徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

志野と織部

2007-03-18 | 茶道具
志野と織部 ―風流なるうつわ―
2007年2月20日~4月22日
出光美術館

「志野と織部」なるタイトルがついていれば、是非行かなくてはと思いながらも、ようやく9日にようやく行ってきました。

桃山陶
イントロダクションとして、長次郎の赤樂茶碗 銘僧正、黒樂茶碗 銘黒面扇(こちらは昨年の名品展IIにも展示されていた)、瀬戸黒茶碗(個人蔵)、備前矢筈口耳付水指、伊賀耳付花生、美濃伊賀耳付花生が並びます。

志野-白いうつわ誕生
  • 国宝 志野茶碗 銘卯花墻  三井記念美術館;
  • 志野茶碗 銘通天 個人蔵;平瀬家旧蔵
  • 志野茶碗 銘橋姫 東京国立博物館;松永耳庵旧蔵
  • 志野茶碗 銘橋の絵 個人蔵;
  • 志野茶碗 銘軒端 個人蔵;
    ここまでは、銘卯花墻も橋姫も見たことあるので、なかなか並んでいるというところ。後期には、銘蓬莱山が出展されるのは楽しみ。ここから、鼠志野茶碗は他の美術館の名品。こちらは微妙な色合いの違いがあり、魅せられた。
  • 鼠志野茶碗 銘横雲 野村美術館;銘は小堀権十郎、鴻池家旧蔵
  • 重文 鼠志野茶碗 銘山端 根津美術館(3/10まで)
  • 重文 鼠志野茶碗 銘峯紅葉 五島美術館(3/28まで);銘は小堀権十郎;四日市九鬼家伝来
  • 紅志野茶碗 銘夕陽 マスプロ美術館

    このあと、鉢がならぶ
    志野山水文鉢、志野草花文鉢; 志野山水文鉢は、今回の展覧会のちらしを飾っている。山水画を鉢に収めようとして、その少し霞みかかった風景は、日本の山水画になる。もっけい趣味と同根でしょうか。
    重文 鼠志野鶺鴒文鉢(東京国立博物館)、鼠志野撫子文鉢(文化庁)、鼠志野亀甲撫子文鉢(五島美術館)、
    鼠志野葦雁文額皿(個人蔵)、鼠志野草花文額皿
    など。こちらは、絵の意匠がよく判り、画面として楽しめる。

    水指として、
    志野葦文矢筈口水指(根津美術館)、志野橋文矢筈口水指

    鼠志野草花文火入;鼠色がいい風合い。

    黒織部 -傾きの意匠-
    現代絵画も吃驚の自由で大胆な文様が茶碗に描かれています。太い線で大胆にデフォルメされた線は、この時代の屏風絵に描かれる人物がまとう衣装にも描かれているといいます。
  • 黒織部菊文茶碗 個人蔵
  • 黒織部茶碗 銘柾垣 個人蔵
  • 黒織部蕨文茶碗 個人蔵
  • 黒織部吊し文茶碗 個人蔵
  • 黒織部亀甲文茶碗 出光美術館
  • 黒織部葦鶴文茶碗 個人蔵
    二点織部の茶入れが
  • 織部茶入 銘餓鬼腹 野村美術館
  • 織部吊し文茶入 個人蔵

    黄瀬戸 青いうつわへの憧れ

  • 黄瀬戸茶碗 銘難波 個人蔵;益田鈍翁旧蔵
  • 黄瀬戸茶碗 銘春霞 出光美術館

  • 黄瀬戸宝珠香合 根津美術館(3/10まで)

    織部 -風流なるうつわ-
    <L>三彩花卉文輪花鉢 中国元末期から明初期 個人蔵
  • 二彩瓜文平鉢 長次郎 東京国立博物館
    で展示は始まるが、手鉢、向付、八角鉢など織部は、竹篭の代わりを目指したのでしょうか。自由な造形です。でも重たそうですが。

    志野と織部の文様の意匠
    別室では、魅力的な和の造形の秘密を探ろうとする展示。まずは、志野と織部に描かれた文様について、どんなものがあったか、屏風絵のなかの表現とも比較し展示してある。織物の幾何学的な文様、信仰に基づく文様、草花などいろいろな文様がある。解説されていたのは、順に、

  • 車輪
  • 籠・籠目
  • 網干
  • 吊し
  • 枝垂れ、揺らぎ
  • 門木
  • 傘と笠
  • 草樹
  • 千鳥
  • 垣根

    かたちの源流
    文様の次は、形について。陶器で、盆や蓋物を作陶しようとした様が展示される。


    確かに和食器の多様性の源流は、志野と織部にあったのかと、認識しました。

    史上最高のバブル景気に沸いたとされる桃山時代。それは日本に「うつわ革命」さえももたらしました。漆器や木器など木を主体にした中世までの食器文化を根底から覆し、陶器や磁器というやきもの主体の近世の食器文化へと移行させたのです。その新たなシンボル的なやきものが、志野や織部などの美濃陶器でした。
    志野や織部は、それまで中国産や朝鮮産の外国のやきものに独占されていた高級什器のシェアに食い込んだ初の国産のやきもので、かたち・色彩・文様、そして肌合いなど、すべての点で外国産のうつわとは異なる、魅力的な和の造形を創造しました。とくに志野の茶道具(茶碗や水指)、織部の懐石器(向付や鉢)は、日本のうつわを根本的に変えるような大きな影響を後世に残したのです。
    それではその造形の特徴とはいったい何だったのでしょうか。今回はその点を追求していきます。本展では、出光コレクションの志野と織部を一堂に会するとともに、国宝1件、重要文化財3件をはじめとする館外の秀逸な名作を特別出品し、現在実現できうる最高の「志野と織部」展を目指します。陶芸ファンには見逃すことのできない盛りだくさんな内容です。
    和のうつわのもつ醍醐味を存分に堪能していただけると幸いです。




    志野茶碗
    所蔵備考所収鑑賞履歴
    卯花墻三井記念美術館銘は片桐石州とされる。豪商冬木家旧蔵*1,*2*a
    朝萩  *1
    無地志野  *1
    朝陽  *1
    山端根津美術館 *1 *2*a
    志野織部筒  *1
    朝日影香雪美術館 *2
    広沢個人蔵東京赤星家伝来*2
    峯紅葉五島美術館銘は小堀権十郎、四日市九鬼家伝来*2*a


    *1 茶道美術手帳(淡交社)所収
    *2 名品茶碗(世界文化社)所収

    *a 志野と織部 出光美術館
  • コメント    この記事についてブログを書く
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする
    « ボストン美術館(西洋絵画) | トップ | 没後50年 川合玉堂展 »
    最新の画像もっと見る

    コメントを投稿

    ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

    茶道具」カテゴリの最新記事