つづき
3.「人間の安全保障」「積極的平和主義」について
安倍首相は、この二つの考え方について、「旗を掲げそれは国際社会との協調を柱としつつ、世界に繁栄と、平和をもたらすべく努めてきた我が国の、紛うかたなき実績、揺るぎのない評価を土台と…するものです」と述べています。
まず、「人間の安全保障」論の大ウソです。そもそも「人間の安全保障」論は、日本国憲法の平和主義の実践を多様に駆使していく「安全保障論」です。以下をご覧ください。
Title 安全保障とジェンダーに関する考察 : 沖縄「基地·軍隊 を許さない ... - [PDF]
はじめに 人間の安全保障が、国際社会が追求すべき課題のひとつとして ...
この理念の土台は、人権尊重思想です。憲法の人権思想と人権諸規定を土台としているのです。この土台部分を踏まえて国民主権主義の具体化としての議会制民主主義と地方自治制度が構築されました。戦前は天皇主権でしたので、決定的な、根本的な違いあります。こうした憲法の構造が機能して初めて平和が構築されるという視点が日本国憲法に貫かれているのです。
しかし、前後自民党政権は、真っ向から逆のことをしているのです。とりわけ安倍首相は、その典型的人物です。軍事的安全保障論を目指す安倍首相が語る美辞麗句は、一つには、この理念を語らねば、国際的・国民的支持を得ることができないという意味があると同時に、二つ目には、こうしたまやかしの、タテマエを言いながら、支持を取り付けながら、軍事的安全保障論の日本に導いていこうとするのです。マスコミの記者が、日本国憲法改悪問題と対峙する人間安全保障論について、質問してみれば、化けの皮が剥がれることでしょう。
このことに関連してもう一つ、安倍首相のウソを検証しておきます。それは、以下の中で語った安倍首相のゴマカシ・スリカエ、大ウソに、ものの見事に示されています。
2007年8月22日 外務省: インド国会における安倍総理大臣演説「二つの海の交わり」
…今日の文脈に置き換えてみて、寛容を説いたこれらの言葉は全く古びていないどころか、むしろ一層切実な響きを帯びていることに気づきます。アショカ王の治世からマハトマ・ガンディーの不服従運動に至るまで、日本人はインドの精神史に、寛容の心が脈々と流れているのを知っています。私はインドの人々に対し、寛容の精神こそが今世紀の主導理念となるよう、日本人は共に働く準備があることを強く申し上げたいと思います。(引用ここまで)
マハトマ・ガンディーを不服従の実践者として描く安倍首相、しかもインドの国会において、大ウソ演説を行なうのです。
ガンジーの非暴力不服従主義は日本国憲法の第9条と人権諸規定に示されています。特に日本国憲法第16条をご覧ください。
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。(引用ここまで)
次は「積極的平和主義」論の危険性と大ウソについてです。この思想は、「積極的平和主義と日米同盟のあり方 」(日本国際フォーラム)が2009年10月に提起している概念です。
それは日米軍事同盟深化論です。以下「目次」のみを掲載しておきます。本文はアクセスしてみてください。安倍首相の演説が、この「提言」に沿ったものであることが判ります。
一、国土防衛のための提言
1.「非核三原則」などの「防衛政策の基本」を再検討せよ
2.米軍再編プロセスに協力し、集団的自衛権の行使を認めよ
3.「武器輸出三原則」は根本的にそのあり方を見直せ
4.国家の情報収集・分析体制を整備・強化せよ
二、地域的安全保障のための提言
5.東アジア地域における対話と協力の主導権を握れ
6.日米の対中戦略協調を強化・発展させよ
7.日本の主権に対する現存する侵害行為を直視せよ
三、世界的安全保障のための提言
8.「国際平和協力一般法」を制定し、グローバルな「集団安全保障」に貢献せよ
9.核不拡散、核軍縮、核平和利用の管理徹底を並行して推進せよ(引用ここまで)
ところが、読売・産経は当然のこととして、NHKや朝日、毎日・東京やテレビなど、マスコミは、安倍首相の、このフォーラムの提言の危険なネライ、日本国憲法の改悪を目指している内容であることを報道していません。ここにナチスの手口に協力加担しているマスコミの犯罪的役割があります。
朝日 安倍首相「積極的平和主義の国に」 米の講演で表明 ...
産経 安倍首相「積極的平和主義」を強調 国連演説 シリアに6千万ドル追加 ...
読売 「積極的平和主義」の理念打ち出す…講演で首相I ...
毎日 安倍首相:自信の演説連発 国連で「積極的平和主義」宣言-
東京 公明·山口代表 首相主張に冷ややか 積極的平和主義「中身分からず」2013年9月14日 朝刊
東京 首相、持論全開集団的自衛権容認へ意欲:政治(TOKYO Web) ...
東京 首相有識者懇が再開 憲法解釈見直しありき:政治(TOKYO Web)
こうした安倍首相のネライを見抜いた指摘は、中国からのものがあります。当然です。安倍首相の全ての政策に一貫しているのは対中包囲網作戦だからです。
この積極的平和主義と集団的自衛権行使論の関係は、「地球の裏側」論について「首相自ら地理的概念を否定し、政府の見解を統一したことで、この論争に終止符を打った」とする記事を見れば、いわゆる日米軍事同盟の「極東」概念と「周辺事態法」の「周辺」概念の拡大解釈の前例どおり安倍首相が正直に答えています。このことは山県有朋意見書の「主権線」論が教訓的です。
首相「地理的概念とせず」 集団的自衛権行使の解釈見直し 時期は明言避ける2013.9.26 12:15 (2/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130926/plc13092615430012-n1.htm
4.核兵器廃絶論についてです。
日本が日米軍事同盟という軍事的安全保障政策を採用して、アメリカの核兵器の核の傘の下にあって、非人道兵器である核兵器の使用について、どのような立場にたっているか、イランや北朝鮮の核兵器に言及していますが、そのことは、そのまま憲法平和主義と非核三原則を国是とする日本の安全保障政策に跳ね返ってきます。まさに「人間の安全保障」論と「積極的平和主義」の憲法的具体化です。それを具体化できるかどうか、安倍首相の無意味な、無味乾燥な言葉、スリカエとゴマカシ、トリックを見抜き、憲法の原則を活かしたものにできるかどうか、国民の意識と運動にかかっていることでしょう。
以下の言葉の大ウソです。或いは、安倍首相の言葉を信頼して、その具体化を迫るか、です。
(1)原子爆弾の惨禍を知る我が国は、核軍縮と不拡散、ひいては核廃絶に、ひたすら貢献します。
(2)化学兵器が使われたことは、私を含め、日本国民に、深い衝撃と、怒りを呼び起こしました。化学兵器は、二度と再び、使用されてはなりません。シリアの化学兵器の廃棄に向けた国際社会の努力に、我が国は、徹底的な支持と、能うる限りの協力を表明します。無辜の市民が犠牲となり続ける状況に、義憤を覚えざるを得ません。暴力の停止、政治対話の開始、劣悪な人道状況の改善を、喫緊の課題と考えます。(引用ここまで)
安倍首相の大ウソとゴマカシ・スリカエについては、以下記事にしました。ご覧ください。
非人道兵器の不使用はアサド政権の化学兵器も安倍政権の核兵器も同じ!奇怪か安倍首相のシリア非難に渇!(2013-08-30 11:29:12)
核兵器廃絶の為には憲法を生かすしかないのに朝日は安倍首相の憲法無視を批判もコメントしない!大喝!(2013-08-10 23:12:07)
これが被爆国のマスコミか!長崎原爆忌のニュースをないがしろにする被爆国のマスコミを糾し正す!(2013-08-09 13:31:27)
朝日は松井市長の平和宣言と安倍首相のあいさつをどう伝えたか!試金石は憲法と廃絶と抑止力と戦争認識!(2013-08-07 10:53:31)
原爆忌全国紙は何を主張したか!非人道兵器である核兵器廃絶と政治の矛盾をどのように克服するか!(2013-08-07 08:39:32)
ヒロシマの声はアベノミクス戦略推進・憲法改悪の安倍首相に届いたか?結果は事実で判る!
(2013-08-06 19:19:30)
核兵器使用は国際法に違反している!戦争犯罪を繰り返さないためには加害の事実と向き合う道徳論を! (2013-04-26 20:21:13)
沖縄・広島・長崎・福島の屈辱、大東亜戦争正当化論を押し付ける安倍不道徳自公政権は退場すべし! (2013-04-25 17:58:02)
つづく