おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
昨日1月14日は、会津坂下と会津美里町高田で初市が行われました。本日15日は、喜多方市塩川にて初市が行われています。
会津坂下の14日と、塩川の15日は、日付で決まっており、毎年この日に初市が行われます。
高田の初市は、1月第2土曜日に行われる「大俵引き」にあわせて実施するため、今年は14日だったものです。
それでは、高田から見ていきましょう。
廃業した自転車屋さんの前に建てられた市神様を祀る中御堂(なかみどう)でお話を伺いましたが、どの神様が市神様であるかわからないとのこと。
1987年(昭和52年)の伊東実論文では、高田の初市で住吉大神と春日大神を祀っているとの記述があります。その後、どの市神を祀るかは、うやむやになってしまっているようです。
高田は、1675年の市立権闘争で敗れたところです。それまでの市立ての方式であった、阿弥陀如来(48の願い)と薬師如来(12の願い)の願い事それぞれに、店を割り当てて市を立てることが否定されたのです。このとき、会津藩公事奉行は、会津若松の簗田組の主張する「市神祭祀権」を採択しました。
だから、高田は、由来である市神とは違うものを300年以上も祀ってきました。それも、今日ではうやむやとなり、2度目の市立て崩壊が来ているようです。
初市そのものは、こんな感じです。坂下と同日だったためか、逆説的ではありますが、どこの初市にも出店している露店さんが殆ど無く、地元の方による露店しか目につかなかったところがとても良かったです。
次は、坂下の初市です。
町役場の真ん前に中御堂が祀られています。こちらには、神社の神職さんがおられ、市神様のことを詳しく教えてくれました。神大市比売(おおいちひめさま)、住吉さま、春日さまを祀っているとのこと。会津で神大市比売を祀る市を聴いたことはありませんでした。初市発祥の簗田市(1384)から祀られている住吉大神と春日大神も祀っているので、正当な市立て方法にのっとり、さらに神大市比売を祀っていることがわかりました。
坂下の初市は、通りに背を向けて露店が並びます。これも会津若松と同じ方法です。
会津坂下では、大俵引きも行われます。大俵引きも、発祥の簗田市からはじまったもの。
会津坂下の初市が、形式上、最も往時の姿を残す初市であるようです。
日が代わって、本日(15日)朝、塩川の初市を見てきました。
ここは、露店と同列に中御堂が建ちます。初市ははじまっているものの、まだ建設中(?)でした。作っている方にお話を伺うも、市神のことはわかりません。近くの駒形神社の出張所だから、その神様じゃないの?とのお言葉。
駒形神社は、宇気母智神を祀るとあります。この神様は、食物全般の神様です。市神とは少し違うような。。。
塩川の初市は、向かい合わせに露店が立ちます。
こじんまりと町の人々が行き交います。
さて、帰り道にこんな看板が立っていました。
裏には「空き缶ステルナ」とあるのですが、市神様を祀らないうちから市をはじめてしまうと、こうなってしまうのではないかと心配するところです。
初市は、お祭り事です。正しいより、楽しいが良いのか? それとも、正しい伝統を受け継ぐべきなのか? 楽しくて、正しい祭りはできないのか?
そんなことを考えて帰って参りました。
残りは、17日に行われる小田付初市(喜多方市)で、会津の初市もおしまいです。小田付は、市立権闘争に発展した最初の小競り合いが起きた初市です。市の立て方をしっかりと見てこようと思っております。
今日も素晴らしい一日を過ごしましょう。
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