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低酸素って何がいいんだ?

2021-02-10 10:32:21 | ランニング
低酸素って何がいいんだ?っていう話。
酸素が薄いところで走ったりするといいよって聞くけど、ちょっと専門的な話をするよ。
まず酸素の役目だ。人は酸素がないと死んでしまう。エネルギーが作られなくからだ。
心臓を動かしたり、呼吸したり、考えたり、恋をしたり、全ての生体反応のためにはエネルギーが必要。

そのエネルギーって身体の中でどうやって生まれるんだろう?
食べものだけじゃないんだよ。栄養素と酸素が結びついて、それって化学反応なんだけど、化学反応が起こって初めてエネルギーになる。
ここまでいいかな?さて。そのエネルギーを作る工場は細胞の中にあるミトコンドリアというところ。
工場は大きさが決まっていて増築したり作業者増やしたりってあまりできない。
でもたくさんエネルギーを生産しなくちゃいけない。
工場は敷地面積とか決まっていて作業者も数が限られている。燃料である酸素が少ないとフル稼働させなくちゃいけない。

ところが作業者にもっと働け!と命令しても燃料自体が少ないからフル稼働しても生産するエネルギー量ってなかなか増産できないよね。じゃあどうする?
君が工場長ならどうやってエネルギーを増産させる?

きっとこうすると思うね。
トラックを増便して、身体中の酸素、空気中の酸素をもっともっと工場に運べ!って指示するよね。ここで言うトラックはヘモグロビンってやつだ。
血管という至るとこにはりめぐされている道路にいるトラックの台数を増やし、なるべく速く工場に酸素を運び運ぶんだ。高速道路も国道も細い裏道も使ってね。
さてさて。工場長がトラックに指示を出すためには、酸素が足りないという情報を工場長が知ることだ。

ここがとても重要。通知機能ってやつだね。
この通知機能はエリスロポエチンという物質にお願いしている。

ちょっと難しいけど造血ホルモンの一種類だ。
血中の酸素が不足すると、このエリスロポエチンがどんどん増量して、脳の司令室にいる工場長に伝わるしくみになっているんだ。
つまり酸素が不足してもエリスロポエチンがないといつまで経っても工場長に伝わらない。致命的でしょ。酸素が不足して直ちにエリスロポエチンを増やす。これは通常の環境で身体が反応してくれない。たまに高い山に行っても無理だね。何故かというと、ロード走っていて後半息が苦しくなったとしよう。

血中酸素が不足しても空気中には酸素がいっぱいあるから深呼吸すれば済む話だ。エリスロポエチンは一向に増えない。
でも深呼吸しなくても、休憩しなくても、ずっと走り続けたいよね。
それはランナーの夢で目標で希望だ。より遠くへ、より楽に、より速く走るためのキーだ。
もちろん筋力とか走り方とかあるけど、そんなのは平地で練習すればいい。
要はエリスロポエチンを増やせる体質にするのが低酸素トレーニングの目的なんだ。

この体質になると、フルマラソンの後半、トレイルレースでの延々続く坂道、大病を患った時、そんな時人間は低酸素状態になるんだけど、結果としてミトコンドリアに酸素を運ぶトラックがどんどん増便されて工場がフル稼働する。
そういう工場の物流システム、生産システムを劇的に向上させるというのが狙いなんだ。このシステム向上の改善活動は週1、週2で6週間以上やれば完璧。

もちろんその後もやらないとダメだよ!
ミトコンドリア工場の作業者はすぐサボる癖があるからなんだよ(^ ^)