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【会津野】壁のはなし

2017年11月23日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

昨日、西郷村のナホ吉さんのブログを読み、なるほどなぁと思いつつ、「壁」についてあれこれと考えました。

西郷村というところは、栃木県の那須から白河の関を越した「みちのく」の入口「白河市」のすぐお隣りのところ。経済圏は白河と一体になっているところです。

那須と白河のあいだには大きな壁があり、それを壊したいというのがナホ吉さんの言いたいこと。

さて、壁と言えば、昨年11月にトランプ大統領が就任したとき、メキシコ国境に壁を築く大統領令を出しました。その後、この話題はめっきりと聞かれなくなり、いったいどうなったのだろうと調べてみると、ニューズウィークに試作品が出来上がった記事がございました。

この壁は建築物としての壁なので、ナホ吉さんの言う壁とは異なるものの、歴史的にみると白河の関には関所と言う現実の壁が存在し、関所破りに眼を光らせていた過去があります。ただ、いまはどちらも日本国内なので、現実の壁は存在しない。

アメリカとメキシコは、トランプさんが大統領になる前から別の国で、ここには現実の国境があります。日本の関所破りみたいな事、すなわち、国境を越えて密入国して来る人々をシャットアウトする意図があります。密入国はいけないことですが、なぜいま大きな予算を割いて壁を造るのか。どうしても密入国してほしくない理由があるのだと思います。

それはいったい何なのか?

最近読んだ本から探ってみます。

 

「ショック・ドクトリン」(ナオミ・クライン著)によると、シカゴ学派が台頭してネオナチズムが実権を持っていたブッシュ大統領時代、アメリカでは惨事便乗型資本主義が大きな力を持っていました。

2001年の911テロ、2005年のハリケーン・カトリーナという惨事の際、セキュリティー産業が大きく飛躍し、出入国管理のセキュリティーシステムなどの大幅な機能強化が施され、空港や港などの管理がおよぶ部分で人々の動きを捕捉することが、ほぼ達成されました。

シカゴ学派の考えは、官が持つ利権を民間に開放するもので、軍隊すらも民営化する試みをしました。ブッシュ政権とネオナチは、911という惨事後の「テロとの戦い」で、一部民営化した兵を中東に送り、「戦争をすること」=「民間企業が儲かる」という図式で説明できる軍産複合体へと進みます。この時、敵をあらわすために用いられた「悪の枢軸」という言葉をみなさんも覚えていることと思います。

 911を経たのち、2005年のハリケーンの際には、民営化で富を得た民間人がいち早くニューオリンズから逃げ出す事例が起きました。自家用機などで避難し、そういう手段を持たないニューオリンズの人々は置き去りにされ、ブッシュ政権が大変な非難を浴びたことがありました。

そして2006年、中間選挙を迎え、イラク侵攻の際の大義とされた大量破壊兵器が見つからないことなどを理由とし、ブッシュ政権の共和党が大敗。ネオナチの中心的人物であったラムズフェルド国防長官が辞任します。

この間に、民営化で富を得た層とそれ以外の層の間で大きな心理的な壁が生成された。

眼に見えるものとしては、居住区域などが分離され、壁で守られる地域などが出現する。

政権のねじれ状態を経て、Yes we can で誕生したオバマ政権は、オバマケアなどの再配分政策を志向。ブッシュ政権で生じた格差是正に向かうも、トランプ大統領との大統領選で敗れ、さっそくメキシコ国境に壁を構築することになる。

2017年11月はじめのトランプ大統領来日の際には、「友達が 親子できたよ 集金に」という時事川柳が詠まれるような様子が報じられ、日本政府からアメリカの民間企業へ大きなオカネが流れることが想起されました。

そして近頃、北朝鮮のテロ支援国家指定ということも起きた。

我が国の首相も、これらを全面的に支持すると言い、日本はこの流れに追従する。

さて、このような流れ。アメリカも日本も、物理的にも心理的にも壁を造るという方向が明らかになってきました。

ナホ吉さんの言う「壁を壊す」は、それらに逆らうことだ。

これを実行するにはものすごいエネルギーが要る。

トランプ大統領は、アメリカという地域の民間企業に自分の国以外の地域からオカネを流し入れることを試みた。一方、ナホ吉さんは白河という地域にオカネを流し入れることを試みる。

同じようなことなのに、壁を造るか壊すかが違う。

僕は、壁を壊すのではなく、亀裂を入れて扉のようにし、福島側だけに開くようにするのが良いのではないかと思う。

福島側の購買行動は生活の中での消費。那須側の購買行動はリゾート地での消費。これはナホ吉さんの言うとおりだ。その結果、消費者にとっての費用対効果は福島側の方が、圧倒的に高い。

だとすれば、福島側の消費の質を向上させ、費用対効果の良い商品を並べ、こちら側にだけ人々が流れるように仕向けたら良いのではないだろうか。

そうだ、いまやることは、福島の消費の質を向上させることだ。

質の高いモノやサービスをどんどん作って、質の高い暮らしを志向する。

福島はこんなものだと甘んじていてはいけない。

これが僕の思う壁に対する考えだ。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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