開館40周年記念 出光美術館名品展Ⅰ
受け継がれる伝統の美
―絵巻・室町屏風と中国陶磁
2006年4月29日~6月18日
後半 5月27日~6月18日
重文 扇面法華経冊子断簡 銀泥が黒く変色しているが、扇形の美しい装飾経です。もしかして「日本美術の歴史」の平家納経と同じページ写真が収録されていたものか、と帰って確認すれば、やはり四天王寺伝来の扇面法華経冊子の断簡。
四天王寺の国宝を拝見したいものです。四天王寺に新春(1月1日から15日)に訪れると拝見できるようだ。WEBによれば、今年新春は、巻第七《柳下美人図(りゅうかびじんず)》と観普賢経《扇地紙晒し図(おうぎじしさらしず)》の二図が出展されていた。また、東京国立博物館には10帖のうちの巻八が所蔵されているようだ。画像はこちら。
伝小野道風 継色紙:出光美術館は2点所蔵しているが、こちらは初めて拝見。青と白の料紙を継ぎ合わせてあり、片側の料紙に半句が認めてある。後半に継色紙についてまとめています。
墨跡は、漢文の素養がないので難しいですが、唐詩三題には「春眠暁を覚えず」とかあり、すこし嬉しくなりました。中国語を専攻していると思しき若い学生さんたちは、楽しく鑑賞していました。うらやましい限りです。五島美術館の「書の国宝 墨跡」で勉強したいと思います。
虚堂智愚 「虎丘十詠」跋 閑極法雲・雲外雲岫筆 一幅 中国 至元25年(1288)大徳7年(1303)
重美 唐詩三題 別山祖智筆 一幅 中国 南宋末~元時代初期
重文 偈頌 宗峰妙超筆 一幅 鎌倉末~南北朝時代初期
重美 王維 「苔」 相山良永筆 一幅 南北朝時代
七佛通戒偈 一休宗純筆 一幅 室町時代
継色紙 伝小野道風
いくつかの図録の解説をまとめると。。。
継色紙は、三色紙として有名。草仮名から平仮名に移行する過渡期の作品で、料紙や書風から十世紀後半から十一世紀初めの書写と推定されている。伝来する継色紙は、約30数点。古今和歌集二十七首 *1、万葉集 六首、出典不明が一首(下記10.)ある。古今和歌集のうち「夏下(余楽院臨書手鑑に所収、陽明文庫蔵」「冬上」「恋三」「恋一(下記19.)」の部立を持つものが知られている。
下記1から18は二玄社の「継色紙」に収録されている和歌。括弧内は料紙の色合いを勝手に図録の写真から判断しました。
1.なつのよはまだよひながらあけにけり くものいづこに月かくるらん (頴川美術館)(オリーブグリーン)
2.おほぞらのつきのひかりしさむければ かげみし水ぞまづこほりける(徳川美術館)(褐色)
3.冬上(白、青)
4.ふゆごもりおもひかけぬをこのまより はなとみるまでゆきぞふりしく(白)
5.はなのいろはゆきにまがひてみえずとも かをだにヽほへひとのしるべく(淡青色)
6.むめのかのふりおくゆきにうつりせば たれかはヽなをわきてをらまし(出光美術館)(白)
7.めづらしきこゑならなくにほとヽぎす こヽらのとしのあかずもあるかな(五島美術館)(褐色)*2
8.やまざくらかすみのまよりほのかにも みてし人こそこひしかりけり(滴翠美術館)(褐色)
9.あしひきの山した水のこがくれて たぎつこヽろをせきぞかねつる(白)
10.こひしさにみにこそきつれかりごろも かへすをいかゞうらみざるべき(東博)(オリーブグリーン)
11.あまつかぜくものかよひぢふきとぢよ をとめのすがたしばしとどめむ(逸翁美術館)(赤褐色)
12.われみてもひさしくなりぬすみのえの きしのひめ松いくよへぬらん(堂本美術館)(青、褐色)
13.あづさゆみいそべのこ松たがよにか よろづよかねてたねをまきけむ(香雪美術館)(青、オリーブ)(縦)
14.わたつみのかざしにさけるしろたへの なみもてゆへるあはぢじま山(MOA美術館)(淡褐色)
15.あめによりたみのヽしまをけふみれば(名にはかくれねものぞありける)(出光美術館)(青、褐色)
16.神ぎきのみむろの山のさかきばヽ かみのみむろにしげりあひけり(淡緑色)
17.きみをきてあだしごごろをわがもたず すゑの松山なみもこえなむ(畠山記念館)(オリーブ)
18.つくばねのこのもかのおもかげはあれど きみがみかげにますかげはなし(藤田美術館)(灰色)
下記は、近年に手鑑に所収されていたものが発見され、書の至宝展に出展されていた。
19.恋一 よしのかはいはなみたヽくゆく水の はやくそひとをおもひそめてし(青、淡緑)
*1 出光美術館名品選Ⅰの解説による。19.の歌がこの27首に含まれているかは不明。
*2 加賀の大聖寺藩前田家伝来 明治39年(1906)に分割された16首半の内の一つ(やまとうた一千年 解説より)
受け継がれる伝統の美
―絵巻・室町屏風と中国陶磁
2006年4月29日~6月18日
後半 5月27日~6月18日
四天王寺の国宝を拝見したいものです。四天王寺に新春(1月1日から15日)に訪れると拝見できるようだ。WEBによれば、今年新春は、巻第七《柳下美人図(りゅうかびじんず)》と観普賢経《扇地紙晒し図(おうぎじしさらしず)》の二図が出展されていた。また、東京国立博物館には10帖のうちの巻八が所蔵されているようだ。画像はこちら。
墨跡は、漢文の素養がないので難しいですが、唐詩三題には「春眠暁を覚えず」とかあり、すこし嬉しくなりました。中国語を専攻していると思しき若い学生さんたちは、楽しく鑑賞していました。うらやましい限りです。五島美術館の「書の国宝 墨跡」で勉強したいと思います。
継色紙 伝小野道風
いくつかの図録の解説をまとめると。。。
継色紙は、三色紙として有名。草仮名から平仮名に移行する過渡期の作品で、料紙や書風から十世紀後半から十一世紀初めの書写と推定されている。伝来する継色紙は、約30数点。古今和歌集二十七首 *1、万葉集 六首、出典不明が一首(下記10.)ある。古今和歌集のうち「夏下(余楽院臨書手鑑に所収、陽明文庫蔵」「冬上」「恋三」「恋一(下記19.)」の部立を持つものが知られている。
下記1から18は二玄社の「継色紙」に収録されている和歌。括弧内は料紙の色合いを勝手に図録の写真から判断しました。
1.なつのよはまだよひながらあけにけり くものいづこに月かくるらん (頴川美術館)(オリーブグリーン)
2.おほぞらのつきのひかりしさむければ かげみし水ぞまづこほりける(徳川美術館)(褐色)
3.冬上(白、青)
4.ふゆごもりおもひかけぬをこのまより はなとみるまでゆきぞふりしく(白)
5.はなのいろはゆきにまがひてみえずとも かをだにヽほへひとのしるべく(淡青色)
6.むめのかのふりおくゆきにうつりせば たれかはヽなをわきてをらまし(出光美術館)(白)
7.めづらしきこゑならなくにほとヽぎす こヽらのとしのあかずもあるかな(五島美術館)(褐色)*2
8.やまざくらかすみのまよりほのかにも みてし人こそこひしかりけり(滴翠美術館)(褐色)
9.あしひきの山した水のこがくれて たぎつこヽろをせきぞかねつる(白)
10.こひしさにみにこそきつれかりごろも かへすをいかゞうらみざるべき(東博)(オリーブグリーン)
11.あまつかぜくものかよひぢふきとぢよ をとめのすがたしばしとどめむ(逸翁美術館)(赤褐色)
12.われみてもひさしくなりぬすみのえの きしのひめ松いくよへぬらん(堂本美術館)(青、褐色)
13.あづさゆみいそべのこ松たがよにか よろづよかねてたねをまきけむ(香雪美術館)(青、オリーブ)(縦)
14.わたつみのかざしにさけるしろたへの なみもてゆへるあはぢじま山(MOA美術館)(淡褐色)
15.あめによりたみのヽしまをけふみれば(名にはかくれねものぞありける)(出光美術館)(青、褐色)
16.神ぎきのみむろの山のさかきばヽ かみのみむろにしげりあひけり(淡緑色)
17.きみをきてあだしごごろをわがもたず すゑの松山なみもこえなむ(畠山記念館)(オリーブ)
18.つくばねのこのもかのおもかげはあれど きみがみかげにますかげはなし(藤田美術館)(灰色)
下記は、近年に手鑑に所収されていたものが発見され、書の至宝展に出展されていた。
19.恋一 よしのかはいはなみたヽくゆく水の はやくそひとをおもひそめてし(青、淡緑)
*1 出光美術館名品選Ⅰの解説による。19.の歌がこの27首に含まれているかは不明。
*2 加賀の大聖寺藩前田家伝来 明治39年(1906)に分割された16首半の内の一つ(やまとうた一千年 解説より)