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●映画タイトルは、稲嶺進さんが「我々は、また命を救う《風かたか》になれなかった」という嘆きの言葉」から

2017年01月27日 00時00分03秒 | Weblog


『憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。/マガジン9』(http://www.magazine9.jp/)の西村リユ氏によるコラム【今週の「マガジン9」vol.584/「標的の島」に暮らすのは誰か】(http://www.magazine9.jp/tips/thisweek/31913/)。

 《三上智恵監督の新作映画『標的の島 風かたか』の試写に行ってきました。前作の『戦場ぬ止み』から2年近く。その2年の沖縄の状況が、あますことなく描かれた映画》。

   『●「どうぞ米軍は撤退してください」:散々「思いやら」されて、
                   そしてまたしても「肝苦(ちむぐり)さ」…
   『●「落とした魂(マブイ)」を探しに、なんて悲し過ぎる…
             「選択肢は一つしかない。沖縄から去ることだ」
   『●遺族の願いとはほど遠い現実…
     「沖縄に米軍基地があるゆえに起こる。一日でも早い基地の撤去を…」

 《稲嶺進・名護市長が口にした我々は、また命を救う風かたかになれなかったという嘆きの言葉から》映画のタイトルは採られたそうだ。《沖縄のことばで「風よけ」のこと》だそうです。
 番犬様には何も言えないアベ様ら。一方で、番犬様にシッポを振るために沖縄でやっていることは、「沖縄イジメ」そのもの。

   『●斎藤貴男さん「人権を否定することに喜びを感じている
          変質者集団」…「人権の砦」のはずが最「低」裁…
   『●アベ様の頭上は、なぜ「空飛ぶ棺桶」 
       「ウイドーメーカー」の飛行ルートに入っていないのか?
   『●沖縄基地負担軽減の実相=「オスプレイがヘリパッドを
               利用することを念頭」にした基地の固定化
   『●最「低」裁による辺野古破壊訴訟のデタラメ: 
      「国と地方は対等という地方自治の精神を踏みにじる判断」
   『●沖縄イジメ: アベ様…「大学時代の恩師は
      二つのムチ(無知、無恥)を挙げ「彼は歴史を知らない」」
   『●「沖縄戦20万余の犠牲者、焼き場に立つ長崎の少年」や
              アジアでの慰霊につなげる意思が感じられない…
   『●歴史学者らの公開質問状に、「侵略の定義は 
       国際的にも定まっていない」というアベ様はどう応えるのか?
   『●柴田鉄治さん「キナ臭さが一段と増した年」、
      マスコミから失われる「ジャーナリズムの義務」…な1年
   『●「菅官房長官は徹底抗戦の姿勢を崩さない翁長知事を
         念頭に、「わが国は法治国家だ」と牽制」だって!?

   『●新作『標的の島~風かたか~』の監督・三上智恵さん、
          「あなたが穴をあけた森はもう元には戻らない」!

 一方、同じくマガ9のコラム【三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記/第63回 自衛隊配備を問う! 宮古島の市長選挙】(http://www.magazine9.jp/article/mikami/31911/)によると、《今週末、日本の南の端っこの小さな島で、とてつもなく大切な選挙があるのだが、その重大さに気付いている人がどれだけこの国にいるのだろうか…2年前、唐突に防衛省が宮古島石垣島にそれぞれ800人、600人規模の自衛隊ミサイル部隊を配置すると発表してから、二つの島は揺れに揺れてきた。…新作映画『標的の島~風かたか~』は辺野古と高江の続報が半分で、あと半分は宮古島と石垣島の話なのだが、その宮古編の主人公は「てぃだぬふぁ 島の子の平和なみらいをつくる会」のお母さんたちだ。彼女たちは小さな子を抱えながら必死に自衛隊配備反対を訴えて活動をしてきたのだが、市長選挙の混迷を見るに見かねて、落選覚悟で市長選に打って出ようかという猛者の発言も飛び出したほど、この市長選挙を重視していた。しかし自衛隊断固反対の候補が出たため、これを歓迎。それならば、自衛隊反対の議員が圧倒的に少ない市議会から新しい市長を支えるべく、同日行われる補欠選挙への立候補を決めたのだった》。
 沖縄戦の悲劇を無視し、自衛隊配備で「住民分断。アベ様らのやることときたら、呆れるばかりだ。

   『●中学生を「青田買い」する自衛隊: 
     「体験入隊や防衛・防災講話」という「総合的な学習の時間」も
   『●自衛隊配備で「住民分断」: 
     「自衛隊の配備計画…いずれの島でも人々は分断されている」
    「東京新聞の半田滋さんによるコラム【【私説・論説室から】
     島を分断する自衛隊配備】…。《「賛成派が新たな職を得て
     優遇される一方、反対した人は干され、島を出ている」という。
     …自衛隊の配備計画は与那国に続き、奄美大島、宮古島、
     石垣島でも急速に進む。いずれの島でも人々は分断されている》」

   『●「しかし、沖縄にはいまだ“戦後”は 
     一度たりとも訪れていない」…安倍昭恵氏には理解できたのだろうか?
   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」

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http://www.magazine9.jp/tips/thisweek/31913/

今週の「マガジン9」
vol.584
「標的の島」に暮らすのは誰か

 三上智恵監督の新作映画『標的の島 風かたか』の試写に行ってきました。前作の『戦場ぬ止み』から2年近く。その2年の沖縄の状況が、あますことなく描かれた映画でした。

 タイトルの「風かたか」とは、三上さんも以前にコラムで書かれていますが、沖縄のことばで「風よけ」のこと。2016年6月、元米軍属による女性暴行殺人事件が起こった後、被害者を追悼する県民大会で稲嶺進・名護市長が口にした我々は、また命を救う風かたかになれなかったという嘆きの言葉から取られています。

 もちろん、この事件だけではありません。前作でも描かれた辺野古高江での新基地建設反対の闘い、宮古八重山先島諸島で新たに進む「軍事要塞化、そしてかつての沖縄戦の凄惨な記憶…。そこに描き出されるのは、「本土」によって幾度となく踏みにじられ、犠牲にされてきた沖縄の姿です。「風かたか」になれなかったのは(むしろ、ときに風を起こすほうに荷担さえしてきたのは「本土」に暮らす私たちでもあるのだと、改めて思い知らされた気がしました。

 選挙で明らかな民意が示されたはずの翌日にさえ、その結果を裏切る基地建設工事が、堂々と再開される。やむにやまれぬ思いで路上に座り込んだ人々は、全国から集まった機動隊員によって、次々と排除され、何事もなかったかのように事態は「粛々と」進行していく。これが本当に法治国家で、民主主義の国で起こっていることなのか。その思いが、何度も口をついて出そうになりました。

 もしかしたら現政権は、沖縄だけではなく全国で、これと同じようなことをやりたいのではないか。さらにそんな思いが頭をよぎったのは、何度も危険性が指摘されてきた「共謀罪」が、またしても国会に提出されるかもしれない、というニュースを読んでいたからかもしれません。秘密保護法や安保法制の強行採決繰り返されるメディアへの圧力を思えば、あながち絵空事ともいえない気がするのです。

 先島諸島の「軍事要塞化」は、日本を守るためではなく、日本列島と南西諸島を、中国を軍事的に封じ込めるための「防波堤」にしようとするアメリカの軍事戦略によるものだ、とも三上監督は映画の中で指摘しています。「標的の島」とは、決して沖縄だけを指すのではない。その意味でも、この日本列島に暮らす人すべてが、見るべき映画だと思います。公開は3月。ぜひ、周りの方に広げましょう。

 また、今週の三上監督のコラムでは、自衛隊基地建設計画が進む宮古島の市長選挙について書いていただいています。こちらも、ぜひ。

(西村リユ)
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●「腐臭を放つ「判決」」と臥薪嘗胆: 「銃剣とブルドーザー」から「自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長」へ

2016年09月23日 00時00分02秒 | Weblog


マガジン9』の三上智恵さんの記事『三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記/第60回 自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長~沖縄県、高裁で国に敗訴~』(http://www.magazine9.jp/article/mikami/30233/)。

   『●映画『標的の村』監督・三上智恵さん、
      「わずか9時間の歓喜 ~高江工事再開・民意圧殺の朝~」

 《沖縄県の敗訴は織り込み済みだった。そこには特段の感傷などない。判決を出した多見谷寿郎裁判長は、これまで9割がた体制寄りの判決を下してきた実力を買われ、あからさまな人事異動でこの裁判にあてられた人物だ》。

 「臥薪嘗胆」…《がしん-しょうたん【臥薪嘗胆】|〈―スル〉…将来の成功を期して苦労に耐えること。薪の上に寝て苦いきもをなめる意から。▽「臥」はふし寝る意。「薪」はたきぎ。「嘗」はなめること。「胆」は苦いきも。もとは敗戦の恥をすすぎ仇あだを討とうと、労苦を自身に課して苦労を重ねること》《中国春秋時代、呉王夫差ふさが、父の仇である越王勾践こうせんを討つために薪の上に寝て復讐心ふくしゅうしんをかきたて、長い艱難かんなんの末にこれを破った。一方、会稽かいけい山で夫差に敗れた勾践は、苦い胆を寝所に掛けておき、寝起きのたびにこれをなめてその恥を忘れまいとし、のちに夫差を滅ぼしたという故事から。「臥薪」「嘗胆」ともに越王勾践の故事とする説もある》(http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/idiom/%E8%87%A5%E8%96%AA%E5%98%97%E8%83%86/m0u/)。

 いまから、最「低」裁のコールが聞こえる。司法には何の期待も持てないでしょうね…。
 「銃剣とブルドーザー」ではなくて、いまや、番犬様のシモベとして「自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長」が辺野古や高江を破壊。恥ずかしげもなくヒラメ裁判長は《腐臭を放つ「判決」》を出したが、《臭くて苦いものを嘗めて覚悟を新たにする「臥薪嘗胆」を地でいくその姿に、沖縄の闘いの凄みを感じずにはいられなかった》。沖縄の市民の皆さんの「臥薪嘗胆」の気持ちの強さは証明済みであり、決して諦めない。辺野古破壊や高江破壊への「県側の徹底抗戦はこれからだ」し、「翁長知事は二の矢、三の矢で巻き返しを図るつもりだ」、と信じる。ニッポン全体の問題だというのに…「本土」の関心はまだまだ、そして野党議員の力は弱く、「本土」マスコミの関心の低さといったら…。ましてや、ムダ元首相らを幹事長に指名する野党第一党新党首は辺野古破壊支持ですので、酷いモノです。

   『●高江破壊の「異様…全国を見渡しても、
      いったい沖縄以外のどこにこのような光景があるのか」?
   『●金平茂紀さん、「No Justice No Peace.
      (正義のないところに平和は来ない)…高江には、ない」
   『●安田浩一さん「沖縄の新聞は本当に『偏向』」?
      …沖縄への「思い込みによる差別で、それを許す日本社会」
   『●「国民の信頼を傷付け」ているのは?
      …「米軍基地という面倒な施設は沖縄に…。そして日本本土は…」
   『●「理」も「正義」も無し…「自衛」のためどころか
      高江「破壊」のために自衛隊機が工事用重機を輸送
   『●「最低裁」のコールが聞こえる…沖縄負担軽減担当相らの
             「辺野古が唯一の解決策」をオウム返しでしょう…
   『●辺野古破壊への「県側の徹底抗戦はこれからだ…
       翁長知事は二の矢、三の矢で巻き返しを図るつもり」
   『●「戦争のためにカメラを回しません。
     戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●望月衣塑子東京新聞記者、議論無く「「欧米列強に倣え、進め」
                    と武器輸出推進の道に歩みを進めている」
   『●壊憲反対の不断の声を:
     「戦後の歴史の岐路かもしれません。不断の努力こそ求められます」

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http://www.magazine9.jp/article/mikami/30233/

2016年9月21日up
三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記
第60回 自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長~沖縄県、高裁で国に敗訴~

 沖縄県の敗訴は織り込み済みだった。そこには特段の感傷などない。

 判決を出した多見谷寿郎裁判長は、これまで9割がた体制寄りの判決を下してきた実力を買われあからさまな人事異動でこの裁判にあてられた人物だ。2013年の成田空港訴訟でも住民の訴えに耳も貸さずに、土地の明け渡しを命ずる行政寄りの判決を出している。安倍政権は、この誰もが認めるヒラメ裁判長」をあえて沖縄にぶつけてきたと、辺野古高江で座り込む人々は一人残らず知っている。いや県民も、みな知っているだろう。国が、辺野古埋め立てを取り消した沖縄県の違法性を主張した今回の裁判は、沖縄側の証人申請もすべて却下され、公判は2回で終了した。判決に淡い期待さえ抱きようがなかった

 しかし、だからといって、この国の三権分立が本当にハリボテであり、私たち国民の主権を守る機能などそもそもないのだという事実には、できれば向き合いたくなかった。人権を守る最後の砦はとっくに敵の手中にあること、だから司法に判断を求めることが、救済どころか弱者にさらなる圧をかける公開処刑の場にさえ変質してしまいかねないという国のシステムの劣化について「わかってましたよ」と冷静に受け止めるほどには鈍感でもない。

 野菜室の果物はもう腐っているだろうと知っていても、パックを手にとって無残な姿と異臭を確認するのは、誰だって勘弁して欲しい。でも、9月16日、裁判所の前に集まった1500人の県民は、あえて判決の瞬間を同じ空間で見届けることを選んだ。午後2時に裁判所の中で示された、腐臭を放つ「判決」という成果物を広場で広げ、みんなで確認し、顔をしかめながら向き合った。臭くて苦いものを嘗めて覚悟を新たにする「臥薪嘗胆」を地でいくその姿に、沖縄の闘いの凄みを感じずにはいられなかった

 判決はお粗末な内容だった。沖縄の弁護団や記者たちが「これでは国の訴状のコピペだ」と苦笑するしかない文章が並ぶ。特に沖縄の地理的優位性や海兵隊の運用といった軍事的なファクトで専門家の意見もわかれる内容について、今回の法廷では証人も採らず踏み込んだ議論もなかったはずが、なぜここまで断言できるのか首を傾げるしかない。

   「アメリカ海兵隊を沖縄以外に移せないとする国の判断は、
    戦後70年の経過や現在の情勢から見て合理性がある」

   「ほかに県内の移転先は見当たらない」

 国側の主張を100パーセントなぞった内容でしかなく、裁判官らの判断はどこから来たのか、根拠はどこにあるのか全く不明だ。国がほかの移転先を真剣に検証したのかどうか代替施設が必ず必要なのかどうか。様々な意見や資料に当たることなく導き出した判決は、裁判官個人の持論でしかなく客観性に欠ける。プロの書く判決ではない

 以下の部分も、なぜここまで踏み込んで、あえて国にお墨付きを与えたのか解せない。

   「普天間飛行場の辺野古移設は、県全体としては負担軽減になる

   「辺野古の基地建設に反対する民意には沿わないとしても、
    その他の基地負担軽減を求める民意に反するとはいえない

 普天間基地を返すのは、狭くて老朽化して使いにくい場所にあるからであって、「これを返すからあれをくれ」という取引は、米軍が駐留国で基地快適化・基地強化を図る際の常套手段である。現に高江のヘリパッド建設について米軍は「北部訓練場の使っていない部分を返して、老朽化したヘリパッドをリニューアルするもの」と本音を暴露している。もともと沖縄の負担軽減のためではないし、逆に基地の重圧は増えるのだ

 第一、ここに住んでいる人々が「負担が増える」「固定化されてしまう」「すでに騒音が増して生活できない」と恐怖を肌で感じて悲鳴を上げているのに、「いやいや、軽くなる話ですよ。いいはずですよ」と面積の話だけで押し売りされても、とても迷惑だ。

 「嫌です。迷惑です」と言っているのに、「いやいや。あなたはコレが好きなはずですよ…」と迫ってくるのはまるでストーカーだと、映画『戦場ぬ止み』の中で智佳子さんが言っていたが、まさにそれと同じ薄気味悪い行為を裁判所までがしている。「楽になりますよ」「求めている人もいるはずですよ」と、ストーカーをする国の後ろからさらに暗示をかけてくるとはあきれるしかない。ストーカー行為は人権侵害です、やめなさいといってくれるはずの裁判所がそっち側に回ってしまうなら、誰がストーカーから守ってくれるのか? おまわりさんか?

 そのおまわりさんで絶望するのは、昨年の警察法の改正だ。新たに国家公安委員会の任務として「特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける」という役割が加わり、警察は政治的に不偏不党、公正中立という建前さえ機能しなくなってしまった時の政権が暴走しようが何しようが、警察は判断さえ求められずに内閣の指示を受けて動くことになる。それでは戦前のように政権の都合で警察権力が濫用されかねない高江の基地建設工事は内閣の重要政策で、だから全国から500人もの機動隊員を投入し非暴力の抗議を腕力で封じ込めてもいいということか。それはつまり、地域のおまわりさんが勝手に安倍政権の傭兵に変質させられていくということであり、日本中の人が憂慮すべき事態と思うのだが、国民の反応は妙に鈍い

 傭兵といえば、である。

 ついに陸上自衛隊までも高江の基地建設に借り出されてしまった。今回の動画の前半は、日々必死に抵抗する県民の頭上を越えて、民間のヘリと自衛隊のヘリで連日重機や資材を搬入する異常な高江の姿だ。10年前の辺野古の海上調査の際にも第一次安倍政権は掃海艦「ぶんご」を投入した。今回、自衛隊ヘリは揚陸艦「おおすみ」と共にやってきたようだ。国内向け治安出動も、米軍基地の建設も、もうなんでもありだ。年明けの最高裁判決で沖縄県の敗訴が確定したら、それこそ陸海空、すべての自衛隊と海保と警察が辺野古に結集されてしまうのだろう。

 地元の報道によれば、自衛隊が米軍基地建設に協力することについては難色を示す自衛官もいたという。沖縄では復帰と共にここに配備されたときから、旧日本軍のイメージが強い自衛隊に対して強い嫌悪感があった。他府県とは全く違う招かれざる空気の中で、自衛隊は離島の急患の輸送や不発弾処理など地道な活動を積み重ねて、ようやく沖縄県民に徐々に認められてきた歴史がある。それが、基地に反対する県民を力ずくでねじ伏せるような役割を担わされては一気に反感を買って昔のように自衛隊アレルギーが復活してしまうのでは。そう心配するのは当然だと思う。

 しかし、1日だけだったが、自衛隊ヘリは国策を遂行するために、我々の頭上を飛んだ。もちろん、沖縄の民意を尊重して拒否などしてはくれなかった。あたりまえだけど、裁判官も警察官も、海保も自衛隊も、普通の国民はきっと、みんな自分たちの味方だと信じているはずの組織・機関がいまや揃いも揃って全部沖縄に牙を剥くようになってしまった。こんなこと本当にあっていいのだろうか。日本はすごい勢いで恐怖政治に近づいていってしまっている。まるで悪夢を見ているようだが実際のできごとなのだ沖縄にいるとこの国の劣化が嫌でもよく見える

 しかし、これで県民は意気消沈するかといえば、そこは安倍政権のもくろみは外れている。

   「いくら重機を空輸しても、あれはリモコンで動くわけではないでしょ? 
    みなさん、作業員が入らなければただの鉄くずです。我々は日々、
    作業員を止めればいいんです。来る日も来る日も作業員を止めて、
    山の中でさび付かせて動かなくすればいいんです!

 高江ではヒロジが健在だ。少なくても100人、多い日は400人も集まるようになった高江では、ダンプカーの列を遅らせるだけでなく、完全に止める日もある。実際には数に物を言わせて工事は進んでいる。でも、まだまだ粘れる。そしていつかきっと状況を変えてみせると信じている人たちが、毎日続々とやってくるのだ。

 判決を受けて翁長知事が言った。

   「かつては銃剣とブルドーザーで無理やり基地を造られた。70年経って、
    新たな段階に入ったといわざるをえない」

 県民の意思を無視して無理やり造るという意味ではあの時と同じだが、今度は「銃剣とブルドーザー」ではなくて、「自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長」によって、基地建設が強行されるということか。全く笑えない。でも笑うしかない。そうやって笑い飛ばし、みんなで苦い肝を嘗めて、屈辱を確かめ合う。そして決意を新たにし、前に進む力がなぜかまた滾々と湧き上がってくるところがこの島の強さなのである。
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●海保は「自己責任」を叫ぶのか!?: 「彼を引き上げもせず、海に入ったままの状態で事情聴取を続けた」

2014年10月26日 00時00分28秒 | Weblog


マガジン9』の記事【三上智恵の沖縄〈高江〉撮影日記:還らぬ人となったS船長へ~悲しみに包まれる辺野古の現場から~】(http://www.magazine9.jp/article/mikami/15312/)。

 とにかく腹が立った!! 「そこに海保の船がやってきて、助かったと思ったのも束の間。海保は彼を引き上げもせず、海に入ったままの状態で事情聴取を続けたという。その間、船を追いかけて飛び込んだS船長の消息が不明だとわかるまでに無為な時間が過ぎてしまった・・・・・・準備中の港内での不慮の事故だ。それを、仲間を失った船長たちに対し、これ見よがしに投げつけるその台詞はあまりにも残酷だ・・・・・・「あなたの言う無理をせずに、この状況を止められますか?」・・・・・・そして辺野古の海の神さまとともに、私達にこの海を、島を、守らせて下さい。遺志は必ず引き継ぎます」。

 「海猿」なんて言うカッコいいものでなく、「アベ様のイヌ」だ。海上保安庁のやっていることはメチャクチャ。海保は、「不慮の事故」が起きようとも「自己責任」とでも嘯くつもりだろうか、「溺れる者」を見殺しにするつもりだろうか? それでも「海の男」達かっ!? 「海人」とはほど遠くアベ様に忠誠を誓う「海のケダモノ」「海の畜生」である。

   『●「自己責任」を叫ばれた人の立場

   『●丸腰市民へ掃海母艦派遣・・・アベ様豪語
      「最高の責任者は私だ。・・私たちは選挙で国民の審判を受ける」
   『●辺野古「この風景は戦争」:
      誇り高き「海猿」の実像は番犬様の飼い主「アベ様のイヌ」
   『●番犬様・米軍の飼い主の声は聞こえても、
        辺野古市民の声は聞こえず「戦場」が見えない防衛省』 
   『●多分、アベ様は沖縄で三度敗れる・・・・・・踏みにじられる沖縄の民意


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http://www.magazine9.jp/article/mikami/15312/

三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記 

12
還らぬ人となったS船長へ~悲しみに包まれる辺野古の現場から~

 この撮影日記、第0回から数えるとこれまで12の文と動画を、毎週沖縄の現場から届けてきた。

 名前は知っていても内実は一向に伝わらない「辺野古の基地建設問題」について、毎日現場にいるからこそ見えてくる人間の姿を、その魅力を、不条理や怒りや誇らしさを、皆さんと共有したいという思いだった。しかし今回は、私自身がとても混乱している。これから書くことは、伝えるべきなのか、新たな誤解を生まないか、自分でもよくわからない。ただ、こんな大事件があったのに別の話の報告をすることは、事実から逃げているようで耐え難い。従って予定した内容に代えて、今現場を揺るがしている出来事をまず書いてみようと思う。

 毎朝のように一緒に海に出ていたSさんが、還らぬ人になった。しかもいつも出港する汀間漁港での事故だった。Sさんは72才。反対運動の船5、6艇の中では大きい方の、「きずな」をもじった「なずき丸」の船長であり、7、8月は主に「メディア船」として多くのカメラマンや記者達を乗せて、海の工事や住民と海保との衝突を見張るために操船して下さった。船長グループの中心メンバーだった。敬意を込めてS船長と呼ばせて欲しい。

 19日の日曜日、私は母親大会の講演会を依頼されて博多にいた。会場に向かう途中、辺野古の漁師から電話が入った。「あんた、内地にいる場合じゃないよ。反対運動の船長が浜に打ち上げられてる。息をしていない」。私は気が動転した。電車の中から他の船長や友人にメールを打つ。どうやら悪い知らせは本当で、出港準備をしていたS船長が、漂流し始めた船を助けようとした末の、不慮の事故であったことがわかった。

 混乱したままなだれ込んだ講演の冒頭、私は「今、辺野古からとんでもないニュースが入って頭がいっぱいいっぱいなので、まずそのことから報告させて下さい」と切り出した。

 「70代とはいえ体格も良く、泳ぎも操船も自信のあったS船長でした。それがなぜ・・・。いや正直言って、反対運動の船長たちは海人や海保と違って操船のプロではない。免許取り立てで経験の浅い人もいれば、機械の整備が不得手な人だっている。補い合ってなんとか海上行動を維持してきた問題はなぜ、そんな彼らが、ローテーションで毎日毎日海にでなければならないのか・・・」

 聴衆にぶつけるべき怒りではないとわかっていながら、もう止められなかった。700人を超すお母さんたちは黙って聞いていてくれた。

 「海上行動にはたくさんの70代の先輩達がいる。80を超えた方もいる。本来は家でゆっくり過ごしてもらいたい皆さんにまで、いったいいつまでこんなことを――」と言おうとして、号泣。先に進めなくなってしまった。

 動力もないまま流された船に乗っていた男性は、岩場に激突しないよう海に入って船体の向きを必死に変えようと1人で奮闘、しかし折からの強風でどんどん港から離れていった。そこに海保の船がやってきて、助かったと思ったのも束の間。海保は彼を引き上げもせず、海に入ったままの状態で事情聴取を続けたという。その間、船を追いかけて飛び込んだS船長の消息が不明だとわかるまでに無為な時間が過ぎてしまった。やがて堤防に置かれた携帯電話と靴とフックから「飛び込んだらしい」と、仲間も大浦湾の捜索を始める。漂流から1時間半、水面に浮いているS船長を見つけたのは海保だった

 海保は駆けつけた船長仲間から事情を聞きながら「だから言わんこっちゃない。あなたたちがこういう危ないことをするから大事故が起きるんですよ」と追い打ちをかけたそうだ。別に制止を振り切って建設予定区域に入ったわけでも、阻止行動をしていたわけでもない、準備中の港内での不慮の事故だそれを、仲間を失った船長たちに対し、これ見よがしに投げつけるその台詞はあまりにも残酷

 運動だろうが素人だろうが、船をもつからには人の命を預かる重責が伴う。常時7、8人のローテーションで舵をもつ船長たちは当然、肝に銘じているし、何重にも声を掛け合っている彼らの緊張感も毎日目の前で見ている。しかし今回の衝撃で、恐怖感や全体に迷惑をかけるのではという不安から、海に出られなくなる人も居るかもしれない。毎日率先して船を出してくれたS船長の固い意志を受け継ぎたい。そう決意しながらも、船長たちはそれぞれに、苦しい思いを胸に抱えてしまったと思う。

 起るべくして起きた。

 高齢者まで海に出すのは行き過ぎだ。

 海を甘く見ている。

 命あってのことだ。

 誰でも批判はできるだろう。しかし、どこまでが許容範囲でどこからが無理なのか。素人が海に出ること自体、無理だというのか。安易に批判する人に私は問いたい

 「あなたの言う無理をせずに、この状況を止められますか?

 上のような台詞を言っていいのは、私は地元の漁師達だけだと思っている。辺野古や汀間支部、宜野座も含めて、周辺の漁師達は海上の反対運動を批判もしながらも、その数倍心配をしてくれている。船の係留が甘くて流されれば追いかけていってくれる。繋ぎ直しをしてくれた後に大目玉もくらう。でもそれは、彼らがロープの結び目一つで生死を分ける経験をしてきているからだ。台風対策だって、一つ間違って反対運動の船が転がれば、港は大損害だ。運動体の船など係留させるなという意見も当然ある。あんな年寄りに操船させて大丈夫か、誰が責任を取るんだという海人の意見を、私もよく聞かされた。

 大迷惑だといいながらも、視界のどこかで反対運動の船を気にかけ、徹底排除しないで居てくれるのは、この海を埋められたくない必死の思い危険を知らずに海に出て行く無謀さと呆れるほどの情熱も含めて、同じ海を大切に思う漁師達の心に通じるなにかがあるからだと私は思う。

 S船長は頭脳派で、長年、米軍がらみの事件や事故で泣き寝入りする沖縄の被害者たちを支え、助ける活動をしていた日米地位協定の話になると、条文を諳記しているほどの彼の持論はエンドレスで展開された。周りから反対された結婚だったそうだが、県民に大人気だった瀬長亀次郎元那覇市長を仲人に立てて見事妻を迎えられたという自慢話を、3日前、汀間の港で聞かされ大笑いしたばかりだった。台風あけで船を降ろす作業に奔走していたのが、私が見たSさんの最後だった。事故の当日も、反対運動を支援に来る方々を乗せて辺野古の海を案内するために、準備をしている最中だった。

 翌20日、早朝のミーティングにはいつも海に出るメンバー達40人が集まった。いつものウエットスーツやライフジャケットではなく、服を着て沈痛な面持ちで円陣を組んだ。事故の報告があった。船長の中には号泣する方もいた。県民の運動自体に迷惑をかけて申し訳ないとの謝罪もあり、みんな唇を嚙み締めていた。その日の海上行動は見送られた。

 しかし、運動の停滞を一番望まないのは故人であろうと、ゲート前の座りこみはつらくてもやろうと決まり、ノボリ旗や歌などは慎もうと決めた。私はカメラを持って行かなかったのだが、テントでの様子を少しだけ携帯電話に記録した。今回はその映像だけでお許し頂きたい。

・・・・・・

 S船長、最後の瞬間まで船長として行動したあなたに敬意を表します。後生(グソー=あの世)で待つ大西さんに「こっちに来るの、早すぎたよ」と叱られて下さい。祐治さん、当山さんと酒盛りをし、久坊さんの船に乗って遊んで下さい。そして辺野古の海の神さまとともに、私達にこの海を、島を、守らせて下さい。遺志は必ず引き継ぎます

合掌
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