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●「10・23通達」と教育破壊: 「石原都政では、教育行政も歪められた。…愛国心教育を強制」

2016年11月07日 00時00分18秒 | Weblog


日刊ゲンダイの記事【石原慎太郎 腐敗の13年/愛国心教育で日の丸・君が代強制 当の本人は「歌わない」】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192764

 《石原都政では、教育行政も歪められた。「心の東京革命」と称して、愛国心教育を強制したのだ。…慎太郎は、過剰な体罰で知られる「戸塚ヨットスクールを支援する会」の会長も務めている。こういう偏った思想の持ち主が、トップダウンで都の教育行政を変えていったのである》。

 「10・23通達」と教育破壊。ソコから急加速に教育が破壊。今も「通達」は生き残り、ハタやウタを強制し、教師や生徒の内心をかき乱す。着々と、いまや最高学府の教育も破壊。

   『●ト知事たちのハタとウタ
    「強制して何になる! ハタとウタで内心をひっかきまわす人たち。
     …両「都」知事の「と」はトンデモの」だ。選挙で選び、
     トンデモな通達や条例を支持している東京ト民や大阪ト民の皆さん、
     ホントに大丈夫ですか、そんなことしてて?」
    《「日の丸・君が代」強制を合憲とした最高裁判決に抗議し
     東京都教育委員会「10・23通達」と
     大阪府「君が代条例」案の撤回を求める》

   『●「国家と教育」『週刊金曜日』
      (2013年3月22日、936号)についてのつぶやき
    「樫田秀樹氏【「自分の信条を貫きたい」 猪瀬都政下初の卒業式】、
     田中聡史さんや根津公子さんらと、小皇帝氏お抱えの都教委による
     「10・23通達」。一方、あの元大阪「ト」知事の…
     村上恭介氏【「不起立は生徒の未来と自分への責任
     それでも「君が代」に屈せぬ教師たち】」

   『●「福島原発事故の今」 『週刊金曜日』
      (2014年3月7日号、982号)について
    「永尾俊彦氏【東京は今 舛添新知事は石原・猪瀬路線を引き継ぐのか 
     最高裁で取り消された不起立による処分を出し直した都教委】、
     「起立斉唱は当然…だが「10・23通達」については、「検討課題」…
     記者会見で話した」」


 日刊ゲンダイの《石原慎太郎 腐敗の13》シリーズ…タイトルを見るだけで悍ましいい。

   【血税1400億円がパー 「新銀行東京」大失敗にも減らず口
   【公金で一晩数十万円の散財 超グルメ生活は舛添氏も真っ青
   【カラス退治に血まなこ 動機は「ゴルフ場で頭つつかれた」
   【四男を重用「トーキョーワンダーサイト」で税金を私物化
   【血税5億円で地球7…“公私混同トンデモ豪華出張
   【呆れた親バカ…三男・宏高議員の選挙をめぐる「裏金疑惑」
   【ぼったくり店を増やしただけだった「歌舞伎町浄化作戦」
   【尖閣購入計画も頓挫 寄付金14億円はいまだに宙ぶらりん
   【愛国心教育で日の丸・君が代強制 当の本人は「歌わない」
   【銀行税敗訴 国への個人的リベンジで都民に巨額の損失
   【森元首相にそそのかされ…都知事4選と東京五輪再立候補
   【「海の森」プロジェクト 東京湾の孤島に消える億のムダ金

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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192764

石原慎太郎 腐敗の13
愛国心教育で日の丸・君が代強制 当の本人は「歌わない」
2016年10月29日

     (「奉仕」を必修教育化(C)日刊ゲンダイ)

 石原都政では、教育行政も歪められた。「心の東京革命」と称して、愛国心教育を強制したのだ。

 慎太郎のウェブサイト「宣戦布告」を見ると、「心の東京革命」というタイトルでこんなことが書かれている。

   〈動物行動学者コンラート・ローレンツの主張の中に非常に
    興味深いものがある。それは「幼い頃に肉体的な苦痛
    味わったことのない子供は、成長して必ず不幸な人間になる」
    というものだ〉

 だから、子供に苦しさやひもじさに対する我慢を覚えさせる必要があると説く。スパルタ教育を信条とする慎太郎は、過剰な体罰で知られる「戸塚ヨットスクールを支援する会」の会長も務めている。こういう偏った思想の持ち主が、トップダウンで都の教育行政を変えていったのである。

 2001年、まずは都教育委員会の「基本方針」「教育目標」から日本国憲法及び教育基本法の精神に基づき文言を削除し、代わりに「わが国の歴史や文化を尊重し」と加えた。国が教育基本法改正で目指す愛国心教育を先取りしたのだ。

 その真骨頂が、日の丸君が代強制だろう。03年10月23日の都教委通達で、入学式や卒業式などの行事の際は「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」ことを指示。違反者は処分するという強権で、式典で起立しない生徒がいた場合も含め、担任や校長を大量処分。この通達は現在でも生きていて、都教委によれば「平成27年度の卒業式までに、のべ450人の教職員が処分を受けた」という。

 ところが、当の慎太郎は「文學界」(14年3月号)のインタビューで「僕、国歌歌わないもん。国歌を歌うときはね、僕は自分の文句で歌うんです。『わがひのもとは』って歌うの」と話していた。他人には強制しておきながら、こんなフザけた男が教育に介入する資格があるのかどうか。

 07年度からは、すべての都立高校に「奉仕」が必修教科として導入された。年間35単位時間。ボランティア活動などを通して、「奉仕活動の理念と意義を理解させる」というものだ。「公(国家)に奉仕する」という国家主義的なイデオロギーを公教育で叩き込むものだと批判されたが、教育現場に右翼的な思想を押し付けていくやり方は、現代版の教育勅語とも言える。

   「『奉仕』の時間は、現在の高校1年生から『人間と社会』という
    新教科に移行しました。道徳的な内容や生き方について
    考える時間です」(都教委)

 

 右翼教育の“負の遺産”は教育現場に今なお残っている
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●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」

2016年11月04日 00時00分08秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の編集部によるインタビュー記事【東海テレビ・阿武野プロデューサーを直撃! ヤクザの人権、犯罪弁護団、安保批判…萎縮状況の中でなぜ東海テレビだけが踏み込んだドキュメンタリーをつくれるのか】(http://lite-ra.com/2016/11/post-2663.html)。

 《圧力、自主規制、政権を忖度、報道の萎縮……そんな言葉がしきりに聞かれているテレビ業界において、異彩を放つ刺激的なドキュメンタリーが放映されているのを知っているだろうか。名古屋を拠点とする、東海テレビの作品だ》。

   『●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」
              …「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局
    「優れたドキュメンタリーが、東海テレビ琉球朝日放送南海放送
     といった地方のテレビ局で生み出され、そして映画化される。
     『死刑弁護人』や『標的の村』、『放射線を浴びたX年後』といった作品
     である。
      東海テレビ阿武野勝彦プロデューサーは《映画にすることで、
     作品は命を永らえることができる》、森達也さんは《テレビ業界で煩悩し
     格闘している人は決して少なくない》、そして、木下昌明さん
     《隠された歴史を掘りおこす》と言う」。

 「圧力、自主規制、政権を忖度、報道の萎縮…テレビ業界」で「異彩を放つ刺激的なドキュメンタリー」を放ち続ける東海テレビ。阿武野勝彦氏は「ど真ん中の仕事…ドキュメンタリーの真ん中」であり、そんな仕事には「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声のほうが多い」そうだ。

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http://lite-ra.com/2016/11/post-2663.html

東海テレビ・阿武野プロデューサーを直撃!
ヤクザの人権、犯罪弁護団、安保批判…萎縮状況の中でなぜ東海テレビだけが踏み込んだドキュメンタリーをつくれるのか
インタビュー編集部 2016.11.02

     (東海テレビ・阿武野勝彦

 圧力、自主規制、政権を忖度、報道の萎縮……そんな言葉がしきりに聞かれているテレビ業界において、異彩を放つ刺激的なドキュメンタリーが放映されているのを知っているだろうか。名古屋を拠点とする、東海テレビの作品だ。
 光市母子殺害事件の弁護団に密着した『光と影』(2008)、戸塚ヨットスクールの今を描いた『平成ジレンマ』(2010)、ヤクザの人権問題に切り込んだ『ヤクザと憲法』(2015)など、ここ数年、東海テレビが放送したキュメンタリーの数々は物議をかもしてきた。
 しかし、東海テレビのドキュメンタリーは放送中止になることもなく、現在も定期的に地上波でチャレンジングな新作が公開されているばかりか、近年では映画版として再編集され、全国のミニシアターを中心に上映も行われている。
 大口のスポンサーもつかず、縮小していくテレビドキュメンタリーの世界で、フジテレビ系列の東海テレビがなぜ、多様な作品を制作し、放送し続けることができるのか。それ以前に、トラブルを避けたがるテレビマンがほとんどのなかで、なぜこういう作品をつくろうとするのか。

   「たとえば、障害のある人を取材対象にして何だか観たことの
    あるような“いい話”の番組って、ありますよね。障害のある人を
    主人公にするのが悪いと言っているんじゃなくて、ステレオタイプに
    描くのは、安易なやり方で、むしろ失礼だと思うんですよ。あるいは
    タレントを海外に連れて行って、ありきたりな感想を述べるのを
    ありがたがったりするような“ありがち”な番組。私はそれ、
    ドキュメンタリーじゃないんじゃないの?って思う。制作者の志
    どこにあるのだろうと思っちゃいますね」

 そうサラリと業界批判をしてのけるのは、監督やプロデューサーとして一連のドキュメンタリーを支えてきた東海テレビの阿武野勝彦。1981年、アナウンサーとして同局に入社後、報道局記者、営業局業務部長などを経験しながら、『ガウディへの旅』(1990)、『村と戦争』(1995)、『黒いダイヤ』(2005)など多数のドキュメンタリーのディレクターを務めてきた。東海テレビのお家芸である「司法シリーズ」と呼ばれる一連の作品群でも、同局の齊藤潤一とのタッグで『裁判長のお弁当』(2007)や前述『光と影』、『死刑弁護人』(2012)などを手がけ、数々の賞を受賞。「異端」「型破り」ともいわれる放送人だ。
 まず、阿武野に聞きたいのは、普通の地上波が扱わないような“危険な”テーマに踏み込んで、これまで圧力や規制、クレームなどを受けたことがなかったのか、ということだった。しかし、阿武野はこんな拍子抜けするような返事をする。

   「いや、私たちがやっていることは、ど真ん中の仕事。キワモノでも
    なければ、トンガっているわけでもなくて、ドキュメンタリーの真ん中
    当たり前のことを当たり前にやっているという認識しかないので。
    クレームなんかもそんなにこないですよ。むしろテレビを観てくれた
    みなさんからは『よく撮って、知らせてくれた』というお褒めの声のほうが
    多いくらい」

 が、個別に聞いてみると、やはり局内外でのトラブルはないわけではない。たとえば、光市母子殺害事件を扱った『光と影』。この事件では、被害者遺族の訴えがメディアで盛んに取り上げられ、被告の元少年を「極刑にせよ」という世論が過熱彼を弁護する弁護団もまた「鬼畜」とバッシングを受けた。その「鬼畜弁護団」側にカメラを入れた『光と影』の制作中、阿武野は東海テレビの当時の社長と番組を挟んで、直接相対したという。

   「『光と影』は少々揉めましたね。制作が7、8割方進んでいるところで
    突然、先代の社長ですが、私を呼び出し『鬼畜を弁護する鬼畜弁護団
    それを番組にするお前は鬼畜だ!』『お前は狂ってる!』というような
    ことを言われましたね。社長に狂人扱いされるなんて中々ないですよね。
    でも、これは私が辞表出して済む話ではないんですよって。
    東海テレビの名前を出して、私たちは弁護団と取材をする、
    されるという関係になっている。その途中で社長の鶴の一声というか、
    圧力というか、で番組をやめるわけにはいかない
    『社長が制作を止めるんですよ、よろしいんですね? 相手は腕っこきの
    弁護団ですよ? 訴えられるのは、社長ですよ』とお話しましたね。
    当時の報道局長と編成局長も、どういう形であってもいいから番組に
    しようと言ってくれて、放送することが出来ましたね」

 キー局のフジテレビともいろいろあったようだ。もともとフジテレビ系列では、地方局制作のドキュメンタリーが全国ネットで放送される機会はほとんどない。例外は「FNSドキュメンタリー大賞」に応募し、ノミネート作として深夜に放送されるぐらいだ。いわば地方局にとって唯一、全国の視聴者を獲得できる“出口”。しかし、阿武野たちは、数年前から「FNSドキュメンタリー大賞」についてはノミネート枠を、他の部署に譲った。なぜか。
 きっかけは、『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(2013)を巡っての、東海テレビ社内の対応とフジテレビからの放送謝絶だった。ドロップアウトした高校球児たちに「再び野球と勉強の場を」と謳うNPOを取材した本作には、金策に奔走する理事長が取材スタッフに土下座して借金を懇願したり、闇金にまで手をだすなど、かなり“危うい”場面がある。なかでも作中で監督が球児にビンタを連発するシーンは、名古屋での放送時に物議を醸した。フジテレビはこの番組について放送しない決定をした。

   「終わったことですし、話すと長くなるんですけど(笑)。まあ、
    あのビンタのシーンでもめたんですよ。フジテレビは番組考査にかける、
    という話しになった。ようは、番組を事前にチェックしてウチで
    放送できるかどうか検討します、というわけですね。でも、これまで
    そういうことはしてこなかったはずですし、各局で放送した内容を
    そのまま放送するのが前提だったはず。何でそうなったのか説明もなく、
    これからどうするかも伝えられず、その対応が理解できなかった。
    信頼関係が崩れたと思いましたね。だから、私たちはこの仕組みには
    乗れないと。喧嘩した訳ではなく、番組、ドキュメンタリー、
    放送についての考え方が違う以上、仕方がない、
    ご遠慮申し上げることにしたんですね」

 こうした姿勢は時として、暴走に映ることもある。たとえば『平成ジレンマ』は“体罰の代名詞”と化している戸塚ヨットスクールの今に密着した作品だが、激しい批判が起きた。本サイトから見ても、体罰肯定論の宣伝につながるような危うさを感じざるをえなかった。
 しかし、阿武野はこうした批判も、ドキュメンタリーには付きものだと思っている。それは彼が求めているものが、右か左か、正義か悪かという二元論的な価値観を超えたもっと深いところにあるからだろう。その深い場所に光をあてるためならば、ときに世間の流れの逆側に立って物事を切り取ることもいとわないそういう覚悟に裏打ちされているような気がする。

   「ありがちなドキュメンタリーは、誰も求めていないと思うんです。
    決まり切った美談のようなものを求めているという風に制作者が
    思っているとしたら、大きな勘違い。そんな時代じゃないよって
    思うんです」

   「今、みんなどうやってリスクを回避するかにとても繊細ですよね。
    そういう教育を受けているから仕方がないと思います。でも、
    私たちのところには、リスクだらけのところに突っ込んでいって
    何かとんでもないドブの中から宝物を引っ張りだすぐらいの力を
    持っている人間が、いるんです」

 たしかに、この姿勢がなければ、この息苦しいテレビの世界で、あんな作品をつくり続けるのは不可能だろう
 しかし、同時に彼は、ただ猛進するだけでもない。たとえば、物議をかもすような題材を扱うにあたり、阿武野は必ずクレームを担当する部署に、事前に想定される問答集をつくって手渡しているという。また、作品についても、たんに撮ったものをすべて出すということではなく、ギリギリのところでバランスをとっているようだ。
 戦後70年にあたる昨年、8月、東海テレビは『戦後70年 樹木希林 ドキュメンタリーの旅』という全6回のシリーズを行った。これは、女優・樹木希林が番組に関連する場所や人を旅し、更に、毎回ゲストを訪ね、過去に全国の地方局が制作してきた戦争の記憶を紡ぐドキュメンタリーについて語り合うという内容だ。
 今、開催されている特集上映「東海テレビドキュメンタリーの世界」にも、このシリーズから同局制作の『村と戦争』(第4回)と『いくさのかけら』(第5回/2005)が組み込まれているが、第1回であった『父の国 母の国』(関西テレビ制作/2009)では、ゲストに笑福亭鶴瓶が登場し、政治についてきちっとした主張をした。当時、国会での強行成立が間近に迫っていた新安全保障関連法そして安倍政権による憲法9条の空文化に対して、こう強い言葉で批判した。

   「いま、法律を変えようとしているあの法律もそうでしょうけど、
    それも含めて、いまの政府がああいう方向に行ってしまうっていうね、
    これ、止めないと絶対いけないでしょうね」

   「こんだけね、憲法をね、変えようとしていることに、違憲や言うてる人が
    こんなに多いのにもかかわらず、お前なにをしとんねんっていう」

 この鶴瓶の痛烈な安保・安倍批判は、スポーツ紙などにも取り上げられ、大きな反響を呼んだ。テレビ地上波で、それも人気商売の芸能人がここまで踏み込んだ政治的発言をするのは、昨今、異例中の異例と言っていい。プロデューサーとして同シリーズを統括した阿武野は、反響は織り込み済みだったのかという質問に対し、静かに頷く。だが実は、その編集には細心の注意が払われていた。

   「放送前に、鶴瓶さんのプロダクションの社長と話をしました。
    そのままでいいですというのが姿勢でした。ここまで大きく育てて
    くれたのは落語であり、テレビの世界でしっかり根を張ることもできた。
    社会にお返ししなくちゃという根底を鶴瓶さんは持っていらっしゃる。
    その上での発言だったんです。しかし、個人を激しく批判している
    ようなところは割愛したんです。ダマってやってしまえばそれは
    芸能人の、命をとる可能性がある。だから取材対象は
    しっかり守るという原則は堅持したんです。収録の場で鶴瓶さんは
    “全部使ってくれええで”って言って帰りましたけど、全部託してくれた
    という信頼感に、私たちがどうお返えしするか、丸めるだけでもなく、
    そのままが最高という単純なものでもなく、つまり、大胆であり、
    なおかつ繊細でないといけないんです、この仕事は」

 影の部分に光をあてる。ただ、それを誠実に為すことが、どれだけ困難か。しかし、それでも阿武野たちはあきらめずにそのための方法を模索し続けている。

   「いま、ドキュメンタリーを観るひとは決して多くない。視聴率はとれない。
    スポンサーが付きにくい。しかも問題は起こりやすい(笑)。
    他局の人間と話すと『東海テレビのようにはウチはできません』
    なんてよく聞きますよ。でも、組織や上司や他人のせいにして
    『できませんと言った瞬間に、もうやれなくなるんです
    自分で自分にダメ出ししているんじゃないですか?」

 注目を集めている映画公開も、テレビドキュメンタリーが直面する困難を克服するために始めたものだった。

   「映画化を始めたのは2011年です。単館を繋ぐ形だから収容できる
    お客さんの数は、大層なものじゃないけど、実際に観ている人の
    息遣いを感じられて、何よりスタッフが生き返った。それに、
    映画なら制作年を打つことで繰り返し放送することもできます。
    希望しても叶えることのできない全国ネットへのこだわりがなくなった
    のも、映画で公開しているから、ということが大きかった」

 映画を観た人がテレビに帰ってきてくれる、そんな構図もあるのではないかと阿武野は言う。だからDVD化も今のところするつもりはないという。
 2017年1月2日には、その映画化第10作にあたる『人生フルーツ』(監督・伏原健之)が公開する。これに先立ち、10月29日(土)から11月18日(金)までの期間、東京・ポレポレ東中野で「東海テレビドキュメンタリーの世界」と題して、劇場初公開を含む全22作品の特集上映が開催される(公式サイト)。
 こうした作品は、自主規制や制約、あるいは上司の一言にとらわれ、がんじがらめになっているマスコミ関係者にこそぜひ観てもらいたい。

(インタビュー・構成 編集部)


■特集上映「東海テレビドキュメンタリーの世界」
10月29日(土)〜11月18日(金)まで、東京・ポレポレ東中野にて公開、ほか全国順次。各作品の上映スケジュールなど、詳しくは公式ホームページ(http://tokaidoc.com/)にて。また、書籍『ヤクザと憲法――「暴排条例」は何を守るのか』(東海テレビ取材班/岩波書店)も10月29日に発売。
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●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」…「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局

2016年11月03日 00時00分02秒 | Weblog


東京新聞の砂上麻子記者による記事【地方TV局からスクリーンへ ドキュメンタリーの魅力発信】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016103002000175.html)。

 《地方テレビ局のドキュメンタリー映画の先駆けとなったのが、東海テレビ…。11月3日には「ドキュメンタリーの現在」と題して、映画監督の森達也さんや東海テレビの阿武野勝彦さんによるシンポジウムも行われる。また12~18日には「標的の村」や「みんなの学校」など東海テレビ以外の地方局によるドキュメンタリー映画も特集上映…阿武野勝彦プロデューサー(57)に番組を映画化する意義について聞いた》。

 優れたドキュメンタリーが、東海テレビ琉球朝日放送南海放送といった地方のテレビ局で生み出され、そして映画化される。『死刑弁護人』や『標的の村』、『放射線を浴びたX年後』といった作品である。
 東海テレビ阿武野勝彦プロデューサーは《映画にすることで、作品は命を永らえることができる》、森達也さんは《テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない》、そして、木下昌明さん《隠された歴史を掘りおこす》と言う。

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
    「森達也さん『極私的メデェア論』第38回「視点が違えば世界は違う」
     …《フジテレビで一本のドキュメンタリー番組が放送された。タイトルは
     「光と影~光市母子殺害事件弁護団の300日」。…プロデューサーの
     名前は阿武野勝彦。そしてディレクターは斎藤潤一。…テレビ業界で
     煩悩し格闘している人は決して少なくない。…「鬼畜弁護士を被写体に
     するお前が鬼畜だ」と罵倒されたという。…非当事者である僕たちが、
     本当の意味で共有など出来るはずがない》」

   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』:
      バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
    「監督は、東海テレビの斎藤潤一さん。ディレクターは阿武野勝彦さん。
     ヒットすべき、多くの人に是非見てもらいたい映画ですが…
     難しいでしょうかね。死刑制度について考えを巡らせる良い機会になる
     と思うのですが…」
    《阿武野勝彦プロデューサーは映画にすることで、作品は命を永らえる
     ことができる」と話す。昨年、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長を取材した
     「平成ジレンマ」、四日市公害訴訟を取り上げた「青空どろぼう」を
     劇場公開、今回が第三弾。一年半で三本というのは制作者の
     強い思いだろう》

   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《事件発生当初から蓄積した圧倒的な記録と証言を再検証し、
     本作を作り上げたのは、『平成ジレンマ』『死刑弁護人』の
     齊藤潤一斎藤潤一)(脚本・監督)と阿武野勝彦(プロデューサー)。
     これは、東海テレビ放送の名物ドキュメンタリー「司法シリーズ」を
     手掛ける二人が、カメラが入ることが許されない独房の死刑囚を
     描き出す野心作である》
    《wataitakeharu 東海テレビの司法ドキュメンタリーの中でも、
     名張毒ぶどう酒シリーズは、どれも秀作だが、今回の『約束』
     (2月16日から劇場公開)はその中でも最高傑作だった。 
     http://t.co/75pUkmi9 恐るべし東海テレビの執念、そして、
     別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”!02/10 05:22》

   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・
        映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
    《木下昌明の映画の部屋・第166回 ●三上智恵監督『標的の村
     「オスプレイ」反対運動の真実――本土には伝えられない「沖縄」》
    《作品は三上が一人で取り組んだものではなく、沖縄の琉球朝日放送
     というローカル局が、三上を中心とした報道スタッフを編成、テレビの
     枠を超えて映画として仕上げた。 最近、この種のドキュメントが目につく
     愛知・東海テレビ放送の『青空どろぼう』、愛媛・南海放送
     『放射線を浴びたX年後』など。その地域放送局ならではの豊富な
     映像資料を使い、過去から引きずっている事件に焦点をあてて、
     隠された歴史を掘りおこす

   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
    「「木下昌明の映画の部屋」(http://www.labornetjp.org/Column/)より、
     齊藤潤一監督『死刑弁護人』の映画評。安田好弘弁護士についての映画」

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
    《▼その生涯を描いた東海テレビ製作の映画『約束』で、仲代達矢さん
     演じる死刑囚は、拘置所の屋上の運動場で叫ぶ。「死んでたまるか、
     生きてやる」。それは無実を信じ続けた家族の心の叫びでもある
     ▼母タツノさんは、貧しい暮らしに耐えながら面会に通い、
     手紙で励まし続けた。「してない事はしたというな。
     しんでもしないというてけ」「ほしいものがあれば母ははだかになっても
     かってやるから手紙でおしえてくれ」》

   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい
    《映画「ふたりの死刑囚」(東海テレビ放送製作、ポレポレ東中野など
     1月16日公開)は、冤罪を訴える2人の死刑囚と家族の半生を
     追ったドキュメンタリー…「袴田事件」の袴田巌死刑囚(79)…
     「名張毒ぶどう酒事件」の犯人とされ、10月に獄中死した
     奥西勝死刑囚(享年89)》
    《仲代達矢(83)主演で奥西死刑囚の生涯を描いた映画「約束」を
     手掛けた東海テレビの齊藤潤一報道部長(48)がプロデュースし、
     後輩で警察や司法を担当した鎌田麗香記者(30)が監督を務めた》

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016103002000175.html

【放送芸能】
地方TV局からスクリーンへ ドキュメンタリーの魅力発信
2016年10月30日 朝刊

 地方テレビ局が製作したドキュメンタリー映画の上映が相次いでいる。フェイスブックやツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)や口コミで評判が広がり、全国的なヒットにつながる作品も出ている。ドキュメンタリー番組に割り当てられる全国放送の枠が減る中、地方局は自局制作の番組を劇場版に再編。映画館で上映することで新たな観客を掘り起こそうとしている。 (砂上麻子)


 「見たい人に届けるにはどうしたらいいのか。浮かんだのが映画だった」。映画「みんなの学校」の監督を務めた関西テレビ(大阪市)ディレクターの真鍋俊永さん(47)は語る。

 普通の子どもと障害がある子どもが同じ教室で学ぶ大阪市立大空小学校の一年間に密着し、二〇一三年五月に放送された。その後、フジテレビ系列局による「FNSドキュメンタリー大賞」にノミネートされ、全国で深夜に放送。文化庁芸術祭大賞を受賞した後はNHKのBSプレミアムでも放送された。

 映画化に当たって、四十七分の番組に未使用の場面も追加、百六分に再編し、一五年に劇場公開した。

 これまで約三万三千人の観客を動員、現在も全国で自主上映会が続いている。真鍋さんは「テレビは放送して終わりだが、映画になって作品の寿命が長くなりうれしい」と話す。

 地方テレビ局のドキュメンタリー映画の先駆けとなったのが、東海テレビ(名古屋市)が一〇年に製作した「平成ジレンマ」。一九八〇年代に体罰事件で社会問題になった戸塚ヨットスクールの“その後”を取り上げた。同作が話題となり、同局はさらに八番組を映画化。他局も追随し、米軍基地をテーマにした琉球朝日放送の「標的の村」などが全国公開された。

 今年は「ヤクザと憲法」(東海テレビ)、「ふたりの桃源郷」(山口放送)、「五島のトラさん」(テレビ長崎)と公開が続く。「ヤクザと-」は観客動員が四万人に上り、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットを記録した。これらの作品を公開した映画館「ポレポレ東中野」(東京都中野区)の大槻貴宏支配人(49)は「地方の課題や生活を長期的な視点で取材するのは地方局の役割。各局が競っていい作品を送り出してほしい」と期待を寄せる。


◆東中野で特集上映

 ポレポレ東中野で、東海テレビが制作したドキュメンタリー番組の特集上映「東海テレビドキュメンタリーの世界」が11月18日まで行われている。

 独房から無実を訴え続けた奥西勝死刑囚を俳優仲代達矢が演じた「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」や、暴力団員の人権を問う「ヤクザと憲法」、来年1月から全国順次公開する最新作「人生フルーツ」など劇場版の10作品と、テレビ放送した12作品を上映する。

 11月3日には「ドキュメンタリーの現在」と題して、映画監督の森達也さんや東海テレビの阿武野勝彦さんによるシンポジウムも行われる。また12~18日には「標的の村」や「みんなの学校」など東海テレビ以外の地方局によるドキュメンタリー映画も特集上映される。

 問い合わせはポレポレ東中野=(電)03(3371)0088=へ。


◆観客の反応がいい刺激に

 東海テレビ・阿武野勝彦プロデューサー

 東海テレビで数多くのドキュメンタリー番組を手がけ、映画化にも携わってきた阿武野勝彦プロデューサー(57)に番組を映画化する意義について聞いた。

 -ドキュメンタリー番組を映画化しようと思ったきっかけは。

 テレビで放送する時間が減り、放送できても深夜など見る人が限られている。地方でじっくり作っても、全国ネットでは視聴率が取れない、賛否が分かれるなどの理由で放送しにくくなっている。いくら良い番組を作っても、情報発信が地方で留まってしまう状況を変えたかった。


 -映画化の手応えは。

 テレビでは視聴者の様子まで分からないが、映画は観客の反応を間近に感じることができ、テレビのスタッフにもいい刺激になる。

 -ドキュメンタリー番組は一年間に何本制作しているのか。

 東海テレビでは年間七~八本制作し、土日に不定期で放送している。最近、ドキュメンタリーの番組を撮っているスタッフが映画化を期待しているが、必ず映画化するわけではない。


 -映画にする番組はどうやって選ぶのか。

 取材した題材を二時間ほどに編集した第一稿を見た段階で「全国の人に見てもらいたい」と思った瞬間に映画にすると決める。番組制作費で映画化する費用はまかなうようにしている。ただ宣伝費は一本五百万ほどかかり、もうかる事業ではない。


 -映画化に期待することは。

 「ヤクザと憲法」を作ったが、昔なら「ヤクザ」は放送できないと思ってしまっていた。知らないうちに思考停止になっていたが、何かを考えるようになった。停止している思考を回してみると、豊かな表現につながる映画化によってテレビにも豊かな世界を描く人がいると観客に気付いてもらえた。
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●元大阪〝ト〟知事は単なる目立ちたがり屋!? 「あざとい」・・・

2013年01月23日 00時00分08秒 | Weblog


gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/140536)および東京新聞社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013012202000133.html)。

 亡くなられた学生さん、遺族の方々には本当にお気の毒としか言いようがない。本当に報道されているような内容であれば、暴力教師に対する怒りしか湧いてこない。
 それでもやはり、元大阪〝ト〟知事言動や行動は異常だと思う。遺族がそれを望んでいるとは、私には、思えない。東京都教委http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%C5%D4%B6%B5%B0%D1)といい、大阪市教委といい、元〝ト〟知事の言いなり。教育や教育者を支える、学生を守る矜持もないようだ(『桜宮高の体育系2科、募集中止 体罰問題受け大阪市教委』(http://www.asahi.com/national/update/0121/OSK201301210026.html)、『後味悪い“政治決着” 桜宮高体育系2科募集中止』(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130122/dms1301221151011-n1.htm)、『橋下氏は真紀子氏そっくり!? 極論で注目集め改革進める共通点』(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130122/dms1301221143008-n1.htm))。「ドン引き」しているだけで、批判もできないのだから大阪、関西のマスコミもだらしない。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

 たかがハタウタに対する異常な反応も同様(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%C2%B4%B6%C8%BC%B0)。

 「単なる思いつきのレベル」「パフォーマンス」「体罰容認派」「強いリーダーを演出」「が透けて見える」、「政治的パフォーマンス」・・・・・・、正に。橋下元大阪〝ト〟知事に投票した人や支持者、喝さいを送る人たちの気が全く知れない。どちらが「大阪の恥」か?

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http://gendai.net/articles/view/syakai/140536

大阪市民も呆れた 橋下態度ヒョー変のあざとさ
2013年1月18日掲載

全教員を異動させろ!

かつては体罰容認だったくせに
 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の主将(17)が顧問の教諭から体罰を受けて自殺した問題で、橋下徹市長が連日、高圧的な発言をしている。

 問題発覚直後の1月10日の会見では「限度を超えた指導が常態化していた。最悪の学校だ」とボロクソに批判。15日は「こんな状況で募集を続けるとなれば、大阪の恥だ」と1カ月後に控えた体育系学科の入試中止を市教委に求めた。

 さらに16日には「再生には、これまでの伝統を全て断ち切らないといけない」と校長を含む全教員(44人)の異動まで迫ったのだ。

   「17日は『(教員が)13年度もいれば、人件費を払わない』とまで
    言い出しました。さすがにやりすぎで、記者たちもドン引きしています。
    教員総入れ替えは学校が混乱するだけだし、入試も今になって
    中止となれば、入学を目指していた中学生が被害を受ける。
    市に寄せられる意見も8割以上が『夢を潰さないで』『保護者や
    受験生に不安を与えないで欲しい』といった橋下批判です」
    (市政担当記者)

 17歳の高校生が自ら命を絶ったことは重大な問題だが、かつては体罰を容認する発言もしていた橋下が、なぜここまでムキになって乗り出しているのか

   「最近、安倍政権ばかりが注目されるので、焦りがあったのでしょう
    何かを利用して再び浮上しようと考えていたのではないか。
    本人は強いリーダーシップを発揮しているつもりでしょうが、
    『全教員異動』も『入試中止』も単なる思いつきのレベル
    市長直轄のチームが調査をしているのに、結果を待たずに
    発言するのはパフォーマンスと批判されても仕方がない。
    それに、日本維新の会の共同代表の石原慎太郎氏は体罰容認派
    戸塚ヨットスクールを支援する会の会長でもある。党としての整合性は
    どう取るつもりなのでしょうか」(ジャーナリストの斎藤貴男氏)

 強いリーダーを演出したいのだろうが、底が透けて見えるから信用ならないのだ。 ================================================================================

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013012202000133.html

【社説】
桜宮高入試問題 子どもの夢が奪われる
2013年1月22日

 体罰問題が持ち上がった大阪市立桜宮高校の体育系学科の募集が中止された。橋下徹市長の要請に市教育委員会が折れた形だ。大人の一方的な理屈で落ち度のない子どもの夢が奪われるのは残念だ。
 体罰を受けて自殺したバスケットボール部主将の問題が子どもを苦しめる方向へと転がっている。市教委が二月に予定していた桜宮高の体育科とスポーツ健康科学科の入試を取りやめた。
 全教員を異動させ、体罰を容認する伝統や校風を断ち切り、生まれ変わらせる。市教委が入試の中止を拒否するなら予算を出さない橋下氏のそんな強硬姿勢が異論を封じ込めた
 入試本番を目前に進路の変更を強いられては、受験生の夢がついえてしまわないか。将来のスポーツ選手や指導者を目指して積み重ねてきた努力が水泡に帰してしまわないか。強く懸念される。
 自らの実力ではなく、いわば大人の論理で未来への門戸が閉ざされたのだ。教育行政への不信感が募りかねない。
 在校生は「人生の一部である新入生の受験の機会を奪ってほしくない」と訴えた。橋下氏も市教委も、子どもや保護者の声をもっと真摯(しんし)に受け止めるべきだった
 確かに、問題の背景に浮かんだ市教委や学校の閉鎖的で事なかれ主義の体質は看過できない。バスケ部を強豪チームに導いた実績を理由に周りが顧問の体罰を黙認した。市の公益通報窓口に寄せられた体罰情報を事実上放置した。
 だからこそ橋下氏は弁護士らの外部監察チームをつくり、市教委と共に徹底調査に乗り出したはずだ。優先すべきは入試の中止ではなく、実態を調べて勝利至上主義の風潮を改め、責任を明確にして再発防止につなげることだ。
 それがバスケを愛しながら自殺に追い込まれた男子生徒の思いに報いることになると考える。体罰の真相さえ判然としないのに、罪のない受験生や在校生に負担を与えるやり方は理解できない
 桜宮高では体罰が発覚したバスケ部やバレーボール部だけではなく、文科系を含めてすべての部活動を自粛している。子どもへのしわ寄せが大きすぎる。
 市教委は体育系学科の定員百二十人分を普通科として募集し、試験科目は従来の体育系学科と同じにするという。入学後の子どもの意欲を低下させないよう配慮してほしい。政治的パフォーマンスが感じられる橋下氏に対し、市教委は見識を示せなかったのか。
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●ドキュメンタリー『死刑弁護人』: バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん

2012年06月26日 00時00分34秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2012062202000122.html)。『週刊金曜日』の記事の一部(http://www.kinyobi.co.jp/backnum/tokushu/tokushu_kiji.php?no=2514)。最後に映画『死刑弁護人』WP(http://shikeibengonin.jp/)の予告編(http://shikeibengonin.jp/tra.html)を勝手に貼らせてもらいました。

 全く知りませんでした。安田好弘さんについて『死刑弁護人』という映画が出来たそうです。

   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(1/4)
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(2/4)
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(3/4)
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(4/4)
   『●『特捜検察の闇』読了(1/3)
   『●『だまされることの責任』読了(1/3)

監督は、東海テレビの斎藤潤一さん。ディレクターは阿武野勝彦さん。ヒットすべき、多くの人に是非見てもらいたい映画ですが・・・・・・難しいでしょうかね。死刑制度について考えを巡らせる良い機会になると思うのですが・・・・・・。
 『週刊金曜日』創刊900号(http://www.kinyobi.co.jp/news/wp-content/uploads/2012/06/120622-003trim.pdf)の表紙は安田さん。この映画について、安田さんに対する森達也さんのインタビュー記事。メディアに対する距離感や、結果として死刑存置を思いとは逆に後押ししてしまったという意識など、いろいろ考えさせられるインタビュー。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2012062202000122.html

秀作ドキュメント劇場公開 東海テレビ「死刑弁護人」
2012年6月22日 朝刊

 テレビで放送された優れたドキュメンタリー番組が、東京都内の映画館で相次いで上映されている。ドキュメンタリーは内容が高く評価されても、放送が深夜帯だったり、全国ネットではなかったりということが多い。劇場公開で、テレビでは見られなかった人にも作品に触れるチャンスが広がっている。 (宮崎美紀子)

 劇場公開にいち早く取り組んできたのは、東海テレビ(名古屋市、フジテレビ系)。「死刑弁護人」を、三十日から東京・ポレポレ東中野で上映する。
 オウム真理教事件和歌山毒カレー事件光市母子殺害事件など、死刑事件の担当で知られる安田好弘弁護士を追った作品だ。東海地方では昨年十月に放送され、文化庁芸術祭優秀賞を受賞するなど注目されたが、首都圏では未放送だった。
 監督は斉藤潤一ディレクター。「裁判長のお弁当」「光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~」など、司法をテーマに制作してきた。「光と影~」の取材で、信念を曲げない安田弁護士の生き方に興味を持ったのが今回のきっかけだ。
 作品は、世間からバッシングを受ける安田さんに深く入り込んでいる。「カメラ嫌いの人なので、懐に飛び込もうと思った。取材の後は必ず一緒に食事に行った。本来なら一歩引くべきかもしれないが、密着しないと撮れなかった」と斉藤さん。事件を取材し、放送して終わり、ではなく「なぜ起きたのか、何が原因なのかを一つずつ拾い上げていくのがドキュメンタリー」と語る。「映画館でのお客さんの反応が、次の作品の糧になる」
 阿武野勝彦プロデューサーは「映画にすることで、作品は命を永らえることができる」と話す。
 昨年、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長を取材した「平成ジレンマ」、四日市公害訴訟を取り上げた「青空どろぼう」を劇場公開、今回が第三弾。一年半で三本というのは制作者の強い思いだろう。

    ■ ■ ■ 

 地方のドキュメンタリー制作者の熱い思いは、東京の大手民放局へも波及している。
 十六日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町で公開中の「劇場版 ライバル伝説~光と影~」は、TBSの二つのスポーツドキュメンタリーをもとに、未公開映像を加えて再編集した。同局がドキュメンタリー番組を劇場公開するのは初めて。座席数約六十のミニシアターだが、満員の回が出るなど好調な滑り出しだ。
 テレビ版では分かりやすさのために再現ドラマや冒頭のあおり映像が入っていたが、劇場版では削られ、印象が異なる。
 「東海テレビの試みに大きな影響を受けた」という菊野浩樹プロデューサーは「劇場でチケットを買ってもらったのを見ただけで感動した」と話す。
 今年二月、東京・オーディトリウム渋谷がRKB毎日放送(福岡市、TBS系)の故木村栄文ディレクターの特集上映を行った。好評のため、二十四日から再上映となった。

    ■ ■ ■ 

 東海テレビの三本と木村栄文さんの特集上映を配給した「東風」の木下繁貴代表は「ドキュメンタリーは、この五年ほどで劇場で頻繁に上映されるようになった」と話す。
 小規模な劇映画がヒットしにくくなったのに対し、一定数の動員が見込めるため、ミニシアターが興味を示しているという。
 木下さんは「若い人もドキュメンタリーに目を向けている。もうかるかというと、リスクもあるが、こういう試みが今後一般的になっていくのでは」と話している。
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http://www.kinyobi.co.jp/backnum/tokushu/tokushu_kiji.php?no=2514

2012年6月22日 900号 特集記事

死刑弁護人 安田好弘

この国の刑事司法の矛盾を体現している弁護士がいる。安田好弘さん(六四歳)だ。
彼ほど、事実に徹底的にこだわり、被疑者・被告に寄り添う弁護士は少ない
そのため、困難な刑事事件が集中し、「あんな悪者を弁護するのか」と、新聞やテレビに叩かれ続けている
安田さんを主人公にした映画『死刑弁護人』が公開されるのを機に、刑事弁護とはなにかをあらためて考える。

●「赦すという前提があれば死刑囚の意識は変わる」
 聞き手 森達也

法廷は民意に
大きく影響され、
民意はメディアに
影響されている――森

死刑廃止派は
鬼畜だとのイメージを
多くの人が
持ってしまった――安田

◆齊藤潤一監督に聞く
「死刑について考えるきっかけに」

悪魔の弁護士と呼ばれてもなお、安田好弘氏は死刑弁護を引き受け続ける、その理由は――。安田弁護士に密着したドキュメンタリー映画『死刑弁護人』が6月30日より公開される。映画の見所を齊藤監督に聞いた。

国策捜査
 死刑判決が確定した光市母子殺害事件の元少年  
 弁護団への猛烈な批判と変更された死刑基準
 青木理

●冤罪阻止の最後の砦
 刑事弁護人が抱える困難
 北方 農夫人

死刑や無期判決が予想される重大事件ほど弁護士の労力負担は大きく、
弁護費用が持ち出しになる場合も多い。安田好弘弁護士に重大事件が
集中する背景には、この国の刑事司法の歪みがある。
・・・・・・。
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http://shikeibengonin.jp/tra.html
   ・・・・・・ブログ主: すいません映像を勝手に貼らせてもらいました

『死刑弁護人』劇場予告編

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●『創(2011年3月号)』読了

2011年08月05日 00時14分10秒 | Weblog


『創』(2011年3月号)、2月に読了。

 いつもながらの石原慎太郎都知事のご発言。news eye(pp.70-71)。「今どき珍しいレベルの差別発言/石原都知事のゲイ差別発言にマツコ・デラックスが反論」。「・・・この人のこういう発言がなぜ放置されたままなのか不思議でしかたない。条例改正をめぐるマンガ家に対する蔑視発言もひどかったが、ゲイ差別発言も相当なものだ」。「同性愛を遺伝のせいとし、「どこか足りない」って、これは差別反対運動が盛んな頃なら抗議殺到の発言である」。「・・・表現者と思えないお粗末さで、議論を広げようもない。・・・中村うさぎがこう書いている。/《たぶん、心があり得ないほど鈍磨しているうえに、他人の言葉を理解する論理的思考もできないんだと思う。要するに、ボケジジイよ。/ああいうジジイには、何を言っても無駄。言葉が通じないんだもの》」。

 これもnews eye(pp.72-73)。渡部真氏「いま総務省会見で何が起きているのか!?/会見めぐりフリーランスと総務省記者クラブが対立」。畠山理仁さんらフリーランス記者の記者会見解放運動。
 news eye(pp.74-75)。優れたドキュメンタリー番組「光と影 ~光市母子殺害事件 弁護団の300日」の斎藤潤一さんと武野勝彦さんが、私には理解不能であるが、戸塚ヨットスクールに関するドキュメンタリーを作ったらしい。
 佐高信さん、「ニッポン文化低国を撃つ!/筆刀両断!/浅薄な歴史観と情けなさ 菅直人&市川房枝」(pp.76-77)。「ここで菅は明らかに「除名」をする社会党を批判しているが、いま菅が小沢一郎にやろうとしていることは、それ以上の無理筋である」。

 鈴木邦男さん、「言論の覚悟/表現者の告発」(pp.78-81)。これまた私は理解できないが、「・・・今年は若松孝二監督が三島由紀夫の映画を撮る。・・・。/・・・でも若松監督は右も左も超えている」。

 篠田博之さん「ジャーナリスト黒木昭雄を自殺に追いやったものは何か」(pp.90-98)。

 長岡義幸さん「東京国際アニメフェアをめぐる攻防戦/まだ終わっていないぞ! 都条例改定問題のその後」(pp。108-115)。作家センセが聞いてあきれる、例の「非実在青少年」問題。東京国際アニメフェアに不参加のマンガ家や出版社に向かって、石原センセは「吠え面かくのは向こうだ」とのたまったとか。でも、大赤字の見込みとなり、吠え面と大恥をかいたのは都知事の方でしたとさっ

 少し誤解もあったかな? ネット上の情報によると、無駄使い体質など阿久根市政そのものにも大問題があった模様。そうでなければ、(関わり方は他の方法があったとは思いますが)仙波敏郎さん大河原宗平さんが係りを持つはずがない。
 今西憲之さん「落選会見でもマスコミ批判/阿久根市・竹原前市長とマスコミとの激烈攻防戦」(pp.122-129)。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第20回 スポーツなんて知らない!」(pp.130-137)。今月のベストなお言葉、「 ・・・AKB・・・。/矢崎 どう、オタクのアイドルは?/ ひとことで言えば、ひどい(笑)。やっぱり素人だよね。なんで、あんな子たちががお金を取れるのか、不思議でならない。・・・。/矢崎 身体も出来ていない、踊りもなってない。歌がうまいってわけでもない。/ 要するに「かわいい」でまとめちゃう。「すばらしい」とか「すごい」っていう賛辞じゃないんだよね」。読書の楽しみには共感。「矢崎 ・・・最近は電子書籍が騒がれているけど、あんなのは最低だと思うよ。あたかも出版界の救世主のように言われるのは大間違い。出版社は自滅する可能性もあるし、読む側にしても、あんなので読書の楽しさが満たされるなんてオレは思わないね」。

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