一昨日、昨日と、アンドレ・イゾワールたちによる復元協奏曲をききましたが、これからきくのはそれに関連した協奏曲(ANALEKTA AN 2 9815)。イゾワールたちの協奏曲は、BWV29のシンフォニアをのぞけば、原曲の協奏曲、カンタータ楽章、チェンバロ協奏曲というかたちで存在しているものです(ただしBWV1059は断章)。
ジョン・アベルガーとターフェルムジーク・バロック・オーケストラによるオーボエ・ダモーレ協奏曲はというと、カンタータ楽章として存在する楽曲から、いわば架空の原曲を構成した協奏曲です。第1楽章がBWV100の第4曲、第2楽章がBWVV170の第1曲、第3楽章がBWV30の第3曲で、いずれもアリアです。
この曲はイゾワールたちのとちがって、チェンバロ協奏曲稿は存在しませんが、こういう原曲の協奏曲がありえた潜在的な可能性もゼロともいえず、おもしろい試みといえるでしょう。架空の協奏曲とわりきってきけば、けっこう楽しめます。なお、このCDには、ヴィヴァルディ、ヘンデルなどの協奏曲が収録されています。
協奏曲が原曲ではないかと思わせる端的な例が、イタリア語歌詞の世俗カンタータ"Non sa che sia dolore"の第1楽章のシンフォーニアで、これは明らかにフラウト・トラベルソ協奏曲の第1楽章に見えます。
教会カンタータの「なんと美しく輝く暁の星(Wie schön leuchtet der Morgenstern)」(BWV 1)の第1楽章も、2台のヴァイオリンのための協奏曲の楽章にコラールを組み込んだように見えます。
いずれの場合も、原曲が分かっておらず、編曲であることを示す証拠は全くないのですが・・・。
ご指摘のBWV209のシンフォニアですが、これを協奏曲楽章とした録音がありますね。アンサンブル・アウロラによるもので、ロ短調のフルート協奏曲と、BWV1050a、BWV1067とのカップリングです。このCDは、弊ブログで紹介する予定です。