ声で答えると、

私は心がふっと軽くなるのを感じた。

(恋人同士になる前も、ウィスタリアの案内をしたりしていたし)

(もしかして記憶を取り戻すキッカケになるかもしれない)

私は小さな期待を胸に潜ませながら、閉まる扉を見つめた…―。



そうして、迎えた休日…―。

私とアルバートは待ち合わせをして、城下に向かうことになった。

アルバート「……」

約束の時間前に着いたのに、すでにアルバートは門の前に立っている。

胸の中で鼓動が跳ねて、わずかに頬が熱くなる。

「お待たせしました」

アルバートは私に気がつくと、咳払いをした。

アルバート「さっさと案内してください」

「はい…では、行きましょう」

(なんだか、初めてのデートみたいだな)

素っ気ない態度のアルバートに、くすっと微笑んで私は歩き出した。


市場に着くと、私は屋台で買ったフレッシュジュースを渡す。

「こちらが市場ですが、果実のジュースがおいしいんですよ」

アルバート「…なるほど」

アルバートは興味深そうに頷き、ジュースを飲んでいる。

すると……

アルバート「あなたも飲んでみてはいかがですか」

一口飲んで目を細めたアルバートは、そのジュースを私に差し出した。

「えっ……」

(これじゃあ…間接キスなんじゃ……)

思いがけない行動に、頬が火照ってしまう。

すると、そんな私に気付いたアルバートが気まずそうに目を逸らした。

アルバート「こ、これは決してそういう意味では……」

アルバートは口をつぐみ、気を取り直すように咳払いをする。

アルバート「次に案内してください」

「は、はい…」

私は答えながらも、跳ねる鼓動に眉を寄せる。

(どうしよう…なんだか変な空気になってきちゃった)


次に私は、町の景色が良く見える高台にアルバートを案内した。

「ここから、ウィスタリアが見えます」

風になびく髪を押さえながら、広がる風景に目を細める。

アルバート「これは…素晴らしいですね」

アルバートの声に、ふと私は視線を向けた。

(…アルバート)

短い髪を風に揺らし、目を細めるアルバートの姿に、私は目が離せなくなる。

(前にもアルバートとこの景色を見たことがあったっけ。確か、あの時は……)


―あれは、恋人同士になってから城下に出かけた日のこと…

アルバート「綺麗だ…」

「私もそう思います。本当に綺麗な景色…」

町が一望できる高台で微笑むと、ぎこちない咳払いが聞こえた。

アルバート「…違います」

「え?」

アルバート「今、褒めたのはこれです」

アルバートの手が伸びて、髪に触れる。

アルバート「あなたによく似合っている」

(景色じゃなくて…髪飾りを褒めてくれるなんて)―


(あの時、嬉しかったな)

小さく思い出し笑いをしてしまうと……。

アルバート「プリンセス」

アルバートはメガネを押し上げると、真っすぐに私を見つめた。

アルバート「その…よく似合っています。ピアス」

アルバートの言葉に、私ははっと瞳を揺らす。

(あの時は髪飾りだったけど…同じ状況…)

思わず耳元に触れると、蝶のピアスが揺れる。

そんな私の様子に気がついたのか、アルバートが尋ねてきた。

アルバート「…何か?」

「いえ、ありがとうございます」

(どうしてだろう…嬉しいはずなのに…)

恋人同士だった時の思い出と重なって、胸に切なさが込み上げる。

(アルバートの記憶に私がいないことが、つらい…)

瞼が熱くなって、涙が滲みそうになったその時…。

「あ……」

頭上から、ざあっと雨が降ってくる。

見上げていると、アルバートが私に声をかけた。

アルバート「そこで雨宿りをしましょう」


「濡れてしまいましたね」

アルバート「ええ。大丈夫ですか?」

アルバートが気にするようにそばに近づいた瞬間、耳に刺さるような雷の音が鳴った。

「……!」

思わず、目の前にいたアルバートに抱きついてしまう。

そのままの勢いで、私たちは床に倒れ込んだ。

アルバート「……なっ!」

アルバートに覆いかぶさってしまった私は、慌てて謝る。

「す、すみません…」

そうして身体を離そうとした、その時…

(え…?)

アルバートが優しく私の頭を自分の胸元に引き寄せた。

私の鼓動が、加速していく。

アルバート「このままでいますから」

アルバート「あなたは怖がらなくていい」




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つづく


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