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【会津野】哲学っぽくない哲学の本を読んでみた

2017年12月27日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

素晴らしい本を読みました。

「いま 世界の哲学者が 考えていること」(岡本裕一朗著)です。

 

図書館の「哲学」の棚で見つけ、何気なく読んでみると、現代における様々な出来事について、現代思想をまとめて紹介している。そんな感じの内容です。

ここで扱われていることは、

1.哲学は現在、私たちに何を解明しているか?

2.IT革命は、私たちに何をもたらすか?

3.バイオテクノロジーは、私たちをどこに導くか?

4.資本主義制度に、私たちはどう向き合えばいいか?

5.宗教は、私たちの心や行動にどう影響をおよぼすか?

6。私たちを取り巻く環境は、どうなっているか?

の6つのこと。

私がもっとも気になったのは、4の資本主義制度のうち、グローバル化への対応の項目。トルコの経済学者ダニ・ロドリックの学説を引用し、3つの進むべき方向が提示されている。

1つ目は、ハイパーグローバリゼーションと民主主義を望むなら、国民国家をあきらめなければならない。

2つ目は、国民国家を維持しつつハイパーグローバリゼーションを望むなら、民主主義を忘れなければならない。

3つ目は、民主主義と国民国家の結合を望むならば、グローバリゼーションの深化はさようならだ。

つまり、グローバリゼーションの深化、国民国家、民主主義の3つを進めるあるいは維持することはできず、どれか2つを選択すべきという問いかけだ。

民主主義と国民国家の2つは、そのどちらかを捨てるという選択をすれば、根本的に社会が大きく変わる。独裁制や封建制などが想起され、我々はそういう社会で生きたいだろうかとの疑問にあたる。

だとすれば、3つ目の選択しかありえないことになる。

グローバリゼーションで、世界各地にモノが行き渡り、それを享受する暮らしがあることも確かで、これ以上グローバル化を進める必要があるだろうか?と、我々は考えなければならないところまで来ているというのが、著者の言いたいことだ。

こんな感じで、

ITにはいったい何を求めるのか?

バイオテクノロジーは、寿命(生)を伸ばす働きをしているが、これは善なのか悪なのか?

自然科学の発展で、宗教が衰退する期間が長く続いたが、911テロからこの流れが反転した。宗教を科学的に捉える時代に突入したのか?

地球温暖化という環境変化に対する対策により、本質的な問題が覆い隠されていないか? 二酸化炭素を出さない原発の運転と、事故が与える環境リスクは、どちらに対処することが優先事項なのか?

というような問いが、立て続けに発しられる内容だ。

原発事故直後に、平川克美さんの講演を会津若松で聴いたことがある。平川さんは、フランスの思想家エマニュエル・トッドに大きな影響を受けた方。

講演後に、「帝国以後」(エマニュエル・トッド著)を読んだけれど、内容は冷戦終了によりソビエトが崩壊し、いずれ唯一の帝国アメリカも崩壊するというものです。

そのときは、これがわたくしたちにどんな影響があるのか、いまいちピンと来なかったのを覚えています。

しかし、今日、トランプが大統領となり、世界の警察官というアメリカの帝国としての存在は大きく崩れ、アメリカ資本主義の総本山である中央銀行による貨幣統治から離脱する国が現れ始めた。

そこに、ブロックチェーン技術を用いたビットコインも登場してきた。

資本主義と帝国は大きく関係するけれど、近年、これらに大きな変化が始まったのは、誰もが感じることだろう。

本質的なことはいったいなんなのか?

そんなことを考えさせてくれた哲学の本でした。

「帝国以後」も、もう一度読んでみようと思う。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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