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メリー・ミラクル・クリスマス 和楽shige

2019-12-26 01:09:22 | ThinkAbout..
茅ヶ崎駅北口に「和楽shige」という寿司屋がある。
ネタ、刺し身の大きさ、盛り付け、色、センスも味も抜群で、
舌だけではなく目で味わえる。
大将の言葉遣い、態度から程遠い絶品な料理は、
おそらくオレが今まで食した寿司屋では間違いなくTOPだ。

年に1、2回お邪魔する。
誕生日や何かのお祝いだ。
ウルトラ100キロマラソンを走ったご褒美的な。

昨夜は相方の誕生祝いで久々にお邪魔した。
前回は記憶にないほどなので相当時間が空いている。
それでも大将はオレのことをよく知ってくれているので安心して楽しめる。

自宅から3キロほどにあるのだが、
この寒空に自転車では体が冷えるし、八時を過ぎていたのでバスはなかなか来ない。
走っていった。ペース7分くらいでね。
店に入ったときは少し汗ばんでいて、ずぐにビールを頂いた。

「すげーな、走ってきたのかよ」と、大将。
「いやいや、速歩きのレベルだよ」ビールを飲みながら答える。

そのやり取りをカウンターの筋向かいに座る二人の女性が聞いていた。
職場の先輩と後輩のような関係っぽくてふたりともヤセ型の美人。

この歳で、飲み屋で女性に話しかけるということはよくある。
話したほうが良い、という自然な雰囲気を把握できるようになる。

トレイルのレースで、選手同士話すけどあれと同じだ。
誰彼構わず話しかけるわけではない。その時の雰囲気がある。

いろいろ話すと先輩の方は、ホノルルマラソンを4時間半で走り、
後輩の方は陸上部出身で関東高校駅伝の選手で3キロ10分で走れると言った。
キロペース3分20秒である。
オレは山走るんですよ、つうか歩くんですけどね、と言っといた。

オレは後輩の女性に、なにか懐かしい感じがあって
「前にどこかで会ったことないかな?」と野暮ったい質問をした。
もちろん無い。オレは会ったこと無いし、彼女もオレを知らない。
神奈川の外れに住んでいると言っていた。なら知るわけもないか。
でも懐かしい感じが薄いベールのように彼女を包んでいる。

女性ふたりとも、和楽の過去からの常連と言っていた。
店で会ったことはないよ。
先輩女性のご主人が常連で、連れてきてもらっていたらしい。
神奈川の外れからわざわざ茅ヶ崎までだ。

「5年前に亡くなったんですけどね」

亡くなったご主人は茅ヶ崎の企業で働いていた。
会社名を聞いた。
会社名と自宅の住所からすぐにわかった。
心臓がドクドクした。まじかよ。。

「亡くなったご主人って、もしかしてG籐さん?」
「そうです。G籐です。ガンで亡くなりました。隣は娘です。」

先輩後輩じゃなかった母娘だった。


「オレ、昔よく飲み歩いていたんだ。だいたい行くところって決まってる。
そこでよく会ったんだよ、G籐さんに。
隣になることも多くて結構話しましたよ。
とても楽しい酒飲みで、いろんな店で愛されていたなあ。
亡くなったなんて、全く知りませんでした。ごめんなさい。」

大将も彼との思い出話をし、時折、彼女たちは涙ぐんだ。
彼は亡くなる直前に、「猫になって生まれ変わる」と家族に伝えたらしい。

理由はわからない。

そして亡くなった翌朝、家の庭に白い子猫が現れた。
今はその猫は、母娘のもとで暮らしている。
猫になって家族を見守りたいからだ。
猫が好きだからじゃない。
猫に生まれ変わりたい理由、、わかった。

時間は12時を過ぎた。

またどこかで会いましょう。
そう言って店を出て別れた。

娘に懐かしさを感じたのは、そういうことだったのか。
そんなことを思っていたら、目の前を白い猫が走り過ぎていったよ。

なかなか素敵なクリスマスの夜だった。


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