1728年11月19日に亡くなったケーテン侯レーオポルト。クリストフ・ヴォルフの『ヨハン・ゼバスティアン・バッハ―学識ある音楽家』によると、その葬儀は国葬として、翌年の1729年3月23日と24日におこなわれました。この葬儀における音楽を担当したのが、同宮廷の楽長(ライプツィヒに転職後も不在臣下の楽長)であったバッハで、妻アンナ・マグダレーナ、長男フリーデマンとともにケーテンを訪れ、かつての主君に音楽を捧げました(概略は記事「アンサンブル・ピグマリオンによるBWV244a」にもあります)。
この追悼音楽は消失してしまいましたが、ピカンダーによる歌詞(Cantata BWV 244a Klagt, Kinder, klagt es aller Welt Original German Text)はのこされており、その分析から、BWV244から9曲、BWV198から2曲が、追悼音楽に転用されたと推測されています。これを復元して演奏したのが、これからきくラファエル・ピションたちによるアルバム。いつものようにキビキビした演奏ですが、BWV198の第1曲を転用したその第1曲など、個人的にはもうちょっとゆっくりめのテンポで、しめやかな雰囲気があれば、と感じます。
CD : HMC 902211(harmonia mundi)